○港区内部公益通報の処理に関する要綱

平成19年5月31日

19港総総第305号

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の規定に基づく職員等による公益通報の処理に関し必要な事項を定めることにより、通報者の保護を図り、もって区政運営における公正の確保と透明性の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱で使用する用語の意義は、公益通報者保護法で使用する用語の例による。

2 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員等 次に掲げる者をいう。

 区の職員

 区の事務事業を区以外の者に委託した場合における当該委託業務に従事する者及び当該委託事業者の役員

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者が行う区の公の施設の管理に関する業務に従事する者及び当該公の施設の指定管理者として指定を受けたものの役員

 区の事務事業に従事する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者をいう。)及び当該派遣労働者を派遣する事業者の役員

 からまでに掲げる者であった者(退職の日から起算して1年を経過していない者に限る。)

(2) 内部公益通報 職員等が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、区の事務事業(前号イの委託業務及び同号ウの区の公の施設の管理に関する業務を含む。)の執行に関し次に掲げる事実(を除き、以下「通報対象事実」という。)が生じ、又はまさに生じようとしている旨を区に通報することをいう。

 公益通報者保護法第2条第3項に規定する通報対象事実

 法令(条例及び規則を含む。)に違反し、又は違反するおそれのある事実(を除く。)

 人の生命、身体、財産その他の利益の保護を害し、又はこれらに重大な影響を与えるおそれのある事実(及びを除く。)

(3) 内部通報者 内部公益通報を行った職員等をいう。

(総括通報等責任者)

第3条 職員等から次条第1項に規定する公益通報相談員に対してなされる内部公益通報の対応に関する事務を総括するため、総括通報等責任者を置く。

2 総括通報等責任者は、総務部長をもって充てる。

3 総括通報等責任者は、内部公益通報に関する調査の進捗等の管理、内部公益通報を理由とする不利益な取扱いの防止その他内部公益通報等の適切な対応の確保に関する事務を総括するものとする。

4 総括通報等責任者は、内部公益通報事務局として内部公益通報に関する事務を総務部人事課に行わせるものとする。

(公益通報相談員の設置等)

第3条の2 内部公益通報を適正に処理するため、区に公益通報相談員を置く。

2 公益通報相談員は、2人とし、弁護士のうちから区長が委嘱する。

3 公益通報相談員の任期は、2年とし、再任を妨げない。

(公益通報相談員の職務)

第4条 公益通報相談員の職務は、次のとおりとする。

(1) 内部公益通報に係る受付、調査、報告及び通知に関すること。

(2) 内部公益通報をしたことによる不利益な取扱いの申出に係る受付、調査、報告、通知及び勧告に関すること。

(3) 内部公益通報を行おうとする職員等からの違法性の有無等に関する相談に関すること。

(4) その他区長が必要と認める事項に関すること。

(公益通報相談員の守秘義務)

第5条 公益通報相談員は、職務に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(除斥等)

第6条 公益通報相談員及び内部公益通報事務局の職員は、自己若しくはその父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹(以下この項において「父母等」という。)の一身上に関する内部公益通報又は自己若しくは父母等が従事する業務に直接の利害関係のある内部公益通報については、関与することができない。

2 公益通報相談員は、前項に規定する内部公益通報があった場合は、他の公益通報相談員に当該内部公益通報を移送するものとする。

(内部公益通報の方法)

第7条 職員等は、文書、ファックス、電子メールその他適切な方法により、原則として自己の氏名を明らかにして、公益通報相談員に内部公益通報を行うことができる。

2 内部公益通報を行おうとする職員等は、内部公益通報に係る違法性の有無等について、あらかじめ公益通報相談員に相談することができる。

(内部公益通報の受付等)

第8条 公益通報相談員は、内部公益通報を受けたときは、意見を付して総括通報等責任者に通知するものとする。

2 総括通報等責任者は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、当該内部公益通報を受理するか否かを決定するとともに、その決定の内容及び内部公益通報の概要(内部通報者の氏名を除く。)を区長及び公益通報相談員に報告するものとする。

3 公益通報相談員は、前項の規定による報告があった場合は、当該内部公益通報の受理に係る決定の内容(受理するときはその旨、受理しないときはその旨及びその理由)を内部通報者に通知するものとする。ただし、匿名による内部公益通報又は通知を希望しない内部通報者については、この限りでない。

4 公益通報相談員は、区以外の行政機関その他の事業者に係る公益通報があったときは、通報者に対し、当該事業者を教示するものとする。

(内部公益通報の調査)

第9条 公益通報相談員及び内部公益通報事務局は、受理された当該内部公益通報について、直ちに必要な調査を開始するものとする。

2 前項の調査に当たっては、職員等はこれに協力しなければならない。

3 公益通報相談員及び内部公益通報事務局は、調査の実施に当たっては、内部通報者の秘密を守るため、内部通報者が特定されないよう十分配慮するものとする。

4 調査に協力した職員等は、調査に協力した事実及びこの調査により知ることのできた秘密を漏らしてはならない。

5 公益通報相談員は、内部公益通報の対応に係る秘密保持及び個人情報の保護に関し、第3項に定めるもののほか、個人情報の保護に関する法令その他関係法令等に従うものとする。

