○港区認可外保育施設に対する指導監督等要綱

令和3年3月31日

2港子政第1234号

(趣旨)

第1条 この要綱は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)に基づく認可外保育施設に係る届出及び認可外保育施設に対する指導監督について、必要な事項を定めるものとする。

(対象施設等)

第2条 この要綱は、法第6条の3第9項から同条第12項までに規定する業務又は法第39条に規定する業務を目的とする施設又は事業であって、法第35条第3項の規定による届出をしていないもの又は法第34条の15第2項若しくは法第35条第4項の認可又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第17条第1項の規定による認可を受けていないもの(法第58条の規定により児童福祉施設若しくは家庭的保育事業等の認可を取り消されたもの又は認定こども園法第22条第1項の規定により幼保連携型認定こども園の認可を取り消されたものを含む。以下「認可外保育施設」という。)を対象とする。

(指導監督の事項)

第3条 この要綱に基づく指導監督は、認可外保育施設に入所している児童の福祉のために必要と認められる範囲内で、別表第1に定める認可外保育施設指導監督基準(以下「指導監督基準」という。)により行うことを原則とする。ただし、1日当たりの入所児童数が5人以下の施設又は他の事業実施要綱等で施設等の基準等が定められている認可外保育施設であって、区長が必要と認める場合は、指導監督基準の一部又は全部を適用しないことができる。

(事前指導)

第4条 区長は、認可外保育施設を設置しようとする者等から相談があった場合は、法に基づく指導監督の趣旨及び内容等を説明し、指導監督基準の遵守を求めるものとする。

(開設等の届出)

第5条 法第59条の2第1項の規定による開設の届出は、認可外保育施設設置届(第1号様式)により行うものとする。

2 法第59条の2第2項の規定による届出は、内容の変更の場合あっては認可外保育施設事業内容等変更届(第2号様式)、施設の廃止又は休止の場合にあっては認可外保育施設廃止(休止)(第3号様式)により行うものとする。

(報告徴収)

第6条 区長は、区内の認可外保育施設の設置者又は管理者に対して、少なくとも毎年度1回以上定期に、回答期限を付して、施設の運営状況等必要な事項について報告を求めるものとする。

2 区長は、認可外保育施設の設置者又は管理者に対し、次に掲げる事項について、速やかに報告を求めるものとする。

(1) 当該認可外保育施設の管理下において、死亡事案、重傷事故事案、食中毒事案等重大な事故が生じた場合における当該事案の状況、内容等

(2) 当該認可外保育施設に24時間かつ週のうちおおむね5日以上入所している児童がいる場合における当該児童の氏名、住所及び家庭の状況等

3 前2項に定めるもののほか、区長は、児童の処遇上の観点から当該認可外保育施設に問題があると認める場合は、必要に応じて随時報告を求めるものとする。

(立入調査)

第7条 区長は、原則として毎年度1回以上、別に定める計画に基づき、定期的に認可外保育施設及び必要があるときはその事務所に立ち入り、その設備及び運営について、設置者又は管理者に対して必要な調査(以下「立入調査」という。)を行うものとする。この場合において、区長は、必要に応じて保育従事者、事務職員、利用児童の保護者等から事情を徴するものとする。

2 立入調査に当たっての事前通告の有無については、当該認可外保育施設のこれまでの運営の状況、調査に対する対応状況等を総合的に勘案して決定する。

3 立入調査を行う職員は、法第59条第1項に規定する身分を証明する携帯しなければならない。

4 立入調査の実施に際しては、必要に応じて関係機関の立ち合いを求めるものとする。

5 立入調査においては、必要と認められる助言及び指導等を口頭により行う。

6 区長は、立入調査に係る項目等を集約した立入調査の基準(以下「立入調査基準」という。)を別に定める。この場合において、立入調査基準における評価の区分は、別表第2に掲げる評価区分に沿って定める。

7 第1項の規定による立入調査のほか、区長は、必要があると認めるときは、随時に認可外保育施設及びその事務所に対し、特別に立入調査を行うものとする。この場合において、第3項から前項までの規定は、この項の規定による立入調査に準用する。

