○港区浄化槽指導要綱
平成12年3月31日
11港環清第330号
(目的)
第1条 この要綱は、浄化槽法(昭和58年法律第43号。以下「法」という。)、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「基準法」という。)及び港区浄化槽清掃業の許可に関する条例(平成11年港区条例第34号。以下「条例」という。)その他浄化槽関係規定に定めるもののほか、浄化槽によるし尿等の適正な処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与するため、浄化槽の設置基準及び手続並びに維持管理等に関し浄化槽関係者が行うべき必要な事項を定める。
(用語の定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、法、基準法、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。)及び条例に定めるところによるもののほか、次に定めるとおりとする。
(1) 合併処理浄化槽
(2) 単独処理浄化槽
し尿のみを処理する浄化槽をいう。
(3) 浄化槽管理者
浄化槽の所有者、占有者その他の者で当該浄化槽の管理について権原を有するものをいう。
(4) 法定検査
法第7条の規定による設置後等の水質検査(以下「7条検査」という。)及び法第11条の規定による定期検査(以下「11条検査」という。)をいう。
(5) 維持管理
浄化槽の保守点検、清掃、法定検査等浄化槽の性能・機能を正常に維持するための管理全般をいう。
(6) 技術管理者
浄化槽法第10条第2項に定める浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術の業務を担当する者をいう。
(7) 浄化槽関係団体
浄化槽清掃業者、浄化保守点検業者等が構成する団体をいう。
(設置基準等)
第3条 浄化槽設置基準は次のとおりとする。
(1) 設置基準
浄化槽を新たに設置するときは、別表1で定める合併処理浄化槽とすること。
(2) 設置場所
ア 維持管理を容易に行えること。
イ 敷地付近に放流先があること。ただし、設置場所周辺に放流できる水路等がない場合は、合併処理浄化槽、付加消毒装置等により、放流水を地下浸透させることができる。
ウ 雨水等により冠水しないこと。
エ その他生活環境の保全及び公衆衛生上支障のない場所であること。
(3) 放流先
放流先は、環境衛生上支障がなく、かつ、水量疎通が適当である水路等であること。
(設置等の手続)
第4条 浄化槽の設置等の手続及び届出書類等については、次のように定める。
(1) 法の規定に基づく手続
ア 法第5条第1項の規定により浄化槽を設置しようとする者は、浄化槽工事の技術上の基準及び浄化槽の設置等の届出に関する省令(昭和60年厚生省・建設省令第1号。以下「共同省令」という。)第3条第1項の浄化槽設置届出書に別表2に掲げる書類等を添付し、区長及び区長を経由して特定行政庁に提出すること。
イ 法第5条第1項の規定により浄化槽の構造又は規模の変更をしようとする者は、共同省令第4条第1項の浄化槽変更届出書に別表2に掲げる書類を添付し、区長及び区長を経由して特定行政庁に提出すること。
ウ 法第10条の2第1項の規定により浄化槽管理者は、浄化槽使用開始の日から30日以内に浄化槽使用開始報告書(港区浄化槽清掃業の許可に関する規則(平成12年港区規則第9号。以下「規則」という。)第26号様式)を区長に提出すること。
エ 法第10条の2第2項の規定により政令で定める規模の浄化槽管理者は、技術管理者を変更した場合は、変更の日から30日以内に技術管理者変更報告書(規則第27号様式)を区長に提出すること。
オ 法第10条の2第3項の規定により浄化槽管理者が変更になった場合は、新たに浄化槽管理者となった者は、変更の日から30日以内に浄化槽管理者変更報告書(規則第28号様式)を区長に提出すること。
(2) 基準法の規定に基づく手続
ア 基準法第6条第1項(同法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による建築確認申請又は同法第18条第2項(同法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による計画通知において浄化槽を設置しようとする者は、当該建築確認申請書又は計画通知書に別表2に掲げる書類等を添付して建築主事に申請すること。
イ 建築工事の完了前に新たに浄化槽を設置する場合又は浄化槽の構造若しくは規模の変更をする場合は、あらかじめ建築主事に報告すること。この場合においては、別表2に掲げる書類等のうち変更に係る書類等を添付すること。
(3) 浄化槽廃止の手続
(関係者等の責務)
第5条 次に掲げる浄化槽関係者は、浄化槽の設置及び維持管理等に当たっては関係法令の規定のほか、次の事項を行わなければならない。
