○港区建築物環境衛生管理要領
平成6年2月4日
5港保保第1009号
(趣旨)
第1条 この要領は、港区建築物環境衛生管理要綱(平成6年2月4日5港保保第1009号。以下「要綱」という。)第9条の規定に基づき、要綱の運用に関し必要な事項を定める。
(建築確認申請時の事前図面指導)
第2条 要綱第7条に定める事前指導は、建築物の建築確認申請時に、建築物環境衛生設備基準に基づき、次に掲げる規模の建築物について行うものとする。
(1) 延べ面積1,000平方メートル以上の建築物
(2) 飲食店舗を有する建築物
(3) その他みなと保健所長(以下「保健所長」という。)において指導の必要があると認める建築物
(報告済証の交付)
第2条の2 要綱第7条に定める報告済証は、所有者等の申請に基づき、別記1の基準により交付するものとする。
(建築物環境衛生設備基準)
第3条 要綱第8条に定める建築物環境衛生設備基準は、次に掲げるとおりとする。
(1) 空気調和・換気設備
ア 外気取入口は、新鮮な空気を取り入れられるよう、排気口(隣接ビルの排気口を含む。)、自動車の排気ガス等の汚染源との間に十分な距離を取ること。
イ 駐車場系統の外気取入口は、専用とし、居室系統との兼用をしないこと。
ウ 外気導入装置は、設計人員一人当たり毎時25m3以上の外気を供給できる能力を確保すること。
エ 空気清浄装置は、室内の浮遊粉じん量を適正に維持できる能力を有するものを設けること。
オ 加湿装置は、室内の相対湿度を適正に維持できる能力を有するものを設けること。また、加湿水には、原則として水道水を使用すること。
カ 厨房の排気フードには、グリスフィルタを設けること。
キ 全熱交換器を設ける場合、熱回収に利用する排気は、原則として、居室系統の排気とし、ショートサーキットの防止に努めること。
ク 設備の点検及び補修のため、点検口及び点検スペースを適正に確保すること。
ケ 住戸内のキッチンには、点検及び清掃の容易な局所排気設備を設けること。浴室及びトイレには、外気に直接開放する窓又は清掃の容易な局所排気設備を設けること。適正な換気のための給気口を住戸内の有効な位置に設けること。また、ダクトは、できるだけ直線で短く配置すること。
コ 厨房の排気口は近隣への影響のない位置に設置すること。
(2) 給水設備
ア 貯水槽、ポンプ等は衛生上支障がなく、かつ、保守点検が容易に行うことができる場所に設置すること。やむを得ずピット内に受水槽を設置する場合は、点検及び清掃が安全に行えるよう、階段及びマンホール付近の手掛かり等を設けること。
イ 貯水槽室には、換気設備及び照明設備を設け、かつ、床面の排水を適正に行える構造設備とすること。
ウ 貯水槽の周囲は、六面からの保守点検が容易に行えるよう十分な空間を確保すること。
エ 高置水槽を塔屋の屋上等高所に設ける場合は、柵、階段等を設け、安全を確保すること。
オ 受水槽は1日使用水量の10分の4から10分の6、高置水槽は10分の1を標準とした容量のものを設けること。
カ 貯水槽の底部には、排水に支障のないよう排水溝、排水ピット等を設け、かつ、底部面には適切なこう配を設けること。
キ 停滞水を防止するため、受水槽の給水口と揚水口とを、対称位置に設けること。高置水槽についても同様の措置を講ずること。
ク マンホールは、直径60cm以上のかぎ付防水型とし、各槽ごとに設けること。
ケ オーバーフロー管と給水口末端との間には、吐水口空間を確保すること。
コ オーバーフロー管と水抜管とを別々に配管し、間接排水にするとともに排水口空間を確保すること。
サ オーバーフロー管及び通気管の開口部には、耐蝕性の防虫網を取り付けること。
シ 貯水槽の上部には、汚染のおそれのある管を通さないこと。
ス 給水設備は、飲用系以外の配管及び設備と直接連結させないこと。
セ 給水管は、水質に悪影響を与えない材質のものを使用すること。
ソ 給水管は、他の配管設備と明瞭に識別できる措置をとること。
タ 給水管は、排水槽、貯油槽等の内部を貫通させないこと。
チ 給水設備を各種の設備器具等に接続する場合には、有効な吐水口空間を確保すること。吐水口空間が適正に確保できない場合には、バキュームブレーカーの取付け等、逆流防止のための措置をとること。また、散水栓を設置する場合には、壁付又は立ち上げ式とすること。
