○港区食品衛生関係不利益処分取扱要綱実施要領
平成14年12月27日
14港み生第702号
(趣旨)
第1条 この実施要領は、港区食品衛生関係不利益処分取扱要綱(平成14年12月27日14港み生第701号。以下「要綱」という。)の円滑な運用を図るための手続の細目及び関連事項について定めるものとする。
(違反事実の確認)
第2条 食品衛生監視員(以下「監視員」という。)は、施設等を臨検し、監視若しくは指導し、又は食中毒調査を行った場合に、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)に違反している疑いのある事実を発見したときは、その違反事実を次により確認するものとする。
(1) 試験検査を要するものは、その検査成績書
(2) 表示の基準に違反している場合は、その証拠となるラベル等の物件
(4) 食中毒発生の場合は、食中毒事件調査報告書等の書類
(5) 上記以外の場合は、証拠となる物件その他関係帳簿類
2 食中毒発生の場合において、違反事実を確認し、食中毒事件として取り扱うのは、疫学的調査により次に掲げる全ての条件を満たしたときとする。
(1) 患者発生の事実が確認され、その疾病が食中毒であること。
(2) 原因食が明らかであること(マスターテーブルによる推定の場合も含む。)。
(3) 責任の所在が確認できること。
4 区長は、都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び他の特別区長(以下「他の区長」という。)の権限に属する不利益処分を必要とする違反又はその疑いのある事実を発見したときは、東京都知事(以下「知事」という。)又は当該他の区長に通報する。
5 区長は、知事又は他の区長から違反通報を受けた場合は、速やかに必要な措置を行い、その処理経過を知事又は当該他の区長に報告する。
(廃棄処分及び危害除去処置命令に係る取扱い)
第3条 要綱第2章に規定する廃棄処分及び危害除去処置命令については、次のとおり取り扱うものとする。
(1) 廃棄処分(要綱第3条)
ア 廃棄命令
廃棄命令は、違反があった食品、添加物、器具、容器包装又はおもちゃ(以下「違反食品等」という。)の再製、転用、返品等が不適当であると認められるときに廃棄命令書(第4号様式)により行うものとする。
イ 即時強制による廃棄
廃棄命令により営業者等に廃棄させることが不適当であると認められる、又は廃棄命令に営業者等が従わないときは、監視員は直接違反食品等を廃棄することができる。
(2) 危害除去処置命令(要綱第4条)
ア 取扱改善命令
施設及び取扱いに係る衛生上の取扱改善命令は、管理運営について改善を行わせる必要があると認められるときに、営業等停止並びに施設及び取扱改善命令書(第9号様式)により行うものとする。
イ 販売禁止命令
販売禁止の命令は、違反食品等を廃棄処分にする必要がなく、販売を禁止すれば足りると認められるときに、販売禁止命令書(第5号様式)により行うものとする。この場合において、販売禁止処分を行った違反食品等については、次のとおり取り扱うこととする。
(ア) 再製
再製が可能であり、当該営業者等が再製を行おうとする場合には、当該営業者等から再製願(第6号様式)の提出を受けるものとする。再製品については、営業者等に自主的に検査させ、その後、食品衛生検査施設で検査し、法に基づく基準に適合するときは、当該再生品の販売を認めるものとする。
(イ) 転用
再製は不可能であるが食品、添加物、器具、容器包装又はおもちゃ(以下「食品等」という。)以外の用途に転用が可能であり、当該営業者等が転用を行おうとする場合は、当該営業者等から転用願(第6号様式)の提出を受け、当該違反食品等の転用を認めるものとする。この場合において、転用を認めたときは、事後に、当該営業者等に、転用したことを証明する書類を添付し、転用したことの報告をさせることとする。
(ウ) 返品
違反食品等を返品する場合は、保健所長は数量等を確認の上封印したまま返品させるものとする。この場合において、返品先が他区、都及び道府県の場合は、他区又は都に必要な措置を依頼するものとする。
(エ) 任意廃棄
販売禁止命令を行った、違反食品等について、当該営業者等から廃棄したい旨の意思表示があった場合は、任意廃棄書(第3号様式)の提出を受け、任意廃棄させるものとする。
ウ 使用禁止命令
使用禁止の命令の処理については、イに準じて行うものとする。
エ 回収及び移動禁止命令
(1) 違反食品等の製造業者(輸入品にあっては輸入業者を含む。以下同じ。)が都内にある場合は、都内の当該製造業者
(2) 当該違反食品等の製造業者が都外にある場合は、都内の主たる当該販売業者等
(3) 当該違反食品等の製造業者及び販売業者等の主体が都外にある場合は、都内の主たる営業所(支社、出張所を含む。)等、当該営業所等がないときは当該小売業者等
