○港区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和五十四年三月十七日

条例第十五号

(目的)

第一条 この条例は、中高層建築物、特定建築物及び特定工作物(以下「中高層建築物等」という。)の建築(特定工作物にあつては、築造。以下同じ。)に係る計画の事前公開並びに紛争のあつせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もつて地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 中高層建築物 地盤面からの高さ(以下「高さ」という。)が十メートルを超える建築物(第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号に掲げる第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域をいう。)にあつては、軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物)をいう。

 特定建築物 前条に定める目的にかんがみ、生活環境に影響を及ぼすと認められる前号以外の建築物で、港区規則(以下「規則」という。)で定めるものをいう。

 特定工作物 前条に定める目的にかんがみ、生活環境に影響を及ぼすと認められる工作物で、規則で定めるものをいう。

 紛争 次の又はに掲げる紛争をいう。

 中高層建築物の建築に伴つて生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争

 特定建築物又は特定工作物の特性に伴つて生ずる周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争

 建築主 中高層建築物等に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

 工事施工者等 中高層建築物等に関する設計者、工事施工者及び工事監理者をいう。

 近隣関係住民 次の又はに掲げる者をいう。

 中高層建築物等の敷地境界線からその高さの二倍の水平距離(特定建築物又は高さが十メートル以下の特定工作物にあつては二十メートル)の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者

 中高層建築物又は高さが十メートルを超える特定工作物による電波障害の影響を著しく受けると認められる者

 隣接関係住民 近隣関係住民のうち建築しようとする中高層建築物等の壁面(特定工作物にあつては、その水平投影の外周部分)からその高さと等しい水平距離(特定建築物又は高さが十メートル以下の特定工作物にあつては十メートル)の範囲内に居住する者

(区長の責務)

第三条 区長は、紛争を未然に防止するよう努めなければならない。

2 区長は、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。

(当事者の責務)

第四条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物等の建築を計画するに当たつては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。

2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもつて、自主的に解決するよう努めなければならない。

(工事施工者等の協力義務)

第五条 工事施工者等は、前条に規定する建築主の責務を認識し、紛争の防止及び紛争の解決のため、協力しなければならない。

(標識の設置等)

第六条 建築主は、中高層建築物等を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、規則で定めるところにより標識を設置しなければならない。

2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。

(説明会の開催等)

第七条 建築主は、中高層建築物等を建築しようとする場合においては、規則で定めるところにより、その建築物(特定工作物にあつては、工作物。以下同じ。)の概要及び建築に係る計画の内容について、隣接関係住民に説明会等の方法により、周知しなければならない。

2 建築主は、前項の規定によるほか近隣関係住民から申出があつたときは、前項に掲げる建築物の概要等について、説明会等の方法により、近隣関係住民に説明しなければならない。

3 前二項の場合において、説明会を開催するときは、建築主(法人にあつては、その代表者又は従業員)は、当該説明会に出席しなければならない。

4 建築主は、第一項の規定により説明会等を行つた後、速やかにその内容について規則で定めるところにより、区長に報告しなければならない。

5 区長は、必要があると認めるときは、建築主に対し、第二項の規定により行つた説明会等の内容について報告を求めることができる。

(話し合う機会の確保等)

第七条の二 建築主及び工事施工者等は、規則で定めるところにより、前条第一項又は第二項の規定による説明会等の後、近隣関係住民から申出があつたときは、その内容について話し合う機会を設けるよう努めなければならない。

2 建築主及び工事施工者等並びに近隣関係住民は、前項の申出の内容について話し合つた結果、合意に達した事項があるときは、当該事項を記載した書面を作成するよう努めなければならない。

3 前条第三項及び第五項の規定は、第一項の規定により話し合う機会が設けられた場合について準用する。

(あつせん)

第八条 区長は、建築主と近隣関係住民の双方から紛争の調整の申出があつたときは、あつせんを行う。

2 区長は、前項の規定にかかわらず、建築主又は近隣関係住民の一方から調整の申出があつた場合において、相当な理由があると認めるときは、あつせんを行うことができる。

3 区長は、当事者間をあつせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。

(あつせんの打切り)

第九条 区長は、当該紛争について、あつせんによつては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あつせんを打ち切ることができる。

(調停)

第十条 区長は、前条の規定によりあつせんを打ち切つた場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。

2 区長は、前項に規定する勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。

3 区長は、前項の規定にかかわらず、当事者の一方が第一項に規定する勧告を受諾した場合において、相当な理由があると認めるときは、調停を行うことができる。

4 区長は、調停を行うに当たつて必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。

5 区長は、調停を行うに当たつては、港区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。

(調停の打切り)

第十一条 区長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 前条第四項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。

(調停委員会)

第十二条 区長の付属機関として、調停委員会を置く。

2 調停委員会は、第十条第五項の規定による区長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、区長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。

3 調停委員会は、法律、建築又は環境等の分野に関し知識及び経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員六人以内をもつて組織する。

4 委員の任期は、二年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 調停委員会に会長を置き、委員の互選によつて定める。

6 会長は、会務を総理し、調停委員会を代表する。

7 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

8 調停委員会は、区長が招集する。

9 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。

10 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

11 前二項の規定にかかわらず、第十条第五項の規定による調停委員会の意見は、会長が事案ごとに指名する三人以上の委員の合意によることができる。

(出頭)

第十三条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

(関係図書の提出)

第十四条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。

(工事着手の延期等の要請)

第十五条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。

(公表)

第十六条 区長は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を公表することができる。

 建築主が第六条第一項の規定による標識の設置又は同条第二項の規定による届出をしないとき。

 建築主が第七条第四項の規定による報告をしないとき。

 第十三条の規定による出頭の求めを受けた者が、その求めに正当な理由がなく従わないとき。

 あつせん又は調停の際、当事者が正当な理由がなくあつせん又は調停の進行を著しく妨げたとき。

 第十四条の規定による関係図書の提出の求めを受けた者が、その求めに正当な理由がなく従わないとき。

 第十五条の規定による工事の着手の延期又は工事の停止の要請を受けた者が、その要請に正当な理由がなく従わないとき。

(委任)

第十七条 この条例に規定するものを除くほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、昭和五十四年四月一日から施行する。

(適用除外)

2 東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和五十三年東京都条例第六十四号)の適用を受ける中高層建築物については、第三条第二項第六条第七条第二項及び第五項並びに第八条から第十六条までの規定は、適用しない。

(平成八年七月一〇日条例第二五号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成九年三月二八日条例第二三号)

この条例は、平成九年七月一日から施行する。

(平成一三年三月三〇日条例第二二号)

この条例は、平成十三年四月一日から施行する。

(平成一六年一二月八日条例第三六号)

1 この条例は、平成十七年四月一日から施行する。

2 この条例による改正後の第七条第一項及び第三項並びに第七条の二の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に標識の設置の届出をした中高層建築物等について適用し、施行日前に標識の設置の届出をした中高層建築物等については、なお従前の例による。

(平成一八年三月二四日条例第一三号)

この条例は、平成十八年四月一日から施行する。

港区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和54年3月17日 条例第15号

(平成18年4月1日施行)

体系情報
第6類 街づくり/第3章
沿革情報
昭和54年3月17日 条例第15号
平成8年7月10日 条例第25号
平成9年3月28日 条例第23号
平成13年3月30日 条例第22号
平成16年12月8日 条例第36号
平成18年3月24日 条例第13号