○港区債権管理条例
平成二十七年三月二十五日
条例第五号
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 区の私債権の管理(第六条―第十三条)
第三章 雑則(第十四条)
付則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、港区(以下「区」という。)の債権の管理に関する基本的事項、事務の処理その他必要な事項を定めることにより、区の債権を適正に管理することを目的とする。
一 区の債権 金銭の給付を目的とする区の権利をいう。
二 区の私債権 区の債権のうち、公債権(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第一項に規定する歳入に係る債権及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第四号に規定する地方税に係る債権をいう。)以外のものをいう。
(法令等との関係)
第三条 区の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例若しくはこれに基づく規則に定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(区長の責務)
第四条 区長は、法令又は条例若しくはこれに基づく規則の規定に基づき、適切かつ効率的に区の債権を管理しなければならない。
2 区長は、区の債権の管理の適正化を図るため、区の債権の管理に関する事務の処理についての手続を整えるとともに、当該事務の処理について必要な調整を行うものとする。
3 区長は、区の債権を適正に管理するために必要な人材を育成するものとする。
(債権管理体制の整備)
第五条 区長は、区の債権の管理に関する事務の状況を的確に把握するとともに、区の債権を適正に管理するための体制を整備するものとする。
第二章 区の私債権の管理
(督促)
第六条 区長は、区の私債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、区規則で定めるところによりこれを督促しなければならない。
一 担保の付されている区の私債権(保証人の保証がある区の私債権を含む。)については、当該区の私債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
二 債務名義のある区の私債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
2 区長は、前項各号に掲げる措置をとるに当たっては、債務者の収入状況、履行遅滞の理由その他必要な事項の把握及び債務者に対する必要な助言又は指導に努めるものとする。
(履行期限の繰上げ)
第八条 区長は、区の私債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第十一条第一項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第九条 区長は、区の私債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により区が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。
2 前項に規定するもののほか、区長は、区の私債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(徴収停止)
第十条 区長は、区の私債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
一 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
二 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
三 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
(履行延期の特約)
第十一条 区長は、区の私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
一 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
二 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
三 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
四 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る区の私債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
2 区長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る区の私債権は、徴収すべきものとする。
(免除)
第十二条 区長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約をした区の私債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約をした場合は、最初に履行延期の特約をした日)から十年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該区の私債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
一 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の適用を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、相当の期間弁済することができる見込みがないと認められるとき。
二 破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百五十三条第一項その他の法令の規定により債務者が当該区の私債権についてその責任を免れたとき。
三 第七条の規定により強制執行等の手続をとってなお完全に履行されない区の私債権について、強制執行等の手続が終了したときにおいて債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、弁済することができる見込みがないと認められるとき。
四 第十条の規定により徴収停止の措置をとった区の私債権について、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、弁済することができる見込みがないと認められるとき。
五 債務者が死亡し、当該債務について限定承認による相続があった場合において、その相続財産の価額が強制執行の費用並びに他に優先して区が弁済を受ける債権及び区以外の者の債権の金額の合計を超えないと見込まれるとき。
六 債務者が死亡、失踪、所在不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないと認められるとき。
七 当該区の私債権について消滅時効に係る時効期間が経過したとき(時効期間経過後に債務者が当該区の私債権の一部を弁済したときその他債務者が時効を援用しない特別な理由があるときを除く。)。
第三章 雑則
付則
1 この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。