(改善指導)

第8条 区長は、立入調査の結果、指導監督基準に照らして、改善を求める必要があると認められる認可外保育施設に対し、改善すべき事項を文書により指導し、おおむね1か月以内の回答期限を付して、改善状況の報告及び改善計画の提出を求めるものとする。

(改善勧告)

第9条 区長は、指導監督基準に適合せず、前条の規定による改善指導を行っても改善されない場合又は改善の見通しが立たない場合は、当該認可外保育施設の設置者又は管理者に対し、改善を勧告するものとする。この場合において、建物の構造等から速やかな改善が不可能と認められる施設については、移転に要する相当の猶予期間を付して、移転を勧告することができる。

2 区長は、次に掲げる場合であって、児童の福祉を確保するための緊急の必要があるときは、前条の規定による改善指導を行うことなく、改善勧告を行うことができる。

(1) 著しく不適正な保育内容や保育環境である場合

(2) 著しく利用児童の安全性に問題がある場合

(3) その他児童の福祉のため特に必要があると認められる場合

3 第1項及び前項の規定による改善勧告は、文書により通知するものとし、おおむね1か月以内の回答期限を付して、改善状況等について当該認可外保育施設から文書で報告を求めるものとする。

4 前項の規定により改善勧告を受けた設置者又は管理者から、当該改善勧告に対する報告があった場合は、その改善状況等を確認するため、特別立入調査を行うものとする。回答期限が経過した後も報告がない場合についても、同様とする。

5 区長は、改善勧告に対して改善が行われていないと認めるときは、改善勧告の内容及び改善が行われていない状況について、当該施設の利用者に対する周知を行い、公表するものとする。

(事業の停止又は施設の閉鎖命令)

第10条 区長は、認可外保育施設の設置者又は管理者が前条の規定による改善勧告に従わず、かつ、当該施設の設備又は運営が次のいずれかに該当する場合は、法第59条第5項の規定により港区児童福祉審議会条例(令和2年港区条例第50号)第1条に規定する港区児童福祉審議会の意見を聴いて、その事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる。

(1) 施設の設備又は運営が、別表第1の1から4まで及び10に定める基準(第3条ただし書の規定により適用しない基準を除く。)のいずれかに適合していない場合

(2) 施設の設備又は運営が、別表第1の5から9までに定める基準(第3条ただし書の規定により適用しない基準を除く。)に適合せず、かつ、著しく劣悪であると認められる場合

(3) 施設の設備又は運営が、前2号に掲げる場合に準ずる状態にあり、児童の福祉のために特に必要と認められる場合

2 区長は、前項の規定により事業の停止又は施設の閉鎖を命ずる場合は、当該認可外保育施設の設置者又は管理者に対し、弁明の機会を与えなければならない。この場合において、あらかじめ書面をもって、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき理由を通知するものとする。

3 区長は、児童の福祉の確保のため、緊急の必要があると認めるときは、改善指導、改善勧告、弁明の機会の付与及び港区児童福祉審議会からの意見聴取の手続を経ずに事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる。

4 区長は、事業停止又は施設閉鎖命令を行ったときは、その名称、所在地、設置者及び管理者の氏名又は名称、処分の理由及び内容等について公表するものとする。

(その他の指導)

第11条 前3条に定めるもののほか、区長は、認可外保育施設の保育内容等について助言を与え、又はこれらの施設に勤務する職員に対する研修を行うなど、児童の福祉の向上のため必要な指導を行うものとする。

(記録等の整備)

第12条 区長は、認可外保育施設について、当該施設ごとにその実態、指導監督の内容等必要な記録等を整備するものとする。

(情報の提供)

第13条 区長は、認可外保育施設に関する施設の基本情報及び立入調査の結果等について、児童の福祉のため必要と認める事項を区民に情報提供を行うものとする。

(長期滞在児についての措置)

第14条 区長は、第6条第2項第2号の規定に該当する旨の報告を受けた場合は、必要な措置を講ずるものとする。

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

この要綱は、令和3年10月1日から施行する。

この要綱は、令和4年4月1日から施行する。

この要綱は、令和5年4月1日から施行する。

この要綱は、令和6年4月1日から施行する。

別表第1(第3条関係)

