○港区認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年3月31日

28港保高第3798号

(目的)

第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45第2項第6号に掲げる事業として、認知症の者及びその家族に対する初期支援を包括的かつ集中的に行うため、認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置し、認知症の早期診断及び早期対応に向けた支援を行うこと(以下「支援事業」という。)により、認知症の者及びその家族が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けることができる社会の実現に資することを目的とする。

(支援対象者)

第2条 支援事業の対象者(以下「支援対象者」という。)は、在宅で生活をしている認知症が疑われる者又は認知症の者で次の各号のいずれかに該当し、本人又は家族から同意を得たもの(かかりつけ医がいる者にあっては、かかりつけ医の同意を得た者)とする。

(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない者又は中断している者で、次のいずれかに該当するもの

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結びついていない者

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが、認知症の行動又は心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者のうち、支援チームが携わることが適当であると認める者

(支援チームの配置及び構成)

第3条 支援チームは、東京都が指定する地域連携型認知症疾患医療センター(以下「認知症疾患医療センター」という。)に配置するものとする。

2 支援チームは、次に掲げる者により構成するものとする。

(1) 保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等の医療、保健、福祉等に関する国家資格のいずれかを有する者

(2) 認知症ケアや在宅ケアの実務、相談業務等に3年以上携わった経験がある者

(3) 日本老年医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ、認知症サポート医である者

3 前項の規定にかかわらず、同項第3号に規定する専門医の確保が困難な場合は、当分の間、次のいずれかに該当する者をもって専門医とする。

(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの

(2) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断、治療等に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

4 支援チームの構成員(以下「チーム員」という。)は、国が実施する認知症初期集中支援チーム員研修(以下「研修」という。)を受講し、必要な知識及び技能を修得しなければならない。ただし、区長がやむを得ないと認める場合は、この限りでない。

(支援チームの活動内容)

第4条 支援事業の活動内容は、次のとおりとする。

(1) 区民への支援事業についての内容及び支援チームの役割に関する普及啓発

(2) 支援対象者の情報の把握

(3) 支援対象者の情報収集、観察及び評価

(4) 支援対象者への訪問

(5) チーム員会議の開催

(6) 初期集中支援の実施

(7) 引継後のモニタリング

(8) 支援実施中の情報の共有と医療介護の関係機関との連携

(9) 認知症初期集中支援チーム検討委員会への出席及び協力

(支援対象者の情報の把握)

第5条 支援対象者の把握については、チーム員が地域包括支援センター経由で支援対象者に関する情報を入手できるように配慮することとし、チーム員が直接支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センターと情報共有を図るものとする。

(支援対象者の情報収集、観察及び評価)

第6条 チーム員は、本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集するとともに、指定された観察・評価票を用いて認知症の包括的観察及び評価を行う。

(支援対象者への初回訪問時の支援)

第7条 チーム員は、支援対象者へ初めて訪問するときは、認知症の包括的観察及び評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等をおおむね2時間以内に行うものとする。

(チーム員会議の開催)

第8条 チーム員は、前条の規定による初回訪問を終えたときは、包括的観察及び評価の内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、チーム員会議を行うものとする。この場合において、必要があると認めるときは、支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門医等へ参加依頼を行うことができる。

2 チーム員は前項のチーム員会議を行うときは、チーム員会議記録票により当該会議の記録を行うものとする。

(初期集中支援の実施)

第9条 チーム員は、支援対象者が医療機関への受診が必要であると判断したときは、支援対象者への受診の動機付け、継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨及び誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善時の支援を行うものとする。

2 前項の支援の期間は、おおむね6か月を限度とする。

(引継後のモニタリング)

第10条 チーム員は、前条の規定による初期集中支援の終了をチーム員会議で判断したときは、地域包括支援センターの職員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引継ぎを行わなければならない。

2 チーム員は、前項の規定により引継ぎを行った2か月後に、チーム員会議において、サービスの利用状況等を評価し、必要に応じてモニタリングを行うものとする。

3 チーム員は、支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した文書を区長に速やかに提出するものとする。

(支援実施中の情報の共有)

第11条 地域包括支援センター等の関係機関は、支援対象者の情報を把握したときは、支援チームへの情報の提供等により情報共有を図るものとする。

(初期集中支援チーム検討委員会)

第12条 区長は、医療、保健又は福祉に関する業務に携わる者で構成する検討委員会を設置し、認知症初期集中支援の事業内容などの検証及び検討をさせるものとする。

(個人情報保護)

第13条 チーム員は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

この要綱は、平成29年4月1日から施行する。

港区認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年3月31日 港保高第3798号

(平成29年4月1日施行)