表紙 障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン 〜場面ごとの配慮編〜 令和2年12月 港区 P1  目次 ■場面ごとの配慮編 2ページ 情報・コミュニケーションの基本的な配慮 4ページ 文書を作成するときの配慮 5ページ 文書を送付するときの配慮 7ページ 電子メールを利用するときの配慮 8ページ 各種窓口などでの対話や接客をするときの配慮での配慮 9ページ 会議・会合・イベント等を開催するときの配慮 15ページ 案内・表示における配慮 19ページ 福祉サービスについての情報を提供するときの配慮 20ページ 災害時・緊急時の配慮 21ページ 危機管理に関する情報提供の配慮 23ページ ウェブサイト(ホームページ)・動画等の配慮 24ページ 障害のある人と働く職場での配慮 26ページ P2 ■はじめに 全ての人に対して必要とされる情報を分かりやすく伝え、平等かつ適切にコミュニケーションを行うことは、サービスを提供するときの基本です。また、障害のある人への配慮は、子どもや高齢者、外国人などの情報弱者となりやすい人への配慮に通じることにもなり、サービスの向上にもつながっています。 区は、令和元年12月に作成した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン〜障害の特性に応じた配慮編〜」では、障害の特性について記述し、それぞれに求められる基本的な配慮についてまとめました。 今回作成した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン〜場面ごとの配慮編〜」では、サービスの提供において想定される様々な場面において、障害のある人に対して主に必要とされる配慮をまとめました。複数の障害に共通して求められる配慮もあり、また、個別の障害に応じた配慮もあります。盲ろう者をはじめとする重複障害の状態にある人には、それぞれの障害への配慮と重複障害特有の配慮の両方が必要なことに注意しましょう。なお、障害の特性は多岐に渡り、障害の種別が同じでも、人によって必要な配慮が異なります。そのため、サービス提供の場面では、このガイドラインに掲げた事項を参考にしつつも、臨機応変に対応をすることが求められます。 また、会議の手話通訳や点字資料など、事前に準備が必要な配慮については、参加者にあらかじめ申込を求めるようにするなど、配慮の求めを促すようにすることも重要です。 障害のある人もない人も必要なサービスが受けられるよう、またサービス提供者に対し意思を十分に伝えることができるよう、このガイドラインを参考に、その人に応じた配慮を意識しながら行動することを心がけましょう。 P3 配慮する際のポイント ・情報保障は、障害のある人の立場に立って考え、情報発信者側が行うことが原則であり、情報を受け取る側に責任を押し付けてはなりません。 ・情報の重要性を認識し、障害の有無にかかわらず、実質的に同等の情報のやりとりが速やかに行えるよう心がけます。 ・必要な配慮や手段はその人ごとに異なることに留意し、意向を確認して柔軟に対応するよう心がけます。なお、情報発信者側が十分な配慮を行えない場合は、理由を丁寧に説明する必要があります。 ・障害のある人の人格を尊重し、プライバシーには、最大限配慮します。 ・これまでの慣例、習慣を優先せず、個別の事情に応じて配慮を行うことが前提です。意見が何人集まったかを基準にしてはなりません。一人でも配慮の要望があった場合には検討します。 ・情報をやりとりする際、単一の方法では特定の障害のある人が情報を利用できないことがあるため、可能な限り複数の方法を用意するよう心がけます。特に、生命・身体や福祉サービスに関する情報、権利の取得又は喪失に関する情報などは、あらかじめ複数の方法を用意するように努めます。 ・在宅で生活している人には家族や身近な支援者の支援や配慮も欠かせません。制度やサービスを広報・周知する際には、家族・支援者・団体等、本人以外にも必要な情報が伝わるよう配慮します。 ・本人の意思で物事を決めること(自己決定)を意識します。分からない、伝わらないと決めつけず、本人に適切な方法で伝わるよう心がけます。 P4 情報・コミュニケーションの基本的な配慮 〇 障害のある人から個別に配慮の申し出があった際には、可能な限り依頼者が要望する手段・方法でやりとりします。 〇 情報を提供する場合には、複数の手段の利用を意識します。例えば、文字や画像による情報を、視覚障害のある人にも利用できるよう、音声や電子データで提供するように努めます。あるいは、音声による情報が、聴覚障害のある人にも利用できるよう、FAX や電子メールで提供するように努めます。 〇 連絡を受け付ける際には、単一の方法に限定せず、例えば、聴覚障害のある人でも連絡できるよう、電話以外にFAXや電子メールも活用します。電話の利用が困難な人からFAXや電子メールが届いたら、FAXの記載内容や電子メールの開封通知要求などにも注意し、受信した旨を迅速に返信します。 〇 外出が困難な障害のある人から、本人が来庁する以外の方法でのやりとりの希望や書類の郵送の配慮の申し出があった際には、可能な限り対応します。