認可外保育施設指導監督基準

1 保育に従事する者の数及び資格

(1) 1日に保育する乳幼児の数が6人以上の施設

ア 保育に従事する者(常勤職員)の数は、原則として施設の開所時間については、乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね20人につき1人以上、満4歳以上の幼児おおむね30人につき1人以上であること。ただし、常時2人以上であること。

イ 保育に従事する者のおおむね3分の1(保育に従事する者が2人の施設にあっては、1人)以上は、保育士又は看護師(助産師及び保健師を含む。以下同じ。)の資格を有するものであること。また、常時、保育士又は看護師の資格を有する者が配置されていることが望ましいこと。

ウ 保育に従事する者及び資格を有する者の数は、常勤職員(1日6時間以上で月20日以上、又は月120時間以上勤務する職員をいう。)により算定すること。常勤職員に代えて短時間勤務(アルバイトやパート)の職員を充てる場合にあっては、総勤務時間数を常勤職員に換算すること。

エ 国家戦略特別区域法第2条第1項に規定する国家戦略特別区域内に所在する施設であって、次の(ア)から(ウ)までのいずれにも該当し、イの基準を満たす施設と同等以上に適切な保育の提供が可能である施設については、イを適用しないことができる。

(ア) 過去3年間に保育した乳幼児のおおむね半数以上が外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)であり、かつ、現に保育する乳幼児のおおむね半数以上が外国人であること。

(イ) 外国の保育資格を有する者その他外国人である乳幼児の保育について十分な知識経験を有すると認められる者を十分な数配置していること。

(ウ) 保育士の資格を有する者を1人以上配置していること。

オ 常時、保育に従事する者が、複数配置されるものであること。

(2) 1日に保育する乳幼児の数が常時5人以下の施設

ア 保育に従事する者の数は、原則として施設の開所時間については常時2人以上であること。ただし、保育に従事する者が保育士、看護師又は家庭的保育研修修了者(「職員の資質向上、人材確保等研修事業の実施について」(平成27年5月21日付雇児発0521第19号)別添4の別表1の1及び2のカリキュラムに基づく研修を修了した者をいう。ただし、研修機関から研修修了証の交付を受けた者で、かつ、カリキュラムの内容が確認できる者に限る。以下同じ。)である場合は、乳幼児の数が3人以下までは1人の配置とすることができること。

イ 保育に従事する者のうち1人は、保育士、看護師又は家庭的保育研修修了者であること。

(3) 法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設

ア 原則として、保育に従事する者1人に対して乳幼児1人であること。

イ 保育に従事する者は、保育士若しくは看護師の資格を有する者(又は都道府県知事若しくは指定都市、中核市若しくは児童相談所設置市の長が行う保育に従事する者に関する研修(区長がこれと同等以上と認める区市町村長その他の期間が行う研修を含む。以下同じ。))の配置が望ましいこと。

(4) 保育士でない者を、保育士、保母、保父その他これに紛らわしい名称で使用してはならないこと。

2 保育室等の構造設備及び面積

(1) 1日に保育する乳幼児の数が6人以上の施設

ア 乳幼児の保育を行う部屋(以下「保育室」という。)のほか調理室及び便所があること。ただし、給食を施設外で調理している場合(仕出し弁当や市販の弁当を利用している場合を含む。)及び乳幼児が家庭からの弁当を持参している場合にあっては、調理室を必要としないが、食品の加熱、保存、配膳等のために必要な調理機能を有する設備を備えること。また、乳幼児が容易に立ち入ることができないよう、調理室と保育室とが区画されていること。

イ 保育室の面積は、おおむね乳幼児1人当たり1.65m2以上であること。

ウ 乳児(おおむね満1歳未満の児童をいう。)の保育を行う場所は、幼児の保育を行う場所とは別の部屋であることが望ましいが、部屋を別にできない場合は、保育を行う場所が区画されており、かつ、安全性が確保されていること。

