表紙 障害のある人とのコミュニケーションハンドブック 障害のある人に手助けの申し出をするときなど、どのように声をかけるか迷ったことがありませんか? この冊子では、障害の特性ごとに配慮や声をかけるときのポイントを紹介しています。 この冊子を参考にして、思いやりの心をもって、積極的に声をかけてみましょう。 港区 P1 基本的な配慮のポイント 障害の特性により、周囲の人の手助けや配慮を必要としている人がいます。 次で紹介しているポイントは、様々な場面で活用できます。 困りごとに直面している人がいたら、できることから実践していきましょう。 話しかけるときのポイント 困っていても自分から話しかけることができない人、周りの状況が判断できずうろうろしている人、困っていることを説明できずもじもじしたりしている人がいたら、次のポイントを押さえつつ、積極的に話しかけましょう。 ポイント1 笑顔でゆっくり、やさしい口調で 「何かお手伝いすることはありますか?」と声をかけます。 ポイント2 不快になるような言葉は使わないようにします。 不快に感じられる言葉や子ども扱いした言葉は使わないようにし、年齢に合わせた対応をします。 ポイント3 声をかけたら、相手の様子をみます。 様子をみて、その人の状況に応じて対応します。声かけを断ることもあります。その場合は声かけをやめます。 P2 話を聞くときのポイント ポイント1 安心して話ができるような雰囲気や環境をつくり、相手の様子に合わせて、話を最後まで聞きます。 ポイント2 必要に応じて、「はい」か「いいえ」で答えられる質問をして、相手の言いたいことを確認します。 ポイント3 返答に困っていたら、補助手段を使ってみましょう。 コミュニケーションボード、筆談、音声文字変換アプリなどを活用するとやり取りができる人もいます。 ※コミュニケーションボードについての説明は10ページをご覧ください。 話すときや説明をするときのポイント ポイント1 ゆっくり、わかりやすい言葉を使い、できるだけ短く話します。 ポイント2 言葉以外にも、補助手段、絵や写真、図などを用いるなど、工夫します。また、大事なことはメモを書いて渡します。 ポイント3 本人を尊重して話をします。 また、介助者がいる場合でも、本人の意思を尊重しながら話します。 P3 視覚障害のある人 配慮や声をかけるときのポイント ポイント1 まったく見えない人や見えづらい人など、障害の程度によって、音声や点字などの聴覚や触覚により情報を得ています。 また、拡大文字や専用機器など視覚から情報を得ている人もいるため、その人に合った方法でコミュニケーションを取ります。 ポイント2 どのように声をかけるか迷ったときは、次のように声をかけてみます。 相手の正面に立ち、「何かお手伝いすることはありますか?私は○○と申します」 NGポイント 危険を知らせる場合を除き、いきなり声をかけたり、触れたりするとびっくりします。 P4 ポイント3 「あっち」や「それ」などの言葉を避け、「3歩前に段差があります」などといった具体的な言葉を使います。 また、「4時の方向にお茶があります」といったクロックポジション(どこに何があるのかを、時計の短針にたとえて知らせる手段)を使うようにします。 そのほかのポイント ・自分に話しかけられているか、わからないことがあります。声をかけたあと、返事がなくても、無視をされたと思わずもう1回声をかけます。 ・名前を名乗ると安心します。 ・急に体や杖に触れると、不安や危険をあたえます。触れる際は緊急じを除き、事前に同意を得ます。 ・盲導犬がいる場合、犬の集中力が切れてしまうため、盲導犬に話しかけないようにします。 ただし、困っている本人に声をかけることはいいことのため、積極的に声をかけます。 コミュニケーション手段の例 拡大文字 弱視の人が読めるよう、大きなサイズの文字で印刷します。 行間、書体、字の太さなどにも配慮が必要です。 音声コード 小さな白黒の点の組合せで構成される二次元コードで、数百文字の情報を収録できます。スマートフォンなどを利用して、収録内容を音声で読み上げさせることができます。 スクリーンリーダー 画面の表示内容や操作内容を音声で読み上げるソフトウェアのことです。 代読、代筆 視覚障害のある人に代わって読み上げること、書くことです。 P5 聴覚障害のある人 配慮や声をかけるときのポイント ポイント1 まったく聞こえない人、聞こえづらい人など聞こえかたは、一人ひとり違います。 