老年期の心理―生涯発達心理学の立場から―
6月2日(水曜)1時限:野村信威
本講義では老年期の心理や発達課題について、人間の誕生から死までの生涯を通して生じる量的・質的変化である生涯発達という立場から紹介した。エリクソンの心理社会的発達モデルでは、老年期の課題は自我の統合対絶望というふたつの感覚から生まれる葛藤を解決することだとされている。
また,サクセスフル・エイジングや老化の遺伝的要因、高齢者にとっての幸せとは何か、成熟したパーソナリティなどのトピックについて紹介した。さらに代表的な知能検査であるウェクスラー成人知能検査の具体的な検査内容を紹介し、従来は人の知能のピークは20-30歳と考えられていたのに対して、近年の研究では一部の知能は60歳前後まで上昇し、その後の知能の低下も緩やかなことを報告した。