○貸付地管理の事務取扱要綱

昭和49年6月13日

49港総経第349号

第1章 借地権の譲渡

(定義)

第1条 この要綱において、借地権の譲渡とは、土地の賃借権(又は地上権)が、従来の借地人から離れて譲渡人に帰属することをいい、通常売買又は贈与により行われ、その他競落及び公売による場合がある。

(譲渡承認の手続)

第2条 譲渡の承認は、事前に行うことを原則とする。ただし、事情やむを得ない場合は、事後の承認とする。

2 借地人から譲渡についての申出があった場合は、借地権譲渡承認願(第3号様式)に必要書類を添付して、これを提出させる。

3 承認願の提出を受けた場合は、書類を精査し、現地調査を行ったうえ、これを調査報告書(第22号様式)に記入する。この結果、支障がないと認められるときは、これを承認し、譲渡人に承認書(第1号様式)を交付する。

4 承認書に基づき、当事者間で譲渡が完了した後、建物登記事項証明書を提出させる。

5 事後承認については、譲渡を証する書類(建物登記事項証明書等)を添付させ処理する。

(添付書類)

第3条 借地権譲渡承認願の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 譲渡人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 建物登記事項証明書

 案内図・見取図

(2) 譲受人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

(3) 譲受人の連帯保証人

 印鑑証明書

 住民票抄本

 所得証明書(年間約200万円以上)

(外国人の取扱い)

第4条 譲受人が外国人である場合については、外国人の財産取得に関する政令(昭和24年政令第51号)、昭和27年大蔵省通商産業省告示第1号(外国人の財産取得に関する政令の規定を適用しない外国人を指定する告示)を参照し処理する。

(転貸の承認)

第5条 転貸については、状況に応じて慎重に取扱う。手続等については、借地権譲渡に準ずる。

(建物の競落、公売の取扱い)

第6条 競落等により建物を取得した者に対する借地権譲渡は、通常の借地権譲渡承認願(第3号様式)を提出させることとする。この場合において、従来の借地人の押印、その他印鑑証明書等を徴することが困難なときは、これにかえて建物取得者(譲受人)から建物登記事項証明書及び競落等の決定を証する書類を添付させる。その他は第2条第3項の手続きに準ずる。

第2章 借地権の承継

(定義)

第7条 この要綱において、借地権の承継とは、借地人の死亡や、法人の合併等の事由によって、従前の借地人から借地権が相続人や合併後存続する法人(以下「承継人」という。)に移転する場合をいう。

(承継の手続)

第8条 承継人から承継についての申出があった場合は、借地権承継届(第13号様式)に必要書類を添付して、これを提出させる。

2 承継届の提出を受けた場合は、書類を精査し、現地調査を行ったうえ、これを調査報告書(第22号様式)に記入する。この結果、支障がないと認められるときは、これを受理する。

(添付書類)

第9条 借地人死亡の場合の借地権承継届の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 承継人

 印鑑証明書

 被承継人の戸(除)籍抄本

 相続登記済の建物登記事項証明書(未登記家屋等の場合は、建物及び借地権の承継がなされたことを証明する書類、除籍謄本、戸籍謄本、遺産分割協議書等)

 念書(第21号様式)

 案内図・見取図

(2) 承継人の連帯保証人

 印鑑証明書

 住民票抄本

 所得証明書(年間約200万円以上)

2 借地人合併の場合の借地権承継届の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 承継人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 合併登記済の建物登記事項証明書(未登記家屋等の場合は、建物及び借地権の承継がなされたことを証明する書類、合併契約書等)

 念書(第21号様式)

 案内図・見取図

(2) 承継人の連帯保証人

 前項の連帯保証人に同じ。

第3章 契約期間の更新

(定義)

第10条 この要綱において、契約期間の更新とは、契約期間満了に伴い同一条項による契約の更新をいう。

(更新の手続)

第11条 現行契約上、借地人は期間満了前3か月前までに更新の申出をすることになっているが、借地人の便宜と事務処理の促進を図るため、契約期間更新手続の通知(第23号様式)を発送する。

