○港区幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例
令和二年十二月九日
条例第五十三号
(趣旨)
第一条 この条例は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号。以下「法」という。)第三条第一項及び第三項の規定に基づき、港区(以下「区」という。)における幼保連携型認定こども園以外の認定こども園(以下「認定こども園」という。)の認定の要件を定めるものとする。
(定義)
第二条 この条例で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。
(認定こども園の類型)
第三条 認定こども園は、次の各号に掲げるいずれかの類型に該当するものとする。
一 幼稚園型認定こども園 次のいずれかに該当する施設をいう。
(一) 単独型 幼稚園教育要領(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十五条第一項の規定に基づき幼稚園に関して文部科学大臣が定める事項をいう。第九条第一項において同じ。)に従って編成された教育課程に基づく教育を行うほか、当該教育のための時間以外の時間において、在籍している子どものうち保育を必要とする子どもに該当する者に対する教育を行う幼稚園
(二) 幼稚園及び保育機能施設のそれぞれの用に供される建物並びにその付属設備が一体的に設置されている施設であって、次のいずれかに該当するもの
イ 並列型 当該認定こども園を構成する保育機能施設において、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第二十三条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行い、かつ、当該保育を実施するに当たり当該認定こども園を構成する幼稚園との緊密な連携協力体制が確保されている施設
ロ 年齢区分型 当該認定こども園を構成する保育機能施設に入所していた子どもを引き続き当該認定こども園を構成する幼稚園に入園させて一貫した教育及び保育を行う施設
二 保育所型認定こども園 保育を必要とする子どもに対する保育を行うほか、当該保育を必要とする子ども以外の満三歳以上の子ども(区における児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十四条第四項に規定する保育の利用に対する需要の状況に照らして適当と認められる数の子どもに限る。)を保育し、かつ、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第二十三条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行う保育所をいう。
三 地方裁量型認定こども園 保育を必要とする子どもに対する保育を行うほか、当該保育を必要とする子ども以外の満三歳以上の子どもを保育し、かつ、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第二十三条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行う保育機能施設であって、区規則で定めるものをいう。
(学級の編制の基準)
第四条 満三歳以上の子どもであって、幼稚園と同様に一日に四時間程度利用するもの及び保育所と同様に一日に八時間程度利用するものに共通の四時間程度の利用時間(以下「共通利用時間」という。)については、学級を編制するものとする。
2 学級の編制は、区規則で定める基準を満たさなければならない。
(職員の配置の基準)
第五条 認定こども園には、認定こども園の長を置くほか、子どもの教育及び保育に従事する者(以下「保育従事職員」という。)並びに調理員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する認定こども園にあっては、調理員を置かないことができる。
2 認定こども園の職員の配置は、認定こども園を構成する各施設の職員の配置の基準を遵守しなければならない。
3 前項に定めるもののほか、認定こども園には、次に掲げる基準を満たす数の保育従事職員を置かなければならない。
一 満一歳未満の子どもおおむね三人につき一人以上
二 満一歳以上満三歳未満の子どもおおむね六人につき一人以上
三 満三歳以上満四歳未満の子どもおおむね二十人につき一人以上
四 満四歳以上の子どもおおむね三十人につき一人以上
4 認定こども園には、各学級に専任の学級担任を一人以上置くものとする。
5 第三項の規定により認定こども園に置かなければならない保育従事職員の数の算定方法については、区規則で定める。
(保育従事職員の資格)
第六条 満三歳未満の子どもに対する保育従事職員は、児童福祉法第十八条の十八第一項の登録(以下この条において「登録」という。)を受けた者でなければならない。ただし、区規則で定める場合は、この限りでない。
2 満三歳以上の子どもに対する保育従事職員は、幼稚園に係る教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)第四条第二項に規定する普通免許状(以下「幼稚園教諭免許状」という。)を有し、かつ、登録を受けた者でなければならない。ただし、幼稚園教諭免許状を有し、かつ、登録を受けた者を置くことが困難である場合は、いずれかの資格を有する者とすることができる。
