○港区重層的支援体制整備事業試行実施要綱

令和6年3月29日

5港保福第3296号

第1章 総則

(目的)

第1条 この要綱は、社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下「法」という。)第106条の4第1項の規定に基づく重層的支援体制整備事業の試行実施に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(用語)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 多機関協働事業 単独の支援関係機関では対応が難しい複雑化・複合化した事例に対応する複数の支援関係機関の役割を分担し、支援の方向性を整理するなど、計画を立て、事例全体の調整を行うことをいう。

(2) 参加支援事業 既存の社会参加に向けた支援事業では対応できない本人の個別の状況に対応するため、地域の社会資源等を活用して、社会とのつながりづくりに向けた支援を行うことをいう。

(3) アウトリーチ等事業 支援関係機関や地域住民等の連携を通じた情報収集により、複雑化・複合化した課題を抱えながらも支援が届いていない人を把握し、訪問等により丁寧に継続的に相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供、助言等を行うことをいう。

2 前項各号に掲げるもののほか、この要綱で使用する用語の意義は、法で使用する用語の例による。

(試行期間)

第3条 試行実施の期間は、令和6年6月1日から令和7年3月31日までとする。

(事務局)

第4条 港区重層的支援体制整備事業の試行実施主体の事務局は、保健福祉支援部保健福祉課に置く。

(事業の内容)

第5条 試行実施する事業の内容は、次に掲げるとおりとする。

(1) 多機関協働事業

(2) 参加支援事業

(3) アウトリーチ等を通じた継続的支援事業

(4) その他区長が必要と認める事業

(委託)

第6条 区長は、前条各号に掲げる事業の全部又は一部を地域における福祉に資する事業の実績を有する社会福祉法人等に委託することができる。

(港区重層的支援会議の設置)

第7条 区長は、試行実施を推進するため、港区重層的支援会議を設置する。

(港区重層的支援会議の所掌事項)

第8条 港区重層的支援会議の所掌事項は、次に掲げるとおりとする。

(1) 多機関協働事業のプラン、参加支援事業のプラン及びアウトリーチ等を通じた継続的支援事業のプラン(以下「各事業プラン」という。)の適切性の協議

(2) 各事業プランに基づく支援の実施状況の把握

(3) 各事業プランに基づく支援の経過と成果の評価及び各事業プラン終結等の判断

(4) その他会長が必要と認める事項

(港区重層的支援会議の組織)

第9条 港区重層的支援会議に会長及び副会長を置く。

2 会長は、保健福祉支援部保健福祉課長をもって充て、会務を統括する。

3 副会長は、第5条各号に掲げる事業の対象者(以下「事業対象者」という。)の居住区域を管轄する総合支所の区民課長をもって充てる。ただし、これによりがたいときは、各総合支所区民課長のうちから、会長が指名した者をもって充てる。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

5 会員は、事業対象者の居住区域を管轄する総合支所の区民課保健福祉係長及び当該事業対象者の支援等に必要な者として港区組織規則(平成18年港区規則第31号)第7条に規定する組織及び第5条の行政機関に属する者から会長が指名する者をもって充てる。

(港区重層的支援会議の運営)

第10条 会議は、事業対象者単位で設置するものとし、会長が招集し、主宰する。

2 会長は、必要があると認めるときは、会員以外の者に対し港区重層的支援会議への出席を求め、その意見を聴くことができる。

3 会議は、非公開とする。

(港区重層的支援会議による意見聴取)

第11条 会長が必要と認めるときは、会員以外の者に出席を求め、その意見又は説明を聴くことができる。

(港区重層的支援会議の部会)

第12条 第8条各号に掲げる所掌事項の円滑な遂行を図るため、港区重層的支援会議の下に部会を設置する。

2 部会長及び部会員は、会員のうちから部会の内容に基づき会長が指名する。

3 部会は、部会長が招集し、主宰する。

4 部会の内容は、会議に報告する。

(港区重層的支援会議の庶務)

第13条 港区重層的支援会議及び部会の庶務は、保健福祉支援部保健福祉課において処理する。

第2章 多機関協働事業

(対象者)

第14条 多機関協働事業の対象者は、次に掲げるとおりとする。

(1) 区内に居住する者のうち、複合的な課題を抱えており、単独の支援関係機関では調整が難しく、かつ、支援関係機関の役割分担や支援の方向性の整理が求められる課題を有する者

(2) その他区長が特に必要と認める者

(調整の依頼)

第15条 別表に掲げる相談支援事業者(以下「相談支援事業者」という。)は、対象者の有する福祉課題を調整することが困難と判断した場合は、区長が指定する書面により、事務局に役割分担、支援の方向性の整理等の調整を依頼することができる。

(調整依頼の受理)

第16条 事務局は、当該依頼に係る相談支援事業者等からの聞き取り等により、相談受付・申込票の審査を行い、第15条に規定する対象者に該当すると認められる場合は、依頼を受理する。

2 第14条に規定する対象者に該当しないと事務局が判断した場合は、当該相談支援事業者に差し戻すことができる。

(情報収集)

