○東京都港区公印規則の全部改正について(依命通達)

平成4年12月25日

4港総総第694号

収入役、各部長、室長あて 助役

平成4年12月25日付規則第68号により、東京都港区公印規則の全部が改正され、平成5年1月1日から施行されることとなった。

今回の改正は、規定をより実態に即したものにするとともに、これまで実務上の取扱いについて不明確であった部分を規定上明確にし、もって公印事務の一層の適正化及び効率化を図るために行われたものである。

ついては、貴職においては、下記事項に留意するとともに、所属職員に周知を図り、その運用に当たっては遺漏のないよう取り計われたい。

この旨命により通達する。

1 公印の名称、ひな型等(第2条並びに別表第1及び別表第2)

(1) 交付された公印の管理責任者の職名を、「公印管守者」から「公印管理者」に改めた。

(2) 従来、区民生活部住民戸籍課及び各支所において使用していた自動認証機用の専用区長印及び専用区長職務代理印を、規定上明確にした。

(3) 建築監視員印及び出納員印の公印管理者を、従来の係長職から原則として課長職に改めた。

2 公印事務の指導統括(第3条)

公印に関する事務の指導統括は、総務部総務課長(以下「総務課長」という。)が行うこととした。

3 公印管理者(第4条)

公印の保管、使用等公印の管理に関する事務は、公印管理者が行うことを明確にした。

4 公印取扱主任(第5条)

従来、公印管守者の任命制となっていた公印取扱主任(以下「主任」という。)を、当該課の庶務担当係長(課務担当主査を含み、総務部総務課にあっては文書係長)の充て職とした。ただし、これによりがたいときは、公印管理者は、総務課長と協議の上主任を置かないことができることとした。

5 事務の代行(第6条)

公印管理者が不在のときの事務代行者を、「公印管守者があらかじめ指定した職員」から「主任」に改めた。

なお、主任が不在のときの事務代行者は、従来どおり、公印管理者があらかじめ指定した職員であることに変わりはない。

6 公印の調製者等(第7条)

新調し、又は改刻した公印の使用開始日は、総務課長が決定することとした。

7 公印の新調又は改刻の申請(第8条)

組織改正等の理由による場合は、申請によらないで、総務課長が職権で公印を新調できることとした。

なお、公印新調・改刻申請書は、使用開始希望日の少なくとも20日前までに総務課長に提出すること。

8 交付公印台帳(第10条)

印影の保存と確認のため、公印管理者に交付公印台帳の作成及び整理を義務づけ、印影報告の規定を廃止した。

9 公印の保管(第11条)

宿直者の公印の保管の規定を、実態がないので削除した。

10 公印の押印(第12条)

(1) 公印の押印について、実態に合わせて、押印を求めた者に押印させることができることとし、決裁済みの文書への公印押印済みの表示は、しないでよいこととした。

(2) 公印管理者は、定例的かつ定型的な文書等で適当と認めたものについては、照合を省略して公印を押印させることができることとした。具体的には、申請書に基づいて発行する証明書、金銭出納員の交付する領収書等については、照合を省略して公印を押印させることができるものである。

(3) 執務時間外、勤務を要しない日及び休日における公印の使用を、原則として禁止することとした。

(4) 宿直中の公印の押印の規定を、実態がないので削除した。

(5) 公印管理者又は主任は、照合時に次の事項を確認しなければならない。

ア 決裁が終了していること。

イ 決裁文書と照合して、施行文書が正しく浄書されていること。

ウ 施行文書の発信者の名義(職氏名)及び発信年月日に誤りがないこと。

(6) 公印は、原則としてすべての施行文書に押印しなければならない。ただし、対内文書又は軽易な文書については、公印の押印を省略することができる。公印の押印の省略については、港区文書管理規程の全部改正について(依命通達)の記の第4の1を参照すること。

(7) 公印(割印を除く。)は、発信者の職名又は氏名の最後の字の半分にかけて押印すること。

(例)

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(8) 割印は、決裁文書と施行文書を照合して文書の施行を証明し、施行文書の件数を明示し、偽造文書の発生を防ぐためのものである。

割印は、施行文書の上辺中央部と決裁文書の施行文書案のあて先の上部に半分ずつかかるように押印する(図1)。あて先が多数の場合は、別紙にあて先を書いて、それにかけて押印し、決裁文書に添付しておく(図2)

(図1)

(図2)

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(9) 契印は、特に重要な施行文書について、抜取りや差し込みを防ぐために用いられる。

文書が2枚以上にわたる場合に、それらが正しく連続していることを証するために、そのとじ目に、当該文書の名義人の公印を両方にかけて押印する(図1)。袋とじの場合は、裏面の継ぎ目に押印する(図2)

