○港区高齢者集合住宅設備構造基準
平成2年3月20日
元港厚特第105号
大項目 | 中項目 | 内容 |
第1 設計計画について | 1 立地条件 | (1) コミュニティ施設が近くにある。 (2) 交通機関が利用しやすい。 (3) 地形が平坦である。 (4) 安全な平面歩行で移動できる。 |
2 高齢者集合住宅の設置条件 | (1) 生活協力員住戸の位置は、入居者の利便性等を考慮する。 (2) 高齢者集合住宅は、特に階を指定しない。 (3) 3階以上に高齢者集合住宅が位置する場合は、エレベーター(W1,050mm×D2,000mm×H2,000mm程度)を設ける。 (4) 二方向避難が安全にできる。 (5) 住戸への通路が夜目に暗がりにならない。 (6) ゴミ処理場、集合郵便受け、牛乳受けなど共用部分が近く、雨の日も安全に行ける。 | |
3 住戸面積 | (1) 住戸専用面積は、一人用住戸で最低25m2以上とする。 (2) 生活協力員の住戸専用面積は、50~70m2程度とし、原則として、この中に相談室として、4.5畳程度の独立室(入居者用の団らん室としての併用も可)をとり、安否確認の自動装置の監視装置他を設置する。 | |
4 サニタリースペース | (1) 便所は居室の近くに設けるよう配慮する。 (2) 便器は、腰かけ式のものを用いる。 (3) 便器の横に手すりなどを設ける。 (4) 便所内にコンセントを設ける。 (5) 浴槽の横に手すりなどを設ける。 (6) 上下可動式のシャワー掛けを工夫する。 | |
5 段差の解消と幅のゆとり | (1) 水廻り、和室等への出入口も含めて、可能な限り住戸内の段差をなくす。 (2) 廊下等の通路幅は、有効850mm以上、ドア幅は有効800mm以上確保する。 | |
6 団らん室 | (1) 小グループで集まって落ち着ける小部屋も出来るだけ工夫してつける。 | |
第2 建築設計指針について | 1 階段 | (1) 階段は踏面250~270mm、蹴上げ180~200mm、有効幅850mm以上とする。 (2) 蹴込み板のない階段や、つまづきやすい形状のものは避ける。 (3) 段鼻でつまづいたり、踏みはずしたりしないような配慮をする。 (4) 急な方向転換及び蹴上げ、踏面寸法の急な変化を作らない。 (5) 廻り階段、らせん階段の類は避ける。 (6) 1番上及び下の段は廊下からひかえる。 (7) 2段以上の屋内階段には手すりを設ける。 (8) 階段には手すりを設ける。 |
2 敷居・ドア | (1) 敷居には段差をつけない。 (2) 居室のドア幅は有効800mm以上とる。 (3) 把手は開閉、施錠操作のしやすいものとする。 (4) ドアストッパーを取り付けるときは、つまづかないよう注意する。 (5) ドアクローザーはゆっくりと作動し、騒音のないものとする。 | |
3 窓 | (1) 窓は開閉、施錠操作がしやすい形状のものを設ける。 (2) 網戸を設ける。 | |
4 壁仕上げ | (1) 壁面のコーナー部は危険でないようにする。 (2) 壁材は汚れにくく、肌に傷をつけない材料を用いる。 | |
5 床仕上げ | (1) 滑らない床材を用いる。 (2) 静かで弾力性のある材料を用いる。 (3) 掃除とメンテナンスが楽で、足寒にならないような材質のものとする。 (4) 色は明るさ、汚れにくさ等を考慮して決める。 | |
6 玄関・廊下 | (1) 玄関口は平坦部若しくはスロープでアプローチできるようにする。 (2) 玄関の入口は雨風から守る。 (3) 玄関では、靴のはき替えがしやすいようにする。 (4) 廊下は、有効幅で850mm以上とする。 (5) 廊下には必要に応じて手すりをつける。 | |
7 台所・食堂 | (1) 設備、機器は楽に操作でき、使い誤ったときも危険の少いものとする。 | |
8 居室 | (1) 日当たり、風通しが良いようにする。 (2) 広さは最低6畳とする。 (3) 居室の二方向避難を確保する。一時避難としてバルコニーを設ける。 (4) 床仕上材は、原則として畳を用いる。 | |
9 便所 | (1) 座位で使える位置に、トイレットペーパーを取り付ける。 (2) 水洗バルブは操作しやすいものとする。 | |
10 浴室 | (1) 適切な場所に手すりを設ける。 (2) 床、浴槽、壁の仕上げ等は石けん水で濡れても滑らず、肌をすりむいたりしないものとする。 | |
11 収納スペース | (1) 手の届く範囲に収納スペースを設ける。 (2) できる限り収納スペースを多く設ける。 (3) 家具を置くための壁面を可能な限り多くとる。 (4) 頭より下の位置の開き戸をできるだけ設けないようにする。 | |
12 生活協力員用住戸 | (1) 原則として、1階の出入口近くに設ける。 (2) 相談室は、生活協力員の家族居室から独立させる。 (3) 高齢者住戸からの緊急通報を受けて、対処する設備をつける。 | |
13 屋外スペース | (1) 物干し場、布団干し場及び半戸外空間としてのバルコニー等を設ける。 (2) 住戸から、庭若しくはバルコニーに簡単に出られるようにする。 | |
14 水栓金具 | (1) 操作しやすい形状のものを手が届きやすく安全な位置に取り付ける。 (2) 混合水栓とする。 (3) シャワー、湯温が自動調節できるものとする。 | |
15 コンセント・スイッチ類 | (1) ブレーカーなどは見えやすく手が届く位置につける。 (2) コンセントは、使いやすい位置に設ける。 (3) スイッチは入口近くに、ドアの把手の高さに設ける。 (4) 廊下や階段では、両端から照明スイッチの操作ができるものとする。 (5) 廊下・便所などには、明かり付きスイッチをつける。 (6) 水廻りのコンセント、スイッチの絶縁には十分気をつける。 | |
16 照明 | (1) 入口照明は白熱灯をつける。 (2) 居室の照度は300ルクス以上とする。 (3) 各室の光のコントラストは最小限にする。 (4) 納戸、倉庫にも十分な照明をつける。 (5) つまづきやすい所では照度を上げ、影ができにくいよう配慮する。 | |
17 冷暖房 | (1) 冷暖房機を設置可能な設備を設ける。 (2) 冷暖房設備をあらかじめ設ける場合は、高齢者が取り扱いやすく、安全なものとする。 | |
18 換気、しゃ音 | (1) 部屋換気がしやすい設計にする。 (2) 浴室、便所、台所は換気できるようにする。 (3) 換気は、できるだけ高い位置とする。 (4) 換気扇の調節は低い位置でできるようにする。 (5) 住戸全体のしゃ音性に注意する。 | |
19 非常警報 | (1) 浴室、便所、居室には、非常時の通報システムを設置する。 (2) 緊急ベルは、浴槽、便座、寝床から手の届く位置に取り付ける。 (3) 室内にガス器具を設置する場合は、ガス漏れ警報器を取り付ける。 (4) 火災報知設備を取り付ける。 (5) トイレ扉などに安否確認の自動装置を付ける。 | |
20 その他 | (1) 手すりについては、上記のほか、できる限り設けるものとし、高さは700~850mmで、丈夫なものを取り付けるものとする。 |
付則
この基準は、平成2年3月20日から施行する。