また、外見からは分かりにくいため、声をかけたのに返事がなく、無視をしていると誤解され、困ることがあります。 ポイント2 どのように声をかけるか迷ったときは、次のように声をかけてみます。 相手と目を合わせ、「こんにちは」などと、あいさつをします。その後、どのような方法でコミュニケーションを取るか確認します。 ポイント3 常に顔や口元が見えるようにして、少しゆっくり話します。 表情や口元の形は、言葉を聞き取ったり、推測したりするために重要です。現在、新しい生活様式が定着し、マスクをしていると、口元が隠れてしまうため、手話通訳者は、フェイスシールドを活用しています。マスクをしている場合は、筆談、透明マスク、音声文字変換アプリを活用すると伝えることができます。 P6 そのほかのポイント ・口の形を意識して、はっきり動かして話します。 ・極端にゆっくり話すと、かえって分かりにくくなります。 ・話すときは、いちおんずつ区切らずに、文節ごとに区切ります。 ・複数の人がいる所で話す場合は、誰が話すかを明確にして、名前を名乗ってから話します。 ・補聴器をつけている人に対しては、周囲の雑音が少なくなるよう注意します。 ・手話通訳者がいる場合でも、通訳者に話すのではなく、本人に話しかけます。 コミュニケーション手段の例 手話 手や指、体の動き、顔の表情を組合せて視覚的に表現される独自の文法体系をもつ言語です。 要約筆記 音声で聞き取った話を要約し、紙やパソコンで文字に書き表して伝える方法です。 筆談 紙と筆記具や筆談具、タブレット端末などを利用して、互いに文字を書きます。 読話、こうわ 読話は、話し手の唇の動きや表情から状況を推測して話の内容を読み取る方法です。読話と、訓練により音声で話せるようになる発語を用いてコミュニケーションを行う方法をこうわといいます。 音声の文字化 音声認識技術を使って、会話をリアルタイムで文字化(テキスト化)することです。 くうしょ 空中に文字を書き、伝える方法です。 P7 肢体不自由のある人 配慮や声をかけるときのポイント ・車いすを使用している人には、少しかがんで同じ目線で話しましょう。 ・このような場面では、声をかけてからお手伝いをお願いします。  上にある物を取りましょうか? 切符を買いましょうか?  車いすを押しましょうか? ・会話、読み書き、移動などに他の人より時間をようすることがあるため、時間や心に余裕をもって対応するよう心がけます。 ・肢体不自由のある人の中には、発声が苦手だったり、失語症などにより、コミュニケーションを取ることが苦手な人もいます。 P8 発達障害のある人 配慮や声をかけるときのポイント ポイント1 笑顔で対応し、周りの環境に配慮をします。 不安の強い人、周囲の視線や音に過敏な人がいるため、相手に合わせて、静かな個室に案内するなど配慮します。 ポイント2 パニックになって、大声を出している人がいる場合は、安心させるためにやさしく「大丈夫ですよ」と声をかけます。そして、道路や駅のホームなど危険な場所にいる場合は、危険な理由を説明し、安全な場所に移動するよう誘導します。 そのほかのポイント ・こだわりが強い人には、こだわりを受け止めたうえで対応します。 ・抽象的な表現や否定的な言葉は使わずに、具体的に「何をしたらよいのか」を話します。 ・実物、絵や図を使用して、視覚的に説明します。 P9 知的障害のある人 配慮や声をかけるときのポイント ポイント1 漢字の読み書きや、買物のおつりのやりとりのような計算が苦手な人もいます。そのようなときは、せかさず必要な代金やおつりをわかりやすく伝えます。 ポイント2 実物、絵や図を使いながら、ゆっくり、やさしい口調で話します。 ポイント3 声をかけるときは、「どうしましたか?」と声をかけるよりも「東京タワーに行きたいのですか?」などと何をしたいのかを具体的に聞きます。 P10 ポイント4 同じ質問を繰り返したりすることがあるため、繰り返し丁寧に答えます。 そのほかのポイント ・発達障害のある人と同じように、音に敏感な人、パニックを起こす人もいます。その場合は、発達障害のある人への配慮に準じます。 コミュニケーション手段の例 コミュニケーションボード 絵や記号、簡単な図を使って説明や意思表示などのやりとりができるようにしたものです。 裏表紙 問合せ 港区保健福祉支援部障害者福祉課 電話:03-3578-2386、FAX:03-3578-2678 この冊子は、港区障害者差別解消推進支援地域協議会のご意見をいただきながら作成しました。 刊行物発行番号 2020111-3741