○港区暴力団排除条例

平成二十六年三月二十六日

条例第一号

(目的)

第一条 この条例は、港区(以下「区」という。)における暴力団排除活動に関し、基本理念を定め、区、区民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団排除活動を推進するための措置等を定め、もって区民等の安全で平穏な生活を確保し、及び事業活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。

 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。

 暴力団関係者 暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者をいう。

 区民等 区内に居住し、勤務し、在学し、若しくは滞在し、又は区内を通過する者をいう。

 事業者 区内において事業(その準備行為を含む。以下同じ。)を行う法人その他の団体又は事業を行う場合における個人をいう。

 警察等 警察署その他関係機関をいう。

 暴力団排除活動 暴力団員による不当な行為を防止し、及びこれにより区民等の生活又は区内における事業活動に生じた不当な影響を排除するための活動をいう。

(基本理念)

第三条 暴力団排除活動は、暴力団が区民等の生活及び区内における事業活動に不当な影響を与える存在であるとの認識の下、暴力団と交際しないこと、暴力団を恐れないこと、暴力団に資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として、区、区民等、事業者及び警察等との連携及び協力により推進するものとする。

(適用上の注意)

第四条 この条例の適用に当たっては、区民等及び事業者の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

(区の責務)

第五条 区は、区民等及び事業者の協力を得るとともに、警察等との連携を図りながら、暴力団排除活動に関する施策を総合的かつ効果的に推進するものとする。

(区民等の責務)

第六条 区民等は、第三条に規定する基本理念に基づき、次に掲げる行為を行うよう努めるものとする。

 暴力団排除活動に資すると認められる情報を知った場合には、区又は警察等に当該情報を提供すること。

 区が実施する暴力団排除活動に関する施策に参画し、又は協力すること。

 暴力団排除活動に自主的に、かつ、相互に連携して取り組むこと。

(事業者の責務)

第七条 事業者は、第三条に規定する基本理念に基づき、前条各号に定める行為を行うよう努めるとともに、従業員の安全及び事業の適正かつ円滑な実施を確保するため、暴力団排除のために適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

(暴力団の威力を利用することの禁止)

第八条 区民等及び事業者は、債権の回収、紛争の解決等のために、暴力団員を利用すること、自己が暴力団又は暴力団員と関係があることを認識させること等による相手方に対する威圧その他の暴力団の威力を利用してはならない。

(暴力団等に対する利益供与の禁止)

第九条 区民等及び事業者は、暴力団の威力を利用し、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することを目的として、暴力団若しくは暴力団関係者又はこれらのものが指定した者に対して金品その他の財産上の利益を供与してはならない。

(誓約書の提出)

第十条 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第五十五条第一項に基づく飲食店営業の許可を受けた者のうち、区内において営業を営むものは、前二条に規定する事項を遵守すること等を記載した誓約書を区長に提出しなければならない。

2 区長は、前項に規定する誓約書を提出しない者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

(区の行政対象暴力に対する措置)

第十一条 区長は、法第九条第二十一号から第二十七号までに掲げる行為(同条第二十五号に掲げる行為を除く。)その他の行政対象暴力(暴力団関係者が、不正な利益を得る目的で、区又は区の職員を対象として行う違法又は不当な行為をいう。)を防止し、区の職員の安全及び公務の適正かつ円滑な執行を確保するための必要な措置を講ずるものとする。

(区の事務事業に係る暴力団排除措置)

第十二条 区長は、補助金、利子補給金等の交付又は貸付金の貸付け(以下「補助金等の交付等」という。)、公共工事等の区の契約、区民等との協働による事業その他の区の事務又は事業により、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとならないよう、暴力団及び暴力団関係者の関与を防止するために必要な措置を講ずるものとする。

2 区長は、補助金等の交付等が、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資すると認めるときは、補助金等の交付等をせず、又は既に補助金等の交付等をしたものについて返還させることができる。

3 区長は、前項の規定により補助金等の交付等をせず、又は既に補助金等の交付等をしたものについて返還させようとするときは、あらかじめ、第十六条の港区暴力団排除審議会の意見を聴かなければならない。ただし、意見を聴く時間的余裕がないとき、当該補助金等の交付等が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが明白であるときその他特別な事由があるときは、この限りでない。

(公の施設における暴力団排除措置)

第十三条 区長若しくは教育委員会又は指定管理者(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者で区が設置する公の施設を管理する者のうち、利用の承認に係る権限を付与されたものをいう。以下同じ。)は、区が設置する公の施設の利用者について当該公の施設の利用の目的又は内容が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資するものと認めるときは、当該公の施設の利用について定める他の条例の規定にかかわらず、当該公の施設の利用の承認又は許可(以下「承認等」という。)をせず、又は当該利用の承認等を取り消すことができる。