(1) 浄化槽管理者
浄化槽管理者は、法定検査を受検し、維持管理を実施し、及び環境省関係浄化槽法施行規則(昭和59年厚生省令第17号。以下「環境省令」という。)第1条に定める規定により浄化槽を使用するほか、次の事項を行うこと。
ア 既に単独処理浄化槽を設置している者は、合併処理浄化槽に転換するよう努めること。
イ 浄化槽の保守点検を委託する場合は、法第2条に基づく浄化槽管理士に委託すること。
ウ 浄化槽清掃を委託する場合は、法第35条第1項に基づく区長の許可を受けた浄化槽清掃業者に委託すること。
エ 建築基準法施行令第32条第1項に規定する処理対象人員が201人以上であって、その放流水が水質総量規制地域に流入する浄化槽施設の浄化槽管理者は、法第10条第2項に基づき、自ら技術管理者として浄化槽を管理する場合を除き技術管理者を任命し、当該浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術上の業務を担当させること。
オ 共同で浄化槽を使用する場合又は浄化槽が設置されている建築物を賃貸借する場合は、維持管理主体を明確にすること。
(2) 浄化槽管理士
浄化槽管理士は、環境省令第2条に定める保守点検の技術上の基準に従って業務を行うほか、次の事項を行うこと。
ア 保守点検の実施に当たっては、作業の安全と周囲の環境衛生に十分考慮すること。
イ 保守点検の実施に当たっては、浄化槽管理者又はその代理人等に立会いを求め、保守点検終了後は確認を受けること。
ウ 法第8条に基づく保守点検の実施に当たっては、別表3に定める水質検査を行うこと。
エ 法第8条に基づく保守点検の結果、浄化槽に故障、異常又は機能に支障が生じるおそれがあると認めた場合及び清掃を要すると判断した場合は、その旨浄化槽管理者等に報告すること。
オ 浄化槽管理者が11条検査の受検手続を行っていない場合は、浄化槽管理者の委託を受けて手続を行うことができる。
カ 浄化槽保守点検に関する新しい技術について、積極的に取得に努めること。
(3) 技術管理者
技術管理者は、施設ごとの専従を原則とし、保守点検作業及び清掃作業の両業務を統括すること。
(4) 浄化槽清掃業者
浄化槽清掃業者は、法9条に基づき、環境省令第3条に規定する清掃の技術上の基準等に従って業務を行うほか、次の事項を行うこと。
ア 清掃の実施に当たっては、作業の安全と周辺の環境衛生に十分配慮すること。
イ 清掃の実施に当たっては、浄化槽管理者又はその代理人等に立会を求め、清掃終了後は確認を受けること。
ウ 清掃の実施に当たっては、別表4に掲げる用具を用いること。
エ 清掃実施後は、清掃の記録を2部作成し、1部を浄化槽の浄化槽管理者に交付し、1部を自ら3年間保存すること。
オ 清掃の結果、浄化槽に異常を認めたときは速やかに浄化槽管理者に報告すること。
カ 浄化槽管理者が11条検査の受検手続を行っていない場合は、浄化槽管理者の委託を受けて手続を行うことができる。
キ 浄化槽の清掃に関する新しい技術について、積極的に取得に努めること。
(5) 浄化槽関係団体
行政の施策に協力し、構成員に対し、社会的使命の重要性を認識させること。
付則
1 この要綱は、平成12年4月1日から施行する。
2 この要綱の施行前に東京都浄化槽指導要綱(平成11年3月26日10清環指876号)の規定により東京都知事がした指導等の行為又はこの要綱の施行の際現に東京都知事に対して行っている届出その他の行為で、施行日以後において区長が管理し、及び執行することとなる事務に係るものは、同日以後においては、区長のした処分等の行為又は区長に対して行った申請等の行為とみなす。
付則
この要綱は、平成18年4月1日から施行する。
付則
この要綱は、平成25年4月1日から施行する。
付則
この要綱は、令和5年1月1日から施行する。
別表1(第3条関係)
合併処理浄化槽の設置構造指針
処理対象人員 | 構造 | 処理性能(mg/リットル) | |||
BOD | COD | T-N | T-P | ||
50人以下 | 建設省告示第1第6号に基づく構造を有するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとして建設大臣の認定を受けたもの | 20 | ― | 20 | ― |
51人から200人 | 建設省告示第9に基づく構造を有するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとして建設大臣の認定を受けたもの | 10 | 15 | 20 | 1 |
201人以上 | 建設省告示第11に基づく構造を有するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとして建設大臣の認定を受けたもの | ※ 10 | 15 | 10 | 1 |
(備考)
1 建設省告示とは、昭和55年建設省告示第1292号をいう。
