○港区墓地等の経営の許可等に関する条例

平成二十四年三月二十三日

条例第十九号

(趣旨)

第一条 この条例は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号。以下「法」という。)第十条の規定による墓地、納骨堂又は火葬場(以下「墓地等」という。)の経営の許可等に係る基準その他墓地等の経営に関し必要な事項を定めるものとする。

(用語)

第二条 この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。

(墓地等の経営主体)

第三条 墓地等を経営しようとする者は、次の各号のいずれかに該当する者でなければならない。ただし、特別の理由がある場合であって、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは、この限りでない。

 地方公共団体

 宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第四条第二項の法人で、主たる事務所又は従たる事務所を区内に有するもの

 墓地等の経営を行うことを目的とする公益社団法人又は公益財団法人で、主たる事務所又は従たる事務所を区内に有するもの

2 前項第二号及び第三号に規定する事務所は、区内に設置されてから、七年間を経過しているものでなければならない。

(墓地等の経営の許可等)

第四条 墓地等を経営しようとする者は、区規則で定める事項を記載した申請書を提出し、区長の許可を受けなければならない。

2 墓地の区域、墳墓を設ける区域若しくは納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地等を廃止しようとする者は、区規則で定める事項を記載した申請書を提出し、区長の許可を受けなければならない。

3 区長は、前二項の許可をするに当たり、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要な条件を付することができる。

(みなし許可に係る届出)

第五条 法第十一条第一項又は第二項の規定により墓地又は火葬場の新設、変更又は廃止の許可があったものとみなされる場合にあっては、その墓地又は火葬場の経営者は、速やかにその旨を区長に届け出なければならない。

(墓地の設置場所)

第六条 墓地の設置場所は、次に定めるところによらなければならない。

 当該墓地を経営しようとする者が、原則として、所有し、かつ、その所有権以外の権利が存しない土地であること(地方公共団体が経営しようとする場合を除く。)

 河川、海又は湖沼から墓地までの距離は、おおむね二十メートル以上であること。

 住宅、学校、保育所、病院、事務所、店舗等及びこれらの敷地(以下「住宅等」という。)から墓地までの距離は、おおむね百メートル以上であること。

 高燥で、かつ、飲料水を汚染するおそれのない土地であること。

2 専ら焼骨のみを埋蔵する墓地であって、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについては、前項第二号及び第三号の規定は、適用しない。

(墓地の構造設備基準)

第七条 墓地の構造設備は、次に掲げる基準に適合しなければならない。

 境界には、障壁又は密植した低木の垣根を設けること。

 アスファルト、コンクリート、石等堅固な材料で築造され、その幅員が一メートル以上である通路を設けること。

 雨水又は汚水が滞留しないように適当な排水路を設け、下水道又は河川等に適切に排水すること。

 ごみ集積設備、給水設備、便所、管理事務所及び区規則で定める基準を満たす駐車場を設けること。ただし、これらの施設の全部又は一部について、当該墓地を経営しようとする者が、当該墓地の近隣の場所に墓地の利用者が使用できる施設を所有する場合において、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは、当該施設に関しては、この限りでない。

 墓地の区域内に区規則で定める基準に従い緑地を設けること。ただし、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合は、この限りでない。

2 墳墓を設ける区域を変更しようとする場合の構造設備基準は、前項に規定する墓地の構造設備基準に準ずる。

(納骨堂の設置場所)

第八条 納骨堂の設置場所は、次に定めるところによらなければならない。

 当該納骨堂を経営しようとする者が、原則として、所有し、かつ、その所有権以外の権利が存しない土地及び建物であること(地方公共団体が経営しようとする場合を除く。)

 寺院、教会等の礼拝の施設又は火葬場の敷地内であること(地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人が経営しようとする場合を除く。)

(納骨堂の構造設備基準)

