○港区建築物等における協定木材等利用推進方針
平成24年4月20日
24港環環第307号
1 目的
この方針は、港区(以下「区」という。)内の建築物及び工作物(以下「建築物等」という。)の整備における協定木材をはじめとする国産木材(以下「協定木材等」という。)の積極的な利用を促進するため、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号。以下「法」という。)第12条第1項の規定に基づき、建築物における木材の利用の促進に関する基本方針(令和3年10月1日木材利用促進本部決定)に即して、法第12条第2項に掲げる必要な事項を定めることを目的とする。
2 用語
この方針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(2) 公共建築物 区が管理を行う建築物(外構及び区の委託により管理される建築物を含む。)をいう。
(3) 建築 新築、増築、改築又は改修をいう。
(4) テナントビル 建築物の全部又は一部を賃借権、譲渡その他の権原に基づき事務所、営業所、店舗等として使用し、事業活動を行う事業者が存在する建物をいう。
(5) 木造化 建築物の主要構造部(柱、屋根、壁、床、梁等)の全部又は一部に木材を使用することをいう。
(6) 木質化 建築物の内装及び外装の全部又は一部に木材を使用することをいう。
(7) 公共工作物 区が事業主体となり施工する道路、公園等に係る工事により整備される工作物をいう。
(8) 協定自治体 間伐材を始めとした国産木材の活用の促進に関する協定を区と締結した地方自治体をいう。
(9) 協定木材 協定自治体から産出された木材をいう。
(10) 木質化アドバイザー 建築物、工作物及び什器等の備品の木造化及び木質化に関する高度な専門的及び技術的な知見を有し、これらの木造化及び木質化について区に助言する者をいう。
3 協定木材等利用の意義
森林は、国土及び自然環境の保全、水源のかん養、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給などの多面的な機能を通じて国民生活及び経済の安定に重要な役割を担っている。この森林の機能を高度に発揮させるためには、伐って、植えて、育てるという森林の循環に加え、木材の利用が不可欠である。そのため、区における協定木材等の利用拡大は、協定自治体をはじめとした日本各地における林業及び木材産業の持続性を維持し、森林の適切な整備や山村をはじめとする地域経済の活性化にも資するものである。
また、木材は、製造及び加工に必要なエネルギーが他の原料に比べて少ない資源であり、エネルギー源として燃やしても大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない「カーボンニュートラル」の特性を有するとともに、断熱効果、調湿効果、吸音効果のほか、人の心を和ます効果などの特性も有しており、建築物に利用することで快適な生活空間を創出する効果も期待される。
こうしたことから、区は、協定木材等の利用を促進することにより、脱炭素社会の実現や都市における快適な都市空間の形成、地域の経済の活性化等に貢献するため、次に掲げる事項を実現する。
(1) 区における二酸化炭素固定量の増大を図り、地球温暖化防止に寄与する。
(2) 協定自治体をはじめとする国産木材を産出する自治体の森林の持続的な経営を支援し、二酸化炭素吸収量の増加に貢献する。
(3) 調湿効果若しくは吸音効果又は人の心を和ます効果等、木材の特性を生かした快適な空間の創出を促進する。
4 区内の建築物等における協定木材等の利用の促進のための施策に関する基本的事項
区は、前項の協定木材等利用の意義を踏まえ、次に掲げる取組により、積極的に建築物等における協定木材等の利用の促進に努めるものとする。この場合において、協定木材を優先して利用の促進に努めるものとする。
(1) 木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及等の促進
(2) 建築物等における協定木材等の利用の啓発
5 区内の建築物(公共建築物を除く。)における協定木材等の利用の目標
延べ床面積5,000m2以上の建築物の新築、増築(増築部分に限る。)又は改築の際の協定木材等の利用の目標は、港区建築主におけるみなとモデル二酸化炭素固定認証制度実施要綱(平成23年3月31日22港環環第2157号)に基づくものとし、目標を達成するよう協定木材等の積極的な活用に努めることとする。
6 公共建築物等における協定木材等の利用の促進のための施策に関する基本的事項
公共建築物等の整備を実施するに当たっては、積極的に協定木材等を利用した方法を採用し、次に掲げるとおり協定木材等の使用に努めるものとする。この場合において、協定木材を優先して利用及び使用に努めるものとする。
(1) 公共建築物
ア 公共建築物の建築に当たっては、港区建築主におけるみなとモデル二酸化炭素固定認証制度実施要綱及び港区区有施設環境配慮ガイドライン(平成24年3月)に基づき、協定木材等を積極的に使用し、建築物の木造化、木質化及び外構における木材の活用を促進する。ただし、次に掲げる場合は、これを適用しない。
(ア) 建築基準法、消防法(昭和23年法律第186号)等の法令及び施設設置基準等により適当でないと認められる場合
(イ) 施設の利用目的、安全性、維持管理等を考慮して困難と認められる場合
(ウ) その他困難と認められる場合
イ 公共建築物の建築に当たっては、協定木材等の使用量に相当する二酸化炭素の固定量を算定することにより、地球温暖化防止の効果を明らかにする。
(2) 公共工作物
公共工作物の整備に当たっては、協定木材および協定木材を活用した木製品を積極的に使用する。ただし、次に掲げる場合は、これを適用しない。
ア 工作物の利用目的、安全性、維持管理等を考慮して困難と認められる場合
イ その他木製品の使用が困難と認められる場合
(3) 備品及び消耗品等
公共建築物の什器等の備品及び文房具、割り箸、カート缶等の消耗品における協定木材を利用した製品を積極的に使用する。
7 公共建築物における協定木材等の利用の目標
公共建築物の新築、増築又は改築の際の協定木材等の利用の目標は、床面積1m2当たり0.005m3以上を満たすこととする(増築は、増築部分に限る)。
8 公共建築物等における木造化及び木質化の推進
区は、木造化及び木質化を推進するため、次に掲げる事項を実施する。
(1) 公共建築物の整備を計画する所管課は、基本計画及び基本設計それぞれの段階で内外装や構造部材等の木造化及び木質化について環境課と協議を行い、助言を受けるものとする。
(2) 公共工作物の整備を計画し、又は公共建築物の什器等の備品を購入する所管課は、環境課と木質化に関する協議を行い、助言を受けるものとする。
(3) 環境課は、木質化アドバイザーの専門的及び技術的な助言を踏まえ、所管課に対し、木造化及び木質化に関する助言を行うものとする。
9 その他区内の建築物等における協定木材等の利用の普及及び促進に関し必要な事項
区は、協定木材等の普及及び促進のため、次に掲げる事項を実施する。この場合において、協定木材の普及及び促進を優先して実施する。
(1) 区は、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度実施要綱を適切に運用し、区内で建築を行う者及びテナントビルで事業活動を行う者に協定木材等の利用を促す。
(2) 区は、協定木材等を利用した優良な建築物(官公庁が管理を行うものを除く。)に対して表彰を行う。
(3) 区は、区民に対して協定木材の普及及びPRに努める。
付則
この方針は、平成24年4月20日から施行する。
付則
この方針は、令和2年4月1日から施行する。
付則
この方針は、令和5年3月1日から施行する。