(図1)

(図2)

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11 公印の事前押印(13条)

(1) 事前押印をしようとするときの申請者は、文書等の保管責任者(当該文書等に係る主務課長をいう。以下同じ。)であることを明確にした。

(2) 文書等の保管責任者は、事前押印をした文書等が、書損、汚損、様式の変更、人事異動等の理由により使用できなくなったときは、当該文書等を速やかに総務課長に送付しなければならないこととし、総務課長は、当該文書等を適切な方法により廃棄しなければならないこととした。

(3) 事前押印は、事前押印をする文書が次に掲げる要件を満たす場合に行うことができる。

ア 定例的かつ定型的な文書であること。

イ 交付の日時、場所、発行先は、未確定であるが、即時交付を要するものである場合又は事務能率上その場で処理することが要請されるものである場合のいずれかに該当すること。

ウ 文書の性質、様式等からみて事故の生ずるおそれがないと認められる文書であること。

(4) 事前押印をする場合には、次の事項に留意すること。

ア 事前押印の承認は、すべての公印について、押印の都度必要であること。

イ 公印事前押印・印影印刷承認申請書を提出するときには、事前押印をしようとする文書の見本を添付すること。

ウ 事前押印をする枚数は、当該年度内の使用予定枚数の範囲内とすること。

12 公印の印影印刷(第14条)

(1) 文書等の保管責任者は、印影印刷をした文書等を厳重に保管し、常にその使用状況を明らかにしておかなければならないこととした。

(2) 文書等の保管責任者は、印影印刷をした文書等が、書損、汚損、様式の変更、人事異動等の理由により使用できなくなったときは、当該文書等を速やかに総務課長に送付しなければならないこととし、総務課長は、当該文書等を適切な方法により廃棄しなければならないこととした。

(3) 文書等の保管責任者は、外注により印影印刷をするときは、印影の不正使用を防止するため、印刷に使用した印影の原版の引渡し及び不用な印刷物の処分等について、契約に特約を付する等適切な措置を講じなければならないこととした。具体的には、(5)のエからカによること。

(4) 印影印刷は、印影印刷をする文書が次に掲げる要件を満たす場合に行うことができる。

ア 定例的かつ定型的な文書であること。

イ 年度内を通じて随時交付する必要があり、かつ、年度内の使用予定枚数がおおむね500枚以上の文書を一括印刷する場合又は一時におおむね100枚以上交付する必要がある文書を印刷する場合であること。

ウ 文書の性質、様式等からみて事故の生ずるおそれがないと認められる文書であること。

(5) 印影印刷をする場合には、次の事項に留意すること。

ア 印影印刷の承認は、すべての公印について、印刷の都度必要であること。

イ 公印事前押印・印影印刷承認申請書を提出するときには、印影印刷をしようとする文書の見本を添付すること。

ウ 印影印刷をする枚数は、当該年度内の使用予定枚数(一時に交付する必要がある文書にあっては、その交付予定枚数)の範囲内とすること。

エ 文書等の保管責任者又は契約担当課長は、印影印刷を業者に発注するときは、次に掲げる事項を仕様書又は契約書に明記するとともに、その履行を確認すること。

(ア) 印影印刷は、原寸大とし、拡大又は縮小して印刷しないこと。

(イ) 印刷ミス、破損等のため、印影印刷をした文書を処分するときは、裁断等印影が残らない方法で行うこと。

(ウ) 業者に貸与した印影及び業者が作成した原版(原版作成用フィルムを含む。)は、印刷物の納入と同時に返却すること。

オ 文書等の保管責任者は、業者から回収した印影及び原版を速やかに総務課長に返却すること。

カ 文書等の保管責任者は、印影印刷文書の納品を受けたときは、当該文書を1枚総務課長に提出し、その確認を受けること。

(6) 印影印刷をした日の属する年度の末日において印影印刷文書に残余が生じたときは、書損等の文書に準じて処理すること。

(7) 文書等の保管責任者が次の表の左欄に掲げる公印を押印すべき文書について、印影印刷をするときは、それぞれ同表の右欄に掲げる公印の印影を用いることができる。この場合において、当該印影印刷をした文書等をやむを得ず訂正するときは、同表の左欄に掲げる公印を用いることができる。

文書に押印すべき公印

印影印刷に用いることができる公印

専用区長印

区長印

専用区長職務代理印

区長職務代理印

13 電子計算組織による公印の印影打ち出し(第15条)