また、手続方法も複数検討しておき、必要に応じて対応します。 P5 文書を作成するときの配慮 《全般》 〇 回答や応募に期限を設ける場合は、情報の入手・読み取り・理解に時間がかかる人であっても余裕をもって対応できるように設定します。また、書類をやりとりする際には、単一の方法では特定の障害のある人が情報を利用できないことがあるため、可能な限り複数の方法を用意するよう心がけます。 書類の代読・代筆を依頼するのに時間がかかる場合があります。また、音声化された内容や点字を読むためには他の人より時間がかかる場合があることを考慮します。 〇 簡潔で平易な文章を心がけ、適宜「やさしい日本語」マニュアル〜外国人の地域参画と協働のために〜」を活用します。 《視覚障害など》  〇 視覚障害のある人でも情報を得られるように配慮します。視覚障害のある人に配慮した提供方法としては、音声(読み上げのための電子データでの提供を含む)、点字、拡大文字があります。点字や音声など情報を得る手段は、人によって異なるため、本人に必要な配慮を事前に確認し対応するとともに、広く発信するものについては、複数の手段をあらかじめ用意しておきます。 〇 音声コードがある印刷物は、対応機器やスマートフォンアプリを使用して音声で読み上げることができます。 〇 優先的に配慮する印刷物や配慮の方法などの具体的な内容については、障害のある人のニーズをよく把握して決定します。 〇 文字の字体(ユニバーサルデザインフォント)、大きさ、太さ、間隔、コントラストに配慮します。弱視の人の中には、適切な拡大文字であれば自分の視力を活用して読める人もいます。 〇 複数の色を使う場合は、「港区カラーバリアフリー・ガイドライン」に沿って、適切な色の組み合わせを用います。また、色以外の情報を加えることが望ましいです。 P6 《聴覚障害・音声機能障害など》 〇 問合せ先には電話番号のほか、FAX番号、メールアドレス等も併記し、音声の会話以外の連絡手段も利用できるようにします。また、電話での問合せと同様に応対し、希望のあった返信手段で返答します。 《知的障害など》 〇 大勢の人に内容が伝わりやすくなるよう、わかりやすい表現を心がけます。特に知的障害のある人に対して配慮する場合には、下記の点に注意します。 ・文書や資料にはひらがなでふりがなをふり、行間を広めにとります。 ・抽象的な表現は避け、可能な限り平易な言葉で具体的に表現します。 ・短い文章で要点を伝えるようにします。 ・代名詞、「前記、前述、次のとおり」などは、伝わりにくいので使用を避けます。 ・かっこ書きによる長い説明を挿入しないよう努めます。 ・必要に応じて、絵や記号、図を活用してください。 P7 文書を送付するときの配慮 《全般》 〇 期限のある文書を送付する場合は、余裕をもって対応できるように注意します。 〇 在宅で生活している人には、家族や身近な支援者の支援や配慮も欠かせないことから、文書の内容や個別の状況に応じて、家族・支援者・団体等、本人以外にも必要な情報が伝わるよう配慮します。 《視覚障害》 〇 差出人が視覚障害のある人にもわかるよう、封筒の表面に音声コードを施すように努めてください。音声コードを貼付した場合は半円の切り欠きを施してください。他にも、点字シールを貼るなどの方法があります。 特に個人情報が含まれるような重要な文書や資料には、代読を依頼する際の判断基準になるため、視覚障害のある人にもわかるような目印があることが望ましいです。 P8 電子メールを利用するときの配慮 電子メールは、パソコンやスマートフォンなどの様々な情報機器で利用できます。一般的にはパソコン画面を使って読み書きされますが、それ以外に、スクリーンリーダーを利用して音声で読み上げる、点字ディスプレイを接続して指先で読むなど、聴覚、触覚などを活用して情報を伝えることもできます。また、メール本文以外に、添付ファイルで送信された様々な形式のファイルを扱える技術も進歩してきています。 また、たとえば難病などのため外出が困難で電話の利用も難しい人にとっても、電子メールは重要なコミュニケーション手段になりつつあります。電子メールを活用することで、紙の文書より格段に情報保障の可能性は拡大します。 《視覚障害など》 〇 電子メールでの情報提供や申込の受付などが行えるように努めます。 〇 障害のある人から電子メールでの情報提供の申出があった場合に可能な範囲で対応します。 〇 問合せ先として電子メールアドレスを記載したり、ウェブサイトにメッセージ を送信できる機能を設けたりします。 〇 電子メール以外の方法でもやりとりができることが望ましいです。 〇 電子メールで文書を提供する際は、その人の状況や利用環境に応じて、ファイル形式や添付ファイルの有無の希望について、直接本人に確認します。利用環境によって、PDFの文書の読み上げができなかったり、図形なども読み取らないこともあります。 P9 各種窓口などでの対話や接客をするときの配慮    来訪時 〇 入口や窓口に文字やシンボルマークを掲示するなどの方法で対応可能な配慮について案内し、配慮の申出がしやすい環境を心がけます。 〇 障害のある人が主体であることを認識し、家族や支援者と一緒に来訪した際にも、   同行者でなく本人に話しかけます。 