○港区児童福祉施設等指導検査実施要綱

令和3年3月31日

2港子子第4585号

(趣旨)

第1条 この要綱は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく児童福祉施設(保育所及び障害児入所施設を除く。)及び児童自立生活援助事業を運営する自立援助ホーム(以下「児童福祉施設等」という。)に対する指導及び検査(以下「指導検査」という。)について、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要綱における用語の意義は、児童福祉法において使用する用語の例による。

(指導検査の目的)

第3条 指導検査は、児童福祉法のほか、労働基準法(昭和22年法律第49号)、消防法(昭和23年法律第186号)その他法令(以下これらを「関係法令」という。)に照らし、設備及び運営に関する基準等の適合状況並びに区が別に定める指導検査に係る基準、方針等(次条において「区の基準等」という。)に対する実施状況等について個別的に明らかにし、必要な助言及び指導又は是正の措置を講ずることにより、児童福祉施設等の適正な運営及びサービスの質の確保並びに利用者支援の充実を図り、もって区における社会福祉のより一層の増進に寄与することを目的とする。

(指導検査の基本方針)

第4条 区長は、指導検査を行うに当たっては、児童福祉法、関係法令、設備及び運営に関する基準等並びに区の基準等を基本とし、指導検査に関する国の通知、これまでの指導検査の実績等を勘案し、厳正に重点的かつ効果的に実施する。

2 区長は、指導検査が画一的又は形式的になることのないように、問題の発生原因及び是正策を明らかにして、児童福祉施設等の問題の解決を図り、その自律的な運営を促すための具体的な助言及び指導を行う。

3 区長は、児童福祉施設等が関係法令に違反し、又はその運営が著しく適正を欠いているために、当該児童福祉施設等の運営等に重大な支障が認められ、かつ、是正の措置が速やかに講じられないと認めるときは、法令に定めるところにより行政処分を行うための手続を進める。

4 児童福祉施設等の運営指導を行う所管課は、指導検査の実施及び指導検査の結果に係る処理に当たっては、関係部署との情報交換を密にする等十分に連携を図る。

(指導検査の類型)

第5条 指導検査は、一般指導検査及び特別指導検査に分けて実施する。

2 一般指導検査は、指導検査に係る事項の全体について、児童福祉施設等の所在地において行う検査及び当該検査において改善すべき事項が認められ、当該検査後に児童福祉施設等から改善報告書等が提出された場合に書面により、又は当該児童福祉施設等の所在地において再度行う検査をいう。ただし、必要に応じて、あらかじめ指導検査に係る事項を限定して定め、短時間で実施することができるものとする。

3 特別指導検査は、児童福祉施設等が次の各号のいずれかに該当する場合に、特定の指導検査に係る事項を定め、重点的に、又は改善が図られるまで継続的に行う検査をいい、当該児童福祉施設等の所在地において行う。

(1) 関係法令に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くために、児童福祉施設等の運営等に重大な支障を及ぼしているおそれがあると認めるに足りる理由があるとき。

(2) 一般指導検査後の改善が認められないとき。

(3) 正当な理由がなく、一般指導検査を拒否したとき。

(指導検査の実施方針)

第6条 区長は、指導検査を重点的かつ効果的に行うため、児童福祉行政等の動向を踏まえ、指導検査の重点項目を掲げる指導検査実施方針を、毎年度、指導検査を開始する前に別に定める。

(指導検査の計画等)

第7条 区長は、実施時期及び班編成等を含む検査計画を、毎年度指導検査を開始するときまでに別に策定する。

2 区長は、児童福祉施設等の運営等に問題が発生した場合又は通報等により、そのおそれがあると認められる場合は、前項の検査計画に定める実施時期にかかわらず、適宜指導検査を実施する。

(調査書等の提出)

第8条 区長は、児童福祉施設等に指導検査実施方針を踏まえて指導検査に係る項目を記載した児童福祉施設等調査書を作成の上、送付し、毎年度、指定期限までに調査書への回答及び関係資料の提出を求める。

(指導検査の基準)

第9条 区長は、指導検査に係る項目、関係法令及び評価事項等を集約した指導検査の基準を別に定めるものとし、その評価の区分(以下「評価区分」という。)は、別表のとおりとする。

(一般指導検査の実施)

第10条 区長は、原則として児童福祉施設等の設置者に対して、一般指導検査の実施の通知をあらかじめ送付する。

2 前項の規定にかかわらず、児童福祉施設等の運営等に問題が発生した場合又は通報等でそのおそれがあると認められる場合には、区長は、一般指導検査の開始時に文書を提示する等の方法により一般指導検査を行う。

3 一般指導検査の体制は、原則として係長級以上の職にある者を長とする職員2人以上で指導検査班を編成する。

4 区長は、一般指導検査の終了後、児童福祉施設等の設置者及びその施設長等に対して、実地検査指導事項票により、一般指導検査に係る結果を講評し、改善の必要な事項及びその解決方法を口頭で指示する。ただし、法令の解釈等で疑義が生じた等の場合は、事後に児童福祉施設等の設置者及びその施設長等を招致してこれを行うことができる。

