○港区防災対策基本条例

平成二十三年十月十四日

条例第二十四号

目次

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 区、区民及び事業者の責務

第一節 区の責務(第四条―第六条)

第二節 区民の責務(第七条)

第三節 事業者の責務(第八条)

第三章 予防対策

第一節 防災街づくりの推進(第九条―第十二条)

第二節 啓発活動及び教育の推進(第十三条・第十四条)

第三節 防災訓練(第十五条)

第四節 防災住民組織(第十六条)

第五節 要配慮者に対する施策(第十七条)

第六節 高層住宅等の震災対策(第十八条)

第七節 業務継続計画(第十九条)

第八節 ボランティアへの支援(第二十条)

第四章 応急対策

第一節 応急体制等の整備(第二十一条―第二十三条)

第二節 避難(第二十四条―第二十六条)

第三節 帰宅困難者対策(第二十七条・第二十八条)

第五章 復興対策(第二十九条・第三十条)

付則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、防災対策について基本理念を定め、港区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、災害の予防対策、応急対策及び復興対策に関する基本的事項を定めることにより、防災対策を総合的かつ計画的に推進し、もって区民等の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 災害 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号。以下「法」という。)第二条第一号に定める災害をいう。

 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、並びに災害の復旧及び復興を図ることをいう。

 区民 区内に住所を有する者及び居住する者をいう。

 事業者 区内で事業活動を行うものをいう。

 区民等 区民及び区内に勤務し、在学し、若しくは滞在し、又は区内を通過する者をいう。

 防災住民組織 町会、自治会等を単位として自主的に結成された防災組織をいう。

 防災関係機関 警視庁、東京消防庁その他の防災対策を実施する東京都の関係機関及び法第二条第三号から第六号までに規定する機関をいう。

(基本理念)

第三条 防災対策は、自らのことは自らが守るという自助の考え方、地域において互いに助け合うという共助の考え方及び行政が区民等の安全を確保するという公助の考え方に基づき、区、区民及び事業者がそれぞれの責務と役割を果たし、相互に連携を図りながら協力することを基本理念として行われなければならない。

第二章 区、区民及び事業者の責務

第一節 区の責務

(区長の基本的責務)

第四条 区長は、区民等の生命、身体及び財産を災害から保護し、その安全を確保するため、必要な施策を実施し、及び防災体制を整備しなければならない。

2 区長は、防災対策を行うに当たり、国、東京都(以下「都」という。)及び他の区市町村との連絡調整を行うとともに、区民、事業者、防災住民組織、防災関係機関、ボランティア等との連携及び協力に平常時から努めなければならない。

(地域防災計画の実施)

第五条 区長は、法第四十二条第一項の規定により作成された港区地域防災計画(以下「地域防災計画」という。)に基づき、防災対策を的確かつ円滑に実施するものとする。

(区の職員の責務)

第六条 区の職員は、区民等の安全を確保するため、防災に関する知識及び技術の習得に努めなければならない。

第二節 区民の責務

(区民の責務)

第七条 区民は、自己及び家族の安全の確保に努めるとともに、相互に協力し、地域の住民の安全の確保に努めなければならない。

2 区民は、次に掲げる事項その他必要な事項について、自ら災害に備える手段を講ずるよう努めなければならない。

 建築物その他の工作物の安全性の向上

 家具の転倒の防止

 出火の防止

 初期消火に必要な用具の準備

 飲料水、食料等生活必需品の備蓄

 避難の経路、場所及び方法についての確認

 防災に関する知識及び技術の習得

3 区民は、区、防災関係機関等が実施する防災対策事業に協力するよう努めるとともに、地域における自主的な防災対策活動に参加するよう努めなければならない。

第三節 事業者の責務

(事業者の責務)

第八条 事業者は、その社会的責任に基づき、その管理する施設及び設備の安全性の確保に努めるとともに、従業員、事業所に来所する者及び事業所の周辺地域における住民の安全の確保に努めなければならない。

2 事業者は、防災住民組織等との連携を図りつつ、地域における自主的な防災対策活動に協力するとともに、区、防災関係機関等が実施する防災対策事業に協力するよう努めなければならない。

3 事業者は、災害時において、従業員の一斉帰宅の抑制に努めるとともに、帰宅困難者(事業所、学校等に通勤し、通学し、又は買物その他の理由により来店し、若しくは来所する者等で徒歩により容易に帰宅することが困難なものをいう。以下同じ。)対策のため、飲料水、食料その他災害時において必要となる物資を備蓄するよう努めなければならない。

第三章 予防対策

第一節 防災街づくりの推進

(災害に強い街づくりの推進)