《視覚障害・失語症・高次脳機能障害など》 〇 周囲の様子がわからず困っている人、案内掲示の文字やその内容がわからない人がいたら、所属や名前を名乗り、手助けできることがないか声をかけます。 《知的障害・精神障害・発達障害など》 〇 戸惑っている人、不安がっている人にはやさしい口調で話しかけます。 話しかけるときは相手の前に回ります。後ろから声をかけると、驚いてパニックを引き起こす人もいることに注意します。 順番待ちなど 《視覚障害》 〇 周囲の様子を具体的にわかりやすく伝えます。手続等で待つ必要がある場合は、安心して待てるようにおおよその待ち時間を伝え、いす等に案内します。また、順番が来たときの案内や誘導にも注意します。 《聴覚障害》 〇 窓口の順番を音声以外でも知らせるようにします。電光掲示板などの設備を利用するほか、番号を掲げる、直接呼びにいく等の方法が考えられます。 《内部障害・難病・知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など》 〇 障害特性のため、長時間の手続・面談や、長く待つことが困難な人には、別室で休めるようにする、予約を受け付けるなど、必要な配慮を行うことが望ましいです。 《知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など》 〇 予定がわからないと不安になる人や待つことが苦手な人もいるため、すぐに応対できないときや時間に余裕のないときは、状況を説明し、およその待ち時間や応 P10 対できる時間などを、あらかじめ具体的に伝えます。 特に、障害特性によっては後から延長をすると不快に感じる人もいるため、時間は十分に見積り、根拠なく「すぐに」と言い切らないようにします。 環境 《全般》 〇 よく使われる用件や注文の選択肢を示したメニューを窓口や受付に用意しておくと、会話や発語が苦手な人でも安心して用件を伝えることができます。 〇 自力で発語・発音が困難な人を支援するためのスマートフォンやタブレットのアプリ、専用機器などを、窓口での応対の必要性に応じて用意することを検討します。また、アプリや機器などを持参した人に応じたコミュニケーションを求められた場合は可能な限り対応します 《視覚障害》 〇 視覚障害のある人との間で金銭の収受や書類の受渡を行う場合は、必要に応じて内容を口頭で伝えて確認できるようにします。その際、声の大きさや応対場所に配慮し、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにします。 〇 視覚障害のある人には音声が特に重要な情報です。そのため、できる限り静かな場所で応対します。部屋に案内したときは、部屋や机の様子、席の位置を説明します。誤って触れて落としたりけがをしたりしないよう、机の上は整頓します。 〇 十分な明るさを必要とする人、光に敏感な人には、部屋の明るさが適当かどうか確認します。窓や太陽光の位置にも注意をします。   〇 視覚障害のある人が訪問することの多い窓口等では、弱視の人が自ら読み書きできるよう、拡大読書器、拡大鏡、老眼鏡、手元を照らす照明器具などを常備します。 《聴覚障害》 〇 難聴者や補聴器等で聴力を補っている人には、できるだけ騒音や雑音の少ない場所で応対します。難聴者の中には自分の声の大きさを調節することが苦手な人もいるため、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにします。また、手話や筆談が見えないようにする配慮も必要があります。 〇 筆談のための器具を備え、筆談の申出がしやすい環境を整えます。 《音声機能障害・失語症・吃音など》 〇 発語に支障がある人の声が聞きとりやすいよう、また、発語しやすいよう、なるべ P11 く静かな場所で応対します。聞きとりにくいときは分かったふりをせず、紙に書くなど他の方法も活用して内容を確認します。 〇 緊張しないで話せるよう、隣の人や後ろに並んでいる人の視線が気にならない場所で応対します。別室が望ましいですが、視覚を遮るついたて等でもある程度効果はあります。 《肢体不自由など》 〇 車いすを使う人には、立ったままでなく、同じ目の高さになるよう応対します。 〇 窓口には、車いすに乗ったまま利用できるよう、高さ、広さ、足もとの構造に配慮したカウンターを設置するよう努めます。 〇 筆記の際に、机の高さ、紙の位置、紙の押さえ方、記入欄の位置や大きさに配慮が必要な場合は、可能な限り対応します。 《知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など》 〇 障害特性によっては、カウンター越しではなく、可能な限り静かな場所で個別に応対することが望ましい場合があります。なお、その際には応対者が座る位置にも配慮します。騒がしいところで応対すると、周囲の音や動きに気を取られ、相手の話している内容が理解できず自分の考えがまとまらなくなったり、他人の話が気になって心理的に不安定になったりする人もいます。 受付などでの対話・コミュニケーション手段 《全般》 〇 障害のある人に同行している通訳者や介助者等はコミュニケーションに不可欠な役割を果たしているため、正当な理由がない限り同伴を拒まないようにします。