○港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケア実施要綱

令和4年4月1日

4港保障福第1257号

(目的)

第1条 この要綱は、港区立障害者支援ホーム条例(平成30年港区条例第33号)第3条第1号及び第2号に掲げる事業(以下「事業」という。)において、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である障害者に対する当該医療的ケアの実施に関し、必要な事項を定め、事業の適正かつ安全な運営を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において「医療的ケア」とは、障害者が日常生活及び社会生活を営むために恒常的に必要な行為として第4条各号に掲げる行為であって、当該障害者の主治医の指示に基づき事業に従事する看護師が行うものをいう。

2 この要綱において「管理者」とは、港区立障害者支援ホーム施設入所支援事業及び生活介護事業運営要綱(令和2年2月3日31港保障福第5130号)第5条第2項に規定する管理者をいう。

(対象者)

第3条 医療的ケアの対象となる障害者(以下「対象者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

(1) 事業の実施中に医療的ケアが必要と区長が認める障害者

(2) 事業の実施中に医療的ケアを受けることについて当該障害者の主治医の承認を得ており、当該医療的ケアの実施に当たり、当該主治医等と緊密な連携がとれる体制が整っている者

(医療的ケアの内容及び範囲)

第4条 医療的ケアの内容は、次のとおりとし、その範囲は第7条に規定する検討会議が必要と認めたものとする。

(1) 人工呼吸器の管理(夜間に実施するものに限る。)

(2) 気管切開部の衛生管理

(3) 鼻咽頭エアウェイの管理

(4) 吸引

(5) 酸素療法

(6) 薬液の吸入

(7) 経管栄養の管理

(8) 導尿

(9) 前各号に掲げるもののほか、対象者の日常生活に必要な医療的な生活援助行為であって、区長が必要と認めるもの

2 前項に定めるもののほか、事業における医療的ケアの内容の詳細は、保健福祉支援部長が別に定める。

(医療的ケアの実施)

第5条 医療的ケアは、事業において医療的ケアを実施することを区長が決定した対象者についてのみ実施する。

(医療的ケアの実施申請)

第6条 事業における医療的ケアの実施を希望する障害者は、港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケア実施申請書(第1号様式)により、区長に申請するものとする。

2 区長は、前項の規定による申請があった場合、港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケアの実施に関する主治医意見書(第2号様式。以下「主治医意見書」という。)及び港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケア実施指示書(第3号様式。以下「医療的ケア実施指示書」という。)の提出を当該対象者の主治医に依頼するものとする。

(医療的ケアの実施に関する検討会議の設置)

第7条 医療的ケアの実施の可否を決定するに当たり必要な事項を検討するため、港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケアの実施に関する検討会議(以下「検討会議」という。)を設置する。

(検討会議の組織)

第8条 検討会議は、会長、副会長及び委員をもって組織する。

2 会長は、保健福祉支援部障害者福祉課長をもって充て、会務を統括する。

3 副会長は、保健福祉支援部障害者福祉課障害者支援係長及び障害者施設係長をもって充てる。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、次の順序で副会長がその職務を代理する。

(1) 第1順位 保健福祉支援部障害者福祉課障害者支援係長の職にある者

(2) 第2順位 保健福祉支援部障害者福祉課障害者施設係長の職にある者

5 委員は、別表に掲げる者をもって充てる。

(任期)

第9条 委員の任期は、委嘱又は任命の日から当該委嘱又は任命の日が属する年度の末日までとし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

(検討会議の運営)

第10条 検討会議は、会長が定期的に招集する。ただし、会長は、必要があると認めるときは、臨時に検討会議を招集することができる。

2 検討会議は、非公開とする。

3 会長は、必要があると認めるときは、委員以外の者に対して検討会議への出席を求め、その意見を聴くことができる。

4 会長は、会議録を作成し、これを保存しなければならない。

(検討会議の庶務)

第11条 検討会議の庶務は、保健福祉支援部障害者福祉課において処理する。

(医療的ケアの実施の決定)

第12条 区長は、主治医意見書及び医療的ケア実施指示書の内容並びに検討会議の意見を総合的に勘案し、医療的ケアの実施の可否、実施する医療的ケアの内容、医療的ケアの実施における留意事項等を決定するものとする。

2 区長は、前項の規定により決定した内容について、港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケアの実施に関する承認(不承認)決定通知書(第4号様式)により、第6条第1項の規定により申請した者に通知するものとする。

(不承認の基準)

第13条 区長は、第6条第1項の規定による申請に係る対象者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、当該申請に係る医療的ケアの実施を承認しないものとする。

(1) 事業における医療的ケアの実施が対象者の健康管理上必須でないと認められる場合

(2) 対象者の健康状態が著しく不安定であって、安全な医療的ケアの実施に支障がある場合

(3) 医療的ケア実施指示書に基づく医療的ケアの手順が具体的ではなく、安全な医療的ケアの実施に支障がある場合

(4) 医療的ケアの実施において、対象者の主治医及び訪問医との連携が見込まれない場合

(5) 申請に係る医療的ケアの範囲が施設において安全に実施することのできる医療的ケアの範囲を超える場合

(6) 偽りその他不正の手段により申請した場合

(7) 前各号に掲げるほか区長が不適当と認める場合

(医療的ケアの実施期間)

第14条 医療的ケアの実施期間は、第12条第1項の規定により決定のあった日から当該日の属する年度の末日までとする。

2 前項の規定にかかわらず、区長は必要があると認めるときは、年度を超えて医療的ケアを実施することができる。

(医療的ケアの実施の更新)