第九条 区長は、道路、公園等の都市基盤の整備、市街地の再整備、土地利用の誘導等の施策を通じて、災害に強い街づくりを総合的に推進するものとする。

2 区長は、災害に強い街づくりを総合的に推進するため、防災街づくり整備指針を策定するものとする。

3 区長は、前項の指針の策定に当たっては、地域防災計画との整合性に配慮しなければならない。

(公共施設の安全性の確保)

第十条 区長は、その管理する建築物その他の公共施設の耐震性及び耐火性を強化し、その安全性を確保するものとする。

(民間建築物等の安全性の向上)

第十一条 区長は、区内に存する民間建築物等(公共施設を除く建築物その他の工作物をいう。以下同じ。)の耐震性及び耐火性の確保並びに落下物の防止のため、調査又は適切な助言若しくは指導に努めなければならない。

2 区長は、前項の目的を達成するため、民間建築物等の所有者等に対し必要な助成を行うことができる。

(風水害対策)

第十二条 区長は、台風、集中豪雨等による浸水等の被害を未然に防止し、又は被害を最小限にとどめるため、水防に関する体制を確立し、その対策に努めなければならない。

第二節 啓発活動及び教育の推進

(防災に関する知識の普及及び情報の提供等)

第十三条 区長は、防災に関する知識の普及及び情報の提供を積極的に推進し、区民等の防災に関する知識及び意識の向上に努めなければならない。

(防災教育の推進)

第十四条 区長は、教育委員会が実施する学校教育及び社会教育を通じて防災教育の充実に努めるとともに、防災住民組織、消防団等が実施する防災教育に対し必要な支援を行うよう努めなければならない。

第三節 防災訓練

(防災訓練の実施)

第十五条 区長は、防災住民組織、防災関係機関等との連携を図り、防災訓練を積極的に行わなければならない。

2 防災住民組織は、災害の発生に備え、防災訓練を実施するよう努めなければならない。

3 区長は、前二項の防災訓練が円滑に実施できるよう、必要な措置を講じ、及び支援を行うよう努めなければならない。

第四節 防災住民組織

(防災住民組織の育成)

第十六条 区長は、防災住民組織の育成のため、資器材の供与等、研修の実施、防災に関する意識の啓発その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。

2 区長は、防災住民組織の活動の促進を図るため、地域の防災リーダー(防災住民組織の活動において中心的な役割を担う者をいう。)の育成に努めなければならない。

3 区長は、防災住民組織、消防団その他災害時に支援活動を行う団体が、相互に連携を図り、補完し合うことにより、区内で被災した区民等に対して必要な活動を一体的かつ効果的に行うことができるネットワークづくりの促進に努めなければならない。

第五節 要配慮者に対する施策

(要配慮者に対する施策)

第十七条 区長は、高齢者、障害者等で災害時において特に配慮を要するもの(以下「要配慮者」という。)に対する施策を推進するよう努めなければならない。

2 区長は、要配慮者に対する施策を推進するに当たり、必要があると認めるときは、警察署、消防署、町会、自治会、民生委員等に協力を求めることができる。

第六節 高層住宅等の震災対策

(高層住宅等の震災対策)

第十八条 高層住宅等の居住者等は、震災時におけるエレベーターの停止等に備え、協力して防災に関する計画を策定するよう努めるとともに、救出、避難等に必要な用具について協力して備蓄するよう努めなければならない。

2 高層住宅等の建築主等は、前項の規定による備蓄を行うため、必要な場所を建物内に確保するよう努めなければならない。

3 区長は、高層住宅等の震災対策を推進するため、必要な支援を行うよう努めなければならない。

第七節 業務継続計画

(業務継続計画)

第十九条 区長は、災害発生後における区民の生活の安定を図るため、区における業務継続計画(災害時に優先されるべき業務の継続及び通常業務の早期復旧を図るために必要な手段、体制等を事前に定めておく計画をいう。以下同じ。)を策定するとともに、必要に応じてその検証を行うものとする。

2 事業者は、その事業の継続が地域社会の復旧及び復興に寄与することを自覚し、業務継続計画を策定するよう努めるとともに、必要に応じてその検証に努めるものとする。

第八節 ボランティアへの支援

(ボランティアへの支援)

第二十条 区長は、災害時において、ボランティアが区内で被災した区民等に対する支援活動を円滑に行うことができるように、活動拠点の提供その他必要な支援を行うよう努めるものとする。

2 区長は、都、公共的団体等との連携を図りつつ、協力してボランティアの育成に努めるものとする。

第四章 応急対策

第一節 応急体制等の整備

(応急体制の整備)

第二十一条 区長は、災害時における避難活動及び救援活動を円滑に行うため、次に掲げる事項その他必要な事項について、あらかじめ、国、都、防災住民組織、防災関係機関、事業者等との連携を図り、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 救出用及び救助用の機器等の整備に関すること。