同伴ができない場面では、理由を説明するとともに、他に利用できる手段がないか検討します。 〇 障害のある人が話すのに時間がかかっていても、急かさないで、ゆっくり待ちます。口頭での説明が苦手な人が用件を文書にして持参した際には、文書にも目を通します。 〇 応対する人数が多すぎると、緊張から疲れてしまったり、内容の理解が難しくなったりする人もいるため、人数に配慮します。 〇 障害の内容や病歴を不必要に収集しないよう気をつけます。 《視覚障害》 〇 視覚障害のある人にも応対している人が誰であるかわかるよう、同席者も含めて P12 名前を名乗り、離席したり新たに人が加わったりした際にはその旨を伝えます。 《聴覚障害》 〇 聴覚障害のある人と音声で対話する際は、ゆっくり、はっきり、口元が見えるように対面で話をします。マスクをつけている場合は、フェイスシールドやマウスシールドを活用するなどして、可能な限り外し、口元を隠さないよう注意します。内容が正しく伝わっているか確認し、重要な点は紙に書くなど、他の方法も併用します。また、状況に応じて筆談、手話通訳、要約筆記等の利用も検討します。 〇 筆談は、聴覚障害のある人、弱視の盲ろう者、発語・発音に支障がある人などが利用できます。弱視の盲ろう者に筆談で応対する場合は、視力・視野に応じて、見やすい大きさ、太さ、間隔、コントラストで書くようにします。 〇 手話通訳のできる職員がいる場合は、席配置を工夫したり、利用の申出がしやすいよう案内表示をします。タブレット等による遠隔手話通訳のような、新しい手段による情報保障も導入を検討します。 《盲ろう者》 〇 盲ろう者が通訳・介助員を同行している場合、盲ろう者が主体であることを認識し、盲ろう者の意思を確認しながら話をします。  《吃音・失語症など》 〇 次の音や言葉が出るまで時間を要することがあり、緊張するとさらに言葉が出なくなることもあるため、不必要に急かさないようにします。筆談等、別の手段の希望があれば可能な限り応じます。 《知的障害》 〇 氏名の読み方は必ず確認します。間違った読み方で呼ばれると、知的障害のある人が自分のことだとわからないことがあります。 〇 知的障害のある人には、穏やかな口調で話しかけます。 〇 相手の年齢に応じた言葉を使います。 〇 伝えたいことを明確にして、短い文章で、ゆっくり、丁寧に説明します。専門用語は避け、一般的なわかりやすい言葉で、可能な限り具体的に説明します。 〇 知的障害のある人の中には、説明者によく思われようと、理解していない場合でも「はい」「わかりました」と言ってしまう人もいるため、要点を言ってもらうなど、正しく伝わっているか確認します。状況に応じて再度説明することも必要ですが、本人が嫌がったり自尊心を損なったりしないよう注意します。 〇 家族や支援者と来訪した際にも、本人と話をするよう意識します。 P13 〇 家族や支援者の同席を求める場合は、必ず本人の同意を得ます。また、電話でこれらの人へ連絡をとる際は、本人の前で電話します。いずれの場合も必ず本人に要点を伝え、意思を確認します。 《知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など》 〇 一度に多くのことを伝えようとせず、簡潔に話します。 〇 筆談、絵や写真、図、コミュニケーションボードを用いる、実物を見せる、身振りなどを交えるなど、伝え方を工夫することも必要です。 〇 記憶障害のある人や複雑な内容の理解が難しい人には、説明した内容を示しながら話します。申請書の控えやコピー、大切なことを書いたメモなどを渡します。 〇 言葉が出にくいときには、筆談、絵や図を活用したり、選択肢のある(答えやすい)質問をしたりすることで、意思の表明を手伝うことも考えます。ただし、応対者に都合のよい方向に誘導することがないよう十分注意します。 〇 特定の担当者に不信感(マイナスの感情)を抱いている場合は、応対者を変えることが有効な場合もあります 《精神障害・高次脳機能障害・発達障害など》 〇 障害のある人が声量の調節がつきにくく大きな声を出している時には、聴覚過敏に配慮し、小さめの声で話しかけるとよい場合もあります。 〇 障害のある人の話が聞き取れなくてもわかったふりをしないようにします。話が理解できないときは申し訳ないと正直に伝えます。 〇 幻覚や妄想、つじつまが合わない、本題と関係ない等と思われる話であっても、内容の正否の判断を急がず、まずは耳を傾けます。 〇 話の内容を頭から否定したり、安易に同調したりしないよう注意します。伝えたいことが自分で整理できず、細かい部分に気を取られてしまう障害特性があることを理解します。話の区切りをつけるタイミングを見計らい、落ち着く様子が見られたら、用件を確認し、訪問目的に沿って応対します。 〇 説明は要領よく短時間で行うよう心がけます。長時間話し続けていると障害のある人の緊張や疲労、いらだちにつながることもあるため、一休みして気分転換するよう促したり、日を改めたりすることが有効な場合もあります。 〇 障害のある人が、不安のため泣き出したり、怒り出したり、笑いが止まらなくなったりした場合は、基本的には、ゆっくりと時間をかけて、本人が落ち着くのを待ちます。