表紙 障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン 〜障害の特性に応じた配慮編〜 令和2年3月 港区 P1 目次 ■はじめに 2ページ ガイドライン策定の意義 2ページ 障害のある人とは 3ページ 障害のある人への意思疎通支援 3ページ ガイドラインの役割と活用 4ページ ■第1章 障害の特性に応じた配慮の基本 5ページ 視覚障害のある人 6ページ 聴覚障害のある人 8ページ 盲ろう者 10ページ 音声機能障害、失語症、吃音などのある人 12ページ 肢体不自由の状態にある人 14ページ 内部障害のある人・難病患者等 15ページ 知的障害のある人 17ページ 発達障害のある人 18ページ 重症心身障害の状態にある人 20ページ 精神障害のある人 21ページ 高次脳機能障害のある人 23ページ 色弱の人 24ページ 重複障害(複数の障害を併せ有する人) 25ページ P2 ■はじめに ●ガイドライン策定の意義 障害者が心豊かに社会生活を営むために、自らの意思を明確に伝え、日常生活を送ることは重要なことです。そうしたことから区では、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、区民のみなさまに分かりやすく啓発するためマンガや障害者差別解消事例集を作成し、心のバリアフリーを推進してきました。 また、聴覚障害者への代理電話サービスやICTを活用した遠隔手話通訳サービス、手話通訳者の窓口配置、視覚障害者への声の広報やデイジー図書の普及など、意思疎通のための手段の確保に向けた取組を積極的に推進しています。 しかし、障害には様々な特性があり、また、意思疎通のための手段や配慮も個々の状況によって異なることから、障害特性に応じた多様な意思疎通の手段や、障害特性に対する理解が、区民や事業者の間に十分には浸透していないことが、障害者にとっての不便や不安を感じる障壁となっています。 その障壁を取り除くためには、障害者が個々の状況にあった情報の取得や意思疎通のための手段を選択できる環境を整備する必要があります。 令和元年10月、「港区手話言語の理解の促進及び障害者の多様な意思疎通手段の利用の促進に関する条例」を制定しました。 この取組の一環として、港区職員などが障害のある人と情報のやりとりをする際にどのような配慮を行うべきか示すため、「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を策定します。 全ての人々に対し、身体障害、知的障害、精神障害その他の障害の特性に応じた多様な意思疎通手段の利用を促進することにより、障害者が住み慣れた地域で、自分らしくいきいきと安心して暮らすことができる地域共生社会を実現します。 P3 ●障害のある人とは 障害者基本法では、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことを障害者と定義しています。この定義は社会モデルと呼ばれる考え方に基づくもので、障害のある人が直面する困難の中には、障害そのものではなく社会の仕組みに起因するものが多くあります。このような困難さ、不便さは、周囲の適切な配慮で取り除くことが必要です。 ●障害のある人への意思疎通支援 情報通信技術が進展したことで、大勢の人がより簡単に情報を入手し、また発信できるようになりました。しかし、障害に対する配慮がないと、障害のある人とない人との間で得られる情報の格差はさらに広がり、情報のやりとりが十分に行えず、意思疎通に支障が生じている状況です。 必要な情報を適切な形で入手することができ、意思表明できる手段があることは、自らで判断し決定するために、誰にとっても必要不可欠なことです。 障害があるからと決めつけてコミュニケーションを断つことは、障害のある人に対する不利益取扱いになり得ます。 障害者福祉課の相談窓口においても、障害のある人に対する情報提供の配慮が欠けているという相談が寄せられています。 令和元年12月1日に施行された「港区手話言語の理解の促進及び障害者の多様な意思疎通手段の利用の促進に関する条例」(以下「手話及び意思疎通条例」といいます。)においては、「障害者の多様な意思疎通手段の利用の促進」を掲げ、課題の解決に継続的に取り組んでいくことを決定しています。 P4 ●ガイドラインの役割と活用 障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会を築くには、情報のやりとりを行う際に、障害の有無や内容にかかわらず、実質的に同等の情報が保障されることが求められます。ここでは、この考え方を情報保障としています。情報保障のためには、障害のある人の特性に応じた配慮が必要です。 障害者差別解消法では、障害のある人から求めがあった場合に限って合理的な配慮の提供が義務づけられていますが、どのような配慮ができるかあらかじめ示し、配慮を求めやすいようにすること、また、求めがなくても配慮を行うことが重要です。 