※ 本区における201人以上の浄化槽にあっては、併せて放流水のBOD平均目標5mg/リットルも基準とする。
別表2(第4条関係)
浄化槽設置届出等添付書類
添付書類等 | 部数 | |
確認申請等 | 設置届出等 | |
1 浄化槽法第13条の規定による建設大臣の認定を受けた浄化槽を設置し、又はその構造若しくは規模の変更をする場合 |
|
|
(1) 建築物の平面図(配置図及び配管図を含む。) | 2部 | 3部 |
(2) 付近の見取図 | 2部 | 3部 |
(3) 工場生産浄化槽認定シートの写し | 2部 | 3部 |
(4) 共有施設下水管汚水管等を使用する場合は、その承諾書等の写し(例:道路占有許可書、河川放流承認書等) | 2部 | 3部 |
(5) 区画整理等で区長等の許可等を必要とする場合は、その許可書等の写し | 2部 | 3部 |
(6) 浄化槽法第7条検査依頼書払込票兼受領証の写し | 1部 | 1部 |
(7) 浄化槽カード(第1号様式) | 1部 | 1部 |
(8) 浄化槽の排水を再利用又は地下浸透する場合は、東京都環境保全局が交付する事前協議確認書 | 2部 | 3部 |
2 浄化槽法第13条の規定による建設大臣の認定を受けていない浄化槽を設置する場合 |
|
|
(1) 浄化槽の構造図、仕様書及び処理工程図 | 2部 | 3部 |
(2) 設計計算書 | 2部 | 3部 |
(3) 建築物の平面図(配置図及び配管図を含む。) | 2部 | 3部 |
(4) 付近の見取図 | 2部 | 3部 |
(5) 共有施設下水管汚水管等を使用する場合は、その承諾書等の写し(例:道路占有許可書、河川放流承認書) | 2部 | 3部 |
(6) 区画整理等で区長等の許可等を必要とする場合は、その許可書等の写し | 2部 | 3部 |
(7) 浄化槽法第7条検査依頼書払込票兼受領証の写し | 1部 | 1部 |
(8) 浄化槽カード(第1号様式) | 1部 | 1部 |
(9) 浄化槽の排水を再利用又は地下浸透する場合は、東京都環境保全局が交付する事前協議確認書 | 2部 | 3部 |
注1) 部数欄の「確認申請等」は、建築基準法第6条及び第18条による手続、「設置届出等」は浄化槽法第5条による手続の提出部数
注2) 確認申請等における手続で他の書類で代用することのできる書類がある場合は建築物の平面図等は省略できる。
別表3(第5条関係)
浄化槽の水質管理項目
浄化槽の機能効率を正しく把握し、適正な放流水等の水質管理を行うため、次のとおり放流水等の水質管理及び機能検査を実施する。
分類 | 検査項目 | 放流水水質検査 | 機能検査 | |||
流入水 | ばつ気室(槽)内混合液 | 接触ばつ気室(槽)内液 | 回転板接触槽内液 | |||
A | 水温 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
色相 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
臭気 | ○ |
| ○ | ○ | ○ | |
透視度 | ○ | ○ |
| ○ | ○ | |
水素イオン濃度指数 | ○ | ○ |
| ○ | ○ | |
溶存酸素量 |
|
| ○ | ○ | ○ | |
汚泥沈殿率(SV) |
|
| ○ |
|
| |
亜硝酸性窒素 | ○ |
|
|
|
| |
残留塩素量 | ○ |
|
|
|
| |
塩素イオン濃度 | ○ |
|
|
|
| |
MLSS |
|
| ○ |
|
| |
B | BOD | ○ | ○ |
|
|
|
COD | ○ |
|
|
|
| |
大腸菌指数 | ○ |
|
|
|
| |
SS | ○ | ○ |
|
|
|
(注)
(1) 分類Aについては、定期点検の都度行うこと。
(2) 分類Bについては、処理対象人員501人以上の浄化槽は毎月1回以上、処理対象人員201人以上500人以下の浄化槽は6月に1回以上測定すること。なお、処理対象人員200人以下の浄化槽にあっても必要に応じて測定すること。
(3) 単独処理浄化槽では、流入水の検査は行わなくてもよい。
(4) 合併処理浄化槽では、塩素イオン濃度の検査は行わなくてもよい。
別表4(第5条関係)
浄化槽清掃作業用具一覧表
1 | マンホールふたあけ用具 |
2 | スカム、汚泥厚測定器具 |
3 | スカム破砕用具 |
4 | パイプ、スロット清掃用具 |
5 | ろ床等の洗浄用具 |
6 | 夾雑物かきあげ用具 |
7 | 自吸式ポンプその他汚泥の引き出しに適する用具 |
8 | 送風機 |
9 | ガスマスク |
10 | ヘルメット |
11 | 噴霧器、殺虫剤 |
12 | 浄化槽の機能点検を行うに適する用具、温度計、透視度計、水素イオン濃度指数測定器具、沈殿汚泥試験器具 |
13 | 酸素濃度測定器 |
14 | 硫化水素濃度測定器具 |
15 | その他清掃作業に必要とする用具 |
様式(省略)