○港区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例

平成三十年三月十四日

条例第十一号

(目的)

第一条 この条例は、住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号。以下「法」という。)に基づき、住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関し必要な事項を定めることにより、区民の安全で安心できる生活環境を維持することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 住宅宿泊事業 法第二条第三項に規定する住宅宿泊事業をいう。

 住宅宿泊事業者 法第二条第四項に規定する住宅宿泊事業者であって、その営む住宅宿泊事業が港区(以下「区」という。)の区域内(以下「区内」という。)に存する住宅に係るものであるものをいう。

 住宅宿泊管理業務 法第二条第五項に規定する住宅宿泊管理業務をいう。

 住宅宿泊管理業者 法第二条第七項に規定する住宅宿泊管理業者をいう。

 家主居住型住宅宿泊事業 住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が届出住宅に人を宿泊させる間、不在とならないものであって、かつ、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うもの(当該住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者として、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うものを除く。)をいう。

 家主不在型住宅宿泊事業 住宅宿泊事業のうち、家主居住型住宅宿泊事業以外のものをいう。

2 前項に掲げるもののほか、この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。

(区の責務)

第三条 区は、この条例の目的を達成するため、住宅宿泊事業の適正な運営の確保に必要な施策を実施するものとする。

2 区は、前項の施策の実施に当たっては、必要に応じ、区の区域を管轄する警察署及び消防署その他の関係機関と連携するものとする。

(住宅宿泊事業者の責務)

第四条 住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の良好な生活環境の維持に努めなければならない。

2 住宅宿泊事業者は、区が実施する国際交流、観光振興、商店街振興その他の施策に協力するよう努めなければならない。

(住宅宿泊事業を制限する区域及び期間)

第五条 法第十八条の規定による条例で定める家主不在型住宅宿泊事業及び家主居住型住宅宿泊事業の実施の制限は、次項から第五項までに定めるとおりとする。

2 家主不在型住宅宿泊事業の実施を制限する区域は、次に掲げる区域とする。

 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域

 東京都文教地区建築条例(昭和二十五年東京都条例第八十八号)に規定する文教地区

3 届出住宅を構成する建築物の敷地が、前項の規定により制限を受ける区域の内外にわたる場合においては、その敷地の全部について、敷地の過半の属する区域の規定を適用する。

4 第二項各号に掲げる区域において家主不在型住宅宿泊事業の実施を制限する期間は、一月十一日正午から三月二十日正午まで、四月十一日正午から七月十日正午まで及び九月一日正午から十二月二十日正午までとする。

5 家主居住型住宅宿泊事業については、実施の制限は行わないものとする。

(事前周知)

第六条 住宅宿泊事業を営もうとする者は、住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごとに、次に掲げる事項について、法第三条第一項の届出をしようとする日の十四日前までに、当該住宅の近隣住民(当該住宅を構成する建築物に居住する者を含む。)その他の区規則で定める者に対し、書面により通知しなければならない。

 商号、名称又は氏名及び連絡先

 住宅が住宅宿泊事業の用に供されるものであること。

 住宅の所在地

 住宅宿泊事業を開始しようとする日

 住宅宿泊管理業務の委託をする場合においては、住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名及び連絡先

2 住宅宿泊事業を営もうとする者は、法第三条第一項の届出の際に、併せて、前項の規定による通知を行った旨を区規則で定めるところにより区長に報告しなければならない。

(標識の掲示等)

第七条 住宅宿泊事業者は、法第十三条の規定に基づき、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、住宅宿泊事業法施行規則(平成二十九年厚生労働省・国土交通省令第二号。以下「省令」という。)で定める様式の標識を掲げなければならない。

2 共同住宅等で住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者は、前項に規定する標識の掲示に加え、当該共同住宅等の外部から認識できる場所に届出番号及び室番号等を表示しなければならない。ただし、当該表示をすることについて、共同住宅等における管理を行うための団体(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第三条に規定する団体をいう。)から承諾が得られないときその他の区長がやむを得ない理由があると認めるときは、この限りでない。

(宿泊者の衛生の確保)

第八条 住宅宿泊事業者は、法第五条の規定に基づき、届出住宅について、住宅宿泊事業の用に供する居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃及び換気その他の宿泊者の衛生の確保を図るために必要な措置であって厚生労働省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成二十九年厚生労働省令第百十七号)で定めるものを講じなければならない。

(宿泊者の安全の確保)

第九条 住宅宿泊事業者は、法第六条の規定に基づき、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示その他の火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置であって国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成二十九年国土交通省令第六十五号)で定めるものを講じなければならない。

(宿泊者名簿の備付け等)

第十条 住宅宿泊事業者は、法第八条の規定に基づき、省令で定めるところにより届出住宅その他の省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業、国籍及び旅券番号(宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときに限る。)その他の省令で定める事項を記載し、区長が要求したときは、これを提出しなければならない。

2 宿泊者は、住宅宿泊事業者から請求があったときは、前項の省令で定める事項を告げなければならない。

(宿泊者に対する注意事項の説明)