2 借地人から更新の申出があった場合は、契約期間更新承認願(第4号様式)に必要書類を添付して、これを提出させる。

3 承認願の提出を受けた場合は、書類を精査し、現地調査を行ったうえ、これを調査報告書(第22号様式)に記入する。この結果、支障がないと認められるときは、これを承認し、借地人に承認書(第1号様式)を交付する。

4 更新の申出のないものについては、その原因を調査し、契約の適正化を図る。

(添付書類)

第12条 契約期間更新承認願の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 借地人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 建物登記事項証明書

 案内図・見取図

(2) 連帯保証人

 印鑑証明書

 住民票抄本

 所得証明書(年間約200万円以上)

第4章 使用目的の変更

(定義)

第13条 この要綱において、使用目的の変更とは、契約に定める使用目的を「非堅固」から「堅固」に変更する場合等をいい、その区分は別表1に従う。

(変更の手続)

第14条 借地人から使用目的の変更の申出があった場合は、使用目的変更承認願(第5号様式)に必要書類を添付して、これを提出させる。

2 承認願の提出を受けた場合は、書類を精査し、現地調査を行ったうえ、これを調査報告書(第22号様式)に記入する。この結果、支障がないと認められるときは、これを承認し、借地人に承認書(第2号様式)を交付する。

3 承認にあたっては、貸付期間を更新することとし、その期間は次のとおりとする。この場合の貸付期間の始期は、当該事業決定の日の翌日から起算する。

(1) 堅固の建物敷地 30年間

(2) 非堅固の建物敷地 20年間

4 承認にかかる建物等が実際に建築されたこと、並びに借地人名義の建物が建築されたこと等の確認を行うため、建物が完成したときは、借地人から建物登記事項証明書を提出させる。この場合において、建物所有権の保存登記が行われないとき、又は相当期間経過してもその提出がないときは、必要な調査を行う。

5 承認内容と異なる建物等が建築されたとき、又は相当期間経過しても建築されないときは、その事情に応じてその承認を取消す等必要な措置をとるものとする。

6 事後承認については、契約条項の趣旨を考慮して、個別的に現地調査のうえ、慎重に取扱う。この場合の手続については、事前承認に準じて処理し、その貸付期間は当該建物の完成の日を基準とする。

(添付書類)

第15条 使用目的変更承認願の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 借地人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 建築図面(建物配置図、立面図、側面図、断面図及び材質に関するもの)

 工事計画書(第19号様式)

 念書(第20号様式)

(2) 連帯保証人

 印鑑証明書

第5章 建物の新築(増築・改築を含む)

(定義)

第16条 この要綱において、建物の新築(増築・改築を含む)とは、土地の賃貸借契約に定める使用目的にしたがって、建物を新築する場合をいう。

(新築承認の手続)

第17条 借地人から新築について申出があった場合は、建物新築承認願(第6号様式)に必要書類を添付して、これを提出させる。

2 承認願の提出を受けた場合は、書類を精査し、現地調査を行ったうえ、これを調査報告書(第22号様式)に記入する。この結果、支障がないと認められるときは、これを承認し、借地人に承認書(第1号様式)を交付する。

3 承認にあたっては、貸付期間を更新することとし、その期間は次のとおりとする。この場合の貸付期間の始期は、当該事業決定の日の翌日から起算する。

(1) 堅固の建物敷地 30年間

(2) 非堅固の建物敷地 20年間

4 承認にかかる建物等が実際に建築されたこと、並びに借地人名義の建物が建築されたこと等の確認を行うため、建物が完成したときは、借地人から建物登記事項証明書を提出させる。この場合において、建物所有権の保存登記が行われないとき、又は相当期間経過してもその提出がないときは、必要な調査を行う。

5 承認内容と異なる建物等が建築されたとき、又は相当期間経過しても建築されないときは、その事情に応じてその承認を取消す等必要な措置をとるものとする。

6 事後承認については、契約条項の趣旨を考慮して、個別的に現地調査のうえ、慎重に取扱う。この場合の手続については、事前承認に準じて処理し、その貸付期間は当該建物の完成の日を基準とする。

(増築・改築)

第18条 増築・改築の手続は、新築の取扱と同様とする。ただし、増築・改築による現状変更が軽易なものについては、増築・改築承認願(第6号様式)の提出を省略することができる。