 飲料水、食料その他避難生活に必要な物資の備蓄等に関すること。

 緊急輸送に関すること。

 避難所に関すること。

 道路上の障害物の除去に関すること。

 医療救護に関すること。

(情報連絡体制の整備)

第二十二条 区長は、災害の発生に備え、あらかじめ、災害に関する情報の収集及び連絡の体制を整備し、並びに災害時に的確な情報を区民等及び事業者に対し周知する方法を確立しなければならない。

2 区長は、災害時に地域の被災状況を速やかに把握するため、区民等及び事業者に対し災害に関する情報の提供等必要な協力を求めることができる。

(他の地方公共団体等との協定の締結等)

第二十三条 区長は、他の地方公共団体、公共的団体又は事業者に対し災害時に迅速かつ的確に協力を要請するため必要があると認めるときは、あらかじめ当該他の地方公共団体、公共的団体又は事業者と協定を締結するものとする。

2 区長は、大規模な災害が発生した場合には、前項の協定を締結していない公共的団体及び事業者に対し、応急対策等に関する支援を要請することができる。

第二節 避難

(避難所の設置等)

第二十四条 区長は、災害時における地域の活動拠点として、必要があると認めるときは、港区立小学校及び中学校その他の区有施設等に避難所を開設しなければならない。

2 区長は、前項の避難所を災害時における地域の活動拠点として活用するため、平常時から物資の備蓄、機器の整備等に努めなければならない。

3 区長は、避難所の運営に関し、あらかじめ、避難所となる施設の責任者及び関係者、町会、自治会、防災住民組織、防災関係機関、事業者等との連携を図り、災害時の避難所の運営に係る協力体制を整備するよう努めなければならない。

(代替施設の確保)

第二十五条 区長は、災害の規模その他の状況により、前条第一項の避難所の使用が困難な場合に備え、事業者等との連携を図りながら協力を得て、避難所の機能を一時的に代替する施設を確保するよう努めなければならない。

(避難誘導方法の確立等)

第二十六条 区長は、あらかじめ、防災関係機関との連携を図り、災害時に区民が避難所及び広域的な避難場所に安全に避難するために必要な避難路の確保に努めるとともに、避難誘導の方法を確立し、区民、防災住民組織等に周知しなければならない。

第三節 帰宅困難者対策

(帰宅困難者の事前準備等)

第二十七条 帰宅困難者となるおそれのある者は、災害時において安全に帰宅することができるよう、あらかじめ家族との連絡手段の確保、徒歩による帰宅経路の確認その他の必要な準備を行うよう努めるものとする。

2 帰宅困難者は、災害時に自己の安全の確保に努めるとともに、地域における救援活動を行うよう努めるものとする。

(帰宅困難者対策の実施)

第二十八条 区長は、災害時における帰宅困難者の帰宅に係る混乱を防止するため、あらかじめ、他の地方公共団体及び防災関係機関との連携を図り、必要な措置を講ずるとともに、帰宅困難者対策を推進するための団体の結成及びその活動に対して、必要な支援を行うものとする。

2 区長は、災害時に他の地方公共団体、防災関係機関、事業者、前項の帰宅困難者対策を推進するための団体等との連携を図り、帰宅困難者に対して適切な情報提供等を行うよう努めなければならない。

3 区長は、帰宅困難者対策のため、国、都、防災関係機関、事業者、学校等に対し一時受入れ場所の確保、飲料水、食料その他災害時において必要となる物資及び避難誘導用具の備蓄並びに情報連絡体制及び避難誘導体制の確立を求めることができる。

4 区長は、必要があると認めるときは、前項の規定により帰宅困難者対策を実施する事業者、学校等に対し必要な支援を行うことができる。

第五章 復興対策

(復興対策)

第二十九条 区長は、災害により区内に重大な被害が発生したときは、国、都、防災関係機関等との連携を図り、速やかに被災した地域の復興に努めなければならない。

2 区民、事業者等は、災害により区内に重大な被害が発生したときは、相互に協力し、被災した地域の復興に努めなければならない。

(復興体制の確立)

第三十条 区長は、震災により区内に重大な被害を受けた場合において、区民生活の再建及び安定並びに被災した地域の復興に関する事業を迅速かつ計画的に実施するため必要があると認めるときは、港区震災復興本部(以下「本部」という。)を設置する。

2 本部に関し必要な事項については、別に条例で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(平成二七年六月三〇日条例第三二号)

この条例は、公布の日から施行する。

港区防災対策基本条例

平成23年10月14日 条例第24号

(平成27年6月30日施行)

体系情報
第5類 防災・生活安全/第1章
沿革情報
平成23年10月14日 条例第24号
平成27年6月30日 条例第32号