ツ 汚染事故等の代替水確保のため、直結給水栓を建築物内に1箇所以上設置すること。
(3) 排水設備
ア 排水槽は、排水が長時間滞留することがない容量とすること。
イ 排水槽底部に排水ピットを設け、10分の1から15分の1のこう配をとること。また、槽内の入隅部は、汚物等の除去が容易に行える構造とすること。
ウ 排水ポンプは2台以上設けること。
エ マンホールは、直径60cm以上で、防臭型とし、各槽ごとに点検清掃が容易に行える場所に設けること。また、槽内部のマンホール直近の部分にフックを取り付けること。
オ 外気に直接開放した通気装置を設けること。末端開口部は、適正な位置に立ち上げ、耐蝕性防虫網を取り付けること。
カ 排水ポンプ室には、換気設備を設けること。
キ 排水に油脂、厨芥、ガソリン、土砂等が含まれる場合には、これらを有効に分離でき、かつ、保守管理が容易な阻集器を設けること。
(4) 廃棄物保管場所
ア 収集及び搬出入が容易に行える場所に、十分な広さの廃棄物保管場所を設けること。
イ 保管場所は、密閉区画とし、防虫・防そ構造で、床及び周壁は不浸透材とすること。
ウ 保管場所の清掃及び保管容器等の洗浄に必要な給排水設備を設けること。
エ 換気及び照明設備を設けること。
(5) ねずみ及び衛生害虫の防除
ア 厨房その他、衛生害虫等の侵入が考えられる場所は、開口部に防虫、防そのための金網、鉄格子等を設けること。
イ 排水管には、有効なトラップを設けること。
ウ 蚊の発生を防止するため敷地内の雨水ますは、雨水浸透ますとすること。また雨水浸透ますを設置できない場合は雨水ますに防虫網を設置すること。
(6) その他
ア 清掃及び管理に必要な施設及び設備を設けること。
イ 衛生設備用警報装置として、所有者等が確実に警報を確認できる場所に報知器を設けること。
ウ 建築物に使用する建材、塗料、接着剤等は揮発性化学物質の少ないものを選択し、適正な施工を行うこと。
(建築物環境衛生維持管理基準)
第4条 要綱第8条に定める建築物環境衛生維持管理基準は、次に掲げるとおりとする。
(1) 空気調和・換気設備
ア 外気取入口は、排気、排煙及び有害ガスの影響を受けないよう点検すること。
イ 居室の使用目的、在室人員及び喫煙量に応じて、適正な量の外気を取入れること。
ウ 空気調和設備等の運転は、良好な室内空気環境を維持するよう適切に行うこと。
エ 空気清浄装置、加湿器、送風器等について点検し、必要な補修を行うこと。
オ ダクトを点検し、必要な補修を行うこと。
カ 給気口、還気口及び排気口を点検し、汚れや障害物があれば除去すること。
キ グリスフィルタの管理を定期的に行うこと。
ク 空調機械室を倉庫として使用しないこと。
ケ 全熱交換器の目詰まりを点検し、定期的に清掃すること。
コ 住戸内の給排気口、フード及びファンの点検及び清掃を定期的に行うこと。
サ 室内空気環境は住宅については東京都の健康・快適居住環境指針で、住宅以外については建築物における衛生的環境の確保に関する法律で示す値であること。揮発性化学物質については厚生労働省のガイドラインに示す値であること。
(2) 給水設備(飲用に供する貯水槽を設ける施設に限る。)
ア 貯水槽の清掃を1年以内に1回定期に行うこと。
イ 貯水槽の清掃は、専門の知識、技能を有する者に行わせること。
ウ 水質検査を定期的に行うこと。
エ 末端給水栓における水の色、濁り、臭い、味等の異常の有無及び残留塩素の測定を定期的に行うこと。
オ 施設の点検を1月以内に1回定期に実施し、点検の結果、異常があれば必要な補修、清掃、設備の取替え等の措置を行うこと。
カ 地震、大雨等水質に影響を与えるおそれのある事態が発生したときは、臨時の点検を行うこと。
キ 給水管の損傷、さび及び水もれについては、目視のほか残留塩素又は給水量の推移等を参考にして点検し、異常があれば必要な補修を行うこと。
ク 給水栓における水の遊離残留塩素は、0.1mg/l以上に保つこと。
ケ 長期間使用していなかった貯水槽を使用するときは、槽内を点検し、必要に応じて槽内の水の入替え等を行い、残留塩素を測定して安全を確認してから給水すること。