第十一条 住宅宿泊事業者は、法第九条の規定に基づき、省令で定めるところにより、宿泊者に対し、騒音、火災及び犯罪の防止のために配慮すべき事項、ごみの処理に関し配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項であって省令で定めるものについて、書面の備付けその他の宿泊者が必要に応じて当該事項を確認できる方法により説明しなければならない。

2 住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて前項の規定による説明をしなければならない。

3 前二項の規定により宿泊者に説明すべき具体的な事項については、区規則で定める。

(苦情等への対応)

第十二条 住宅宿泊事業者は、法第十条の規定に基づき、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せ(以下「苦情等」という。)については、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない。

2 前項の規定による対応は、苦情等の内容に応じ、現地に赴いて行うよう努めなければならない。

3 住宅宿泊事業者は、苦情等に対応した場合には、当該苦情等を受けた日並びに当該苦情等及び対応の内容を記録し、その記録の日から当該記録を三年間保存しなければならない。

(廃棄物の適正処理)

第十三条 住宅宿泊事業者は、住宅宿泊事業の実施に伴い生じた廃棄物を港区廃棄物の処理及び再利用に関する条例(平成十一年港区条例第三十三号)第二条第二項第二号に規定する事業系廃棄物として適正に処理しなければならない。

(届出住宅の公表)

第十四条 区長は、届出住宅に関する次に掲げる事項を公表するものとする。

 届出住宅の所在地

 届出番号

 家主不在型住宅宿泊事業を営むものである場合においては、住宅宿泊事業者の連絡先

2 住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅についての前項第三号の規定の適用については、同号中「住宅宿泊事業者の連絡先」とあるのは、「住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名及び連絡先」とする。

(指導)

第十五条 区長は、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、住宅宿泊事業者に対し、必要な指導を行うことができる。

2 住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅についての前項の規定の適用については、同項中「住宅宿泊事業者」とあるのは、「住宅宿泊事業者又は住宅宿泊管理業者」とする。

(業務改善命令)

第十六条 区長は、法第十五条の規定に基づき、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、住宅宿泊事業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 区長は、法第四十一条第二項の規定に基づき、住宅宿泊管理業(法第三十六条において準用する法第五条から第十条までの規定による業務に限る。第十八条第二項において同じ。)の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、住宅宿泊管理業者(区内において住宅宿泊管理業を営む者に限る。第十八条第二項において同じ。)に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(業務停止命令等)

第十七条 区長は、法第十六条第一項の規定に基づき、住宅宿泊事業者がその営む住宅宿泊事業に関し法令又は前条第一項の規定による命令に違反したときは、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

2 区長は、法第十六条第二項の規定に基づき、住宅宿泊事業者がその営む住宅宿泊事業に関し法令又は前条第一項若しくは前項の規定による命令に違反した場合であって、他の方法により監督の目的を達成することができないときは、住宅宿泊事業の廃止を命ずることができる。

3 区長は、法第十六条第三項の規定に基づき、前二項の規定による命令をしたときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を住宅宿泊事業者に通知しなければならない。

(報告徴収及び立入検査)

第十八条 区長は、法第十七条第一項の規定に基づき、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、住宅宿泊事業者に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、届出住宅その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 区長は、法第四十五条第二項の規定に基づき、住宅宿泊管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、住宅宿泊管理業者に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、住宅宿泊管理業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

(建物又は土地の提供者等の責務)

第十九条 区内に存する建物又は土地を他人に賃貸その他の方法により提供する者は、当該提供に係る契約の締結に際して、住宅宿泊事業の実施の可否を当該契約書に記載するよう努めなければならない。

2 区内に存する建物の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律第二条第二項に規定する区分所有者をいう。)は、住宅宿泊事業の実施の可否を規約等(同法第三十条第一項の規約及び当該規約に基づき定める細則等をいう。)で定めるよう努めなければならない。

(住宅宿泊管理業務の委託がされた場合の適用除外及び住宅宿泊管理業者への準用)

第二十条 第四条及び第八条から第十三条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、適用しない。

2 第四条及び第八条から第十三条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊管理業を営む住宅宿泊管理業者について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第八条

法第五条

法第三十六条において準用する法第五条

第九条

法第六条

法第三十六条において準用する法第六条

第十条第一項

法第八条

法第三十六条において準用する法第八条

第十一条第一項

法第九条

法第三十六条において準用する法第九条

第十二条第一項

法第十条

法第三十六条において準用する法第十条

(委任)

第二十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、区規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成三十年六月十五日から施行する。ただし、第六条並びに次項及び付則第三項の規定は、同年三月十五日から施行する。

(経過措置)

2 住宅宿泊事業を営もうとする者であって法附則第二条第一項前段の届出をしようとし、又は届出をしたものについての第六条第一項の規定の適用については、同項中「法第三条第一項の届出をしようとする日」とあるのは、「この条例の施行の日」とする。

3 前項に規定する者は、この条例の施行の日の十四日前までに、同項の規定により読み替えて適用する第六条第一項の規定による通知を行った旨及びその内容を区規則で定めるところにより区長に報告しなければならない。

4 前項の規定による報告を行った者については、第六条第二項の規定は、適用しない。

港区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例

平成30年3月14日 条例第11号

(平成30年6月15日施行)