2 前項の規定における現状変更が軽易なものとは、風呂場・台所等の小規模の建増し及びこれに類するもので、その面積は10平方メートル以下のものとする。

3 増築・改築については、原則として期間の更新は行わない。

(添付書類)

第19条 建物新・増・改築承認願の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 借地人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 建築図面(建物配置図、立面図、側面図、断面図及び材質に関するもの)

 工事計画書(第19号様式)

 念書(第20号様式)

(2) 連帯保証人

 印鑑証明書

第6章 分割及び合併

(分割の手続)

第20条 借地人から貸付区画を分割したい旨の申出があった場合は、現在の貸付区画を調査し、分割の是非を検討する。この場合において、分割することにより区画が細分化して、土地の価格が著しく低下することのないよう充分注意するものとする。

2 検討の結果支障のない場合は、区有地分割測量願(第9号様式)に案内図、分割予定図を添付して提出させる。

3 前項の書類の提出を受けたときは、ただちに測量業者に測量を依頼することとする。

4 分割等借地人の必要に応じて行う測量は、港区公有財産管理規則(昭和49年港区規則第34号)その他の規程に基づき、その実費を徴収するので、分割申出の際に、借地人にあらかじめ必要金額を指示し、分割測量願の提出と同時に借地人が区へ実費を納入できるようにする。

5 測量が完了して、業者から分割図の送付を受けた後、借地人にその図面又は写しを交付し、借地人から借用区有地分割願(第7号様式)を提出させる。

6 分割の承認は、分割の決定後承認書(第1号様式)を交付する。

(合併の手続)

第21条 借地人から貸付区画を合併したい旨の申出があった場合は、現在の貸付区画を調査し、合併の是非を検討する。

2 検討の結果支障のない場合は、借用区有地合併願(第7号様式)を提出させる。

3 合併願提出後、測量業者に合併図作成を依頼する。実費については、分割の場合と同様とする。

4 合併については、分割と異なり、測量及び立会は行わない場合がある。

5 合併図面完成後、承認の決定、承認書の交付の手続は、分割の場合と同様とする。

6 合併は、分割が土地の細分化と事務量の増大を来たすのに対し、事務の簡素化ができるので、一借地人が数区画にまたがって同一用途に使用している場合は、諸申請等の機会をとらえて、合併の促進を図るものとする。

(分割・合併の共通事項等)

第22条 分割及び合併は、共に地積を確定した後承認事務を行うが、新たな貸付区画を確定するについて、貸付料、貸付期間に変動が生ずる場合がある。特に合併の場合の取扱いは、貸付料の高い区画に統一し、期間については長い区画に統一して処理する。

2 貸付料の変動分については、事務処理上期別に合せて処理する。

3 分割、合併による新区画は、その都度貸付図面に表示して、事後の事務処理に支障のないようにする。

4 貸付符号のつけ方は、土地登記における分筆、合併の例による。

(添付書類)

第23条 借用区有地分割・合併願の添付書類は、次のとおりとする。

(1) 借地人

 印鑑証明書(個人・法人とも)

 資格証明書(法人)

 案内図

 分割又は合併予定図

(2) 連帯保証人

 印鑑証明書

第7章 共通事項

(連帯保証人)

第24条 連帯保証人は、借地人が負担する一切の責務につき、借地人と連帯して履行の責任を負うものとする。

2 連帯保証人の資格は、次の条件を具備していることが必要である。

(1) 能力者であること。

(2) 弁済の資力を有すること。(参照民法第450条)

3 前項の条件を考慮して、その基準はおおむね次のとおりとする。

(1) 東京都の区域内に住所を有すること。

(2) 所得は、年間約200万円以上であること。(固定資産課税台帳登録証明書を提出の場合は、証明価格が100万円以上であること。)

4 次の各号の一に該当する者は、原則として、連帯保証人として適当でない。

(1) 借地人の配偶者、又は同居の親族

(2) 会社等の連帯保証人になる場合においては、その会社の役員

(3) 多人数の借地人の連帯保証人になる場合

(4) 法人

(地代納入状況の調査)

第25条 承認等の事案処理にあたっては、相手方が地代を滞納していないかどうかを調査しなければならない。

2 滞納がある場合は、相手方に地代を納入させたうえ、承認等の処理を行う。

3 調査結果は、調査報告書(第22号様式)に記載する。

(境界表示の測量)