3 前項ただし書の規定にかかわらず、学級担任は、幼稚園教諭免許状を有する者でなければならない。ただし、区規則で定める場合は、この限りでない。
4 第二項ただし書の規定にかかわらず、共通利用時間以外における保育従事職員は、登録を受けた者でなければならない。ただし、区規則で定める場合は、この限りでない。
(施設設備)
第七条 認定こども園の建物等は、同一の敷地内又は隣接する敷地内に設置されていなければならない。ただし、次に掲げる要件を満たす場合は、この限りでない。
一 子どもに対する教育及び保育の適切かつ一体的な提供が可能であること。
二 子どもの移動時の安全が確保されていること。
2 認定こども園を構成する幼稚園のうち、並列型及び年齢区分型にあっては幼稚園設置基準(昭和三十一年文部省令第三十二号)第八条から第十二条までに規定する基準(以下この項において「設置基準」という。)を満たすものとし、単独型にあっては設置基準を満たし、かつ、幼稚園設置基準第十一条第五号に掲げる給食施設を有するものとする。ただし、共通利用時間以外の保育室の面積は、子ども一人につき、一・九八平方メートル以上としなければならない。
3 認定こども園を構成する保育所は、港区児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例(令和二年港区条例第五十一号)第四十二条に規定する基準を満たすものとする。
4 認定こども園を構成する保育機能施設は、次に掲げる設備(第一号に掲げる設備については、満二歳未満の保育を必要とする子どもを入所させる場合に限る。)を備えなければならない。ただし、特別の事情があるときは、保育室と遊戯室とは、それぞれ兼用することができる。
一 乳児室又はほふく室
二 保育室
三 遊戯室
四 屋外遊戯場(認定こども園の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所を含む。第六項第三号において同じ。)
五 医務室
六 調理室
七 便所
5 前項の乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室又は便所(以下この項において「保育室等」という。)は、一階に設けるものとする。ただし、区規則で定める基準を満たす場合は、保育室等を二階以上に設けることができる。
6 第四項の設備は、次に掲げる基準を満たさなければならない。
一 乳児室又はほふく室の面積は、満二歳未満の子ども一人につき三・三平方メートル以上であること。
二 保育室又は遊戯室の面積は、満二歳以上の子ども一人につき一・九八平方メートル以上であること。
三 屋外遊戯場の面積は、満二歳以上の子ども一人につき三・三平方メートル以上であること。
(食事)
第八条 認定こども園は、保育を必要とする子どもに食事を提供するときは、当該認定こども園内で調理する方法により行わなければならない。
2 認定こども園は、子どもに食事を提供するときは、その献立は、できる限り変化に富み、子どもの健全な発育に必要な栄養量を含有するものでなければならない。
3 食事は、前項の規定によるほか、食品の種類及び調理方法について栄養並びに子どもの身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
4 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。
5 認定こども園は、子どもの健康な生活の基本としての食を営む力の育成に努めなければならない。
(教育及び保育の内容)
第九条 認定こども園における教育及び保育の内容は、法第六条の規定に基づき、幼保連携型認定こども園教育・保育要領(法第十条第一項の規定により主務大臣が定める幼保連携型認定こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項をいう。)を踏まえるとともに、幼稚園教育要領及び保育所保育指針(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)第三十五条に規定する内閣総理大臣が定める指針をいう。)に基づかなければならない。
2 認定こども園における教育及び保育の内容は、子どもの一日の生活のリズム、集団生活の経験年数が異なること等の認定こども園に固有の事情に配慮したものでなければならない。
(虐待等の禁止)
第十条 認定こども園の職員は、子どもに対し、児童福祉法第三十三条の十各号に掲げる行為その他当該子どもの心身に有害な影響を与える行為をしてはならない。
(不当な行為の禁止)
第十一条 認定こども園の長は、子どもに対して教育及び保育又は指導を行うに当たっては、身体的苦痛を与え、人格を辱める等不当な行為をしてはならない。
(保育従事職員の資質向上等)
第十二条 認定こども園は、区規則で定めるところにより、保育従事職員の資質向上等を図らなければならない。
(子育て支援事業の内容)
第十三条 認定こども園における保護者に対する子育ての支援は、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本認識の下に、子育てを自ら実践する力の向上を積極的に支援することを旨として、教育及び保育に関する専門性を十分に活用し、子育て支援事業のうち、区における教育及び保育に対する需要に照らして実施することが必要と認められるものを、保護者の要請に応じ適切に提供し得る体制の下で行うものとする。
