○港区フレンドホーム制度実施要綱

令和3年4月1日

3港児児第270号

(目的)

第1条 この要綱は、学校の休業期間等を活用して、児童養護施設(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第41条に規定する児童養護施設をいう。以下同じ。)又は乳児院(同法第37条に規定する乳児院をいう。以下同じ。)(以下「施設」という。)に在籍する児童に家庭生活を体験させるフレンドホーム制度(以下「事業」という。)を実施することにより、当該児童の情緒の安定及び社会性の発達を促し、児童の健全な育成に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において「フレンドホーム」とは、前条の目的を達成するため、児童を短期間受け入れ、当該児童に家庭生活を体験させること(以下「交流」という。)を希望する家庭であって、施設の長(以下「施設長」という。)が適当と認めたものをいう。

(対象児童)

第3条 この事業の対象となる児童(以下「対象児童」という。)は、施設に在籍する港区の措置児童(法第27条第1項第3号及び第32条の規定により措置した児童をいう。)であって、施設長が港区児童相談所(以下「児童相談所」という。)の了解を得た上で、その成育歴、性向及び家庭の状況から、事業を実施することが望ましいと判断したものとする。

2 乳児院に在籍する者に対して事業を実施する場合は、おおむね1歳以上の幼児を対象とする。

(実施体制)

第4条 この事業は、施設及び児童相談所が連携して実施する。

2 施設は、地域において、フレンドホームを積極的に開拓するとともに、施設における児童の処遇の一環として、フレンドホームを有効に活用し、当該施設に在籍する児童の家庭体験を促進する。

3 児童相談所は、事業の普及促進に努めるとともに、登録及び交流に関する情報の管理、施設に措置している対象児童とフレンドホームとの交流状況の把握、フレンドホームへの助言及び施設への指導を行う。

(フレンドホームの条件)

第5条 フレンドホームは、次の各号のいずれにも該当する家庭とする。

(1) フレンドホームの登録の申込みを希望する者(以下「申込者」という。)は、原則として港区内に在住していること。ただし、申込者の居住地が港区外であっても施設の所在する市区町村又は隣接する市区町村等であって、当該施設長がフレンドホームとの交流状況を把握できる場合においては、この限りでない。

(2) 申込者は、心身ともに健全であること。

(3) 申込者は、子どもと適切に交流ができると認められ、かつ、申込者と起居をともにする成人の親族等(以下「成人の親族等」という。)を有していること。ただし、成人の親族等がいない場合であっても、子どもと適切に交流ができると認められる特段の事情があるときは、この限りでない。

(4) 対象児童との交流期間中、申込者又は成人の親族等のいずれか一人以上の者が当該児童の養育に専念できること。

(5) 申込者及び申込者と起居をともにする者(以下「同居人」という。)が、施設に在籍する児童について、十分な理解と愛情を有していること。

(6) 申込者の家庭生活が、円満に営まれていること。

(7) 申込者の家庭及び住居の環境が、児童の保健、教育その他の福祉上適当であり、住居の広さ及び間取りについては、実子、委託児童(法第27条第1項第3号の規定により里親に委託された児童をいう。)及び交流児童(フレンドホームが交流する児童をいう。以下同じ。)の年齢、性別、人数及び家族の構成に応じた適切な環境が確保されることが見込まれること。

(8) 申込者は、児童の交流に関し虐待等の問題がないこと。

(9) 申込者又は同居人が、次の各号のいずれにも該当していないこと。

 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

 法及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)その他国民の福祉に関する法律及び政令で定めるものの規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待又は法第33条の10に規定する被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者

(フレンドホームの申込み)

第6条 施設及び児童相談所は、申込者からの相談に応じる。

2 児童相談所は、申込者の意向等に基づき、施設を紹介する。

3 申込者は、フレンドホーム申込書(第1号様式)に必要事項を記入の上、フレンドホームの登録を希望する施設長に提出する。

4 施設長は、申込者が前項の規定によるフレンドホームの登録の申込みをする際に、里親の申請を併せて希望する場合は、当該申込者に申込者が居住する地域を所管する児童相談所へ連絡するよう案内する。

(家庭調査)

第7条 施設長は、前条第3項の規定による申込みがあったときは、申込者の家庭を訪問し、次の事項に留意しつつ調査を実施し、フレンドホーム希望家庭調査書(第2号様式)に基づき、当該家庭の状況を把握する。

(1) 父に当たる者、母に当たる者その他の同居人の状況について、児童とのより良い組合せとなるよう十分留意しつつ、現在の状況を中心に把握すること。

(2) 家庭生活の状況について、児童が数日間生活する上で不適当な状況、好ましくない状況等がないか把握すること。

(3) 児童との交流期間中、フレンドホームが旅行等特別な行事を予定している場合は、事前にその内容を把握しておくこと。

(4) 既に施設との交流がある家庭については、その交流状況を把握しておくこと。

(登録簿への登録等)

第8条 施設長は、前条の規定による家庭調査を行った結果、申込者が第5条の条件に適合していると認めるときは、フレンドホーム登録簿(第3号様式)(以下「登録簿」という。)に登録し、その結果を速やかに当該申込者に対し、フレンドホーム登録のお知らせ(第4号様式)により通知する。