(2) 1日に保育する乳幼児の数が常時5人以下の施設

ア 保育室の面積は、乳幼児が適切に保育を行うことができる広さ(9.9m2以上)を確保すること。

イ 法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、保育の実施に必要な設備及び備品を備えること。

(3) 共通事項

ア 保育室は、採光及び換気が確保されていること。また、安全が確保されていること。乳幼児用ベッドの使用に当たっては、同一の乳幼児用ベッドに2人以上の乳幼児を寝かせてはならないこと。

イ 便所は、保育室及び調理室と区画され、かつ児童が安全に使用でき、衛生面にも配慮されていること。便所及び保育室には、それぞれ専用の手洗設備が設けられていること。便器の数は、おおむね幼児20人につき1以上であること。

3 非常災害に対する措置

(1) 消火用具、非常口その他非常災害に必要な設備が設けられていること。

(2) 非常災害に対する具体的計画を立て、避難消火等の訓練を少なくとも毎月1回は実施すること。

(3) 出入口のほかに非常口を設置すること。非常口は、災害等非常時に2方向避難が可能になるような位置に設置されていること。

(4) 法第6条の3第11項の業務を目的とする施設については、乳幼児の居宅等に訪問の際に直ちに非常口及び避難経路を確認し、速やかに避難できるようにすること。また、定期的な訓練を行う等、防災上の必要な措置を採ること。

4 保育室を2階以上に設ける場合の条件

保育室は原則として1階に設けること。ただし、やむを得ず2階以上に保育室を設ける場合は、防災上の必要な措置をとることが必要であること。

(1) 保育室を2階に設ける建物は、以下のアからウまでの条件をいずれも満たすこと。

ア 保育室その他乳幼児が出入りし、又は通行する場所に、乳幼児の転落事故を防止する設備が設けられていること。

イ 建築基準法第2条第9号の2に規定する耐火建築物又は同条第9号の3に規定する準耐火建築物(同号ロに該当するものを除く。)であること。

ウ 次の(ア)及び(イ)の区分ごとに、次に掲げる施設又は設備(乳幼児の避難に適した構造のものに限る。)がそれぞれ1以上設けられていること。

(ア) 常用

a 屋内階段

b 屋外階段

(イ) 避難用

a 建築基準法施行令第123条第1項に規定する構造の屋内避難階段又は同条第3項に規定する構造の屋内特別避難階段

b 待避上有効なバルコニー

c 建築基準法第2条第7号の2に規定する準耐火構造の傾斜路又はこれに準ずる設備

d 屋外階段

(2) 保育室を3階以上に設ける建物は、以下のアからキまでの条件をいずれも満たすこと。

ア 建築基準法第2条第9号の2に規定する耐火建築物であること。

イ 次の(ア)及び(イ)の区分ごとに、それぞれに掲げる施設又は設備(乳幼児の避難に適した構造のものに限る。)が1以上設けられていること。この場合において、当該施設又は設備は、避難上有効な位置に設けられ、かつ、保育室の各部分からその一つに至る歩行距離が、30メートル以内となるように設けられていること。

(ア) 3階

a 常用

(a) 建築基準法施行令第123条第1項に規定する構造の屋内避難階段又は同条第3項に規定する構造の屋内特別避難階段

(b) 屋外階段

b 避難用

(a) 建築基準法施行令第123条第1項に規定する構造の屋内避難階段又は同条第3項に規定する構造の屋内特別避難階段

(b) 建築基準法第2条第7号に規定する耐火構造の傾斜路又はこれに準ずる設備

(c) 屋外階段

(イ) 4階以上

a 常用

(a) 建築基準法施行令第123条第1項に規定する構造の屋内避難階段又は同条第3項に規定する構造の屋内特別避難階段

(b) 建築基準法施行令第123条第2項に規定する構造の屋外避難階段

b 避難用

(a) 建築基準法施行令第123条第1項に規定する構造の屋内避難階段又は同条第3項に規定する構造の屋内特別避難階段(ただし、同条第1項の場合においては、当該階段の構造は、建築物の1階から保育室が設けられている階までの部分に限り、屋内と階段室とは、バルコニー又は付室(階段室が同条第3項第2号に規定する構造を有する場合を除き、同号に規定する構造を有するものに限る。)を通じて連絡することとし、かつ、同条第3項第3号、第4号及び第10号を満たすものとする。)

