○港区専門養育家庭制度実施要綱
令和3年4月1日
3港児児第1004号
(目的)
第1条 この要綱は、要保護児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の3第8項に規定する要保護児童をいう。以下同じ。)のうち、一定の専門的ケアを必要とする児童を、養子縁組を目的とせずに、家庭的な環境の下において、より個別的、専門的な処遇を行うため、期間を定めて専門養育家庭に委託し、養育する港区専門養育家庭制度について、必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この要綱において「専門養育家庭」とは、要保護児童のうち、一定の専門的ケアを必要とする児童を、養子縁組を目的とせずに、一定期間養育する専門性を備えた里親として、港区長(以下「区長」という。)の認定を受け、専門養育家庭名簿に登録された者をいう。
(委託対象児童)
第3条 専門養育家庭に委託する対象となる児童は、要保護児童のうち、次の全ての要件を満たす児童とする。
(1) 児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けていること、知的障害があり、かつ、一定の行動障害があること、身体若しくは精神の障害があること又は非行等の問題があること。
(2) 前号に掲げる事象に起因し、心理指導、面接等のための児童相談所への通所、治療のための通院等専門機関における継続的なケアが必要であること。
(3) 家庭又は地域社会での生活が可能であること。
(申請及び家庭調査等)
第4条 専門養育家庭になることを希望する者(以下「専門養育家庭希望者」という。)は、申請書に必要な書類を添付して、港区児童相談所長(以下「児童相談所長」という。)を経由して区長に提出する。
2 児童相談所長は、専門養育家庭希望者から申請書及び添付書類(以下「申請書等」という。)を受理したときには、当該専門養育家庭希望者について家庭訪問を行い、その適否について十分な検討を行い、当該申請書等に家庭訪問調査書を添付して区長に進達する。
3 区長は前項の規定による進達を受けた場合であって、適当と認めるときは、その旨を当該進達に係る専門養育家庭希望者に通知し、専門養育家庭名簿に登録するものとする。
(児童の選定)
第5条 児童相談所長は、専門養育家庭に委託することが適当な児童の選定について、次のとおり行う。
(1) 対象の児童の養育家庭、児童養護施設、乳児院、一時保護所等での生活状況を十分考慮すること。
(2) 事前に心理職員と連携を取り、必要に応じて、精神科医等の所見を受けること。
(専門養育家庭の選定)
第6条 児童相談所長は、援助方針会議で専門養育家庭に委託することが適当であると決定した児童(以下「候補児童」という。)に対し、候補児童の養育に最も適合する専門養育家庭を選定するよう努めるものとする。
(候補児童との引合せ及び交流)
第7条 児童相談所は、候補児童の委託先として選定された専門養育家庭と候補児童との引合せ及び交流を行う。この場合において、交流に当たっては、観察及び指導等を行うものとする。
2 児童相談所長は、交流中の状況を十分に把握し、適当と認められるときに委託措置を行う。
(児童の委託期間及び人数の上限)
第8条 専門養育家庭への委託期間は、原則として2年とする。
3 専門養育家庭が同時に養育する専門養育家庭委託対象児童の人数は、2人を超えることができない。また、同時に里親として養育する児童(以下「委託児童」という。)の人数は4人以下とし、委託児童の人数と実子等それ以外の児童の人数の合計は、6人を超えることができない。
4 専門養育家庭に2人目の専門養育家庭委託対象児童を委託する場合には、原則として、1人目の専門養育家庭委託対象児童が十分安定し2人目の専門養育家庭委託対象児童の受入れについて児童相談所長が了承していること又は1人目の専門養育家庭委託対象児童について家庭復帰のための準備及び調整が本格的に始まった時期とする。
(委託の変更)
第9条 専門養育家庭が同時に養育家庭として登録している場合において、現に養育家庭への委託が適当である児童として委託した児童に関し、その後の状態の変化により、専門養育家庭委託対象児童として措置する必要があると児童相談所長が認めるときは、養育家庭としての委託を解除し、専門養育家庭としての委託とすることができる。
2 現に専門養育家庭委託対象児童として委託した児童が、その後の変化により、児童相談所長が専門養育家庭委託対象児童としての要件を欠くと判断したときは、専門養育家庭としての委託を解除し、養育家庭としての委託とすることとする。
(指導、助言等)
第10条 児童相談所長は、専門養育家庭に対し児童の養育について必要な指導、助言等を行うに当たり、必要に応じて精神科医等の面接及び助言を受けるものとする。
2 児童相談所長は、専門養育家庭に対し、原則として毎月1回以上港区児童相談所(以下「児童相談所」という。)に来所することを求める等の方法により、養育状況を報告させるとともに、必要な指導、助言等を受けさせるものとする。
(関係自治体との連携)
第11条 児童相談所長は、第6条に規定する専門養育家庭の選定に当たり、東京都(以下「都」という。)及び他の児童相談所設置市である特別区(港区を除く。以下「他区」という。)に専門養育家庭の推薦を依頼する場合は、次のとおり取り扱うこととする。
(1) 対象の候補児童の情報を、都及び他区に送付し、専門養育家庭の推薦を依頼する。
(2) 児童相談所長は、前号の規定により推薦された専門養育家庭があった場合は、選定に当たり、当該専門養育家庭の居住地の児童相談所長の意見を聴くこととする。また、当該専門養育家庭が、現に別の児童を受託している場合は、その児童を措置する児童相談所長の意見を併せて聴くこととする。
2 児童相談所長は、都及び他区から専門養育家庭の選定依頼があった場合で、適当と認める専門養育家庭がいるときは、当該専門養育家庭の同意を得た上で、選定依頼のあった都又は他区に当該専門養育家庭の情報を送付することとする。
3 第7条の規定により、児童と専門養育家庭の引合せ及び交流を行う場合は、児童相談所及び担当課は、関係自治体と連携してこれを行うものとする。
4 第8条第4項の規定により、児童相談所長は、1人目の専門養育家庭委託対象児童が都又は他区から措置されている場合は、その専門養育家庭委託対象児童を措置する児童相談所長と協議した上で、2人目の委託を決定することとする。
5 前各項に規定するもののほか、都と区の間又は他区と区の間での相互委託に当たり、必要な事項は別に定める。
(経費)
第12条 区は、専門養育家庭に対し、専門養育家庭制度の実施に必要な経費を港区ファミリホーム・里親措置費支弁基準(3港児児第298号)に定める基準により支出する。
(損害賠償保険への加入)
第13条 児童相談所長は、登録を受けた専門養育家庭を対象とした損害賠償保険に加入するものとする。
(その他)
第14条 この要綱に定めるもののほか、専門養育家庭制度の実施に関し必要な事項は、児童相談所長が別に定める。
付則
この要綱は、令和3年4月1日から施行する。