港区では、障害のある人に対する情報保障のため、このガイドラインを活用・実践していきます。まず、区職員を対象に継続的な周知・研修等を行い、必要な配慮が実現されるよう取り組んでいきます。 また、障害者差別解消支援地域協議会やイベントなどの機会を通じて広く民間企業や団体にも周知し、必要な配慮が行われるよう呼び掛けていきます。 また、このガイドラインの内容がすべての人にあてはまるものではなく、継続的に見直し、更新していきます。 P5 ■第1章 障害の特性に応じた配慮の基本 この章では、障害の特性について記述し、それぞれに求められる基本的な配慮についてまとめています。 障害の特性を理解し、ひとりひとりの少しの気配りや気遣いが、障害のある人の直面している困りごとを解決する大きな力になります。まずは、できることから実践していきましょう。 配慮する際のポイント ・情報保障は、障害のある人の立場に立って考え、情報発信者側が行うことが原則であり、情報を受け取る側に責任を押し付けてはなりません。 ・情報の重要性を認識し、障害の有無にかかわらず、実質的に同等の情報のやりとりが速やかに行えるよう心がけます。 ・必要な配慮や手段はその人ごとに異なることに留意し、意向を確認して柔軟に対応するよう心がけます。なお、情報発信者側が十分な配慮を行えない場合は、理由を丁寧に説明する必要があります。 ・障害のある人の人格を尊重し、プライバシーには、最大限配慮します。 ・これまでの慣例、習慣を優先せず、個別の事情に応じて配慮を行うことが前提です。意見が何人集まったかを基準にしてはなりません。一人でも配慮の要望があった場合には検討します。 ・情報をやりとりする際、単一の方法では特定の障害のある人が情報を利用できないことがあるため、可能な限り複数の方法を用意するよう心がけます。特に、生命・身体や福祉サービスに関する情報、権利の取得又は喪失に関する情報などは、あらかじめ複数の方法を用意するように努めます。 ・在宅で生活している人には家族や身近な支援者の支援や配慮も欠かせません。制度やサービスを広報・周知する際には、家族・支援者・団体等、本人以外にも必要な情報が伝わるよう配慮します。 ・本人の意思で物事を決めること(自己決定)を意識します。分からない、伝わらないと決めつけず、本人に適切な方法で伝わるよう心がけます。 P6 視覚障害のある人  視覚障害は、何らかの原因により、視力、視野など、「見る」機能についての障害です。全く見えない場合と見えづらい場合があり、人によって見え方は様々です。 ・全盲(全く見えない) ・細部がよくわからない、ぼやける ・視野障害(見える範囲が狭い)……周囲が見えず移動に障害があるが手元の文字は見える、文字は見えないが移動は可能である、など ・光覚障害……暗いところで極端に視力が低下する。あるいは、明るさに過敏になり、光がまぶしく感じる。 視覚から情報を得られず他の感覚を活用する人もいれば、適切な配慮や器具によって視覚の一部を活用できる人もいます。 生まれながらに障害のある場合もあれば、最近では、視覚を活用して生活していた人が糖尿病性網膜症などで視力を失う場合があり、活用できる能力・手段と必要とされる配慮は、その人の生い立ちや環境によっても異なります。 主な特性と配慮のポイント ○全盲の人は、音声や点字など、主に聴覚や触覚により情報を得ているため、その人に応じた方法で情報を提供します。 ○弱視(ロービジョン)の人は、音声などのほか、拡大文字や専用機器などを利用して視覚からも情報を得ているため、その人に応じた方法で情報を提供します。 ○点字は重要な情報伝達手段ですが、中途失明者を中心に、点字の読み書きができない人も多くいるため、音声や電子データなど、点字以外でも情報を提供します。 ○他の人による代読・代筆を利用することもあるため、必要としている範囲で提供します。なお、自署のみはできる人もいます。 ○白杖や盲導犬を利用して、単独で移動できる人もいますが、そのような人でも不慣れな場所では移動の際に案内や誘導を必要としています。 ○パソコンやスマートフォンの音声読み上げ機能を利用して情報を入手したり、入力した文章を送信したりできます。最近では視覚障害のある人にとっての重要な情報のやりとりの手段になってきているため、その人の状況に応じて活用します。 〇ホームページなどでの情報提供の際には、PDFでは音声読み取りできないことがあるので、テキスト版を作成するなど多様な提供方法を用意します。 ≪意思疎通手段≫ 点字  指先で触れて読む文字で、6つの点の組み合わせで表現されています。  縦3個、横2個の6箇所の点が一つの単位(マス)で、凸状の点の有無の組み合わせで五十音や数字、アルファベット、記号を表しています。 P7  点訳を請け負う団体・事業者があるほか、点訳ソフトと点字プリンタを備えたパソコンで点字文書を作成することもできます。 拡大文字  弱視の人が読めるよう、大きなサイズの文字で印刷します。行間、書体、字の太さなどにも配慮が必要です。 音声コード 小さな白黒の点の組み合わせで構成される二次元コードで、数百文字の情報が収録できます。