怒り出した原因に心当たりがあればすぐにお詫びし、心当たりがないときも、誠意をもって応対します。意思疎通がしづらいからといっていい加減な応対をしないようにします。 また、一休みしたり、応対場所を変えたりすることが有効な場合もあります。 P14 マナー・ルール違反を特に嫌がる人もいるため、そのような対応を受けたり、 そのような場面に直面したりしないよう配慮します。 〇 他の人に訴える手段を持たない人や話を伝えづらい人に対して、暴言を吐くような応対をしてはなりません。 書類の手続きなど 《全般》 〇 障害の状況から自筆が困難な場合には、本人の意思を確認して可能な限り職員または介助者等が代筆を行い、代筆者以外が立ち会うようにします。代筆者は本人の意に反した内容を記入したり、誘導したりしてはなりません。代筆した内容を読み上げて本人が確認できるようにします。その際、声の大きさや応対場所に配慮し、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにします。 〇 代筆を必要とする人としては、視覚障害のある人のほか、失語症の人、肢体不自由のある人や、ろう者(手話のみを用い、文字を利用しない人もいる)などもいます。 〇 本人の自筆が必要であるか手続の見直しを行います。 〇 受付書類に障害の内容や病歴の記入欄があると、たとえ任意であっても心理的圧力になる場合があるため、収集の必要性の有無について十分検討します。 《視覚障害》 〇 書類を代読する場合は、まず目次や全体の構成を説明し、その後に必要な箇所を読みます。その際は、代読者で要約せず、原文をそのまま読み上げます。 〇 視覚障害のある人が自署する場合は、厚紙や定規などを記入欄の下部に当てるなどの工夫をすると記入しやすくなります。 《知的障害》 〇 知的障害のある人が書類を作成する際には見本を示すことも有効ですが、内容の誘導にならないよう十分注意します。 《視覚障害》 〇 書類を代読する場合は、まず目次や全体の構成を説明し、その後に必要な箇所を読みます。その際は、代読者で要約せず、原文をそのまま読み上げます。 〇 視覚障害のある人が自署する場合は、厚紙や定規などを記入欄の下部に当てるなどの工夫をすると記入しやすくなります。 《知的障害》 〇 知的障害のある人が書類を作成する際には見本を示すことも有効ですが、内容の誘導にならないよう十分注意します。 P15 会議・会合・イベント等を開催するときの配慮 移動・安全確保の配慮 《全般》 〇 普段利用していない部屋や施設で開催しようとする際には、特にバリアフリー設備や放送設備、照明などの対応が十分であるか下見を行います。 《視覚障害・肢体不自由など》 〇 視覚障害のある人が迷わず安全に移動できるよう、会場までの経路の情報を提供、点字案内を整備、内容を確認、誘導のための人員を配置するなどの配慮を行います。また、参加者に対しては、衝突防止に注意します。点字ブロックの上をふさがないなど、視覚障害のある人の安全が確保できるよう協力を呼びかけます。 〇 視覚障害のある人を誘導する際は、白杖を持っていない側の半歩前に立ち、肘の上を握ってもらいます。 〇 誘導をするときは、声をかけてから誘導します。いきなり触れたりしないよう注意します。 《盲ろう者》 〇 会議に盲ろう者が出席する場合には、通訳・介助員を手配します。なお、盲ろう者が自宅と会場とを往復する際も通訳・介助員が必要であることに注意します。  開催準備 《全般》 〇 参加者が特定されている場合、必要な配慮について事前に確認します。また、不特定多数が参加するイベントや、傍聴が可能な会議の際にも、参加希望者が事前に配慮の要望を申し出られるようにします。用意に時間を要する配慮については合理的な範囲で申出の期限を定め、その期限を明示します。 〇 あらかじめ参加者の障害の内容がわかっている場合には、案内や説明の工夫が行えるよう、司会や講師にその旨を伝えるようにします。 〇 障害のある人に講演・出演等を依頼する場合、事前に主催者の責任で必要な配慮を検討・把握し、適切に準備・対応します。 P16 《聴覚障害・音声機能障害》 〇 聴覚障害のある人が必要とする配慮には、手話通訳や要約筆記の配置、補聴援助システム(磁気ループ等)の設置などがあります。また、難聴者や音声機能障害のある人のため、小さな会場であってもマイクが利用できるようにします。 〇 会議やイベントの規模によっては、あらかじめ手話通訳や要約筆記などの配慮を用意します。また、代読・代筆者の配置を検討します。その際には、用意されている配慮を開催案内等に明記します。 〇 要約筆記はその場での情報保障のための手段であり、記録を目的としたものではないため、議事録に代用はできません。 《発達障害など》 〇 感覚過敏のため、騒がしい場所や大勢の参加者がいる場所が苦手な人もいることに注意します。あらかじめ会場の様子を説明することで本人や支援者が適切に対応・判断できることもあります。 資料の用意 《視覚障害など》 〇 要望に応じて、資料を点字、拡大文字、音声コード貼り付け、音声で読み上げるためのテキストデータなどの形式でも作成・提供します。 《視覚障害・聴覚障害・盲ろう者など》 〇 障害のある人が事前に内容が把握できるよう、極力あらかじめ資料を配付・送付します。