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みなさん、はじめまして。鈴木茂義と申します。小学校の先生です。これまで茨城県、北海道、東京都で小学校の先生をしてきました。7年前に、自分が小学校の先生でゲイであることを社会的にオープンにしました。同僚や子ども、保護者の人も「ある程度」私がゲイであることを知っています。ですが、仕事をする上でそれが問題になることはありません。専門は特別支援教育や教育相談で、発達に特性のある子どもたちと一緒に学んでいます。小学校で非常勤講師として働きつつ、学校の外でもLGBTQ+や人権に関わる活動もしています。港区では10月にリーブラを会場に、南麻布にあるノルウェー大使館と映画上映のイベントを行いました。
まさか自分がゲイであることをオープンにする日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。「自分のことをカミングアウトしたら嫌われちゃうかな」「相手との関係が壊れるかな」「差別的な発言されないかな」と思っていました。婚姻の平等が実現していない日本では、自分の将来の姿を描けないなと思っていたこともありました。しかし、世の中の変化の中で「もしかしたら自分もカミングアウトをして働くことができるかも」「教員である自分がカミングアウトすることで、何かお役に立てるかもしれない」と思い、決断をしました。
自分の当事者性を生かして、小学校から大学まで出張授業をする機会があります。性の多様性のみを直接教えるのではなく、性の多様性を通して共生社会の実現について子どもたちと一緒に考えています。私自身も学びと行動の途中です。最近は出張授業で私がゲイであることを話しても、子どもたちはあまりビックリしません。「僕たち、LGBTQ+について学んでいますから」とさらっと答えてくれた子がいました。かつての教え子には「シゲ先生、LGBTQ+の知識って自信になるのですね」と言ってもらったことがあります。その教え子は、高校の授業でLGBTQ+について学ぶ機会があり、自分の経験(かつての担任の先生がゲイだった)をクラスで発表したところ称賛されたとのことでした。また東京都内のある区の中学生は「私たちの区って、同性パートナーシップの制度があるんだよ。すごいでしょ?」と、友達同士で談笑していました。
前に友人から「シゲ先生、人権って思いやりじゃないですからね」と言われたことがあります。最初は意味が全く分かりませんでした。しかしその意味がようやく分かりました。人権を支える側面として「思いやり」「やさしさ」は必要です。でもそれだけではなく、「法律」「制度」も必要だと痛感しています。前出の中学生が同性パートナーシップの制度を誇らしげに話していたのと同様に、11月から東京都でもパートナーシップの制度がスタートしました。同性カップルの人の幸せにつながるとともに、この制度が理解啓発の一助になることを期待しています。
プロフィール
公立小学校非常勤講師。プライドハウス東京の理事。常設のLGBTQ+センタープライドハウス東京レガシーのスタッフ。LGBTQ+と教育について考える虫めがねの会の代表。自治体の相談員。元上智大学基盤教育センター非常勤講師。元公立小学校主任教諭。専門は特別支援教育、教育相談、教育カウンセリング等。20年間の小学校・特別支援学校の勤務を経て現在に至る。
鈴木 茂義さん