第九条 納骨堂の構造設備は、次に掲げる基準に適合しなければならない。

 壁、柱、はりその他の主要な部分は、耐火構造にすること。

 床面は、コンクリート、タイル、石等堅固な材料で築造すること。

 納骨堂の設備は、不燃材料を用いること。ただし、納骨堂内で火気を使用しない場合は、この限りでない。

 必要な換気設備を設けること。

 出入口及び窓には、防火戸を設けること。

 出入口及び納骨装置は、施錠ができる構造であること。ただし、納骨装置の存する場所への立入りが納骨堂の管理者に限られている納骨堂の納骨装置については、この限りでない。

 機械式の納骨装置を設ける場合には、点検等維持管理が容易にできる構造とすること。

 区規則で定める基準を満たす駐車場を設けること。ただし、当該納骨堂を経営しようとする者が、当該納骨堂の近隣の場所に納骨堂の利用者が使用できる駐車場を所有する場合において、区長が、公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは、この限りでない。

(火葬場の設置場所)

第十条 火葬場の設置場所は、住宅等からおおむね二百五十メートル以上離れていなければならない。

2 火葬場内において当該火葬場の施設を増築し、又は改築する場合その他特別の理由がある場合で、区長が公衆衛生上支障がないと認めるときは、前項の規定は、適用しない。

(火葬場の構造設備基準)

第十一条 火葬場の構造設備は、次に掲げる基準に適合しなければならない。

 境界には、障壁又は密植した低木の垣根を設けること。

 出入口には、門扉を設けること。

 火葬炉は、五基以上設けること。ただし、地方公共団体が設ける火葬場については、この限りでない。

 火葬炉には、防じん及び防臭の十分な能力を有する装置を設けること。

 収骨室及び遺体保管室を設けること。

 収骨容器等を保管する施設を設けること。

 残灰庫を設けること。

 管理事務所、待合室及び便所を設けること。

 区規則で定める基準を満たす駐車場を設けること。

(管理者の講ずべき措置)

第十二条 墓地等の管理者は、次に定める措置を講じなければならない。

 墓石が倒壊し、又はそのおそれがあるときは、速やかに安全措置を講ずるか、又は墓石の所有者に同様の措置を講ずることを求めること。

 納骨堂又は火葬場の施設の点検を定期的に行い、これらの施設が老朽化し、又は破損したときは、速やかに修復等を行うこと。

 墓地等を常に清潔に保つこと。

 墓地等においては、何人に対しても、死者又はその遺族に対して礼を失する行為をさせないこと。

(墓穴の深さ)

第十三条 土葬(死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。)を土中に葬ることをいう。以下同じ。)を行う場合の墓穴の深さは、二メートル以上としなければならない。

(土葬禁止地域)

第十四条 区長は、公衆衛生その他公共の福祉を維持するために土葬を禁止する地域(以下「土葬禁止地域」という。)を指定することができる。

2 墓地の経営者は、土葬禁止地域においては、焼骨のほかは埋蔵させてはならない。ただし、区長が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めて許可した場合は、この限りでない。

(無縁の焼骨等の保管等)

第十五条 墓地又は納骨堂の管理者は、無縁の焼骨等を、次に定めるところにより保管し、又は埋葬しなければならない。

 無縁の焼骨を発掘し、又は収容したときは、一体ごとに陶器等不朽性の容器に納め、その容器には、死亡者の氏名、死亡年月日及び改葬年月日その他必要な事項を記載しておくこと。

 無縁の遺体又は遺骨(焼骨を除く。)を発掘したときは、無縁墳墓に埋葬するか、又は火葬に付した後、前号に定めるところにより保管すること。

(標識の設置等)

第十六条 第四条第一項又は第二項の許可を受けて墓地等を経営しようとする者又は墓地の区域若しくは墳墓を設ける区域を拡張しようとする者(以下「申請予定者」という。)は、当該許可の申請に先立って、墓地等の建設等の計画について、当該墓地等の建設予定地に隣接する土地(隣接する土地と同等の影響を受けると認められる土地を含む。)又はその土地の上の建築物の所有者及び使用者(以下「隣接住民等」という。)への周知を図るため、区規則で定めるところにより、当該建設予定地の見やすい場所に標識を設置し、その旨を区長に届け出なければならない。