2 当該違反食品等の製造業者が倒産等により存在しない場合は主たる当該販売業者等に、当該販売業者等が存在しない場合は当該小売業者等に対して行うものとする。
3 当該違反食品等の製造業者が製造販売した時点において違反事実が認められない場合、その後の販売業者等に責任があると判明したときは、当該販売業者等又は小売業者等に対して行うものとする。
(2) 違反の疑いがあり、引き続き調査を要するときは、任意保管請証(第2号様式)を徴し、証拠となる当該食品等、帳簿及びその他の物件を調査が完了するまでの間、任意に保管させることができる。
(3) 違反食品等の処置は、原則として保健所の監視員が行うものとする。ただし、緊急を要する場合は、都の監視員が依頼に基づいて処理することができる。
(検査命令)
第6条 法第26条第1項に基づく検査命令の取扱いについては、別途東京都主管課と協議の上、処理するものとする。
(営業等の停止、禁止、営業許可の取消し及び施設又は設備の改善命令に係る取扱い)
第7条 要綱第3章に規定する営業等の停止、禁止、営業許可の取消し及び施設又は設備の改善命令については、次のとおり取り扱うものとする。
(1) 営業等の停止(要綱第5条)
イ 営業等の停止日数は、要綱別表の範囲内において次に掲げる項目に必要な日数をもって決めるものとする。
(ア) 試験検査等原因の究明及び原因の除去に要する日数
(イ) 施設又は設備の改善及び違反食品等の回収に要する日数
(ウ) 従業員の教育、衛生措置基準等の遵守に要する日数
(エ) その他必要な措置に要する日数
ウ 営業等の一部停止命令は、一部停止命令で拡大防止又は再発防止ができる場合のみ行うものとする。また、事件拡大防止等に必要な範囲において行うものとする。
(2) 営業等の禁止(要綱第6条)
ア 営業等の禁止は、営業等禁止命令書(第10号様式)により行うものとする。
イ 営業等の禁止処分の継続中にその禁止事由が消滅したときは、保健所長からの報告に基づき、解除命令書(第11号様式)により、営業者等に対し解除命令を行うものとする。
(3) 営業許可の取消し(要綱第7条)
営業許可の取消しは、営業許可取消命令書により行うものとする。
(4) 施設又は設備の改善命令(要綱第8条)
施設又は設備の改善命令は、営業等停止並びに施設及び取扱改善命令書(第9号様式)により行うものとする。なお、施設又は設備の改善命令は、緊急を要する場合を除き、次の措置を経た後に行うものとする。
ア 監視員は、衛生指導注意票により、改善を指導する。
(不利益処分の執行)
第8条 要綱第2章及び第3章の不利益処分に係る命令は、文書により行うことを原則とするが、食中毒等直ちに危害の排除を要すると認められ、文書により命令するいとまがないときは、その命令は口頭をもって行うことができる。なお、口頭により命令をした場合は、事後、文書により措置命令の内容を通知すること。この命令書の日付は、口頭による命令を行った日とする。
(1) 命令書の交付
命令書は、保健所の監視員の立会いの上、当該営業者等に手交し、当該営業者等から命令書の受領書を徴すること。なお、知事が行う命令書の手交に当たり、東京都から立会いを求められたときは、これに応ずるものとする。
(2) 処分の履行
廃棄命令、販売禁止、使用禁止による違反食品等の処置の確認及び営業等の停止、禁止期間中の履行状況の確認等については、的確厳正に行うものとする。
(3) 処分の登載及び報告
ア 保健所長は、不利益処分があったときは、その違反概要、命令概要その他必要な事項を食品営業台帳に記載する。
(4) 聴聞及び弁明の機会の付与
行政手続法(平成5年法律第88号)又は港区行政手続条例(平成8年港区条例第29号)に係る聴聞及び弁明の機会の付与は、それぞれ聴聞及び弁明の機会の付与に関する規則(平成6年港区規則第26号)第6号様式又は第17号様式により通知するものとする。ただし、食中毒等で、公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、聴聞等の意見陳述のための手続を執ることができない場合は、手続を省略することができる。
(減算(要綱第9条))
第9条 不利益処分は、法上の安全保持のため行う必要な措置であって、特に不利益処分の減算措置については濫用すべきものではなく、具体的事由に基づき慎重に行うものとする。
2 要綱第9条の規定による停止日数の減算は、要綱別表に規定する法第6条違反の事故発生の場合において行うことができるものとする。
3 要綱第9条第1号に規定する事件拡大防止等の措置は、原因究明及び原因除去、施設若しくは設備の改善、取扱い改善、衛生教育、施設若しくは設備の消毒又は健康管理指導に係る措置のいずれかについて、保健所長の指導により行ったものとする。
4 要綱第9条第2号の規定による停止日数は、別表に掲げる原因食品及び病因物質による食中毒である場合を原則とし、保健所長が認める場合とする。
(公表(要綱第12条))
第10条 公表の際の対象、時期及び方法等については、別添1により行うものとする。
