○港区幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例
令和二年十二月九日
条例第五十二号
(趣旨)
第一条 この条例は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号。以下「法」という。)第十三条第一項の規定に基づき、港区(以下「区」という。)における幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」という。)を定めるものとする。
(定義)
第二条 この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。
(設備運営基準の目的)
第三条 設備運営基準は、幼保連携型認定こども園の園児が、明るく衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかに育成されることを保障するものとする。
(設備運営基準の向上)
第四条 区長は、港区児童福祉審議会条例(令和二年港区条例第五十号)第一条に規定する港区児童福祉審議会の意見を聴き、その監督に属する幼保連携型認定こども園に対し、設備運営基準を超えて、その設備及び運営を向上させるように勧告することができる。
2 区は、設備運営基準を常に向上させるように努めるものとする。
(設備運営基準と幼保連携型認定こども園)
第五条 幼保連携型認定こども園は、設備運営基準を超えて、常にその設備及び運営を向上させなければならない。
2 設備運営基準を超えて設備を有し、又は運営をしている幼保連携型認定こども園は、設備運営基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならない。
(学級の編制の基準)
第六条 満三歳以上の園児については、教育課程に基づく教育を行うため、学級を編制するものとする。
2 学級の編制は、区規則で定める基準を満たさなければならない。
(職員の配置の基準)
第七条 幼保連携型認定こども園には、各学級に、当該学級を専任で担当する主幹保育教諭、指導保育教諭又は保育教諭(次項において「保育教諭等」という。)を一人以上置かなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、特別の事情があるときは、保育教諭等は、専任の副園長若しくは教頭が兼ね、又は当該幼保連携型認定こども園の学級数の三分の一を超えない範囲で、専任の助保育教諭若しくは講師をもって代えることができる。
3 幼保連携型認定こども園には、園児の教育及び保育(満三歳未満の園児については、その保育。以下同じ。)に直接従事する職員として、次に掲げる基準を満たす数の職員を置かなければならない。この場合において、園児の教育及び保育に直接従事する職員の数は、常時二人を下回ってはならない。
一 満一歳未満の園児おおむね三人につき一人以上
二 満一歳以上満三歳未満の園児おおむね六人につき一人以上
三 満三歳以上満四歳未満の園児おおむね二十人十五人につき一人以上
四 満四歳以上の園児おおむね三十人二十五人につき一人以上
4 前項の規定により幼保連携型認定こども園に置かなければならない職員の数の算定方法等については、区規則で定める。
5 幼保連携型認定こども園には、調理員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する幼保連携型認定こども園にあっては、調理員を置かないことができる。
6 幼保連携型認定こども園には、次に掲げる職員を置くよう努めなければならない。
一 副園長又は教頭
二 主幹養護教諭、養護教諭又は養護助教諭
三 事務職員
(園舎及び園庭)
第八条 幼保連携型認定こども園には、園舎及び園庭を備えなければならない。
2 園舎は、二階建て以下とする。ただし、特別の事情がある場合は、三階建て以上とすることができる。
3 乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室又は便所(以下この項において「保育室等」という。)は、一階に設けるものとする。ただし、区規則で定める基準を満たす場合は、保育室等を二階以上に設けることができる。
4 園舎及び園庭は、同一の敷地内又は隣接する位置に設けるものとする。
5 園舎及び園庭の面積は、次に掲げる基準を満たさなければならない。
一 園舎の面積は、次に掲げる面積を合算した面積以上とすること。
(一) 一学級 百八十平方メートル
(二) 二学級以上 三百二十に、学級数から二を減じた数に百を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。)
ロ 満三歳未満の園児数に応じ、次条第四項の規定により算定した面積
二 園庭の面積は、次に掲げる面積を合算した面積以上とすること。
イ 次に掲げる面積のうちいずれか大きい方の面積
(イ) 二学級以下 三百三十に、学級数から一を減じた数に三十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。)
(ロ) 三学級以上 四百に、学級数から三を減じた数に八十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。)
(二) 三・三平方メートルに満三歳以上の園児数を乗じて得た面積
ロ 三・三平方メートルに満二歳以上満三歳未満の園児数を乗じて得た面積
(園舎に備えるべき設備)
第九条 園舎には、次に掲げる設備(第二号に掲げる設備については、満二歳未満の保育を必要とする子どもを入園させる場合に限る。)を備えなければならない。ただし、特別の事情があるときは、保育室と遊戯室及び職員室と保健室とは、それぞれ兼用することができる。
一 職員室
二 乳児室又はほふく室
三 保育室
四 遊戯室
五 保健室
六 調理室
七 便所
八 飲料水用設備、手洗用設備及び足洗用設備
2 保育室(満三歳以上の園児に係るものに限る。)の数は、学級数を下回ってはならない。
3 飲料水用設備は、手洗用設備又は足洗用設備と区別して備えなければならない。
一 乳児室又はほふく室の面積は、満二歳未満の園児一人につき三・三平方メートル以上であること。
二 保育室又は遊戯室の面積は、満二歳以上の園児一人につき一・九八平方メートル以上であること。
5 第一項に掲げる設備のほか、園舎には、次に掲げる設備を備えるよう努めなければならない。
一 放送聴取設備
二 映写設備
三 水遊び場
四 園児清浄用設備
五 図書室
六 会議室
(園具及び教具)
第十条 幼保連携型認定こども園には、学級数及び園児数に応じ、教育上及び保育上、保健衛生上並びに安全上必要な種類及び数の園具及び教具を備えなければならない。