2 区長は、申請予定者が、前項の標識を設置しないときは、当該標識を設置すべきことを指導することができる。

(説明会の開催等)

第十七条 申請予定者は、当該許可の申請に先立って、説明会を開催する等の措置を講ずることにより、当該墓地等の建設等の計画について、区規則で定めるところにより、隣接住民等に説明し、その経過の概要等を区長に報告しなければならない。

2 区長は、申請予定者が、前項の規定による説明を行わないときは、当該説明を行うべきことを指導することができる。

(事前協議の指導)

第十八条 区長は、隣接住民等から、第十六条の標識を設置した日以後区規則で定める期間内に、当該墓地等の建設等の計画について、次に掲げる意見の申出があった場合において、正当な理由があると認めるときは、当該墓地等に係る申請予定者に対し、隣接住民等との協議を行うよう指導することができる。

 公衆衛生その他公共の福祉の観点から考慮すべき意見

 墓地等の構造設備と周辺環境との調和に対する意見

 墓地等の建設工事の方法等についての意見

2 申請予定者は、区規則で定めるところにより、前項の規定による指導に基づき実施した隣接住民等との協議の結果を区長に報告しなければならない。

(公表)

第十九条 区長は、第十六条第二項又は第十七条第二項の規定による指導を受けた者にあっては当該指導に従わなかったことに正当な理由がないと認めるとき、又は前条第一項の規定による指導を受けた者にあっては当該指導に従わなかったことが同項の意見の申出の状況及びその内容に照らして著しく不当であると認めるときは、その旨を公表することができる。

(工事の完了の届出)

第二十条 墓地等の経営者は、当該墓地等の新設又は変更に係る工事が完了したときは、区規則で定めるところにより、速やかにその旨を区長に届け出なければならない。

(申請事項変更の届出)

第二十一条 墓地等の経営者は、墓地の区域、墳墓を設ける区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更する場合を除き、第四条の申請書に記載した事項を変更しようとする場合は、区規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。

(委任)

第二十二条 この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、区規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成二十四年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例(昭和五十九年東京都条例第百二十五号。以下「都条例」という。)の規定によりなされている申請、届出その他の手続については、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 この条例の施行の際、現に都条例の規定により墓地等の経営の許可に係る申請をしている者又は現に都条例の規定により墓地等の建設等の計画に係る標識設置の届出をしている者(施行日から起算して一年を経過する日までの間に第四条第一項の規定による墓地等の経営の許可に係る申請をした者に限る。)についての第三条の規定の適用については、同条第一項第二号中「区内に」とあるのは「都内に」と、同項第三号中「公益社団法人又は公益財団法人で、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第二十二条又は第百六十三条の主たる事務所又は同法第三百十二条第一項の従たる事務所を区内に有するもの」とあるのは「公益社団法人又は公益財団法人」とし、同条第二項の規定は、適用しない。

4 平成二十五年十一月三十日までの間、第三条第三号に規定する公益社団法人又は公益財団法人には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)第四十二条第一項に規定する特例社団法人又は特例財団法人を含むものとする。

5 この条例の施行の際、現に存する墓地等又は付則第三項に規定する者が経営しようとする墓地等の設置場所及び構造設備基準については、区域を拡張しようとする墓地、墳墓を設ける区域を拡張しようとする墓地又は施設を変更しようとする納骨堂若しくは火葬場を除き、第六条から第十一条までの規定を適用せず、施行日の前日における都条例第六条から第十一条までの規定の例による。

(令和四年六月二二日条例第二六号)

この条例は、令和四年九月一日から施行する。

港区墓地等の経営の許可等に関する条例

平成24年3月23日 条例第19号

(令和4年9月1日施行)