(その他の措置)
第11条 前各条に規定するもののほか、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 始末書
始末書は、要綱に基づく不利益処分を行うまでに至らない違反事実について、厳重な行政指導を要するときに徴するものとする。その内容としては、再び同様の違反を起こさないようにするため営業者等から違反の事実、経過、今後の対策等を記載させるものとする。
(2) てん末書
てん末書は、事実関係を明らかにする必要があるとき営業者等からその事実のてん末を報告させるため徴するものとする。
(3) 告発の取扱い
ア 告発
告発は、法第81条から第83条まで、第85条、第87条及び第88条に規定する罰則を適用する必要があると認めるときに行うものとする。
イ 告発の手続
告発しようとするときは、次に掲げる証拠書類を添え、告発状(第16号様式)により最寄りの捜査機関に送付するものとする。
(ア) 違反事実調査報告書 営業者等の本籍、住所、氏名、生年月日、営業種別、違反事実、違反の動機、発生年月日、発生場所、違反発見後事犯に対して取った措置等を詳述し、責任の帰属する点を明らかにすること。
(イ) その他の証拠書類 現場写真(台紙にはり、撮影年月日及び撮影者氏名を明記すること。)、命令書の写し、検査成績書、始末書、答申書、その他証拠となる書類、物件等違反事実を十分確認できるもの(書類作成者は署名すること。)ただし、特に、販売行為等相手方がある場合は、当該相手方に係る証拠書類についても添付すること。
(ウ) 保健所長は、告発状を正副2通作成の上、正本の写しを部の主管課に送付するとともに、その結果が判明次第、書面により報告すること。
(公衆衛生上必要な措置の基準の違反に対する措置)
第12条 営業者(器具又は容器包装を製造する営業者を除くものとし、法第68条第3項の規定により準用される給食供給者を含む。)は、食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下、「規則」という。)第66条の2に規定する基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定め、遵守しなければならない。
2 器具又は容器包装を製造する営業者は、規則第66条の5に規定する基準に従い、公衆衛生上必要な措置を講じなければならない。
3 前2項の規定にかかわらず、公衆衛生上必要な措置が遵守又は応じられていない場合は、次により必要な不利益処分を行うものとする。ただし、他の条項に抵触する違反が生じた場合はこの限りではない。
(1) 不利益処分の対象となる違反として取り扱うのは、次に掲げる適用条項に違反しており、改善させる必要がある場合とする。
ア 規則第66条の2第1項の規定による別表17に基づく基準の適用条項
一のイの前段及びヘ
二のイからチまで
三のイからルまで
四のイからトまで
五のイからニまで
六のイからホまで
八のイ及びロ
十のイ及びロ
十一のイからリまで
十二のイ及びロ
十三のイからハまで
イ 規則第66条の2第2項の規定による別表18に基づく基準の適用条項
ウ 規則第66条の2第3項に基づく適用条項
エ 規則第66条の5に基づく適用条項
(3) 必要な不利益処分は、前記第2号の措置を経た後に行うこと。
別表
原因食品 | 病因物質 | 減算日数 |
生食用かき | ノロウイルス サポウイルス ロタウイルス A型肝炎ウイルス | 1日から4日まで |
生食用鮮魚介類 | 寄生虫 | 1日から6日まで |
貝類 | 麻痺性貝毒 下痢性貝毒 | |
魚介類加工品 | ヒスタミン | |
生食用馬肉 | サルコシスティス |
付則
この要領は、平成15年1月1日から施行する。
付則
この要領は、平成15年10月1日から施行する。
付則
この要領は、平成17年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成18年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成18年5月29日から施行する。
付則
この要領は、平成23年2月1日から施行する。
付則
この要領は、平成24年9月1日から施行する。
付則
この要領は、平成25年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成27年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成27年10月1日から施行する。
付則
この要領は、平成28年4月1日から施行する。
付則
この要領は、平成29年7月1日から施行する。
付則
この要領は、平成31年3月5日から施行する。
付則
この要領は、令和2年6月1日から施行する。
付則
この要領は、令和3年6月1日から施行する。
別添1
1 「法又は法に基づく処分に違反した者」の定義