(b) 建築基準法第2条第7号に規定する耐火構造の傾斜路

(C) 建築基準法施行令第123条第2項に規定する構造の屋外避難階段

ウ 保育施設の調理室以外の部分と調理室とが建築基準法第2条第7号に規定する耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法施行令第112条第1項に規定する特定防火設備によって区画されており、換気、暖房又は冷房の設備の風道が、当該床若しくは壁を貫通する部分、又は、これに近接する部分に防火上有効にダンパー(煙の排出量及び空気の流量を調節するためボイラーなどの煙道や空調装置の空気通路に設ける装置をいう。)が設けられていること。ただし、次のいずれかに該当する場合には、この限りでない。

(ア) 調理室に乳幼児の火遊び防止のための必要な進入防止措置が施され、スプリンクラー設備その他これに類するもので自動式のものが設けられていること。

(イ) 調理室に乳幼児の火遊び防止のための必要な進入防止措置が施され、調理用器具の種類に応じた有効な自動消火装置(レンジ用自動消火装置、フライヤー用自動消火装置等)が設けられ、かつ、当該調理室の外部への延焼を防止するために必要な措置(不燃材料で造った壁、柱、床及び天井での区画がなされ、防火設備又は不燃扉を設ける等)が講じられていること。

エ 保育施設の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でしていること。

オ 保育室その他乳幼児が出入りし、又は通行する場所に、乳幼児の転落事故を防止する設備が設けられていること。

カ 非常警報器具又は非常警報設備及び消防機関へ火災を通報する設備が設けられていること。

キ 保育施設のカーテン、敷物、建具等で可燃性のものについて防炎処理が施されていること。

5 保育内容

(1) 保育の内容

ア 児童一人一人の心身の発育や発達の状況を把握し、保育内容を工夫すること。

イ 児童の安全で清潔な環境(居室、寝具等の清潔)や健康的な生活リズム(遊び、運動、睡眠等)に十分配慮がなされた保育の計画を定め、実行すること。

(ア) 児童の生活リズムに沿ったカリキュラムを設定し、かつ、実行することが必要であること。

(イ) 必要に応じて入浴させたり、身体を拭いて児童の身体の清潔さを保つことが必要であること。

(ウ) 保育の実施に当たっては、沐浴、外気浴、遊び、運動、睡眠等に配慮すること。

(エ) 外遊びなど、戸外で活動できる環境が確保されていることが必要であること。

ウ 漫然と児童にテレビやビデオを見せ続けるなど、児童への関わりが少ない放任的な保育になっていないこと。

エ 必要な遊具、保育用品等を備えること。年齢に応じた玩具、絵本、紙芝居などを備えることが必要であること。なお、大型遊具を備える場合などは、事故防止のため、その安全性の確認を常に行うこと。

(2) 保育従事者の保育姿勢

ア 児童の最善の利益を考慮し、保育サービスを実施する者として適切な姿勢であること。特に、施設の運営管理の任に当たる施設長(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、施設の設置者又は管理者とする。以下同じ。)については、その職責を考慮し、資質の向上及び適格性の確保が求められていること。

イ 保育所保育指針を理解する機会を設ける等、保育従事者の人間性及び専門性の向上に努めること。

ウ 児童に身体的苦痛を与えることや、人格を辱めることがないよう、児童の人権に十分配慮すること。しつけと称するか否かを問わず児童に身体的苦痛を与えてはならないこと。また、いわゆるネグレクトや差別的処遇、言葉の暴力などによる心理的苦痛も与えてはならないこと。

エ 児童の身体及び保育中の様子並びに家族の態度等から虐待などの不適切な養育が疑われる場合は、児童相談所等の専門的機関と連携する等の体制をとること。なお、虐待が疑われる場合だけでなく、心身の発達に遅れが見られる場合等においても、児童相談所等の専門的機関に対し、適切な連絡に努めること。