特に以下のような状況に配慮します。 ・点字、拡大文字、音声コード、テキストデータを会場で読むことは難しい。 ・手話通訳や要約筆記を見ながら手元の資料を読むことは難しい。 ・指点字や触手話の通訳を受けながら資料を読むことは難しい。 《聴覚障害・盲ろう者》 〇 手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員が会議等の内容を把握し、正確な通訳が行えるよう、通訳者等のために活字の資料を用意します。 P17 会議等の進行 《全般》 〇 障害特性に応じて、会議等の進行速度に配慮します。 〇 会議の時間は可能な限り短く設定します。会議では、おおむね1 時間ごとに休憩を設けます。特に、盲ろう者が指点字・触手話等の通訳内容を理解するには大変集中力を要するうえ、両手をふさがれて身体面でも疲労するため、適切な休憩が必要です。 《視覚障害・聴覚障害・盲ろう者など》 〇 会議などで発言する際は、視覚や聴覚に障害のある人にも発言者が伝わるよう、名前を名乗ってから発言するように参加者に協力を求めます。発言者の名前は、手話通訳や要約筆記の際にも必要な情報です。 《盲ろう者》 〇 盲ろう者が参加する場合は、盲ろう者向け通訳・介助員が通訳しやすいよう、 また盲ろう者本人が読み取りやすくなるようにするため、発言が早すぎにな らず、また語句と語句の間に時間を空けるように注意します。 《音声機能障害・失語症・吃音など》 〇 吃音の人や声が出にくい人でも発言がしやすいよう、音声以外(挙手など)の方法で発言機会を得られるようなルールを用いたり、順番に指名したりするなど、司会が配慮します。また、発言の途中で小休止をとったり言葉が出なくなったりしたときに他の参加者が発言しないよう協力を求めます。 〇 吃音の人や声が出にくい人が発表する際には、プロジェクタの併用や資料の事前配付などの方法でスムーズにできることもあります。また、他の発表者もこれらの方法を利用することで、特別扱いの違和感を避けることができます。 P18 席配置・会場設定 《視覚障害》 〇 スクリーンやモニタ画面を利用する場合には、弱視の人の席の位置に配慮します。また、場内を暗くすると視力が大幅に低下する人には、手元で利用する照明を持参するよう事前に案内するか、または主催者側で準備します。 《聴覚障害・盲ろう者・失語症など》 〇 席の配置に配慮し、本人に希望を確認します。一般に、口話を利用する人や難聴者は最前列が望ましいです。手話通訳や要約筆記を利用する場合も見えやすい前方の席が好ましいですが、場内の様子もわかるよう最前列を避ける人もいるため、本人に希望を伺います。磁気ループが利用できる座席が限定されている場合は設置場所を明示します。 〇 手話が見やすくなるよう、通訳者の立つ位置、高さに注意します。場内を暗くする場合でも、手話通訳や要約筆記が見えるよう、照明や席の配置に配慮します。 〇 会議参加者が個別に手話通訳や要約筆記を利用する場合は、通訳者の席を用意し、必要な広さを確保します。 〇 指点字、手のひら書き、要約筆記、パソコン通訳などをコミュニケーション手段とする人の場合、椅子のみでなく、机を用意します。 《色弱》 〇 レーザポインタを使用する際、色弱の人でも見やすいよう、赤色ではなく緑色などのものを使用することが望ましいです。 P19 案内・表示における配慮 《全般》 〇 障害のある人に対応した設備(特にトイレやエレベータ、駐車場)が来館者にわかりやすく伝わるよう施設案内の内容の充実や表示の整備に努めるとともに、ウェブサイト等を通じて対応設備や案内の情報を提供します。なお、点検等で設備が使用できない場合は、事前の告知に努め、代替手段の情報を提供します。 《視覚障害・色弱など》 〇 視覚障害のある人にも現在地や行き先がわかるよう、建物の案内表示や手すり等に点字を付けます。触地図の整備を検討します。また、案内表示は弱視・色弱の人にも見えやすいよう、大きさ、位置に配慮し、カラーユニバーサルデザインの観点から色づかいにも注意します。 ※「港区カラーバリアフリーガイドライン」を参照してください。 〇 建物の案内表示や触地図は常に最新の情報に更新し、利用者が迷わないようにします。特に、点字が併記してある場合には点字も同様に更新します。案内表示を設計する際には更新のしやすさや費用も考慮することが望ましいです。 〇 来館者向けにタッチパネル式機器等を設置・提供する際は、視覚障害のある人でもテンキーや音声などで操作できるようにするか、有人窓口や案内係など、他の手段も利用できるように配慮します。 《知的障害・発達障害など》 〇 必要に応じて、案内にふりがなをつける、図や記号、絵を併用するなど、知的障害のある人などへの配慮を行います。また、これらの配慮は識字障害(ディスレクシア)のある人や、日本語に不慣れな外国人などに対しても役立ちます。 P20 福祉サービスについての情報を提供するときの配慮 《全般》 〇 障害のある人が、様々な福祉サービス(入所や通所での障害福祉サービス等のほか、相談支援や成年後見制度等)を利用する際にも、障害の種類によっては情報・コミュニケーションのために適切な支援を受ける必要があることに注意します。 