2 前項の規定により子育ての支援を行うに当たっては、地域の人材、社会資源等の活用を図るよう努めるものとする。
(認定こども園の長)
第十四条 認定こども園の長は、全ての職員の協力を得ながら一体的な管理運営を行わなければならない。
2 幼稚園型認定こども園のうち、第三条第一号(二)に規定する施設にあっては、幼稚園又は保育機能施設の施設長とは別に認定こども園の長を置くほか、これらの施設長のいずれかが認定こども園の長を兼ねることができる。
3 認定こども園の長は、教育及び保育並びに子育ての支援を提供する機能を総合的に発揮させるよう管理及び運営を行う能力を有する者でなければならない。
(教育及び保育を行う期間及び時間)
第十五条 認定こども園における保育を必要とする子どもに対する教育及び保育の時間は、一日につき八時間を原則とし、入園している子どもの保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して認定こども園の長が定めなければならない。
2 認定こども園の開園日数及び開園時間は、保育を必要とする子どもに対する教育及び保育を適切に提供できるよう、保護者の就労の状況等の地域の実情に応じたものとしなければならない。
(情報開示)
第十六条 認定こども園は、保護者が多様な施設を適切に選択できるよう、情報開示に努めなければならない。
(平等取扱原則)
第十七条 認定こども園は、児童虐待防止の観点から特別の支援を要する家庭、ひとり親家庭又は保護者の所得が低い家庭の子ども、障害のある子どもなど、特別な配慮が必要な子どもの利用が排除されることのないよう、区との連携を図り、当該子どもの受入れに適切に配慮しなければならない。
(一般的基準)
第十八条 認定こども園は、耐震、防災、防犯等について、子どもの健康及び安全を確保する体制を整えなければならない。
2 認定こども園は、認定こども園において事故等が発生した場合の補償を円滑に行うことができるよう、保険又は共済制度に加入することにより、適切な補償の体制を整えなければならない。
(自動車を運行する場合の所在の確認)
第十九条 認定こども園は、子どもの通園、園外における学習のための移動その他の子どもの移動のために自動車を運行するときは、子どもの乗車及び降車の際に、点呼その他の子どもの所在を確実に把握することができる方法により、子どもの所在を確認しなければならない。
2 認定こども園は、子どもの通園を目的とした自動車(運転者席及びこれと並列の座席並びにこれらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を有しない自動車その他利用の態様を勘案してこれと同程度に子どもの見落としのおそれが少ないと認められる自動車を除く。)を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の子どもの見落としを防止する装置を備え、これを用いて前項の規定による所在の確認(子どもの降車の際に限る。)を行わなければならない。
(運営状況の評価等)
第二十条 認定こども園は、自己評価、外部評価等において子どもの視点に立った評価を行い、その結果の公表等を通じて教育及び保育の質の向上に努めなければならない。
(掲示)
第二十一条 認定こども園は、その建物又は敷地の公衆の見やすい場所に、当該施設が認定こども園である旨を掲示しなければならない。
(委任)
第二十二条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、区規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。
(幼稚園型認定こども園の調理設備の基準に関する特例)
2 第八条第一項の規定にかかわらず、区規則で定める基準を満たす幼稚園型認定こども園は、当分の間、当該幼稚園型認定こども園の満三歳以上の子どもに対する食事を当該幼稚園型認定こども園外で調理し、搬入する方法により提供することができる。
3 前項に規定する方法により食事を提供する場合には、調理室を備えないことができる。この場合において、当該幼稚園型認定こども園において行うことが必要な調理のための加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えなければならない。
付則(令和五年六月三〇日条例第二六号)
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例による改正後の港区幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例第十九条第二項の規定の適用については、認定こども園(同条例第一条に規定する認定こども園をいう。以下同じ。)において子どもの通園を目的とした自動車(同項に規定する自動車をいう。)を日常的に運行する場合であって、当該自動車に同項のブザーその他の車内の子どもの見落としを防止する装置(以下「ブザー等」という。)を備えること及びこれを用いることにつき困難な事情があるときは、令和六年三月三十一日までの間、当該自動車にブザー等を備えないことができる。この場合において、子どもの通園を目的とした当該自動車を日常的に運行する認定こども園は、ブザー等の設置に代わる措置を講じて子どもの所在の確認を行わなければならない。