ここから本文です。
令和6年11月7日に開催された「みなとセーフティLab.」(テーマ「地球温暖化時代の台風対策」)に、ご参加された皆さんから頂いたご質問について、各講師から回答が寄せられました。今後の参考となる資料等についても紹介されています。当日、参加されなかった方もご覧ください。
なお、お寄せ頂いたご質問については、各講師からの回答を分かりやく掲載するため、適宜、整理させていただきました。
回答者 | 質問 | 回答 |
坪木教授 | 線状降水帯は、気象庁から予報が出るようになりました。講演の中で線状降水帯ができる原因の一つとされた「大気の川」については、発生や強度を予報することができないのでしょうか。 |
日本付近で、台風や梅雨前線に伴って、大気の川が形成されることは最近になって、はじめて分かったことです。まだ大気の川について、発生頻度や構造など分かっていないことが多くあります。また、大気の川は1日でできたり消えたりするほど、時間変動が速いので、その予測は難しいのです。さらに太平洋、東シナ海、日本海などの海上で発生するため観測データがほとんどないことも、さらにその予測を難しくしています。大気の川の予測のためには、海上を機動的に観測できる航空機観測が不可欠ですが、現在はそのような観測を気象庁が行っていないため、大気の川の発生や強度を予測することが難しいのです。今後、航空機による観測が定常的に行われることが必要になります。 |
坪木教授 | 今年は、11月になっても、気温が高く、台風もたくさん発生しています。地球の温暖化が進むと、冬でも強い台風が接近したり上陸したりすることがあり得るのでしょうか。 |
記録の残る1951年以降で、寒候期(11~3月)に台風が上陸したのは、11月の1個だけです。今後、温暖化が進んだとしても、冬季に台風が上陸することは考えにくいと思います。ただ、気象は想定外のことが起こることもあります。より大きな問題は、温暖化が進むと、暖候期に日本本土にまで、スーパー台風のような強い台風が接近・上陸する可能性があることです。 |
坪木教授 | 台風の眼の中で観測を行った結果、どのようなことが分かったのでしょうか。また、今後、どのようなことを突き止めようとされていますか。 |
まず、台風の中心気圧の観測データが得られました。このようなデータは過去30年以上にわたって得られていないという問題があります。また、台風の強度を決める眼の中の暖かい空気(暖気核)の構造が分かりました。さらに、そのデータを用いると、台風の強度の予測が改善されることが示されました。今後、急速に発達する台風のメカニズムを解明したいと考えています。 |
坪木教授 | 港区は海に面しています。スーパー台風が来た場合、以前、フィリピンで起きたような大規模な高潮が発生する可能性はありますか。 | 温暖化が進んだ今世紀後半ごろ、スーパー台風が南から伊豆半島付近に上陸すると、東京湾では大規模な高潮が発生します。講演でお話しした未来のスーパー台風が伊豆半島に上陸するとき、東京湾の湾奥での高潮は6mと見積もられました。高潮は台風の風向、風速、湾の形、湾の海底地形など複雑な要素で決まります。わずかの風向の違いで高潮は大きく変わります。スーパー台風でなくても、台風が接近するときは高潮への十分な注意が必要です。 |
伊藤講師 | 防災備蓄品のリストについて、参考になるホームページ等がありましたら、教えてください。 |
以下のHPにて必要な防災備蓄品について分かりやすくまとめられておりますのでご参考いただけますと幸いです。 内閣府 防災情報のページ:https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/09/special_01.html |
伊藤講師 | 介護が必要な高齢者がいる場合、特に備蓄が必要なものがあったら教えてください。また、参考になるホームページ等がありましたら、教えてください。 | 介護が必要なご高齢者向けの災害準備ノートが東京都健康長寿医療センター研究所より発行されています。必要な備蓄品のリストなども記載されていますので印刷し必要事項等を記載し、保管しておくことをお勧めします。(URL:https://www.tmghig.jp/research/topics/cms_upload/201511_saigai.pdf(外部サイトへリンク)) また災害時要援護者の避難支援ガイドライン」に基づいて、各自治体における要援護者(災害時に支援が必要な人)の避難支援を行っている場合がございますのでこちらもお住いの自治体にご確認していただくことをお勧めします。 |
伊藤講師 | 集合住宅の高層階に住んでいます。台風の接近時に特に注意した方がよいことを教えてください。 | 集合住宅の高層階では以下の対策をお勧めいたします。 ・強風による窓の飛散の対策…集合住宅では雨戸が無いことがほとんどですので室内から段ボールを窓枠に沿って貼り付ける等の窓ガラスの養生をお勧めします。 ・ベランダの片づけ…ベランダに物があると強風により飛散してしまいます。特に物干し竿や鉢植えなどは台風が近づく前に室内に片づけることをお勧めします。 ・ベランダ排水口部の清掃…ベランダに排水口がある場合はあらかじめ清掃をしておくことをお勧めします。排水口が土砂などで詰まっていると雨水が排水されずベランダ部が浸水するおそれがございます。 ・簡易トイレの確保…マンションなどの高層階ではポンプで水道水を送水している場合があり、停電時にはトイレの排水が出来なくなることがあります。停電時に備えて簡易トイレの準備をお勧めします。(1日7枚×3日分程度) |
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
お問い合わせ
所属課室:防災危機管理室防災課施設安全担当
電話番号:03-3578-2158
ファックス番号:03-3578-2539
外国語対応が必要な人、通訳オペレーター、区の職員の3人で会話ができます。