○港区自立相談支援事業運営要領

平成26年12月26日

26港保生第2196号

(趣旨)

第1条 この要領は、港区生活・就労支援センター事業実施要綱(平成26年12月15日26港保生第1929号。以下「実施要綱」という。)第5条第2項の規定に基づき、同条第1項第1号の自立相談支援事業(以下「事業」という。)の運営に関し、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要領において「生活困窮者」とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。

2 この要領において「センター」とは、実施要綱第3条の規定により設置する港区生活・就労支援センターをいう。

3 この要領において「プラン」とは、実施要綱第5条第1項第1号の規定により作成する支援計画をいう。

(支援対象者)

第3条 事業の対象となる者(以下「支援対象者」という。)は、区内に居住する生活困窮者とする。

(事業の種類及び内容)

第4条 事業の種類は、次の各号に掲げるとおりとし、その内容は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 相談支援 支援対象者に対して広く相談を行うとともに、支援対象者が抱える課題を全体として受け止め、その置かれている状況や本人の意思を十分に確認(以下「アセスメント」という。)した上で、プランを作成する。プランに基づく様々な支援の開始後も、それらの効果を適切に評価・確認しながら、支援対象者の自立までを包括的・継続的に支えていく。

(2) 就労支援 プランに基づき、就労に関する支援を行う。

(3) 関係機関のネットワークづくり、社会資源の開発等 複合的な問題を抱える生活困窮者を早期に把握するため、地域での見守り体制構築や関係機関のネットワークづくりを行うとともに、地域に不足する社会資源の開発等を行う。

(職員の配置)

第5条 事業を実施するため、センターに主任相談支援員、相談支援員及び就労支援員(以下「相談支援員等」という。)を配置する。

(主任相談支援員)

第6条 主任相談支援員は、相談業務全般のマネジメントや相談支援員及び就労支援員の指導・育成、支援が困難な支援対象者への対応など高度な相談支援及び社会資源の開発等を行う。

(相談支援員)

第7条 相談支援員は、相談の受付、支援対象者のアセスメント、プラン案の作成を行い、様々な社会資源を活用しながらプランに基づく包括的な相談支援を実施するとともに、相談記録の管理や訪問支援などのアウトリーチを行う。

(就労支援員)

第8条 就労支援員は、決定されたプランに基づき、就労支援に関する様々な社会資源を活用しながら、その状況に応じた能力開発、職業訓練、就職支援、無料職業紹介等を自ら行うとともに、公共職業安定所等と連携を図りつつ、支援対象者への就労支援を行う。

(相談支援の手順)

第9条 生活困窮者に対する相談支援は、次に掲げる手順により実施する。

(1) 生活困窮者の把握・相談受付

相談支援員は、来所による相談を受け付ける。ただし、生活困窮者の中には自ら相談に訪れることが困難な者もいることが想定されることから、待ちの姿勢ではなく、地域や関係機関のネットワーク強化による把握に努め、必要に応じて訪問や声かけなどを行い、訪問支援等のアウトリーチを含めた対応を図る。

(2) 利用申込み及び本人同意

相談支援員は、相談支援を継続的に行うことが適当と判断した場合は、相談申込・受付票(第1号様式)により、相談者から事業利用の申込みを受けるとともに、相談者の個人情報を関係機関と共有することについて同意を得る。

(3) 振り分け

 相談支援員は、相談受付時に、相談者の主訴を丁寧に聞き取った上で、他制度や他機関へつなぐことが適当かを判断(振り分け)する。

 相談支援員は、相談者への情報提供のみで対応が可能な場合や、明らかに他制度や他機関での対応が必要であると判断される場合は、情報提供や他機関へ適切につなぐことにより対応する。

(4) アセスメント

相談支援員は、インテーク・アセスメントシート(第2号様式)を用いて、丁寧なアセスメントを行い、支援経過記録シート(第3号様式)を用いて、支援経過を記録する。

(5) スクリーニング

 相談支援員は、アセスメントにより、相談者に関する様々な情報を把握・分析した後、プランの作成等の支援を行うか、又は他制度や他機関へつなぐことが適当かを判断(スクリーニング)する。この場合において、生活保護が必要と考えられる場合は、確実に福祉事務所につなげるものとする。

 相談支援員は、他制度や他機関へのつなぎが適当と判断された者には、相談者の状況に応じて適切に他の相談窓口等へとつなぐとともに、必要に応じてつなぎ先の機関へ相談者の状況について確認するなど、適宜フォローアップに努めるものとする。

(6) プラン案の作成

 相談支援員は、スクリーニングの結果、事業による継続的な支援が妥当と判断された者については、相談者へのアセスメント結果を踏まえ、相談者の自立を促進するための支援方針、支援内容、相談者の達成目標等を盛り込んだプラン案を作成する。

 相談支援員は、プラン作成前においても、必要に応じて、住居確保給付金のあっせん等緊急的な支援や、就労支援員による就労支援その他の地域における様々な社会資源を活用した各種支援を提供するものとする。

 プラン案の内容は、次の(ア)及び(イ)の事業に基づく支援並びに(ウ)から(キ)までに掲げる他の公的事業など、相談者の自立を促進するために必要と考えられる支援を盛り込むものとする。

(ア) 就労支援員による就労支援(就労意欲の喚起、履歴書の書き方や面接の受け方指導、公共職業安定所への同行訪問などの支援等)