2 施設長は、前条の規定による家庭調査を行った結果、申込者が第5条の条件に適合しないと認めるときは、児童相談所と協議の上、登録しないことを決定し、その結果を速やかに当該申込者に対し、フレンドホーム登録否決のお知らせ(第5号様式)により通知する。

(登録の移管)

第9条 他の施設に登録しているフレンドホームの紹介を受けた施設(以下「紹介先施設」という。)の長は、対象児童との交流が一定期間継続した場合において、当該フレンドホーム及び当該フレンドホームが現に登録している施設長の同意を得て、フレンドホームの登録を移管することができる。

2 前項の規定によりフレンドホームの登録の移管に同意した施設長は、速やかにフレンドホーム申込書及びフレンドホーム希望家庭調査書を紹介先施設に送付する。

3 紹介先施設の長は、フレンドホームに登録後、当該フレンドホームに移管が完了した旨を、フレンドホーム登録の移管のお知らせ(第6号様式)により通知する。

4 前3項の規定は、他の施設に措置変更する児童と交流中のフレンドホームが、措置変更後も引き続き交流を希望する場合の手続について準用する。

(登録事項の変更)

第10条 フレンドホームは、登録事項に変更があったときは、フレンドホーム登録事項変更・登録抹消届(第7号様式)により、速やかに施設長に届け出なければならない。

2 施設長は、前項の規定による届出があったときは、速やかにその変更内容を登録簿に反映させなければならない。

(登録の抹消)

第11条 施設長は、フレンドホームが次の各号のいずれかに該当するときは、必要に応じて児童相談所と協議を行い、フレンドホームの登録を抹消することができる。

(1) フレンドホーム登録後、2年以上対象児童との交流がなかったとき。

(2) フレンドホームから登録抹消の届出があったとき。

(3) 第5条に定める条件に適合しなくなったとき。

2 施設長は、前項の規定により登録を抹消した場合は、その旨をフレンドホームに対し、フレンドホーム登録抹消のお知らせ(第8号様式)により通知する。

(引合せ)

第12条 施設長は、当該施設の登録簿の中から、対象児童に適したフレンドホームを選定し、引合せを行う。

2 当該施設に、対象児童に適したフレンドホームの登録がない場合は、施設長は他の施設に登録しているフレンドホームの紹介を受ける。

3 施設長は、引合せの結果、対象児童と交流することが適当と認められたフレンドホームに対し、フレンドホーム交流児童のお知らせ(第9号様式)により通知するとともに、児童相談所に対し、フレンドホームとの交流を開始する旨を連絡する。

(交流の実施)

第13条 前条第3項の規定により、施設長から対象児童との交流の通知を受けたフレンドホームは、施設長が定める方法、期間等の指示に従い、対象児童を受け入れる。

2 新たに対象児童と交流する場合にあっては、フレンドホームは交流を開始する前に、対象児童が在籍する施設を訪問し、当該児童との面会を通じて十分な意思疎通を図るものとする。

(報告)

第14条 施設長は、各月のフレンドホームと対象児童との交流実績をフレンドホーム事業実績報告書(第10号様式)により、原則として翌月5日までに、児童相談所に報告しなければならない。この場合において、交流期間中に月が替わった場合は、当該交流の最終日が属する月の実績として報告する。

2 施設長は、フレンドホームの登録に異動があったときには、原則として翌月5日までに、フレンドホーム登録簿異動連絡票(第11号様式)により、児童相談所に報告しなければならない。

3 施設長は、児童相談所から求めがあったときには、フレンドホーム登録簿の写しを提出しなければならない。

(経費)

第15条 港区長は、児童福祉施設(児童家庭局所管施設)における施設機能強化推進費について(昭和62年5月20日児発第450号)に定める施設機能強化推進費(施設入所児童家庭生活体験事業)により、施設が交流を行ったフレンドホームに対し支払った謝礼に係る経費(以下「交流経費」という。)を支払うものとする。

2 交流経費は、児童一人当たり日額2,300円とし、児童養護施設については2泊3日以上、乳児院については1泊2日以上の交流に対し、1回の交流につき7日を限度に支払うものとする。

3 交流を行った施設長は、請求書(第12号様式)により、交流を行った日数分の経費について、港区長へ請求するものとする。

(記録の整備)

第16条 施設長は、登録簿等の書面を整備し、保管しなければならない。

2 前条に規定された経費の請求に係るフレンドホームへの謝礼に関する領収書等書類については、5年間保管しなければならない。

(損害賠償責任)

第17条 交流期間中の事故により、フレンドホーム又は交流児童が民法(明治29年法律第89号)第709条又は第714条に基づく損害賠償責任を負うときは、故意又は重大な過失による場合を除き、港区が加入契約する損害賠償責任保険により処理する。

(秘密の保持)

第18条 フレンドホームは、事業の実施上知り得た児童及び家庭に関する全ての個人情報について正当な理由なく漏らしてはならない。事業終了後もまた同様とする。

(委任)

第19条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、港区児童相談所長が別に定める。

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

港区フレンドホーム制度実施要綱

令和3年4月1日 港児児第270号

(令和3年4月1日施行)