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更新日:2021年1月12日

【寄稿文】「豊かな消費」が食の未来をつくる

 

 食品ロスとは、食べ残しや売れ残り、賞味期限が近いなどの様々な理由で、食べられるのに廃棄されてしまう食品のことを言います。

 フードロスに特化したシェアリングサービス「TABETE」の事業化など、食品ロス削減の最前線で活躍している株式会社コークッキング代表取締役CEO 川越一磨氏に「食品ロス」をテーマにご寄稿いただきました。

 毎日の食事に新たな視点を取り入れて、私たちも食品ロス削減に取り組みましょう。

 

 2020年、世界はwithコロナ時代へと突入した。家で食事をする機会が多くなり、中食・内食の市場規模が急成長している。なかでも店自体や店主にファンがついている外食店は、変化の多いこの時期をたくましく生き延びているようだ。「このお店のご飯を食べたい」「この店主さんから買いたい」という気持ちで贔屓の店を利用するお客は、営業時間の短縮やテイクアウトへの変更に理解を示し、むしろ以前よりも積極的にその店で消費をしている様子すらある。
 一方、チェーンの飲食店に目を向けると、来客数の減少や、それに伴う仕入れ量の大幅な変更に見舞われ、中長期的に苦戦しているように見受けられる。ライフスタイルが変わった途端に客が離れていく構造は、食の流通過程で非効率を排斥したことの弊害のひとつなのではないだろうか。大量生産・大量消費・高品質な商品の流通が可能になったのは間違いないが、資本主義の成長とともにある経済性の追求により、生産と消費の分断化が進んだのも事実だ。食品ロスとライフスタイル・消費スタイルの話が切っても切り離せない関係にあることが、いま、浮き彫りになっている。

3R 最初の2つが肝心

 日本では年間612万トンの食品ロスが発生しており、その内訳は事業系のロスが328万トン(54%)、家庭から出るロスが284万トン(46%)。食のサプライチェーンは上流から下流まで非常に長く、その全ての段階で食品ロスが発生しているのが現状だ。もちろん、以前から様々な対応が取られている。

 食品リサイクル法が制定された2000年以降、リサイクルに注目した動き(余剰食品の飼料化・肥料化・線維化・バイオマス化など)が多かったが、2015年以降は3Rの最初の2つに対応する策も見られるようになってきた。たとえば、一次産業では「アグリテック」と言われる領域が急成長している。完全受注生産(事前購入)の技術、水耕栽培の技術、植物工場のスペック向上など、テクノロジーを駆使して生産性を向上させ、規格外野菜や圃場廃棄野菜を最小限に抑える試みだ。そのほかの具体例はここでは割愛するが、これ以外にも「リデュース」「リユース」の改善に焦点を当てる事業者が増加している。

 こうした取り組みは持続可能な経済活動に向けた施策と重なる部分も多く、経済性の確保と環境負荷の低減を両立させてサステナブルな社会の実現に向けた動きが加速していることがうかがえる。《経済活動として利益の最大化を図りチャンスロスを防ぐ部分》と、《発生抑制で作り過ぎない部分》をいかに両立させていくか、という話に少しずつ移行していくものと考えられる。

生活者側は変わり始めている

 利益の最大化とロスの抑制を両立するためには、生活者側の意識変革も不可欠だ。そしてこの変革は、すでに始まっている。生活者の消費スタイルは「応援消費」「ストーリー消費」の方向に移行しているのだ。
 「コロナの影響で余ってしまった食べ物を買ってください!」という呼びかけに応える消費者の姿を想像してもらうと分かりやすいだろう。人々は、困っている人を助ける気持ちを込めてお金を払っている。困っている背景に共感して購入し、そうして手に入れた品物の質に満足すれば、また同じところで買い物をする。これを繰り返すなかでじわじわと意識変革が進み、生活者の心の中で「豊かな消費の仕方」が醸成されていっているのではないか? と私は考えている。

「食」にまつわる消費を意識すれば、豊かな食の未来が見えてくる

 大量生産・大量消費の仕組みは、私たちの生活を便利にする一方で、価格的な優劣だけを見てお金を使うひとを増やした。世界的な危機を乗り越えつつあるいま、私たちは「自分の消費スタイルを自分でつくる時代」へと向かっている。

 中でも無視できないのが、「食」にまつわる消費だ。たいていのひとは毎日、数回ずつ食事をとっていて、そのたびにお金や時間、労力がかかっている。生きるために欠かせない「食」にまつわる消費に関しては特に、個々人が納得感を持ってお金を払う必要があるのではないだろうか。

 目の前にある食べ物について正しく知り、自分の口に入るまでのストーリーに納得感を持って購入することで、「食」にまつわる消費への満足度はより高いものとなる。そうなれば、食べ物を買いすぎたり注文しすぎたりすることが減り、ストーリーの濃い「食」を提供する事業者だけが生き残っていく可能性すらある。一人ひとりが自分の消費スタイルをつくるようになれば、豊かな消費の仕方で食べ物を手に入れる人が増え、食品ロス削減もおのずと達成されるはずだ。

 モノも情報も溢れる世の中で、そのモノが手元に届くまでのプロセスを推し量り、そのストーリーに納得したうえでカネを使う。こういった豊かな消費の仕方が当たり前になれば、私たちのライフスタイルはより健康的で持続可能なものになっていくだろう。食にまつわる事業を行う一人として、そして一人の生活者として、これから本質的に新しい生活様式をつくり、豊かな食の未来をみなさんと共に実現したいと思う。 

 

寄稿者 株式会社コークッキング代表取締役CEO 川越一磨氏

 1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部在学中に料理人を志し、和食料理店で調理業務などに携わる。大学卒業後はサッポロライオンに入社、飲食店店舗運営の経験を積む。大学時代に山梨県富士吉田市でまちづくりの研究をしていた縁で、2015年に同市にてコミュニティカフェや子ども食堂の立ち上げ・運営などを行う。同年12月に株式会社コークッキングを創業し、2017年からフードシェアリングサービス「TABETE(タベテ)」を展開している。

 川越一磨氏

 

3R推進行動会議(公式Twitter)(外部サイトへリンク)にも掲載しています。

 

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