第17条 事務局は、前条第1項に基づき調整を開始するに当たり、第14条に規定する対象者及びその世帯の状態を把握するために必要な情報を相談支援事業者又は当該支援に関わる支援関係機関に求めることができる。

2 前項の規定にかかわらず、事務局が直接情報を収集する方が望ましい事例については、第14条に規定する対象者から直接、必要な情報を収集することができる。

(アセスメント)

第18条 事務局は、前条により収集した情報を基に、アセスメントを行う。

(プランの作成)

第19条 事務局は、前条によるアセスメントをもとに、多機関協働事業のプランを書面により作成し、港区重層的支援会議に付議する。

2 事務局は、多機関協働事業のプランを支援関係機関と速やかに共有するとともに、調整を依頼した相談支援事業者は、当該プランを対象者に交付し、利用申込を受ける。

(プランに基づく支援の実施状況の把握)

第20条 事務局は、多機関協働事業のプランに基づく支援が円滑に進むよう、支援関係機関の支援状況を把握する。

(支援終結等の手続)

第21条 事務局は、必要があると認めるときは、支援の経過と成果を書面にまとめ、多機関協働事業のプランの見直し、支援の終結の可否等について、港区重層的支援会議に付議する。

第3章 参加支援事業

(対象者)

第22条 区内に居住する者で、既存の各制度における社会参加に向けた支援では対応できない個別性の高いニーズを有している者で、原則、第19条に規定する多機関協働事業のプランが作成され、港区重層的支援会議で参加支援事業の利用の必要性があると承認された者を対象とする。ただし、当該プラン作成前において、参加支援事業が早期に関わることが望ましい場合には、この限りではない。

(参加支援事業のプラン作成)

第23条 事務局は、参加支援事業のプランを書面により作成し、港区重層的支援会議に付議する。

(支援の実施)

第24条 事務局は、第22条に規定する対象者の支援ニーズを踏まえ、当該ニーズに沿った支援メニューを有する受入先(以下「受入先」という。)を選定する。

2 受入先を選定した後は、当該対象者の状態や希望に沿った支援が実施できているか、当該対象者及び受入先の状況を確認するなど、フォローアップ支援を行う。

(支援終結の手続き)

第25条 第22条に規定する対象者が当該対象者の受入先との関係性が安定し、社会参加に向けて地域等とのつながりができたと事務局が認めるときは、参加支援事業による支援の終結の可否について、港区重層的支援会議に付議する。

(社会参加に向けた支援メニューの用意)

第26条 事務局は、必要に応じて地域の社会資源等を活用して、社会参加に向けた多様な支援メニューを適宜用意する。

第4章 アウトリーチ等事業

(対象者)

第27条 アウトリーチ等事業の対象者は、区内に居住する者で、自ら支援を求めることができない者、複雑化・複合化した課題を抱えながらも支援が届いていない者等とする。ただし、高齢、障害、生活困窮、児童福祉、保健等の各分野で対応可能な場合は、特定分野のアウトリーチ事業に引き継ぐものとする。

(情報収集)

第28条 事務局は、支援関係機関や地域住民と日ごろから連携し、これらのつながりの中から前条に規定する対象者に係る情報を収集する。

(支援)

第29条 事務局は、第27条に規定する対象者と継続的な関わりを持つために、信頼関係の構築に向けた丁寧な働きかけを行う。

2 事務局は、当該対象者との関係性構築に向けて、プランを作成する。

(アウトリーチ等を通じた継続的支援事業のプラン作成)

第30条 事務局は、第27条に規定する対象者に直接会うことができた後、必要な支援や今後の方向性について当該対象者とともに検討し、アウトリーチ等を通じた継続的支援事業のプランを書面により作成する。

2 前項のプランは、港区重層的支援会議に付議する。

(支援終結の手続き)

第31条 事務局は、第27条に規定する対象者を適切な支援関係機関等につなぎ、関係性が安定したと認めるときは、アウトリーチ等事業による支援の終結の可否について、港区重層的支援会議に付議する。

第5章 その他

(個人情報の保護)

第32条 本事業に関わる者は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57条)及び港区個人情報の保護に関する法律施行条例(令和4年港区条例第53条)の規定等に基づき、個人情報の保護に万全を期すものとし、正当な理由なく業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(委任)

第33条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、保健福祉支援部長が別に定める。

1 この要綱は、令和6年6月1日から施行する。

2 この要綱は、令和7年3月31日限りで廃止する。

別表(第15条関係)

多機関協働事業に調整を依頼することができる相談支援事業者

港区立地域包括支援センター

障害者基幹相談支援センター

障害保健福祉センター

障害者支援施設新橋はつらつ太陽

精神障害者支援センター

障害者支援ホーム南麻布

子ども家庭支援センター

子育てサポートハウス「あい・ぽーと」

保育コンシェルジュ

みなと保健所

港区生活・就労支援センター

福祉総合窓口相談員

港区重層的支援体制整備事業試行実施要綱

令和6年3月29日 港保福第3296号

(令和6年6月1日施行)

体系情報
要綱集/第7類 区民生活/第4章
沿革情報
令和6年3月29日 港保福第3296号