2 前項の園具及び教具は、常に改善し、補充しなければならない。
(教育及び保育を行う期間及び時間)
第十一条 幼保連携型認定こども園における教育及び保育を行う期間及び時間は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一 毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、三十九週を下回ってはならないこと。
二 教育に係る標準的な一日当たりの時間(次号において「教育時間」という。)は、四時間とし、園児の心身の発達の程度、季節等に適切に配慮すること。
三 保育を必要とする子どもに該当する園児に対する教育及び保育の時間(満三歳以上の保育を必要とする子どもに該当する園児については、教育時間を含む。)は、一日につき八時間を原則とすること。
2 前項第三号の時間については、入園している園児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して、園長がこれを定めるものとする。
3 幼保連携型認定こども園における開園日は、次に掲げる日を除いた日を原則とする。
一 日曜日
二 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
4 幼保連携型認定こども園における開園時間は、一日につき十一時間を原則とする。
(子育て支援事業の内容)
第十二条 幼保連携型認定こども園における保護者に対する子育ての支援は、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本認識の下に、子育てを自ら実践する力の向上を積極的に支援することを旨として、教育及び保育に関する専門性を十分に活用し、子育て支援事業のうち、区における教育及び保育に対する需要に照らして実施することが必要と認められるものを、保護者の要請に応じ適切に提供し得る体制の下で行うものとする。
2 前項の規定により子育ての支援を行うに当たっては、地域の人材、社会資源等の活用を図るよう努めるものとする。
(掲示)
第十三条 幼保連携型認定こども園は、その建物又は敷地の公衆の見やすい場所に、当該施設が幼保連携型認定こども園である旨を掲示しなければならない。
(履修困難な教育内容の指導)
第十四条 園児が心身の状況によって履修することが困難な教育内容は、当該園児の心身の状況に適合するように課さなければならない。
(幼保連携型認定こども園の一般原則)
第十五条 幼保連携型認定こども園は、園児の人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して、その運営を行わなければならない。
2 幼保連携型認定こども園は、地域社会との交流及び連携を図り、園児の保護者及び地域社会に対し、当該幼保連携型認定こども園の運営の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
3 幼保連携型認定こども園には、法に定める幼保連携型認定こども園の目的を達成するために必要な設備を設けなければならない。
(職員の知識及び技能の向上等)
第十六条 幼保連携型認定こども園の職員は、常に自己研鑽に励み、法に定める幼保連携型認定こども園の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない。
2 幼保連携型認定こども園は、職員の資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。
(差別的取扱いの禁止)
第十七条 幼保連携型認定こども園は、園児及びその保護者等の国籍、信条、社会的身分又は入園に要する費用を負担するか否かによって、差別的取扱いをしてはならない。
(虐待等の禁止)
第十八条 幼保連携型認定こども園の職員は、園児に対し、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十三条の十各号に掲げる行為その他当該園児の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない。
(不当な行為の禁止)
第十九条 園長は、園児に対して教育及び保育又は指導を行うに当たっては、身体的苦痛を与え、人格を辱める等不当な行為をしてはならない。
(業務継続計画の策定等)
第二十条 幼保連携型認定こども園は、感染症又は非常災害の発生時において、園児の教育及び保育を継続的に実施し、並びに非常時の体制における早期の業務再開を図るための計画(以下この条において「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 幼保連携型認定こども園は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施するよう努めなければならない。
3 幼保連携型認定こども園は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うよう努めるものとする。
(食事)
第二十一条 幼保連携型認定こども園は、保育を必要とする子どもに該当する園児に食事を提供するときは、当該幼保連携型認定こども園内で調理する方法(第二十七条第一項の規定により、当該幼保連携型認定こども園の調理室を兼ねている他の学校、社会福祉施設等の調理室において調理する方法を含む。)により行わなければならない。
2 幼保連携型認定こども園は、園児に食事を提供するときは、その献立は、できる限り変化に富み、園児の健全な発育に必要な栄養量を含有するものでなければならない。
3 食事は、前項の規定によるほか、食品の種類及び調理方法について栄養並びに園児の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
4 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。
5 幼保連携型認定こども園は、園児の健康な生活の基本としての食を営む力の育成に努めなければならない。
(秘密保持等)
第二十二条 幼保連携型認定こども園の職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た園児又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2 幼保連携型認定こども園は、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た園児又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(苦情への対応)