〇 情報の入手手段が限られる人であっても必要としている情報が入手できるよう、複数の自治体や機関の間での情報共有を心がけます。 〇 障害のある人に関する団体は、障害のある人にとって必要な情報を提供したり、障害のある人のための様々な事業やサービスを実施しています。これらの団体に対しても適切に情報提供を行うとともに、地域で生活している障害のある人が必要に応じて団体の存在や活動内容等を知ることができるよう周知に努めます。 P21 災害時・緊急時の配慮 災害に備えた情報伝達手段 〇 障害のある人が災害時に避難情報を入手し、適切に避難できるためには、情報伝達、避難誘導、安否確認の仕組みが機能するようにすることが必要です。 〇 区や地域の人たちが、地域に住む障害のある人を意識して取組を行うことは、障害のある人が日頃から安心して生活を送る上で欠かせません。港区では、障害のある人などの避難行動要支援者の名簿を作成し、避難行動のための個別計画を作成しています。地域での防災訓練などを通じてこれらの仕組みが有効に機能するように取り組むことが望ましいです。 〇 避難情報を単独で入手できない人、情報の理解が難しい人には、地域の避難支援者や家族による支援が必要です。避難支援者は居住地近くに確保することが望ましいです。 〇 障害のある人の避難を誘導する際には、障害特性にあった情報提供を意識します。特に、視覚障害や聴覚障害のある人には危険な状況が伝わりにくい場合があるので、その人に応じた手段で確実に伝えるようにします。 〇 停電や夜間など、暗くなるところには、LEDライトが点灯する文字やイラスト・マークを設置することが望ましいです。 〇 在宅生活をしている障害のある人の安否確認は、障害等に配慮した方法をあらかじめ定めておき、災害発生時等に早急かつ確実に行われることが望ましいです。 〇 病院や施設から避難する場合は、個別の疾患や服薬に関する情報、求められる支援内容等が避難先で確実に引き継がれるよう注意することが重要です。避難所での情報提供は、食事や物資の配布など日ごろの生活上の情報提供のほか、自宅周辺の復旧情報や、仮設住宅等の入居に関する情報など、被災者の今後の生活再建のために重要な情報が数多く提供されます。 〇 放送、掲示板、文書の配布、代読、手話通訳・要約筆記など様々な情報伝達手段を用いることで、確実に情報伝達がなされるよう注意する必要があります。 〇 障害のある人への支援や配慮が利用できる時間や場所が限られる場合、それらを必要な人が確実に利用できるよう注意する必要があります。 〇 支援が必要な当事者、また活動中の支援者がわかるよう、ゼッケンやバンダナのように一目で分かるような目印を身に着けるなど工夫します。その際、どのような支援が必要か、どのような支援を提供できるかも分かるようにします。 P22 〇 障害特性によっては、避難所での共同生活が困難な場合もあることに注意し、生活場所や情報の伝達手段などを配慮します。 〇 定期的な服薬や医療的ケアが必要な人に対しては、利用可能な医療サービスの存在や申出方法の周知など、医療関係者と連携した情報提供が求められます。 P23 危機管理に関する情報提供の配慮 事故、事件、感染症などの区民の生命、身体又は財産に大きな脅威や損害を与え る危機事案又は健康危機事案が発生した場合には、正確な情報収集に努め、迅速に情報提供するよう努めます。 ※ 危機管理の例 東京湾原油流出事故、産業廃棄物処分場の火災、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の発生、事件・事故等の緊急対応 《聴覚障害・音声機能障害・失語症・吃音など》 〇 行政機関の閉庁時に、聴覚障害のある人が疾病等のために医療機関への緊急の受診が必要となったときや、交通事故、火災、その他の事件に巻き込まれたときなど、緊急に手話通訳や要約筆記の派遣を必要とする場合、これに対応できるような仕組みを関係機関とともに検討します。 〇 聴覚障害や音声機能障害、吃音などのため、電話による通報や要請が困難な人は、警視庁通信指令本部で運用している「110番アプリシステム」や東京消防庁防災部で運用をしている「緊急ネット通報」を利用することで、警察や消防へ通報することができるため、このシステムの周知を図ります。 〇 吃音など、障害特性によっては緊張のあまり言葉が出なくなることもあるため、特に相手の様子がわかりにくい緊急通報電話に応対する際には注意します。 P24 ウェブサイト(ホームページ)・動画等の配慮 ウェブサイト(ホームページ)での情報提供における配慮 ウェブアクセシビリティ(ウェブページにある情報や機能の利用しやすさ)の向上は、障害のある人に限らず様々な人にとって利用しやすいウェブサイトを提供するために重要です。 日本国内では高齢者・障害者に配慮したウェブコンテンツについて規定したJIS 規格(JIS X 8341-3:2016)が定められており、港区でもこの規格に準拠して「ウェブアクセシビリティ方針」を区ホームページ上で公開しています。 障害のある人が利用しやすいウェブサイトを提供するには、これらの規格や各組織のガイドライン等の内容を遵守し、特に下記の点に注意します。 