(3) 保護者との連絡

ア 保護者との密接な連絡を取り、その意向を考慮した保育を行うこと。保護者との連絡に当たっては、連絡帳又はこれに代わる方法を活用し、保護者からは家庭での児童の様子を、保育施設からは保育中の児童の様子を連絡すること。

イ 保護者との緊急時の連絡体制をとること。

ウ 保護者や利用希望者等から児童の保育の様子や施設の状況を確認する要望があった場合には、児童の安全確保等に配慮しつつ、保育室などの見学が行えるように適切に対応すること。

6 給食

(1) 衛生管理の状況

調理室、調理、配膳、食器等の衛生管理を適切に行うこと。また、原材料、調理済食品の保存に当たっては、冷凍又は冷蔵設備等を活用の上、適切な温度で保存するなど衛生上の配慮を行うこと。

(2) 食事内容等の状況

ア 児童の年齢や発達、健康状態(アレルギー疾患等を含む。)等に配慮した食事内容とすること。家庭からの弁当持参又はやむを得ず市販の弁当を利用する場合には、家庭とも連携の上、児童の健康状態や年齢に応じた配慮(刻み食など)を行うこと。

イ 調理は、あらかじめ作成した献立に従って行うこと。食事摂取基準を踏まえ、かつ、児童の嗜好を踏まえた変化のある献立を作成し、これに基づいて調理することが必要であること。なお、独自で献立を作成することが困難な場合には、区が作成した認可保育所の献立を活用するなどの工夫が必要であること。

ウ 乳児にミルクを与えた場合は、ゲップをさせるなどの授乳後の処置を行うことが必要であること。また、離乳食を摂取する時期の乳児についても、食事後の状況に注意を払うことが必要であること。

7 健康管理及び安全確保

(1) 児童の健康状態の観察

登園、降園の際、児童一人一人の健康状態を観察すること。

ア 毎日、登園の際、体温、排便、食事、睡眠、表情、皮膚の異常の有無や機嫌等についての健康状態の観察を行うとともに、保護者から児童の状態の報告を受けること。(適切に記載された連絡帳の活用等も含む。)

イ 毎日、降園の際も登園時と同様の健康状態の観察を行うとともに、保護者へ児童の状態を報告すること。

(2) 児童の発育チェック

身長や体重の測定など基本的な発育チェックを毎月定期的に行うこと。

(3) 児童の健康診断

ア 継続して保育している児童の健康診断を利用開始時及び1年に2回実施すること。施設において、直接実施できない場合は、保護者から健康診断書又は母子健康手帳の写しの提出を利用開始時及び1年に2回受けることにより、児童の健康状態の確認を行うこと。

イ 利用開始時に、児童の体質、かかりつけ医の確認をするとともに、緊急時に備え、保育施設の付近の病院等関係機関の一覧を作成し、全ての保育従事者に周知すること。

(4) 職員の健康診断

ア 職員の健康診断を採用時及び1年に1回実施すること。

イ 調理、調乳に携わる職員には、月1回検便を実施すること。

(5) 医薬品等の整備

必要な医薬品その他の医療品を備えること。

(6) 感染症への対応

感染症にかかっていることがわかった児童については、かかりつけ医の指示に従うよう保護者に指示すること。なお、感染症の疑いがある場合も同様であること。

ア 再登園については、かかりつけ医とのやりとりを記載した書面等(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)の提出など、かかりつけ医による判断の確認について、保護者の理解と協力を求めること。

イ 歯ブラシ、コップ、タオル、ハンカチなどは、児童や保育従事者の間で共用せず、一人一人のものを準備すること。

ウ 法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、利用児童と保育従事者の間での感染予防のための対策を行うこと。

(7) 乳幼児突然死症候群に対する注意

ア 睡眠中の児童の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察すること。

イ 乳児を寝かせる場合には、仰向けに寝かせること。

ウ 保育室では禁煙を厳守すること。

(8) 安全確保

ア 施設の設備の安全点検、職員、児童等に対する施設外での活動、取組等を含めた施設での生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修及び訓練その他施設における安全に関する事項についての計画(以下「安全計画」という。)を策定し、当該安全計画に従い、児童の安全確保に配慮した保育を実施すること。

