○港区景観条例

平成二十一年三月二十五日

条例第九号

目次

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 景観計画の策定等(第八条―第十一条)

第三章 行為の規制等(第十二条―第十九条)

第四章 景観重要建造物等(第二十条―第二十三条)

第五章 港区景観審議会(第二十四条)

第六章 雑則(第二十五条・第二十六条)

付則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、景観法(平成十六年法律第百十号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定、行為の規制等について必要な事項を定めるとともに、港区(以下「区」という。)、区民等及び事業者の責務を明らかにするほか、届出対象行為に係る事前協議などについて必要な事項を定めることにより、地域特性を生かした良好な景観の形成を推進することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 区民等 区内に住所を有する者及び居住する者並びに区内の土地、建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)又は工作物に関する権利を有する者並びに区内に勤務し、又は在学する者をいう。

 事業者 区内で事業活動を行う者をいう。

(基本理念)

第三条 区、区民等及び事業者は、緑、水辺空間、歴史的・文化的資源及び都市型観光資源などを生かすとともに、地域の個性ある街並みをはぐくみ、区民等が愛着を持ち、訪れる人が魅力を感じる良好な景観の形成に向けて取り組まなければならない。

(区の責務)

第四条 区は、基本理念にのっとり、景観に関する施策を総合的に推進し、良好な景観の形成に努めるものとする。

2 区は、区民等及び事業者との協働により、良好な景観の形成に努めるものとする。

3 区は、公共施設(法第七条第四項の公共施設をいう。)の建設その他の自ら関係する事業を実施する場合には、良好な景観の形成の推進に関し、先導的役割を担うよう努めるものとする。

4 区は、良好な景観の形成に対する区民等及び事業者の意識を高めるため、その啓発に努めるものとする。

(区民等の責務)

第五条 区民等は、基本理念にのっとり、良好な景観の形成に関する理解を深め、自ら良好な景観の形成に努めなければならない。

2 区民等は、区が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、土地の利用等の事業活動に関し、自ら良好な景観の形成に努めなければならない。

2 事業者は、区が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(関係地方公共団体との協議)

第七条 区長は、良好な景観の形成を総合的かつ効果的に推進するために必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長に対し、協議を求めることができる。

2 区長は、関係地方公共団体の長から、良好な景観の形成を推進するために必要な協議を求められたときは、これに応ずるものとする。

3 区長は、前二項に規定する協議をするときは、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴くことができる。

第二章 景観計画の策定等

(景観計画)

第八条 区長は、地域特性を生かした良好な景観の形成を推進するため、法第八条第一項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。

(策定の手続)

第九条 区長は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴かなければならない。

2 前項の規定は、景観計画の変更(区規則で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

(景観形成特別地区)

第十条 区長は、景観計画区域(法第八条第二項第一号の景観計画の区域をいう。以下同じ。)内において、景観形成特別地区を定めることができる。

2 景観形成特別地区は、次に掲げる地域のうち、港区における良好な景観の形成を推進する上で、重点的に取り組む必要がある地区とする。

 水辺及びその周辺地域など観光振興を図る上で特に重要な地域

 歴史的・文化的価値の高い施設及びその周辺地域

 特徴的な街並みを形成する主要な道路及びその周辺地域

 その他区長が定める地域

3 景観形成特別地区における良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項は、景観形成特別地区ごとに定めることができる。

(景観計画の提案団体)

第十一条 法第十一条第二項の条例で定める団体は、港区まちづくり条例(平成十九年港区条例第二十八号)第十三条第一項に規定する地区まちづくりルール認定組織とする。

第三章 行為の規制等

(届出対象行為等)

第十二条 景観計画区域内において、法第十六条第一項各号に掲げる行為をしようとする者は、区規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。

2 法第十六条第一項第四号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

 土石の採取その他の土地の形質の変更

 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成三年法律第四十八号)第二条第四項に規定する再生資源をいう。以下同じ。)その他の物件のたい積