印刷物に貼り付けることで、専用の読み取り装置や、音声コードリーダーが搭載された携帯電話、対応アプリをインストールしたスマートフォンを利用してコードを読み取り、収録内容を音声で読み上げさせることができます。 スクリーンリーダー  パソコンで利用するソフトで、画面の表示内容や選択状況、ユーザの操作等を音声で読み上げます。スマートフォンでも同様の機能を備えています。また、特にウェブサイトの閲覧・操作を行うための音声ブラウザと呼ばれるソフトもあります。 点字ディスプレイ  パソコン画面の表示内容やテキストデータなどを点字で表示する機器です。多数の点の浮き上がりで点字を表示する仕組みで、携帯できるものもあります。 代読・代筆 視覚障害のある人に代わって読み上げること、書くことです。 P8 聴覚障害のある人  聴覚障害は、聴力を中心とする「聞く」ことについての障害です。 聴覚障害の状況は人によって異なり、全く聞こえない人や、聞こえにくい人、補聴器なしでも会話が聞き取れる人もいます。生まれながらに障害がある場合と、聴覚を活用して生活していた人が後天的に聴力を失う場合(中途失聴)とがあり、活用できる能力・手段と必要とされる配慮はその人の生い立ちや環境によっても異なります。 聴覚障害のある人のうち、手話を言語として日常生活又は社会生活を営んでいる人を「ろう者」といいます。 主な特性と配慮のポイント ○外見から分かりにくいため、声をかけたのに返事がなく無視されたと誤解されることがあります。発声・発語できる人もいますが、そのために聴覚障害がない、聞こえていると誤解されることがあります。 ○発声・発語が困難な人は、音声以外の方法を使う必要があります。 ○音声の代わりに文字や図などで情報を提供すると、視覚から情報が得られます。 ○音声での会話以外に、手話、要約筆記、筆談、などの方法があります。複数を併用する場合もありますが、人によって利用できる方法は異なるため、障害のある人が複数いる場合にもお互いのコミュニケーションが行えるよう留意する必要があります。 ○難聴者では、補聴器や人工内耳を利用して聴力を補う人もいます。音としては聞こえていても言葉として認識できないこともあるため、内容が伝わっているか確認するよう配慮します。軽度の難聴では、静かな場所では聞き取れても、騒がしい場所ではまったく聞き取れなくなることもあります。 ○補聴器を使っている人には、近づいて、正面から普通の大きさの声で話しかけます。3メートル以上離れると補聴器は音を拾いません。 ○片耳が聞こえにくい人には、正面か、聞こえる側から話しかけます。相手が気づくような合図をしてから話しかけると親切です。 ≪意思疎通手段≫ 手話 手や指、体の動き、顔の表情を組み合わせて視覚的に表現される独自の文法体系を持つ言語です。特にろう者にとっては、文化を創造し、生きるために不可欠なものとして大切に受け継がれてきた言語です。 P9 五十音、数字、アルファベットなど、音声言語の文字そのものを表現する場合には、手指の形や動きで表現する指文字が使われます。 手話通訳者は、手話と音声言語の両言語間を通訳し、それぞれを使う人の間でのコミュニケーションの橋渡しをします。手話通訳者を介してろう者等と対話をする場合には、対話の相手であるろう者等本人を見て話します。 要約筆記  音声で聞き取った話を要約し、紙やパソコンで文字に書き表して聴覚障害のある人に伝える方法です。個人に対して伝えるノートテイクと、プロジェクタなどを介してパソコン画面で投影する全体投影があります。  対象者が1人などの場合にはノートテイクを行い、対象が不特定多数の場合には、全体投影を行い文字で情報を伝えます。 筆談  紙と筆記具や筆談具、タブレット端末などを利用して、互いに文字を書いてコミュニケーションを行う方法です。 読話・口話 読話は、話し手の唇の動きや表情から状況を推測して話の内容を読み取る方法です。読話と、訓練により音声で話せるようになる発語を用いてコミュニケーションを行う方法を口話といいます。読話は集中力を必要とするため、極度の精神的疲労を伴い、また確実さにも個人差があります。 音声の文字化  音声認識技術を使って会話をリアルタイムで文字化(テキスト)することです。聴覚障害者向けに、スマートフォン上で音声情報をテキストに表示する無料アプリが実用化されおり、指定の言語にリアルタイムで翻訳します。 P10 盲ろう者 盲ろう者とは、視覚と聴覚の両方に障害のある人のことです。障害の状態や程度によって様々なタイプに分類され、一般には、以下の4つに分けられます。 @「全盲ろう」 全く見えず、全く聞こえない A「盲難聴」 全く見えず、聞こえにくい B「弱視ろう」 見えにくく、全く聞こえない C「弱視難聴」 見えにくく、聞こえにくい 盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障害の発生時期や障害の状態、活用できる感覚により、情報の取得方法、コミュニケーションの方法は異なるため、それぞれ個別に対応する必要があります。 