2 区長若しくは教育委員会又は指定管理者は、前項の規定により利用の承認等をせず、又は利用の承認等を取り消そうとするときは、あらかじめ、第十六条の港区暴力団排除審議会の意見を聴かなければならない。ただし、意見を聴く時間的余裕がないとき、当該公の施設の利用の目的又は内容が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが明白であるときその他特別な事由があるときは、この限りでない。

(指導及び勧告)

第十四条 区長は、第十二条第二項の規定に基づき、補助金等の交付等に関し、返還を求めたにもかかわらず、正当な理由がなく返還に応じないものに対し、必要な指導を行うことができる。

2 区長は、前項の指導を受けてこれに従わないものに対しては、改めて返還するよう期間を定めて勧告することができる。

(公表)

第十五条 区長は、前条第二項の規定に基づく勧告を受けたものが、正当な理由がなくその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

2 区長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告を受けたものにその理由を通知し、そのものが意見を述べ、証拠を提示する機会を与えた上で、次条の港区暴力団排除審議会の意見を聴かなければならない。

(港区暴力団排除審議会)

第十六条 この条例に基づく暴力団排除活動を推進するための措置を適正に実施するため、区長の付属機関として、港区暴力団排除審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項について、区長に意見を述べるものとする。

 第十二条第三項第十三条第二項及び前条第二項の規定により定められた事項

 前号に掲げるもののほか、区長が必要と認める事項

3 審議会は、区長が委嘱し、又は任命する委員十人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、二年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(広報及び啓発)

第十七条 区長は、区民等及び事業者が暴力団排除活動の重要性について理解を深めることにより、暴力団排除活動の気運が醸成されるよう、警察等と連携し、広報及び啓発を行うものとする。

(区民等及び事業者に対する支援)

第十八条 区長は、区民等及び事業者が暴力団排除活動に自主的に、かつ、相互に連携して取り組むことができるよう、警察等と連携し、区民等及び事業者に対し、財政的支援、情報の提供、相談その他の必要な支援を行うことができる。

(青少年に対する措置等)

第十九条 青少年(十八歳未満の者をいう。以下同じ。)の教育又は育成に携わる者は、青少年に対し、暴力団に加入し、又は暴力団若しくは暴力団関係者による犯罪の被害を受けることがないよう、指導、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 区長は、前項に規定する措置を円滑に講ずることができるよう、警察等と連携し、青少年の教育又は育成に携わる者に対して情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

(警察等の長への協力要請)

第二十条 区長は、第十条から前条までに定める措置を講ずるに当たって、必要があると認めるときは、警察等の長に対し、情報の提供、助言その他の必要な協力を求めるものとする。

(国、東京都及び他の区市町村への協力)

第二十一条 区長は、国、東京都並びに他の特別区及び市町村が、暴力団排除活動に関する施策を円滑に講ずることができるよう、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。

(区民等及び事業者の安全確保のための措置)

第二十二条 区長は、祭礼、興行その他の公共の場所における行事への暴力団及び暴力団関係者の関与、区民等及び事業者が暴力団排除活動に取り組んだことによる暴力団及び暴力団関係者からの報復その他暴力団関係者がその所属する暴力団の威力を示して行う行為により、区民生活及び事業活動を妨げ、又は危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、警察署長に対し、区民等及び事業者の安全を確保するために必要な措置を講ずるよう要請するものとする。

(個人情報の提供)

第二十三条 港区個人情報の保護に関する法律施行条例(令和四年港区条例第五十三号)第二条第二項に規定する実施機関(以下「実施機関」という。)は、この条例に基づき暴力団排除活動を推進するため、必要に応じて、警察等、区民等及び事業者から必要な個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二条第一項に規定する個人情報をいう。以下同じ。)の提供を受けることができる。

2 実施機関は、この条例に基づき暴力団排除活動を推進するため必要があると認めるときは、区が保有する個人情報を警視総監及び警察署長に提供することができる。

(委任)

第二十四条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、区規則で定める。

1 この条例は、平成二十六年四月一日から施行する。

2 第十条の規定は、この条例の施行の日以後において飲食店営業の許可を受けた者(更新に係る申請に対する許可を受けた者を含む。)について適用する。

(令和三年三月一九日条例第八号)

この条例は、令和三年六月一日から施行する。

(令和四年一二月五日条例第五三号抄)

(施行期日)

第一条 この条例は、令和五年四月一日から施行する。

港区暴力団排除条例

平成26年3月26日 条例第1号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第5類 防災・生活安全/第2章 生活安全
沿革情報
平成26年3月26日 条例第1号
令和3年3月19日 条例第8号
令和4年12月5日 条例第53号