「法又は法に基づく処分に違反した者」とは、次の(1)から(3)までの者をいうものとする。なお、違反が軽微なもの(当該者の故意、重大な過失等によるものか否か、当該違反による健康影響の程度、当該違反に対する社会的な関心の程度等を勘案して判断する。)であって、当該違反について直ちに改善が図られたもの以外の法違反については、原則として、書面による行政指導(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号に規定する行政指導をいう。以下同じ。)の対象である。
(1) 次に掲げる規定に違反した営業者等で、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第59条(法第68条第1項及び第3項において準用する場合を含む。以下同じ。)、第60条(法第68条第1項及び第3項において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは第61条(法第68条第1項及び第3項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による処分をされ、又は書面による行政指導を受けたもの
・法第6条(不衛生食品等の販売等の禁止)
・法第7条第1項から第3項(新開発食品等の販売禁止)
・法第8条第1項(指定成分等含有食品に係る健康被害情報の届出)
・法第9条第1項(食品等の販売等の禁止)
・法第10条(病肉等の販売等の制限)
・法第11条第1項(輸入食品に係る規制(輸出国側でのHACCPに基づく衛生管理))
・法第11条第2項(輸入食品に係る規制(衛生証明書の添付))
・法第12条(添加物等の販売等の制限)
・法第13条第2項(規格及び基準に合わない食品等の販売等の禁止)
・法第13条第3項(農薬等が基準を超えて残留する食品の販売等の禁止)
・法第16条(有害器具等の販売等の禁止)
・法第17条第1項(器具等の販売等の禁止)
・法第18条第2項(規格及び基準に合わない器具等の販売等の禁止)
・法第18条第3項(器具等から基準を超えて溶出する成分の使用禁止)
・法第19条第2項(表示の基準に合わない器具等の販売禁止)
・法第20条(虚偽の又は誇大な表示又は広告の禁止)
・法第25条第1項(食品等の検査に不合格添加物等の販売等の禁止)
・法第26条第4項(検査結果の通知を受ける以前の販売等の禁止)
・法第48条第1項(食品衛生管理者の非設置)
・法第50条第2項(有毒物質の混入防止等の措置基準の非遵守)
・法第51条第2項(公衆衛生上必要な措置(HACCPに沿った衛生管理))
・法第52条第2項(公衆衛生上必要な措置(器具容器包装製造施設))
・法第53条第1項(器具容器包装の事業者間での情報伝達)
(2) 次に掲げる規定に違反した登録検査機関であって、法第43条の規定による処分をされ、又は書面による行政指導を受けたもの
・法第32条第1号、第3号(指定を受けることができないもの)
・法第37条第1項、第3項(業務規定)
・法第41条(適合措置命令)
(3) 次に掲げる規定による基準又は条件に違反した営業者等であって、法第60条又は法第61条の規定による処分をされ、又は書面による行政指導を受けたもの
・法第54条(営業施設の業種別基準の非遵守)
・法第55条第2項第1号又は第3号(営業許可の欠格)
・法第55条第3項(営業許可条件の不適合)
2 公表時期と公表期間
不利益処分又は書面による行政指導を行った後、速やかに公表するものとする。公表期間は、原則として7日間とする。ただし、不利益処分又は書面による行政指導が7日間を超える場合は、当該期間とする。
3 公表内容
公表する内容は、次による。
(1) 施設等に対する不利益処分等については、次に掲げるものについて公表することを原則とする。ただし、次の(2)によるものは除く。
ア 不利益処分等を受けた営業者等の氏名(法人にあっては、その名称、代表者の氏名、その主たる事務所の所在地及び法人番号)
イ 不利益処分等の対象となった施設の名称及び所在地
ウ 不利益処分等の対象となった違反食品等
エ 不利益処分等を行った理由
オ 不利益処分等の内容
カ 不利益処分等を行った措置状況
(2) 違反食品等に対する回収指導や販売禁止等については、次に掲げるものについて公表することを原則とする。
ア 不利益処分等の対象となった違反食品等の名称及びその商品が特定できる商品名
イ 不利益処分等の対象となった違反食品等の製造所又は加工所の所在地(輸入品にあっては、輸入業者の営業所在地)及び製造者又は加工者(輸入品にあっては、輸入業者)の氏名(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及びその主たる事務所の所在地)
ウ 違反食品等の違反理由
エ 違反食品等の措置状況
4 公表方法
区のホームページ及び掲示板等により公表するものとする。
様式(省略)