発生の経緯による分類 ・盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」 ・ろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」 ・生まれながらまたは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」 ・成人期以降に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」 盲ろう者には、コミュニケーション、外出(移動)、情報収集のいずれにも困難さがあります。社会とのつながりを保ち、娯楽や会話などの楽しみ、外出機会などを確保するためにも、盲ろう者向け通訳・介助員等のサポートが不可欠です。 主な特性と配慮のポイント ○盲ろう者は視覚・聴覚の両方に障害があります。各々の障害のある人に対する配慮と同様の配慮が有効な場合もありますが、下記のように盲ろう者特有のコミュニケーション手段もあることに留意してください。 ○弱視や難聴の場合、適切な配慮や環境があれば視覚や聴覚も活用できます。 ○盲ろう者が情報を得るには、活用可能な感覚に応じて、触手話、弱視手話、指文字、指点字、点字、手のひら書き、音声、筆記、パソコンなどを活用しているため、その人に応じた方法で対応します。 ○盲ろう者が意思を表わす際、音声で話せる人は音声を活用することが多いです。それ以外に、手話や指文字などで意思を表わす人もいます。 ○聴力の残っている盲ろう者に話しかける場合、向かい側からではなく、聴き取りやすい方の耳に向かって真横から話すようにします。 ≪意思疎通手段≫ 触手話 相手の手話を盲ろう者が触って読み取る方法です。また、相手が盲ろう者の手を取って手話の形を作って伝える方法もあります。 P11 弱視手話 視力の残っている盲ろう者が用います。盲ろう者が読み取れるよう、視力や視野に適した位置や大きさで手話を表現して伝えます。 指文字  手指の形で五十音やローマ字で表現します。視覚で読み取る場合と、触って読み取る場合とがあります。 指点字 盲ろう者の両手の指(人差し指、中指、薬指)6本を点字の6点に対応させ、通訳者が盲ろう者の指に打って伝えます。 点字 その場で点字器や点字タイプライタを使って書いた点字を、盲ろう者が読み取ります。また、パソコンに接続した点字ディスプレイを利用する人もいます。 手のひら書き  盲ろう者の手のひらに指で文字を書いて伝える方法です。盲ろう者の指を持ってもう片方の手のひらや机などに書く方法もあります。 音声 聴力が残っている場合に、耳や補聴器に向かって音声で話しかけます。 筆記 視力が残っている場合に、紙とサインペンなどを利用して、見やすい大きさ、太さ、間隔、コントラストで書いて伝えます。 パソコン画面 視力が残っている場合に、筆記の代わりにパソコン画面を利用して伝えます。文字の大きさや色、コントラスト、明るさなどが調節しやすく、手書きよりも早く書けるのが利点です。 P12 音声機能障害、失語症、吃音などのある人  言葉を発する際の障害として、音声機能障害、失語症、吃音などがあります。 音声機能障害 音声機能障害とは、喉頭(のど)や発声筋等の音声を発する器官に障害があるため、話し言葉のリズムがスムーズでなかったり、発音や発声がうまくできない障害がある状態のことです。 例えば、無喉頭、がん等による喉頭の摘出手術、発声筋麻痺などにより音声が出ない場合などがありますが、訓練により食道発声をしたり、人工喉頭を使用したりして会話ができるようになる人もいます。また、肢体不自由の状態にある人の中にも、発語にかかわる運動機能の障害によって話し方が不明瞭になる人がいます。 失語症 失語症は、脳の言語中枢が脳梗塞等の脳血管疾患や頭部外傷などにより損傷されることによって起こる言語障害です。話すことだけではなく、聞いて理解する、読む、書くなど、言語を使用するすべての活動に障害が起こりますが、脳の損傷部位や広がりにより、症状や重症度は異なります。複雑な内容や長い文章は理解されにくく、仮名より漢字の方が理解されやすいのが一般的です。言いたい言葉が思い浮かばなかったり、違う言葉を言ってしまったりする場合は、聞き手が選択肢を示したり、「はい|いいえ」で答えられる質問をしたりすると、意思表示が容易になります。また、話し言葉だけに頼らないで、身振りや文字、絵、カレンダーや地図を利用すると、コミュニケーションがとりやすくなります。 吃音 吃音とは、話し言葉がなめらかに出ない状態のことです。吃音の症状には、音の繰り返し(連発)、引き伸ばし(伸発)、言葉を出せずに間が空いてしまう(難発・ブロック)などがあります。 吃音の状態には波があり、比較的スムーズに話せるときもあれば、言葉が出にくくなるとき、出なくなるときもあります。他の人から注視・注目されるなどの緊張も影響します。二次障害として、社交不安障害を生じることがあります。 主な特性と配慮のポイント ○外見からだけでは、発語に支障があることは分からない場合が多いです。