第15条 対象者は、前条の規定による医療的ケアの実施期間の終了後もなお医療的ケアの実施を希望する場合は、医療的ケアの実施に関する承認の更新の申請をしなければならない。

2 第6条及び第12条から前条までの規定は、前項の規定による医療的ケアの実施の承認の更新について準用する。ただし、対象者の状況に変更がないと認められる場合は、区長は、主治医意見書の提出を省略させることができる。

(医療的ケアの内容の変更)

第16条 対象者は、第12条第1項の規定により決定された医療的ケアの内容に変更が生じる場合は、医療的ケアの内容の変更の申請をしなければならない。ただし、軽微な変更の場合についてはこの限りでない。

2 第6条及び第12条から第14条までの規定は、前項の規定による医療的ケアの内容の変更について準用する。

(支援方針及び個別支援計画の作成)

第17条 相談支援専門員(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第18項に規定する相談支援を実施する者をいう。)は、第12条の規定による医療的ケアの実施に関する承認内容に基づき、当該対象者の支援方針を作成するものとする。

2 サービス管理責任者は、第12条の規定による医療的ケアの実施に関する承認内容及び前項の規定による支援方針に基づき、当該対象者の個別支援計画を作成するものとする。

3 前2項の規定による支援方針及び個別支援計画の作成は、医療的ケアの実施前に当該対象者又は対象者の家族等に対し、内容を十分に説明し、同意を得なければならない。

4 前項の説明及び同意は、書面により行い、当該書面は管理者が保管するものとする。

(医療的ケアの実施者等)

第18条 医療的ケアは、対象者の主治医の指示に基づき、対象者及び対象者の家族等の指導及び助言並びに必要に応じて対象者の通院同行による対象者の主治医の指導及び助言を受け、事業に従事する看護師(以下「医療的ケア担当看護師」という。)が実施するものとする。

2 事業に従事する職員(医師及び医療的ケア担当看護師を除く。)は、医療的ケアの実施時において、事業に従事する医師及び医療的ケア担当看護師の指示に従い、対象者の姿勢の介助等当該医療的ケア担当看護師を援助できるものとする。

(医療的ケア担当看護師不在時の対応)

第19条 医療的ケアは、医療的ケア担当看護師が不在の時は、行わないものとする。

(安全性の確保)

第20条 管理者は、対象者の体調不良その他の事情により医療的ケアを安全に実施できないと判断した場合、医療的ケアの実施を中止し、医療機関への連絡その他必要な措置を講ずるものとする。

2 医療的ケア担当看護師は、前項の規定により医療的ケアの実施を中止した場合、速やかに当該中止の理由及び中止に伴って採った措置の内容を記録し、管理者に報告しなければならない。

3 管理者は、前項の規定による医療的ケアの中止の報告があった場合、当該医療的ケアの中止に係る対象者の家族等及び区に対し、報告を受けた内容を説明するものとする。

(医療的ケアの終了)

第21条 区長は、対象者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、検討会議の判断によらずに医療的ケアを終了するものとする。

(1) 主治医から医療的ケアの終了の指示があった場合

(2) 対象者から医療的ケアの終了の申出があった場合

(3) その他区長が必要と認める場合

(対象者及び対象者の家族等の責務)

第22条 対象者及び対象者の家族等は、医療的ケアの実施に当たり、次に掲げる事項を遵守するものとする。

(1) 医療的ケアを実施するに当たり、必要な医療器材を用意すること。

(2) 医療機関への受診、事業での医療相談等、対象者に関する情報の提供を行うこと。

(3) 対象者の家族等は、緊急事態に的確に対応するため、所在を常に明確にし、常時連絡を取ることができる体制を整えること。

(4) その他区長が必要と認める事項

(医療機関との連携)

第23条 管理者は、対象者又は対象者の家族等の同意を得て、対象者の主治医と緊密な連携を図り、個別連絡、文書照会等により対象者の医療情報を収集し、医療的ケアの実施に反映させるものとする。

2 管理者は、個別支援計画の更新に当たり、対象者又は対象者の家族等の同意を得て、港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケア実施報告書(第5号様式)により医療的ケアの実施状況、対象者の状態等を対象者の主治医及び区に報告するものとする。

(医療的ケア実施上の留意点)

第24条 医療的ケアの実施に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 職員は、対象者の安全への配慮及び危機管理体制を確立し、事故防止に努めること。

(2) 職員は、医療的ケアを実施する事業における感染症等を予防するため、手洗いの励行等、常に清潔の保持に努めること。

(3) 医療的ケア担当看護師は、実施した医療的ケアについて、その実施状況等を記録し、管理者に報告すること。

(4) 管理者は、医療的ケアの実施に係る記録を整備し、必要に応じて区長に報告するとともに、当該記録を5年間保存すること。

(5) 医療的ケア担当看護師は、医療的ケアの実施状況を連絡帳等に記録し、対象者又は対象者の家族等に報告すること。

(6) 管理者は、対象者の状況に変化が生じた場合は、速やかに医療的ケアの実施内容について検討し、対象者又は対象者の家族等に対し必要な情報提供を行うこと。

(7) 職員は、医療的ケアに関する知識の向上に努めること。

(委任)

第25条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、保健福祉支援部長が別に定める。

この要綱は、令和4年4月1日から施行する。

別表(第8条関係)

委員

各地区総合支所区民課保健福祉係長(障害担当)

みなと保健所健康推進課保健指導調整担当係長

港区立障害者支援ホーム南麻布の管理者

港区立障害者支援ホーム南麻布の嘱託医

港区立障害者支援ホームの施設入所支援事業及び生活介護事業における医療的ケア実施要綱

令和4年4月1日 港保障福第1257号

(令和4年4月1日施行)