 水面の埋立て又は干拓

3 法第十六条第七項第十一号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

 仮設の建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

 農業、林業又は漁業を営むために行う土地の形質の変更

 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件のたい積で、次に掲げるもの

 農業、林業又は漁業を営むために行うもの

 たい積の期間が三十日を超えて継続しないもの

 他の法令又は条例の規定に基づき、許可若しくは認可を受け、又は届出若しくは協議をして行う行為のうち、良好な景観の形成のための措置が講ぜられるものとして区規則で定めるもの

 法第十六条第一項各号に規定する届出を要する行為(同項第二号に掲げる行為にあっては、区規則で定める工作物に係る行為に限る。)で、区規則で定める規模以下のもの

4 前項第五号の区規則で定める工作物及び区規則で定める規模は、景観計画区域内において定められた地区ごとに定めることができる。

(特定届出対象行為)

第十三条 法第十七条第一項の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

(事前協議)

第十四条 次に掲げる行為を行おうとする者は、あらかじめ、区規則で定めるところにより、区長に協議しなければならない。

 第十二条第一項の規定による届出

 東京都屋外広告物条例(昭和二十四年東京都条例第百号)第八条、第十五条、第十六条、第二十七条第一項又は第三十条第一項の規定による許可を要する行為

2 前項第二号に掲げる行為に係る協議をした者は、当該協議に係る行為の内容を変更しようとするときは、あらかじめ、区規則で定めるところにより、区長に協議しなければならない。ただし、第四項の規定による指導又は助言を受けて、区長が必要と認める範囲内で当該協議に係る行為の内容を変更しようとする場合は、この限りでない。

3 東京都景観条例(平成十八年東京都条例第百三十六号。以下「都条例」という。)第二十条の協議を要する場合については、第一項(同項第一号に掲げる行為に係る協議に限る。)の規定は、適用しない。

4 区長は、第一項又は第二項の規定により協議があったときは、当該協議をした者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。

5 区長は、第一項又は第二項の規定により協議があったときは、区規則で定めるところにより、当該協議に係る景観の形成に関し助言をする者(以下「港区景観アドバイザー」という。)に意見を聴くことができる。

6 港区景観アドバイザーは、十二人以内とし、景観の形成に関し学識経験を有する者のうちから、区長が委嘱する。

(景観計画区域内における指導)

第十五条 区長は、景観計画において法第八条第二項第二号の良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項を定めたときは、当該行為の制限に適合しない行為をしようとする者又はした者に対し、当該行為の制限に適合させるため、必要な措置を講ずるよう指導することができる。

(勧告及び公表)

第十六条 区長は、法第十六条第三項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴かなければならない。

2 区長は、法第十六条第三項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

3 区長は、第十四条第一項(同項第二号に掲げる行為に係る協議に限る。)又は第二項の規定に違反して、協議をせず、又は虚偽の内容により協議をした者について、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴いた上で、その旨を公表することができる。

4 区長は、前二項の規定による公表をしようとするときは、当該公表の対象となる者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。

(変更命令等の手続)

第十七条 区長は、法第十七条第一項又は第五項の規定により必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴かなければならない。

(行為完了又は行為中止の報告)

第十八条 法第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出又は第十四条第一項(同項第二号に掲げる行為に係る協議に限る。)若しくは第二項の規定による協議をした者は、当該届出又は協議に係る行為が完了し、又は行為を中止したときは、区規則で定めるところにより、区長に報告しなければならない。

(届出台帳の作成)

第十九条 区長は、区規則で定めるところにより、法第十六条第一項又は第二項の規定による届出に関する台帳を作成するものとする。

第四章 景観重要建造物等

(指定等の手続)

第二十条 区長は、法第十九条第一項の規定により景観重要建造物を指定しようとする場合、法第二十二条第一項の規定により現状変更の許可をしようとする場合、同条第三項の規定により条件を付そうとする場合、法第二十三条第一項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとする場合、法第二十六条の規定により管理に関する命令又は勧告をしようとする場合及び法第二十七条第一項の規定により指定の解除をしようとする場合(法第十九条第三項の建造物に該当するに至ったときを除く。)は、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴かなければならない。

2 区長は、法第二十八条第一項の規定により景観重要樹木を指定しようとする場合、法第三十一条第一項の規定により現状変更の許可をしようとする場合、同条第二項において準用する法第二十二条第三項の規定により条件を付そうとする場合、法第三十二条第一項において準用する法第二十三条第一項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとする場合、法第三十四条の規定により管理に関する命令又は勧告をしようとする場合及び法第三十五条第一項の規定により指定の解除をしようとする場合(法第二十八条第三項の樹木に該当するに至ったときを除く。)は、あらかじめ、第二十四条の港区景観審議会の意見を聴かなければならない。

(管理の方法の基準)

第二十一条 法第二十五条第二項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。

 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。

 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。

 景観重要建造物の滅失及びき損を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。

 前三号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として区規則で定めるもの

2 法第三十三条第二項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。

 せん定、病害虫の防除その他の景観重要樹木の保全に必要な措置を講ずること。

 景観重要樹木の滅失及び枯死を防ぐため、景観重要樹木を定期的に点検すること。

 前二号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として区規則で定めるもの

(滅失等の届出)

第二十二条 景観重要建造物及び景観重要樹木(以下「景観重要建造物等」という。)の所有者は、当該景観重要建造物等の全部又は一部が滅失し、又はき損(景観重要樹木にあっては、枯死)したときは、区規則で定めるところにより、速やかに区長に届け出なければならない。

(所有者の変更等の届出)

第二十三条 景観重要建造物等の所有者が変更したときは、新たな所有者は、区規則で定めるところにより、遅滞なく区長に届け出なければならない。

2 景観重要建造物等の所有者は、氏名若しくは名称又は住所若しくは所在地を変更したときは、区規則で定めるところにより、速やかに区長に届け出なければならない。

第五章 港区景観審議会

(港区景観審議会)

第二十四条 区長は、良好な景観の形成に関する重要な事項について調査審議させるため、区長の付属機関として、港区景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、区長の諮問に応じ、次の各号に掲げる事項について、区長に意見を述べるものとする。

 第七条第三項第九条第一項第十六条第一項及び第三項第十七条並びに第二十条の規定により定められた事項

 前号に掲げるもののほか、区長が必要と認める事項

3 審議会は、区長が委嘱する委員十一人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、二年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

第六章 雑則

(表彰)

第二十五条 区長は、良好な景観の形成に関して功績のあったものを表彰することができる。

(委任)

第二十六条 この条例の施行について必要な事項は、区規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、区規則で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(平成二一年四月規則第五四号で、同二一年六月一日から施行)

(経過措置)

2 施行日から第八条の区の景観計画の効力が生じる日の前日までの間は、東京都が定めた景観計画(区の区域に係る部分に限る。)を区の景観計画とみなす。

3 施行日前に区と行われている又は終了した景観についての協議は、施行日以後に第十二条第一項の届出をする場合において、第十四条第一項に規定する協議とみなす。

4 施行日前に都条例第十条第一項の規定により都知事になされた届出(区の区域に係るものに限る。)は、第十二条第一項の規定により区長になされた届出とみなす。

(平成二三年一二月一四日条例第三四号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成二九年一二月一四日条例第四〇号)

(施行期日)

1 この条例は、平成三十年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、付則第三項の規定は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の港区景観条例(以下「改正後の条例」という。)第十四条第一項(同項第二号に掲げる行為に係る協議に限る。以下同じ。)及び第二項の規定は、施行日以後に東京都屋外広告物条例(昭和二十四年東京都条例第百号)第八条、第十五条、第十六条、第二十七条第一項又は第三十条第一項の規定による許可(以下「東京都屋外広告物条例に基づく許可」という。)を受ける行為について適用する。

3 施行日以後に東京都屋外広告物条例に基づく許可を受けようとする者は、施行日前においても改正後の条例第十四条第一項及び第二項の規定による協議をすることができる。

4 改正後の条例第十八条の規定(行為を中止した場合における報告に限る。)は、施行日以後に景観法(平成十六年法律第百十号)第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出又は東京都屋外広告物条例に基づく許可を受けるために改正後の条例第十四条第一項若しくは第二項の規定による協議をした者について適用する。

港区景観条例

平成21年3月25日 条例第9号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第6類 街づくり/第3章
沿革情報
平成21年3月25日 条例第9号
平成23年12月14日 条例第34号
平成29年12月14日 条例第40号