また、障害の内容が詳しく知られていないこともあり、違和感を抱かれたり、不適切な対応をされてしまったりすることがあります。 ○音声機能障害のある人との会話は、静かな場所で対応し、落ち着いて話せるように、ゆっくりと話しかけます。五十音表や筆談が利用できる人もいます。 ○失語症の人は、右半身の麻痺や右側に注意が向きにくい症状(右側の半側空間無視)を合併する場合があります。失語症の人と会話するときは、ゆっくり話す、表情を見て話すことを心がけます。社会性や状況判断能力、記憶は保たれているため、場にそぐわない発言があったときは、それは本当に言いたかったことなのか、言われたことが正しく理解できていたのかを確認することが必要です。仮名より漢字のほ P13 うが理解されやすく、五十音表は使えません。 ○人工喉頭や食道発声を用いる人は、喉や首に器具や手を当てるために片手を常に使用している場合が多く、特に電話でメモを取ることが困難です。 P14 肢体不自由の状態にある人 肢体不自由とは、四肢(手や足)、体幹などに麻痺や欠損などの障害がある状態をいいます。 上肢や体幹に機能障害があると、細かいものをつかみ握ること、字を書くこと、書類や冊子のページをめくること、小さなボタン、スイッチ、タッチパネル、キーボードやマウスを操作することなどに支障が生じる場合があります。 また、発声に関する器官の麻痺や不随意運動などにより、音声でコミュニケーションを取ることが困難な場合もあります。 主な特性と配慮のポイント ○車いすを使用している人のために、窓口や机などの構造・位置に配慮します。 ○その人に応じた読み書きの際の代読や代筆の手助けなどを行います。 ○移動、読み書き、会話などに他の人より時間を要することもあるため、時間に余裕を持って応対します。 ○移動そのものや食事・トイレなどに制約があることから、外出機会が限られがちになるため、情報を得にくくならないよう配慮が必要です。 P15 内部障害のある人・難病患者等 内部障害とは、肢体不自由以外の体の内部の障害で、心臓機能、腎臓機能、呼吸器機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、HIV による免疫機能、肝臓機能のいずれかの障害により日常生活や社会生活に支障がある状態です。 難病とは、いまだ治療方法が確立していない疾病やその他国や東京都が指定する特殊な疾病で神経筋疾患、骨関節疾患、感覚器疾患など様々な疾病があります。 症状が重く治療方法が確立していない難病等を患っている人も、程度や様態は様々ですが、日常生活や社会生活に支障があります。難病は障害者総合支援法における障害福祉サービスの対象に含まれています。患者数が少ない、研究が進んでいないなどの理由から、当事者や家族が医療や支援についての十分な情報を得にくい場合があります。 ≪代表的な難病における配慮≫ ALS(筋萎縮性側索硬化症) 難病の一つで、発症すると筋肉の萎縮と筋力の低下が急速に進行します。個人差はありますが、早い人では数年で自発呼吸が困難になり、人工呼吸器などの医療的ケアが必要になることがあります。舌・のどの筋肉が動かなくなり、手足も麻痺することで意思の表明が困難になる一方、視覚や聴覚などの知覚、記憶や知性を司る神経は維持されるため、見聞きしたり考えたりすることは引き続き可能です。 声が出せなくなったALS 患者の人が意思を表明するには、残された能力に応じて様々な手段を活用しています。 ・通訳……訓練を受けた通訳者が、口元のわずかな動きなどを読み取って、他の人に伝えます。 ・文字盤……手や足の指を活用して、文字盤の文字を指し示したり、音声合成装置のスイッチを押したりします。視線の動きで文字を指し示す透明文字盤もあります。また、頻繁に利用する用事などの単語をカードにすることもあります。 ・意思伝達装置……パソコン等を利用した専用機器で、指や目など体のわずかな動きで入力スイッチを操作して、文字や文章を作成するなどして意思を伝えます。体が動かなくなった場合に使えるよう、脳の血流量や脳波を活用した意思伝達装置もあります。 P16 内部障害や難病の主な特性と配慮のポイント ○内部障害は、外見からは障害のあることが分かりにくいことが多いです。 ○疲れやすい人や、長時間立つことや歩くことが困難な人、医療的ケアやオストメイト対応トイレを必要とする人もいます。 ○五感や体の機能に障害がある場合は、その人の状況に応じた配慮を行います。 ○様々な制約から外出機会が限られがちになる人もいるため、情報を得にくくならないよう配慮が必要です。 ○同じ障害や疾病のある人で構成する患者会や家族会などの当事者団体が、その人にとって重要な情報源になっていることが多いです。 〇難病では病態や障害が進行する場合が多いです。また、医療の確保の必要性が高く一定の要件を満たすものについては、指定難病として医療費助成の対象となっております。 P17 知的障害のある人 知的障害とは、おおむね18 歳までの発達期において脳に障害が生じ、知的な働きが同年齢の人の平均と比べ遅れていることで、日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいいます。障害の程度により必要な援助の内容や量は異なります。 知的障害のある人は、複雑な事柄や抽象的な概念の理解が苦手です。こみいった文章や会話の内容を把握することが不得手なため、説明の方法に配慮する必要があります。ただし、人によって能力は異なり、また練習や訓練によってこれらの障害をある程度克服している人もいます。知的障害は個別性が高いため、あらかじめどのような配慮が必要か確認することが望ましいとされます。 主な特性と配慮のポイント ○漢字の読み書きや、買物のお釣りのやりとりのような計算が苦手な人もいます。 ○人に質問したり、言葉で自分の気持ちを伝えたりすることが難しいため、状況に応じてコミュニケーションボードを活用するなど、その人の伝えたいことを理解するように努めます。 ○周囲の状況の理解、未経験のできごと、急な状況変化に対応することが難しいため、緊急時や災害時には特に配慮が求められます。 ○一つの行動にこだわったり、同じ質問を繰り返したりすることがあるため、繰り返し丁寧に応対することが必要です。 ≪意思疎通手段≫ コミュニケーションボード 知的障害や発達障害があり、言葉によるコミュニケーションが難しい人に対して、絵や記号、簡単な図を使って説明や意思表示などのやりとりができるようにしたものがコミュニケーションボードです。 コミュニケーションボードは様々な団体などが作成・提供しています。また、最近ではタブレットなどのアプリでも同様の機能を持つものが開発されています。 P18 発達障害のある人 発達障害とは、主に脳機能の障害であり、その症状が通常低年齢(18 歳くらいまで)で発現するため、しつけや性格に起因するものとは異なります。発達障害のある人はコミュニケーションが苦手で、発達障害の適切な理解が得られずに周囲の不適切な対応が原因で生じる二次障害による困難を抱えている場合もあります。 感覚が過敏で苦しむ人もいますが、長所として活用できる場合もあります。 ≪主な発達障害≫ ◆自閉症スペクトラム障害(ASD) 3歳くらいまでに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害をいいます。 呼びかけられても振り返らない、相手と視線を合わせようとしない、人の表情や感情を読み取れない、おうむ返しをする、独り言が多い、要望を言葉で伝えられずに人の手を引っ張るなど、他人との関わり方や会話に支障があります。 道順、手順、日課、物の置き場所などの決まりごとを変更すると不安を感じます。 知的水準は様々で、知的発達や言葉の発達の遅れを伴わない場合もあります。 人の気持ちを理解するのが苦手で、関心のあることばかり、一方的に話す人もいます。 ◆学習障害(LD) 全般的な知的発達には遅れはないものの、読む、書く、計算するなど特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指します。 適切な支援や配慮が用意されたことで学習に取り組めるようになる人もいます。 学習障害の場合、従来の方法では学習が困難です。学習できないのは本人の怠惰によるものではないため、努力不足と責めてはいけません。 ◆注意欠陥多動性障害(ADHD) 年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力や多動性、衝動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすことがあります。 忘れ物が多い、時間や物の管理ができない、集中力が続かない、じっと座っていられない、衝動的に行動するなどの障害があり、個人差が大きいです。 P19 発達障害のある人への主な特性と配慮のポイント ○相手の意図がくみ取りにくい 例:自分の思っていることと相手の理解とが違っていることが分かりません → 説明者の意図が伝わっていない可能性を考慮して応対します ○言語的コミュニケーションが苦手 例:会話を続けることが苦手で、比喩や冗談も文字通り受け止めてしまいます → 視覚情報で簡潔に伝える ○感覚過敏 例:騒がしい場所が過度の刺激になる → 落ち着いた環境を用意する ○こだわりがある 例:マナー・ルール違反が許せない → こだわりを受け止めた上で適切に応対する P20 重症心身障害の状態にある人  重症心身障害とは、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複している状態をいいます。食事や水分補給、排泄、入浴、移動など、日常生活のほとんどすべてにおいて援助が必要です。 主な特性と配慮のポイント ○声が出せても会話で意思を伝えることは難しいです。口や目の動き、身振りなどを用いて意思を伝えますが、日常的に介護している人でないと読み取りづらいことが      あります。 ○日常的に医療的ケアが必要であり、胃ろうや人工呼吸器を装着しているため、常に医師の管理が必要な人もいます。 ○在宅で介護している場合、保護者の外出機会が限られることから、情報を得にくい場合があり、情報提供の対象や方法に配慮が必要です。 P21 精神障害のある人 精神障害のある人は、様々な精神疾患により、日常生活や社会生活のしづらさを抱えています。心の敏感さ、繊細さへの配慮が必要です。 適切な治療、服薬と周囲の配慮があれば精神疾患の症状をコントロールできるため、大半の人は地域社会の中で生活しています。 ≪主な精神疾患≫ ◆統合失調症 統合失調症の経過は、前兆期・急性期・回復期・安定期に分けられます。統合失調症に特徴的な症状として幻覚や妄想が特徴的な症状ですが、これらは急性期に限って出現するもので、それ以外の時期にも会話や行動の障害、感情の障害、意欲の障害が生じ、生活に障害を生じます。これらの症状は薬により抑えられます。 思春期に発病することが多いです。およそ100 人に1人弱の割合で発症するといわれています。 ◆気分障害 主なものに「うつ病」があります。気分が落ち込み、何事にも興味を持てなくなり、だるさを感じるなどの症状が続き、日常生活に支障が現れます。 また、「躁うつ病」は、「躁」の状態では、気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ない浪費やほとんど眠らずに働いてしまったり、「うつ」の状態では、気分が強く落ち込んでしまい、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かないなどの状態を繰り返します。 ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分では、何でもできると思い込み人の話を聞かなくなります。 ◆不安障害 主なものに「パニック障害」があります。突然の激しい動悸、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなどの身体症状を伴った強い不安に予期せず襲われます(パニック発作)。このため、再び発作が起こるのではないかと強い不安(予期不安)が続き、発作が起きたときに逃げられず助けが得られない状況や場所を恐れる(広場恐怖)ようになり、日常生活に支障をきたします。うつ病と併存する人が多いという調査結果があります。 P22 ◆てんかん 大脳の神経細胞が過剰に電気発射を起こすことで生じます。生じる発作は、脳のどの範囲で電気発射が起こるかによって異なります。てんかん発作の大半は一過性であり、適切な処置をすれば5分から20分程度で回復します。 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど様々な状態のものがあります。 主な特性と配慮のポイント ○症状は疾患ごとに異なり、時期や個人でも差異があるため、その人に応じた配慮を心がけます。 ○ストレスに弱く、疲れやすいです。 ○人と対面することや、対人関係、コミュニケーションを苦手とします。 ○外見からは、障害のあることが分かりにくいです。 ○過大な情報を一度に説明されると理解が難しくなることがあります。 ○緊張して上手に話せない人もいます。 ○周囲から障害について理解されず孤立しているや、病気のことを他人に知られたくないと思っている人もいます。 ○警戒心が強くなったり、自分に関係ないことでも自分に関係づけて考えてしまったりする人もいます。 ○若年期の発病や長期入院のために社会生活に慣れていない人もいます。 P23 高次脳機能障害のある人  高次脳機能障害とは、交通事故や脳血管障害の病気等で脳に損傷を受けたことが原因で、言語・注意・遂行機能・社会的行動などに障害が生じ、社会生活への適応に困難を示す状態です。  具体的には以下のような症状がありますが、すべての症状が同じ人に現れるわけではありません。                            ◆記憶障害……新しいことが覚えにくくなる症状です。例えば、今日の日付がわからない、自分のしたことや言ったことを忘れる、一日の予定が覚えられない、何回も同じことを聞くなど。 ◆注意障害……注意を、持続する、切り替える、複数のことに同時に向けることが難しくなる症状です。例えば、気が散りやすい、一つのことに長く集中できない、一つのことが気になると切り替えられずいつまでも気にしてしまう、一度に二つのことをしようとすると混乱するなど。 ◆遂行機能障害……計画を立てること、実行することが苦手になる症状です。例えば、目的地までの所要時間の見当がつかない、指示してもらわないと何から始めてよいかわからない、行動がいきあたりばったりになるなど。 ◆社会的行動障害……感情や行動を場に合わせてコントロールすることが苦手になる症状です。例えば、ちょっとしたことに怒りっぽくなる、場に合わないところで笑ってしまう、やる気が出ない、欲求が抑えられない、場違いな行動や発言をするなど。 ◆易疲労性……脳損傷により発症前より容易に脳が疲労する症状です。例えば、よくあくびをする、すぐボーッとする、日により時間により調子の波が大きい、同じことができたりできなかったりするなど。 