〇 身体に障害のある人などは、マウスは使わずキーボードのみで入力することがあります。また、音声入力を利用する人もいるため、これらの操作を意識します。 〇 全盲の人は、ウェブページの内容を把握したりページを移動したりするために、スクリーンリーダー(画面読み上げ)を利用しています。弱視の人は画面表示(サイズやコントラスト等)を調整して利用することもあります。これらの利用に配慮した内容で提供します。 〇 視覚以外の方法でも内容が伝わるよう配慮します。また、色弱の人にも色が見分けられるよう配色に配慮します。 〇 文書をPDF 形式で掲載する際は、スクリーンリーダーでも読めるよう、単なる画   像ではなく適切なテキスト情報を含む形式で用意することが望ましいです。また、ウェブページ(HTML)として掲載可能な情報はウェブページでの掲載を基本とし、PDF 形式のみで掲載することは避けるようにします。 〇 外出機会が少ない人や電話等を使いづらい人にとっては、ウェブサイトが重要な情報源となることに注意し、必要とされる内容を想定した情報提供を行うとともに、古い情報、誤った情報が掲載され続けないようにします。 〇 全ての人がウェブサイトや各種情報機器を利用して情報を入手することができるわけではないことに注意し、他の情報提供手段も併用します。 P25 動画コンテンツを作成するとき 広報番組放送や広報DVD、インターネット経由で提供する動画等を作成する際には、以下の配慮を行います。 〇 視覚障害のある人への配慮として、副音声によるナレーションや音声ガイドを付加することが望ましいです。 〇 聴覚障害のある人への配慮として、手話通訳及び字幕等文字情報の提供を併用します。 〇 動画の中で問合せ先などを示す場合には、視覚(文字や画像)、聴覚(ナレーション)の両方で具体的な内容を提供します。(例えば、視覚障害のあるは、「御覧の電話番号」では伝わりません。) アプリ・ウェブサービス等を作成するとき パソコン、スマートフォン、タブレット向けのアプリケーションを作成したり、ウェブ上でサービスを提供したりする際には、障害のある人の利用も想定することが重要です。 〇 各OSでアクセシビリティガイドラインが制定されているため、遵守します。 〇 例えば、視覚障害のある人がスクリーンリーダーでも利用できるような配慮、 聴覚障害のある人が文字等で音声内容を把握できるようにします。 P26 障害のある人と働く職場での配慮 障害のある人が障害のない人と同様、その能力と適性に応じた雇用の場に就けるようにすることは重要なことです。令和2年4月に改正障害者雇用促進法が施行されました。そのポイントは下記のとおりです。 1. 雇用の分野での障害者差別を禁止 2. 合理的配慮の提供義務 3. 相談体制の整備・苦情処理/紛争解決の援助 4. 障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員選任の義務 これを受け、合理的配慮の提供の分野でも様々な取組が進められています。私た ちも職場で働く一員として、法や厚生労働省・都道府県労働局による指針等を遵守するとともに、特に情報のやりとりに関して職位に応じた以下のような配慮を行うことが求められています。 〇 障害のある人であっても、適切な配慮があれば他の能力を活かしてできることは数多くあることに注意し、仕事の内容や分量、提供する配慮を考えます。 〇 周囲の人が何でも代わりにするのではなく、本人の意思や能力を尊重し、適切な判断や決定が行えるよう、障害特性に配慮した形で情報を提供し、コミュニケーションが行えるようにします。 〇 障害のある人どうしで相談できるようなコミュニケーション環境(例えばピアサポートのような仕組み)を作ることも働きやすい職場づくりに有効です。 〇 障害のある人が働き続けるには、組織のトップや管理職、人事担当者のみでなく、日常的に同じ職場で働く人たちの障害に対する理解が欠かせないことに注意し、同僚等への適切な研修や説明、情報提供を行う必要があります。 〇 職場内で共有する必要がある情報が障害のある人にも伝わるよう、掲示のみ、 口頭のみといった伝達方法にならないよう注意します。内部関係者のみの会議や会合であっても、障害特性に応じた合理的配慮を提供します。 〇 発達障害や精神障害のある人に仕事を頼むときには、作業量に配慮し、用件を一つずつ伝えます。ほかの用件をすでにもっている場合には、優先順位の判断ができるよう配慮します。口頭ではなく、内容を文字や図表などで具体的に示すことで伝わりやすくなることもあります。記憶障害のある人や、複雑な事柄の理解が苦手な人には、メモを渡す、定期的に継続して伝えるなどの配慮も有効です。 〇 精神障害や高次脳機能障害では、疲れやすくなる症状があることを理解します。 ※厚生労働省障害者雇用対策課では、事業主が取り組んでいる事例を収集した「合理的配慮指針事例集」を作成・公開しています。 P27 障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン  〜場面ごとの配慮編〜 第1版 令和2年12月 港区 編集・発行 障害者福祉課 〒105-8511 港区芝公園1-5-25 電話 03-3578-2386 FAX 03-3578-2678