(イ) 公共職業安定所と区が連携して実施する生活保護受給者等就労自立促進事業

(ウ) 実施要綱の定める就労準備支援事業

(エ) 区が実施する住居確保給付金

(オ) 実施要綱の定める家計相談支援事業

(カ) 実施要綱の定める学習相談支援事業

(キ) 社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付事業

(ク) (ア)から(キ)までに掲げるもののほか、様々な公的事業による支援

 相談者は、相談支援員が作成したプラン案による支援を希望する場合には、プラン兼サービス利用申込書(第4号様式)により、プラン案への同意と、当該プラン案にこの号ウ(ウ)の就労準備支援事業及び同号ウ(オ)の家計相談支援事業(以下「就労準備支援事業等」という。)が盛り込まれている場合の就労準備支援事業等の利用申込みをしなければならない。

 主任相談支援員は、支援調整会議を開催し、プラン案の承認を受ける。支援調整会議は、プラン案の内容が適切なものであるか確認を行うとともに、プラン案に基づく支援に当たって、関係機関との役割等について調整を行う。

 主任相談支援員は、支援調整会議により承認された当該プラン案を区長に提出するものとする。

(7) プランの決定

区長は、提出されたプランの内容が適切なものであるか確認を行い、プランを決定する。

(8) 支援の決定

区長は、当該プラン案に盛り込まれた就労準備支援事業等について支援決定を行う。

(9) 支援の実施・モニタリング・評価・再プラン作成・終結

 相談支援員等は、区長により決定されたプランに基づき、相談支援員等自ら支援を実施するほか、他の関係機関等から適切な支援を受けられるよう支援対象者との関係形成や動機付けの促しをサポートする。

 相談支援員は、プランに基づく支援が始まった後も関係機関との連携・調整はもとより、必要に応じて支援対象者の状態等を把握する。

 相談支援員は、評価シート(第5号様式)を用いて、次に掲げる状況を整理し、おおむね3か月、6か月、1年など支援対象者の状況に応じて、プランについての定期的な評価を、支援調整会議において行う。

(ア) 目標の達成状況

(イ) 現在の状況と残された課題

(ウ) プランの終結・継続に関する支援対象者の希望・支援を実施している者の意見等

 相談支援員は、評価の結果、支援の終結と判断された場合は、他機関へのつなぎなどの必要性を検討し、必要に応じてフォローアップを行う。

 相談支援員は、評価の結果、プランを見直して、支援を継続する必要があると判断された場合は、改めてアセスメントの上、再度プラン案を作成する。

(プラン決定・支援決定の手順)

第10条 前条第7号のプラン決定及び同条第8号の支援決定は、次に掲げる手順により行うものとする。

(1) プラン案の確認

区長は、主任相談支援員により提出されたプラン案の内容が適切なものであるか、及びプラン案に就労準備支援事業等が盛り込まれていた場合、それらの事業の利用要件に適切に該当しているかを確認する。

(2) プラン決定及び支援決定

区長は、前号の規定による確認の結果、適切であると判断した場合は、プランを決定し、当該プランに就労準備支援事業等が盛り込まれていた場合は、併せて就労準備支援事業等の支援決定をする。

(3) プラン案の再提出

区長は、第1号の規定による確認の結果、適切でないと判断した場合は、その理由を速やかに主任相談支援員に連絡するものとする。連絡を受けた主任相談支援員は、支援対象者及び関係機関・関係者と再度プラン内容について確認・調整を行い、見直したプラン案を改めて区長に提出するものとする。

(4) 支援決定の通知

区長は、就労準備支援事業等の支援決定をした場合は、速やかに支援対象者に、支援提供(変更)通知書(第6号様式)により支援決定の通知を行う。

(就労支援の手順)

第11条 支援対象者に対する就労支援員の就労支援は、次に掲げる手順により実施する。

(1) アセスメントへの関与

就労支援員は、就労を希望する支援対象者に対して、アセスメントの段階から関与する。アセスメントとしては、現在の生活状況や生活困窮となった原因等をはじめ、就労意欲の確認、就職活動に向けての悩みや阻害要因の聞き取り、自己理解への支援(キャリアカウンセリング)、職業理解の支援(労働市場や職業情報の提供)を行う。

(2) プラン案作成への関与

アセスメントに基づき、就労に関してどのような支援を受けることが適切であるかについて、支援相談員と協働でプラン案を作成する。

(3) 支援の実施

区長により決定されたプランに基づき、次に掲げる支援を実施する。

 履歴書作成の指導や面接対策

 個別求人開拓による職業紹介

 生活保護受給者等就労自立促進事業の調整

 就労準備支援事業の利用の調整

 就労訓練事業の利用の調整

 就労後の定着支援

 その他就労に必要な支援

(個人情報の保護)

第12条 事業の実施に当たっては、事業の実施に携わる職員等が業務上知り得た情報を漏らすことのないよう、個人情報の厳格な取扱いについて職員等に周知徹底を図るとともに、その旨を委託事業者との契約において明確に定める。

(委任)

第13条 この要領に定めるもののほか、必要な事項は、保健福祉支援部生活福祉調整課長が別に定める。

1 この要領は、平成27年4月1日から施行する。

2 この要領の施行前において、生活困窮者自立支援法の円滑な実施を図るため、この要領による事業を区のモデル事業として、平成27年1月5日以後試行的に行うことができる。この場合において、第9条第6号イ及び(エ)の規定の適用については、同号イ及び(エ)中「住居確保給付金」とあるのは、「住宅支援給付金」とする。

港区自立相談支援事業運営要領

平成26年12月26日 港保生第2196号

(平成27年4月1日施行)