第二十三条 幼保連携型認定こども園は、その行った教育及び保育(満三歳未満の園児については、その行った保育。次項において同じ。)並びに子育ての支援に関する園児又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 幼保連携型認定こども園は、その行った教育及び保育並びに子育ての支援について、区又は東京都から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
3 幼保連携型認定こども園は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う同法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(非常災害対策)
第二十四条 幼保連携型認定こども園は、消火器等の消火用具、非常口その他非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に対する具体的計画を策定し、不断の注意を払い、訓練をするように努めなければならない。
2 前項の訓練のうち、消火訓練及び避難訓練は、少なくとも毎月一回は、これを行わなければならない。
(保護者との連絡)
第二十五条 園長は、常に園児の保護者と密接な連絡をとり、教育及び保育の内容等につき、当該保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない。
(他の学校又は社会福祉施設の職員を兼ねるときの職員の基準)
第二十六条 幼保連携型認定こども園は、その運営上必要と認められる場合は、当該幼保連携型認定こども園の職員の一部を他の学校又は社会福祉施設の職員に兼ねることができる。
2 前項の規定は、園児の保育に直接従事する職員については、適用しない。ただし、他の社会福祉施設の職員に兼ねる場合であって、その行う保育に支障がないときは、この限りでない。
(他の学校、社会福祉施設等の設備を兼ねるときの設備の基準)
第二十七条 幼保連携型認定こども園は、その運営上必要と認められる場合は、当該幼保連携型認定こども園の設備の一部を他の学校、社会福祉施設等の設備に兼ねることができる。
2 前項の規定は、乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室及び便所については、適用しない。ただし、他の社会福祉施設の設備に兼ねる場合であって、その行う保育に支障がないときは、この限りでない。
(一般的基準)
第二十八条 幼保連携型認定こども園の位置は、その運営上適切で、通園の際安全な環境にこれを定めなければならない。
2 幼保連携型認定こども園の設備は、指導、保健衛生、安全及び管理に関し、適切なものでなければならない。
(委任)
第二十九条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、区規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。
イ 次に掲げる面積のうちいずれか大きい方の面積 (一) 次の(イ)及び(ロ)に掲げる学級数の区分に応じ、それぞれ(イ)及び(ロ)に定める面積 (イ) 二学級以下 三百三十に、学級数から一を減じた数に三十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) (ロ) 三学級以上 四百に、学級数から三を減じた数に八十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) (二) 三・三平方メートルに満三歳以上の園児数を乗じて得た面積 | イ 次の(一)及び(二)に掲げる学級数の区分に応じ、それぞれ(一)及び(二)に定める面積 (一) 二学級以下 三百三十に、学級数から一を減じた数に三十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) (二) 三学級以上 四百に、学級数から三を減じた数に八十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) | |
満二歳以上の園児 | 第十一条第一項第二号に規定する教育時間以外について、満二歳以上の園児 |
イ 次の(一)及び(二)に掲げる学級数の区分に応じ、それぞれ(一)及び(二)に定める面積 (一) 一学級 百八十平方メートル (二) 二学級以上 三百二十に、学級数から二を減じた数に百を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) | イ 満三歳以上の園児数に応じ、第九条第四項の規定により算定した面積 | |
イ 次に掲げる面積のうちいずれか大きい方の面積 (一) 次の(イ)及び(ロ)に掲げる学級数の区分に応じ、それぞれ(イ)及び(ロ)に定める面積 (イ) 二学級以下 三百三十に、学級数から一を減じた数に三十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) (ロ) 三学級以上 四百に、学級数から三を減じた数に八十を乗じて得た数を加えた数値の面積(平方メートルを単位とする。) (二) 三・三平方メートルに満三歳以上の園児数を乗じて得た面積 | イ 三・三平方メートルに満三歳以上の園児数を乗じて得た面積 |
4 平成二十七年三月三十一日において現に幼稚園又は保育所を設置している者が、当該幼稚園又は保育所を廃止し、当該幼稚園又は保育所と同一の所在場所において、当該幼稚園又は保育所の設備を用いて設置する場合における当該幼保連携型認定こども園であって、当該幼保連携型認定こども園の園舎と同一の敷地内又は隣接する位置に第八条第五項第二号イの面積以上の園庭を設けるものは、当分の間、次に掲げる要件の全てを満たす場所の面積を同号の園庭の面積とすることができる。この場合において、当該幼保連携型認定こども園は、満三歳以上の園児の教育及び保育に支障がないようにしなければならない。
一 園児が安全に移動できる場所であること。
二 園児が安全に、かつ、日常的に利用できる場所であること。
三 教育及び保育の適切な提供が可能な場所であること。
6 前項の場合において、当該保健師等は、補助者として従事する場合を除き、教育課程に基づく教育に従事してはならない。
付則(令和五年六月三〇日条例第二五号)
この条例は、公布の日から施行する。
付則(令和六年一〇月一六日条例第三一号)
この条例は、令和七年四月一日から施行する。