コ 貯水槽の周囲を常に清潔に保つこと。
(3) 排水設備
ア 排水槽内を点検し、沈澱物及びスカムの発生状況を点検すること。
イ 排水ポンプ等の付帯設備については、1月以内に1回定期に点検し、必要に応じて補修を行うこと。
ウ 槽内に排水を長時間貯留することがないよう水位の調整等を行うこと。
エ 排水槽の正常な機能を阻害するグリス、布片等を槽内に投入又は流入させないこと。
オ 排水槽は、必要に応じて清掃を行うこと。
カ 清掃時の汚泥、スカム等は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づいて適正に処理すること。
キ グリストラップは、毎日捕集物を除去し、適宜清掃を行うこと。
ク 排水管、通気管については、1月以内に1回定期に点検し、必要な補修を行うこと。
ケ 排水トラップは、封水深等を確認し、必要な補修を行うこと。
(4) 廃棄物保管場所
ア 定期的に清掃、点検を行い、清潔を保持するとともに、必要に応じて殺虫消毒を行うこと。
イ ごみは、可燃物と不燃物を分別して保管すること。
ウ ねずみ及び衛生害虫等が侵入できない密閉された不浸透性のごみ容器を備えること。
エ ごみを廃棄物保管場所以外に置かないこと。
(5) ねずみ及び衛生害虫の防除
ア ねずみ及び衛生害虫の発生及び生息しやすい場所の清掃及び整理整頓を行うこと。
イ ねずみ及び衛生害虫の発生及び生息しやすい場所において定期的、統一的に調査を実施すること。その結果に基づき、発生を防止するために必要な措置を行うこと。
ウ 駆除のための薬剤は薬事法による医薬品又は医薬部外品を用い、使用及び管理を適切に行うこと。
(6) その他
ア 貯水槽の清掃、水質検査等の管理書類及び建築物の図面を適正に保管及び整備し、使用者等に公開すること。
イ 建物の管理計画及び修繕計画を作成すること。
ウ 竣工後、入居までの養生期間に十分な換気を実施すること。
エ 新築、改築及び内装替えの際には換気を励行すること。
(建築物における飲料水の汚染事故発生時の措置)
第5条 建築物における飲料水の汚染事故発生時の措置は、別記2の基準による。
付則
1 この要領は、平成6年4月1日から施行する。
2 東京都港区小規模給水施設の衛生管理指導要領(昭和59年12月28日59港保保第421号)、東京都港区建築物の衛生管理に関する事務処理要綱実施細目(昭和58年3月17日57港保保第734号)及び東京都港区小規模建築物の建築確認申請時衛生指導要領(平成2年6月18日2港保保第214号)は、廃止する。
3 この要領は、平成9年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成12年9月1日から施行する。
付則
この要領は、平成16年5月1日から施行する。
付則
この要領は、平成18年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成22年10月1日から施行する。
付則
この要領は、令和5年4月1日から施行する。
別記1(第2条の2関係)
建築物の維持管理に関する報告済証の発行基準
1 保健所長は、第4条建築物環境衛生維持管理基準第2号給水設備のうち、ア及びウの管理基準に関して、報告済証(以下「済証」という。)を交付するものとする。
2 済証の交付を受けようとする所有者等は、申請書(第1号様式)に、貯水槽の清掃記録及び水質検査結果書を添付して申請しなければならない。
3 保健所長は、前項の申請がなされた場合、書類審査を行い、貯水槽清掃及び水質検査が次に掲げる内容で行われていると認められるときは、済証(第2号様式)を交付するものとする。
(1) 貯水槽の清掃及び水質検査は、申請日の1年以内に実施したものとする。
(2) 貯水槽の清掃は、原則として建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号)第12条の2に定める登録業者(建築物飲料水貯水槽清掃業)が実施し、かつ、次の項目について確認できるものとする。
ア 清掃業者の氏名及び住所
イ 清掃年月日