(調査結果の報告及び通知)

第10条 公益通報相談員及び内部公益通報事務局は、調査の結果、通報対象事実があると認めるときは、是正の措置及び再発防止策等(以下「是正措置等」という。)についての意見を付して、総括通報等責任者を経て区長に報告するものとする。

2 公益通報相談員及び内部公益通報事務局は、調査の結果、通報対象事実があると認められないときは、その旨を総括通報等責任者を経て区長に報告するものとする。

3 前2項の報告において、内部通報者の氏名は報告しないものとする。ただし、特に必要があると認める場合において、あらかじめ内部通報者の同意を得たとき又は内部通報者から特に申出があったときは、この限りでない。

4 公益通報相談員は、調査の結果及び是正措置等について内部通報者に通知するものとする。ただし、匿名による内部通報者及び通知を希望しない内部通報者に対しては、この限りでない。

5 公益通報相談員は、前項の規定による通知に当たっては、適切な法執行の確保、利害関係人の営業秘密、信用、名誉及びプライバシー等に配慮するものとする。

(不利益取扱いの禁止等)

第11条 内部通報者に対しては、正当な内部公益通報をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 正当な内部公益通報をしたことを理由として不利益な取扱いを受けた内部通報者は、その旨を公益通報相談員に申し出ることができる。

(不利益取扱いの申出に関する調査等)

第12条 第9条及び第10条の規定は、前条の規定による不利益な取扱いの申出があった場合の調査について準用する。この場合において、これらの規定中「公益通報相談員及び内部公益通報事務局」とあるのは「公益通報相談員」と、「内部公益通報」とあるのは「不利益な取扱いの申出」と、「内部通報者」とあるのは「不利益な取扱いの申出者」と、「通報対象事実」とあるのは「不利益な取扱いの事実」と読み替えるものとする。

2 公益通報相談員は、調査の結果、内部通報者が不利益な取扱いを受けたと認めるときは、区長に対し、当該不利益な取扱いの中止その他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(区長が講ずる措置)

第13条 区長は、第10条第1項の報告を受けたときは、速やかに必要な事実の確認を行うとともに、公益通報相談員及び内部公益通報事務局の意見を尊重して違法行為等を是正し、再発を防止するために必要な措置を講ずるものとする。

2 区長は、前項の措置を講じたときは、その内容を公益通報相談員及び内部通報者に通知するものとする。ただし、匿名による内部通報者及び通知を希望しない内部通報者に対しては、この限りでない。

3 公益通報相談員は、前項の通知を行うに当たっては、適切な法執行の確保、利害関係人の営業秘密、信用、名誉及びプライバシー等に配慮するものとする。

4 区長は、第12条において準用する第10条第1項の報告を受けた場合において、内部通報者が不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、速やかに不利益な取扱いを是正し、再発を防止するために必要な措置を講ずるものとする。

5 区長は、前条第2項の勧告を受けた場合は、速やかに必要な事実の確認を行うとともに、公益通報相談員の意見を尊重して不利益な取扱いを是正し、再発を防止するために必要な措置を講ずるものとする。

6 区長は、前2項の規定による措置を講じた場合は、その内容を公益通報相談員及び不利益な取扱いの申出者に通知するものとする。

7 任命権者は、職員が自ら関与している違法な行為について内部公益通報をした場合には、当該職員の懲戒処分については、通常の処分より軽減することができる。

8 区長は、内部公益通報に係る通報対象事実がないことが判明した場合において関係者の名誉が害されたと認めるときは、関係者の名誉を回復させるために必要な措置を講ずるものとする。

(処理状況の公表)

第14条 区長は、毎年、内部公益通報の処理状況を区が発行する広報紙等により公表するものとする。

(運用上の注意)

第15条 この要綱の運用に当たっては、関係者の利益が不当に侵害されることがないように配慮しなければならない。

(記録等の管理等)

第16条 公益通報相談員及び内部公益通報事務局は、内部公益通報の処理に係る記録及び関係資料について、適切な保存期間を定めた上で、内部通報者の秘密の保持に配慮して適切な方法で管理するものとする。

2 内部通報相談員は、内部公益通報の報告等に係る記録及び関係資料について、内部通報者の秘密の保持に配慮して適切な方法で管理しなければならない。

3 公益通報相談員は、処理が完了した内部公益通報に係る記録及び関係資料については、区に引き渡さなければならない。

(委任)

第17条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、総務部長が定める。

この要綱は、平成19年6月1日から施行する。

この要綱は、平成22年4月1日から施行する。

この要綱は、平成24年10月1日から施行する。

この要綱は、令和4年6月1日から施行する。

港区内部公益通報の処理に関する要綱

平成19年5月31日 港総総第305号

(令和4年6月1日施行)