P24 色弱の人  パソコンやスマートフォンの普及、印刷技術の進歩によって、私たちの社会では「色」を利用することでより豊富な情報を扱うことができるようになりました。しかし、色の感じ方は人それぞれに違いがあります。特定の色の組み合わせが見分けづらい「色弱」は、障害としては扱われないことが多いものの、色の見え方が異なる少数派の人が社会生活の中で不便を感じるという点では、障害のある人への配慮と同様の対応が必要な場合があります。 なお、色弱であっても色の見分けがまったくつかない人はごくわずかであり、大半の人は適切な配慮によって色による情報を利用することができます。 カラーバリアフリー  2色以上の色を使うときや写真などの上に文字をのせるとき、色弱の人も含めより多くの人にとって見分けやすい色づかいを行い、その上で形や塗り分け、文字などを併用することで、読めない、使いづらい、分かりづらいといった状態を解消し、できるだけ多くの人に情報が正確に伝わるようあらかじめ配慮する取組のことをカラーバリアフリーと呼びます。主なポイントとして下記の3点があります。詳しくは、「港区カラーバリアフリーガイドライン」をご覧ください。 1 できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選びます  ・色の濃淡、明暗の差をつけます  背景と文字の色を明暗や濃淡が対照的な組み合わせにします。 彩度や明度が同程度の色の組み合わせは、見分けづらい人がいます。 ・色を変えます 彩度の高い色と低い色、明るい色と暗い色を組み合わせると見分けやすいです。 印刷、塗装デザインなどで具体的な色の組み合わせを考える際には、研究者、NPO 法人、塗料メーカ業界団体、インキメーカ等で構成される委員会が制作した「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック」が公開されているため利用できます。 https://jfly.iam.u-tokyo.ac.jp/colorset/ (カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット制作委員会) 2 色を見分けにくい人にも情報が伝わるようにします ・文字や線を太くすると色の違いが分かりやすくします ・色のほかに形も変えて表現します ・グラフなどの塗り分けに模様をつけます 3 色の名前などを用いたコミュニケーションを可能にします ・色の名前を併記します ・窓口に備え付けの手続用紙を色分けしてある場合など、色の名前を用いてやりとりされる可能性があるものに、色の名前を記載すると分かりやすくなります。 ・色以外の情報も併記します ・案内図や路線図、グラフなどで多くの色を使っている場合には、名称そのものも併記すると分かりやすくなります。 P25 重複障害(複数の障害を併せ有する人) 複数の障害を併せ有する状態のことを重複障害といいます。例えば盲重複障害、ろう重複障害などがあります。このガイドラインで掲載している盲ろう者や重度心身障害も重複障害の一つです。 重複障害では、それぞれの障害に起因する困難さのみでなく、それぞれが絡み合い、相乗的に困難さが増大することに留意します。下記は一例であり、併せ有する障害の種類や程度は一人ずつ異なるため、重複障害の様態は様々です。 盲重複障害の特性と配慮のポイント 例えば視覚障害と知的障害や発達障害を併せ有する人は、知的障害や発達障害で有効とされる絵や図を用いた視覚的コミュニケーションを取りづらいことから、体の動きなどで表現するサインなど、他の手段を活用します。 他者の存在の認識や空間把握も苦手であることが多いため、常に分かりやすく状況を伝えるようにします。また、見えていないことを理解しづらく、危険認識が薄いため、火や刃物、自動車などの危険要因に触れないよう、環境整備の配慮が必要です。 ろう重複障害の特性と配慮のポイント 例えば聴覚障害と精神障害や知的障害を併せ有する人は、後見人や支援者、医療関係者とのコミュニケーションを取る際に手話通訳や要約筆記が必要になることがあります。このような際にも情報コミュニケーションの手段が確保されるよう、適切に派遣が行われることが望ましいです。また、理由なく通訳者の同伴を拒まれることがないようにするとともに、意思疎通支援については、当事者の心理的側面にも配慮した対応が求められます。なお、筆談を行う場合も、口頭でのやり取りや説明と同等の内容となるよう留意します。 また、聴覚障害のある人に手や指の動きの障害もあると、手話によるやりとりが不自由になることもあります。このように、重複障害では複数の障害があるために新たな困難が生じることがあるため当事者のニーズに配慮した対応が求められます。 P26 障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン  〜障害の特性に応じた配慮編〜 第2版 令和2年3月 港区 編集・発行 障害者福祉課 〒105-8511 港区芝公園1-5-25 電話 03-3578-2386 FAX 03-3578-2678