ウ 清掃作業における貯水槽内の消毒実施状況
エ 清掃作業後の残留塩素検出確認を含む水質外観検査結果書
オ 貯水槽内部の点検結果
(3) 前号の登録業者以外が実施した清掃であっても、前号アからオまでの項目が報告書中に記載されている等登録業者が実施した清掃と同等以上の清掃が行われていると認められる場合は、済証を交付するものとする。
(4) 水質検査は、地方公共団体、水道法(昭和32年法律第177号)第20条第3項に規定する登録検査機関又は建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2に定める登録業者(建築物飲料水水質検査業)が実施したものとする。
(5) 水質検査は次の項目について、水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)に定める水質基準に適合していることが確認できるものとする。
ア 塩化物イオン
イ 有機物(全有機炭素〔TOC〕の量)
ウ 一般細菌
エ 大腸菌
オ 水素イオン濃度
カ 臭気
キ 味
ク 色度
ケ 濁度
(6) 水道法に定める簡易専用水道に該当する場合は、1年以内に水道法第34条の2第2項に規定する登録検査機関の検査を受検しているものとする。
4 保健所長は次に掲げる場合、現場調査を実施し、安全確認を行ったうえで済証を交付するものとする。
(1) 清掃報告書の特記事項等で、飲料水の汚染事故が発生する可能性が指摘されているとき。
(2) 水質検査の結果、基準には適合しているが、一般細菌の個数が比較的多い等通常の数値でないとき。
別記2(第5条関係)
建築物における飲料水の汚染事故発生時の措置
1 建築物の所有者等は、当該建築物において飲料水の汚染事故が発生したときは、直ちに保健所長に通報するとともに次に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 当該施設の使用者等に事故の発生を周知するとともに給水停止、使用制限等の措置をとる。
(2) 速やかに汚染の原因を除き、当該施設の復旧を図る。
(3) 給水停止等の措置をとった場合は、代替水を確保する。
(4) 当該施設が復旧した後は、水質検査を行って飲料水の安全を確保してから給水を開始する。
2 保健所長は、汚染事故が発生したときは、次に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 事故内容を的確に把握する。
(2) 必要に応じて水道事業者に連絡し、代替水の確保等が円滑に行えるよう努める。
(3) 当該施設の所有者等(不在の場合は関係者)の立ち会いのもとに、次に掲げる汚染調査を行う。
ア 給水栓での水質検査を行い、汚染の有無を確認する。検査項目は原則として、外観(色、濁り、異物、生物及び浮遊物)、臭気、残留塩素、水素イオン濃度とする。
イ 給水栓での水質検査後、施設に汚染原因となるような不良箇所があるか否か必要な調査を行う。
ウ 汚染原因が確認されたときは、経路、範囲等を把握するため必要な調査を行う。
エ 調査により、必要と認めたときは、水質検査を行う。
オ 有症者がある場合は、有症者調査を行う。
(4) 所有者等に対し、給水停止又は使用制限及び代替水の確保等必要な措置を講じるとともに使用者等への周知を図るよう指導する。これらの措置は、原則として、所有者等が行うこととするが、迅速性を確保できない場合は、保健所長が実施することができる。
(5) 調査により汚染原因、経路及び範囲等が判明したときは、給水施設の補修、清掃及び消毒等汚染原因の除去並びに給水の復旧に必要な措置を行うよう所有者等を指導する。
(6) 施設の復旧後、給水を開始するに当たっては、あらかじめ残留塩素の確認を行い、更に、安全を確保するため、水質検査を実施するよう所有者等を指導する。この場合の水質検査は、原則として、所有者等の負担とし、次に掲げる項目について必ず行い、他の項目は、汚染の状況等に応じて必要なものについて行う。
ア 塩化物イオン
イ 有機物(全有機炭素〔TOC〕の量)
ウ 一般細菌
エ 大腸菌
オ 水素イオン濃度
カ 臭気
キ 味
ク 色度
ケ 濁度
様式(省略)