5 区長は、実地検査の効果を高めるために、必要に応じて、児童福祉施設等の運営指導を行う所管課の職員、関係行政機関の職員又は当該児童福祉施設等の関係者に対し、一般指導検査への立会いを求め、又は必要事項の調査若しくは照会を行うことができる。

(一般指導検査後の取扱い)

第11条 区長は、一般指導検査終了後、直ちにその結果について綿密に検討し、問題点がある場合はこれを明確にした上で、一般指導検査に係る結果通知をその児童福祉施設等の設置者宛てに文書で送付する。この場合において、評価区分に照らして文書指摘事項が認められるときは、問題点及びその改善方法等を具体的に記載する。

2 区長は、一般指導検査をより効果的なものとするため、一般指導検査に係る結果通知を一般指導検査終了後速やかに送付する。

3 区長は、一般指導検査に係る結果の文書指摘事項について、児童福祉施設等の設置者に対し原則として30日以内に改善状況報告書又は改善計画書の提出を求め、その改善内容を確認し、その改善内容に不備があった場合は再提出を指示する。

4 区長は、関係行政機関に対しては、必要に応じ、一般指導検査の結果を通知し、又は協議を行う等、連携を密にする。

5 区長は、児童福祉施設等が度重なる一般指導検査によっても、改善の措置を講じないと認められるときは、当該児童福祉施設を特別指導検査の実施対象とする。

(特別指導検査の実施)

第12条 特別指導検査の実施の通知は、一般指導検査に準じて、あらかじめ文書により行う。ただし、死亡事故等の重大事故が発生した場合又は児童の生命、心身若しくは財産に重大な被害が生じるおそれが認められる場合等においては、指導検査の目的に照らして、必要に応じて特別指導検査の開始時に文書を提示する等の方法により行うことができる。

2 特別指導検査の体制は、原則として課長級以上の職にある者を長とする職員4人以上で指導検査班を編成することとし、課長級以上の職にある者を除く職員のうち1人以上は、原則として係長級以上の職にある者とする。

3 区長は、特別指導検査の実施に当たっては、指導検査の目的及び効果をその都度勘案し、問題の重要性、緊急性等の状況に応じ、重点的に、又は改善が図られるまでの間これを継続的に実施する。

4 区長は、特別指導検査の終了後、当該児童福祉施設等の設置者及び施設長等に対して検査結果を講評し、改善の必要な事項と解決方法を口頭で指示する。ただし、法令の解釈等で疑義が生じた等の場合は、事後に児童福祉施設等の関係者を招致して、これを行うことができる。

5 区長は、特別指導検査の効果を高めるために、必要に応じて、運営指導を行う所管課の職員、関係行政機関の職員又は当該児童福祉施設等の関係者に対し、特別指導検査への立会いを求め、又は必要事項の調査若しくは照会を行うことができる。

(特別指導検査後の措置)

第13条 区長は、特別指導検査に係る結果については、児童福祉施設等の設置者宛てに理由を付して文書で通知する。

2 区長は、特別指導検査に係る結果の文書指摘事項について、児童福祉施設等の設置者に対し原則として30日以内に改善状況報告書又は改善計画書の提出を求め、その改善内容に不備があった場合は再提出を指示する。

3 区長は、改善状況報告書若しくは改善計画書が期限内に提出されないとき、又はこれらに記載された内容を精査した結果、改善の意思がなく、若しくは改善を怠っていると認められるときは、法令の定めるところにより必要な改善を勧告する。

4 区長は、前項の規定による勧告によってもなお改善が図られないとき、又は改善の見込みがなく、かつ、児童福祉の観点から有害であると認められるときは、行政処分を行うための手続を進める。

5 区長は、利用者の支援に重大な影響が及んでいる等緊急を要すると認められるときは、第2項及び第3項の規定にかかわらず、直ちに法令に基づく行政処分を行うための手続を進める。

(指導検査に係る結果の提供)

第14条 一般指導検査及び特別指導検査に係る結果は、適宜これを集約し、区の行政運営に資するため、関係課及び東京都等関係行政機関に提供する。

(指導検査に係る情報の公開)

第15条 区長は、指導検査に関する情報は、個人情報など関係法令により非開示とされる場合を除き、公開することができる。

(身分証明書の携帯)

第16条 指導検査の検査員は、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)に定める身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。

この要綱は、令和3年4月1日から適用する。

別表(第9条関係)

評価区分

指導形態

C

文書指摘

福祉関係法令及び福祉関係通達等に違反する場合(軽微な違反の場合を除く。)は、原則として、「文書指摘」とする。ただし、改善中の場合、特別な事情により改善が遅延している場合等は、「口頭指導」とすることができる。

B

口頭指導

福祉関係法令以外の関係法令又はその他の通達等に違反する場合は、原則として、「口頭指導」とする。ただし、管理運営上支障が大きいと認められる場合又は正当な理由なく改善を怠っている場合は、「文書指摘」とする。

なお、福祉関係法令及び福祉関係通達等に違反する場合であっても、軽微な違反の場合に限り、「口頭指導」とすることができる。

A

助言指導

法令及び通達等のいずれにも適合する場合は、水準向上のための「助言指導」を行う。

港区児童福祉施設等指導検査実施要綱

令和3年3月31日 港子子第4585号

(令和3年4月1日施行)