第26条 使用目的の変更・新築等の申出があった場合は、貸付地の地境の紛争を避けるため、申出人(借地人)から区有地境界標示願(第8号様式)を提出させるものとする。

2 測量が完了してから、承認の事務処理を行う。

3 測量実費は、申出があったときに納入させる。

(現地調査)

第27条 貸付地の管理上、常に現地を調査し、現地をは握すべきであるが、特に事案処理にあたっては、現地調査を重点とする。

2 現地調査の結果は、調査報告書(第22号様式)に記載し、処理事案に添付する。

(事案の処理)

第28条 各事案の処理にあたっては、別紙2の調査事項、調査内容等を参照して行う。

(様式)

第29条 事務処理上必要な書類については、別紙の各様式に従う。

この要綱は、昭和49年10月1日から施行する。

この要綱は、昭和59年5月25日から施行する。

この要綱は、平成10年4月1日から施行する。

(別表1)

使用目的の区分

使用目的

構造

摘要

堅固造建物敷地

鉄骨鉄筋コンクリート造

 

鉄筋コンクリート造

 

れんが造

 

石造

 

ブロック造

 

土蔵造

 

鉄骨造

骨格材の肉厚が4ミリメートルをこえるもの

非堅固造建物敷地

鉄骨造

骨格材の肉厚が4ミリメートル以下のもの

木造又は合成樹脂造

 

木造モルタル造

 

(別表2)

事案別

調査事項

借地権譲渡

借地権承継

契約期間更新

使用目的変更

建物新築

分割合併

添付資料等

調査内容等

借地人

意思の確認

 

印鑑証明書

印鑑照合・発行日確認(3箇月以内)住所確認(譲渡については譲渡人・譲受人とも)

建物所有権の確認

 

 

 

 

建物登記事項証明書

所在地・構造・建物面積及び所有権の確認

法人代表者資格の確認

 

資格証明

代表権有無の確認(特に共同代表の記載)(譲渡については譲渡人・譲受人とも)

連帯保証人

意思の確認

印鑑証明書

印鑑照合・発行日確認(3箇月以内)・住所確認

資力の確認

 

 

 

所得証明

所得額の確認(年収200万円以上)

住所の確認

 

 

 

住民票抄本

都内在住の有無

借地人死亡の確認

 

 

 

 

 

(除)籍抄本

 

承継人の確認

 

 

 

 

 

印鑑証明書

建物登記事項証明書

印鑑照合・発行日確認(3箇月以内)住所確認、相続登記事項による建物所有権の確認

建築物の確認

 

 

 

 

建築図面

堅固・非堅固の確認・貸付地に対する建物配置の確認

紛争の防止

 

 

 

念書

使用目的・新築…境界その他工事施行についての責任の義務確認

承継…相続問題紛争責任の義務確認

競売・公売の事実確認

 

 

 

 

 

競落決定通知書

物件目録記載事項確認

現地調査

案内図・見取図

無断転貸の事実調査・相隣関係等の現状は握当該区有地上の建物

境界の確認

 

 

 

測量依頼

分割…実測の上、分割図作成

使用目的・新築…工事着工前に確定

貸付料の納入状況

徴収簿

直近納入期限日における貸付料滞納の有無

覚書等交換の有無

貸付簿

未交換分について交換

決定

事案決定実施細目

すべて部長決裁

承認書の交付

 

決定文書

文書係で区長印押印・承認の日は決定日と合せる

台帳の記入

貸付台帳

決定後直ちに記入

増減通知

 

 

 

 

 

増減異動調書

所在・地積・価格・財産分類・区画・貸付料の異動通知

事案別

調査事項

借地権譲渡

借地権承継

契約期間更新

使用目的変更

建物新築

分割合併

添付資料等

調査内容等

文書格納

決定文書

ファイル基準表による

建物所有権の確認

 

 

 

建物登記事項証明書

使用目的・新築…借地人名義の所有権確認・構造・その他のは握

譲渡…所有権移転の確認

様式(省略)

貸付地管理の事務取扱要綱

昭和49年6月13日 港総経第349号

(昭和49年6月13日施行)

体系情報
要綱集/第3類 務/第2章
沿革情報
昭和49年6月13日 港総経第349号