イ 職員に対し、安全計画について周知するとともに、安全計画に定める研修及び訓練を定期的に実施すること。

ウ 保護者に対し、安全計画に基づく取組の内容等について周知すること。

エ 事故防止の観点から、施設内の危険な場所、設備等について適切な安全管理を図ること。

オ プール活動や水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないよう、専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、その役割分担を明確にすること。

カ 児童の食事に関する情報(咀嚼や嚥下機能を含む発達や喫食の状況、食行動の特徴など)や当日の児童の健康状態を把握し、誤嚥等による窒息のリスクとなるものは除去すること。また、食物アレルギーのある児童については、生活管理指導表等に基づいて対応すること。

キ 窒息の可能性のある玩具、小物等が不用意に保育環境下に置かれていないか、保育士等による保育室内及び園庭内の点検を定期的に行うこと。

ク 不審者の施設への立入防止等の対策や緊急時における児童の安全を確保する体制を整備すること。

ケ 児童の施設外での活動、取組等のための移動その他の児童の移動のために自動車を運行するときは、児童の乗車及び降車の際に、点呼その他の児童の所在を確実に把握することができる方法により、児童の所在を確認すること。

コ 児童の送迎を目的とした自動車(運転者席及びこれと並列の座席並びにこれらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を有しないものその他利用の態様を勘案してこれと同程度に児童の見落としのおそれが少ないと認められるものを除く。)を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置を備え、これを用いてケに定める所在の確認(児童の降車の際に限る。)を行うこと(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については適用しない)。

サ 事故発生時に適切な救命処置が可能となるよう、訓練を実施すること。

シ 賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること。

ス 事故発生時には速やかに当該事実を区長に報告すること。

セ 事故の状況及び事故に際して採った処置について記録すること。

ソ 死亡事故等の重大事故が発生した施設については、当該事故と同様の事故の再発防止策及び事故後の検証結果を踏まえた措置を取ること。

タ 園外保育時には複数の保育従事者が対応すること。

8 利用者への情報提供

(1) 施設において提供する保育サービスの内容を、当該保育サービスを利用しようとする者の見やすいところに掲示するともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)により公衆の閲覧に供しなければならないこと。

(2) 設置者は、サービスを利用しようとする者に対して、契約の内容及びその履行に関する事項について、適切に説明を行うこと。

(3) 施設において提供される保育サービスの利用に関する契約が成立したときは、その利用者に対し、当該契約の内容を記載した書面等を交付すること。

9 備える帳簿

職員及び保育している児童の状況を明らかにする帳簿を整備しておかなければならないこと。

(1) 職員に関する書類

ア 職員の氏名、連絡先、職員の資格を証明する書類(写)、履歴、採用年月日等が確認できる書類

イ 各職員の勤務の時間ごとの割り振りが確認できる書類及び勤務実績が確認できる書類

ウ 労働基準法その他の法令に基づき、施設ごとに備え付けが義務付けられている帳簿等

(2) 入所児童に関する書類

在籍児童及び保護者の氏名、児童の生年月日及び健康状態、保護者の連絡先、契約内容、児童の在籍記録等

(3) 施設に関する書類

面積が確認できる施設の平面図

10 設置者の経営姿勢

設置者は、入所する児童の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい保育を行うことを目的とした、適切な経営を行うこと。

別表第2(第7条関係) 評価基準(共通)

○判定の内容

判定区分

内容

B

指導基準に適合していないが、軽微な事項又は改善が容易な事項

C

指導基準に適合していない事項で、B判定以外のもの

○指示の基準

B判定及びC判定は全て文書で指示する。なお、B判定であっても児童の安全確保の観点から特に注意を促す事項及び前回指摘をしているにもかかわらず、改善意欲のみられない事項はC判定とする。

港区認可外保育施設に対する指導監督等要綱

令和3年3月31日 港子政第1234号

(令和6年4月1日施行)