(1) 定例的かつ定型的な文書等で年間を通じ多数作成する文書等のうち、公印を押印すべきもので、総務課長が適当と認めたものについては、電子計算組織に記録したその公印の印影を当該文書等に打ち出すこと(以下「印影打ち出し」という。)により公印の押印に代えることができることとした。

(2) 文書等の保管責任者は、印影打ち出しをした文書等を厳重に保管し、常にその使用状況を明らかにしておかなければならないこととした。

(3) 文書等の保管責任者は、印影打ち出しをした文書等が、書損、汚損、様式の変更、人事異動等の理由により使用できなくなったときは、当該文書等を速やかに総務課長に送付しなければならないこととし、総務課長は、当該文書等を適切な方法により廃棄しなければならないこととした。

(4) 印影打ち出しは、印影打ち出しをする文書が次に掲げる要件を満たす場合に行うことができる。

ア 定例的かつ定型的な文書であること。

イ 年度内を通じて随時交付する必要があり、かつ、年度内の使用予定枚数がおおむね500枚以上の文書であること。

ウ 文書の性質、様式等からみて事故の生ずるおそれがないと認められる文書であること。

(5) 印影打ち出しをする場合には、次の事項に留意すること。

ア 印影打ち出しの承認は、すべての公印について必要であること。

イ 電子計算組織による公印印影打ち出し承認申請書を提出するときには、印影打ち出しをしようとする文書の見本を添付すること。

(6) 印影打ち出しをするとき及び印影打ち出しをした文書等をやむを得ず訂正するときは、12(7)の例によることができる。

14 公印の引継ぎ、保存及び廃棄(第16条)

(1) 公印管理者は、改刻等のため公印を使用しなくなったときは、公印引継書によりその印章を総務課長に引き継ぐこととした。

なお、組織の改廃により使用廃止とされる公印の引継ぎは、改廃前の公印管理者が行うこと。

(2) 公印の保存期間の起算日を、改刻等の日から「引継ぎを受けた日の属する年度の翌年度の初日」に改めた。

(3) 改刻前の印影の保存及び廃棄については、公印規則からは規定をなくし、文書管理規程に基づく文書(公印台帳)の保存及び廃棄によって行うこととした。

15 事故の報告(第17条)

(1) 公印管理者は、公印に盗難、紛失又は偽変造があったときは、直ちに必要な措置を講じなければならないこととした。

(2) 公印に関する事故について、従来、総務課長を経由して総務部長に届け出ることとしていたのを、総務課長に報告するだけでよいこととした。

(3) 事前押印文書、印影印刷文書及び印影打ち出し文書に関し、事故があったときの取扱いについても、上記に準じて処理すること。

16 公印の管理状況の調査等(第18条)

(1) 公印管理者は、公印の保管及び使用状況等を常に把握しておき、必要があると認めたときは、総務課長に報告しなければならないこととした。

(2) 公印の管理状況の調査権者を、総務部長から総務課長に改めた。

17 様式

公印印影状況報告書(第三号様式)を廃止し、交付公印台帳(第三号様式)を新設した。

18 経過措置(付則第2項から第5項まで)

(1) 旧規則に基づいて作成された公印及び公印台帳並びに旧規則に基づき事前押印又は印影の印刷(以下「事前押印等」という。)の承認を受けて事前押印等をした文書等であって、この規則の施行の際、現に保管又は保存中のものは、それぞれ新規則に基づく公印及び公印台帳並びに事前押印又は印影印刷をした文書等とみなすこととした。したがって、旧規則に基づき事前押印等をした文書等についても、書損等により使用できなくなったときは、総務課長に送付して廃棄処分に付さなければならないので、留意すること。

(2) 旧規則に基づいてなされた事前押印等の承認のうち、この規則の施行の日前に当該承認に基づいて事前押印等をしていないものは、新規則に基づく事前押印又は印影印刷の承認とみなすこととした。したがって、これらについては、新たに事前押印又は印影印刷の承認申請をする必要はない。

(3) この規則の施行の際、新規則第15条第1項に基づく印影打ち出しに相当する行為で、現に行われているものについては、この規則の施行の日以後速やかに総務課長に申請して承認を得なければならないこととした。

(4) この規則の施行の際、旧規則第1号様式による用紙(公印台帳)で、現に残存するものは、所要の修正を加え、なお使用することができることとした。

19 その他

(1) 本則の規定の順序を、時系列に従って整理した。

(2) 全般にわたって、規定の整備を行った。

東京都港区公印規則の全部改正について(依命通達)

平成4年12月25日 港総総第694号

(平成22年3月31日施行)

体系情報
第1類 規/第4章 文書、公印
沿革情報
平成4年12月25日 港総総第694号
平成22年3月31日 依命通達