○港区がけ・擁壁改修工事支援事業実施要綱
平成27年3月27日
26港街建第2042号
(目的)
第1条 この要綱は、地震、台風、集中豪雨等の自然災害に備えて宅地及び建築物の安全性の向上を図るため、港区内にあるがけ又は擁壁(以下「がけ等」という。)の存する土地の所有者等に対して必要な支援を行うことにより、区民の生命及び財産を保護するとともに、災害に強いまちづくりを実現することを目的とする。
(1) がけ 地表面が水平面に対して30度を超える角度を成す傾斜地(擁壁と自然斜面の複合斜面を含む。)をいう。
(2) 擁壁 土圧力に抵抗して、土の崩壊を防ぐために設けられた壁体をいう。
(3) 改修工事 擁壁の新設工事及び築造替え工事で、建築基準法(昭和25年法律第201号)、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)及び都市計画法(昭和43年法律第100号)並びに東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)に定める基準に適合するものをいう。
(4) 警戒区域等 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の規定に基づき指定された土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の規定に基づき指定された土砂災害特別警戒区域をいう。
2 前項に掲げるもののほか、この要綱で使用する用語の意義は、建築基準法及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)で使用する用語の例による。
(支援の内容)
第2条の2 この要綱による支援(以下「支援事業」という。)の内容は、次の各号に掲げるものとする。
(1) がけ・擁壁改修工事費用助成 改修工事に要する費用の助成
(2) がけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣 一級建築士の資格を有する者で、がけ等に関する豊富な相談経験を有する者の派遣
(支援の対象者)
第3条 がけ・擁壁改修工事費用助成の対象者(以下「助成対象者」という。)及びがけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣の対象者(以下「派遣対象者」という。)は、次のいずれかに該当する者とする。
(1) 支援事業に係るがけ等が存する土地の全部又は一部の所有権、地上権その他の土地を保全し、又は適切に管理する権利を有する者(当該土地について複数の者が権利を有する場合にあっては当該権利を有する者の全員の同意により管理者として選任された者)
(2) 支援事業に係るがけ等が建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第1条の適用を受ける建築物が存する敷地にある場合にあっては、区分所有者の集会の決議により選任された者又は持分の合計が過半となる共有者の承諾を得た者
2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するものは、助成対象者及び派遣対象者としない。
(1) 法人である場合にあっては、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律(昭和52年法律第74号)第2条第2項各号の規定に該当する者
(2) 国、地方公共団体又はこれらに準ずる団体
(3) 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者である法人又は不動産賃貸業(自らが貸主となり、土地又は建築物(住宅の用途に供するものを除く。)を賃貸する事業をいう。)を営む法人(当該法人のみが使用する事務所等が存する土地に支援事業に係るがけ等が存する場合を除く。)
(支援の対象工事及び対象物)
第4条 がけ・擁壁改修工事費用助成の対象となる改修工事(以下「助成対象工事」という。)及びがけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣の対象となるがけ等(以下「派遣対象物」という。)は、次の各号に定めるとおりとする。
ア 改修工事後の擁壁の高さが2メートルを超えること。
イ 譲渡又は売買を目的とするために所有する土地又は建築物の敷地に存するがけ等に係る改修工事でないこと。
ウ 建築物の建築計画等により建築物の外壁を擁壁として兼用させる場合又は新たに生じたがけ部分に対して建築物の部分と擁壁を兼用させる場合における当該兼用部分に係る改修工事でないこと。
エ 過去にこの要綱による助成を受けたことがある土地又は同様の他の助成を受けたことがある土地若しくは受ける土地において行う改修工事でないこと。ただし、助成金の交付を決定した日から10年を経過した場合はこの限りでない。
オ 過去にこの要綱による助成を受けたことがある者又は受ける者が申請する場合において、その助成の対象である土地、がけと一連の土地又はがけにおいて行う改修工事でないこと。ただし、助成金の交付を決定した日から10年を経過した場合はこの限りでない。
(2) 派遣対象物については、がけ等の高さが2メートルを超えること。
2 前項の規定にかかわらず、区長が特に必要と認めたものについては、助成対象工事及び派遣対象物とすることができる。
3 同一の敷地において、助成対象工事に係る擁壁を複数の者が共有する場合は、共有者の人数にかかわらず、1件の助成対象工事としてこの要綱を適用する。
(助成金額)
第5条 助成金の額は、予算の範囲内において、助成対象工事に要する費用の3分の2(1万円未満の端数は、切り捨てる。)とし、その上限は1,200万円とする。ただし、助成対象工事をしようとする擁壁が同一の敷地に2基以上ある場合の助成対象工事に要する費用は、それぞれの費用の合計額とし、助成金の額を算出する。
2 前項本文の規定にかかわらず、警戒区域等内で助成対象工事を行う場合における助成金の額の上限は、5000万円とする。ただし、警戒区域等の内外にわたって助成対象工事を行う場合、警戒区域等内の助成対象工事についてのみ、助成金の額の上限を5,000万円とする。
3 前項ただし書きの場合における助成金の額は、警戒区域等内外それぞれで助成金の額を算出して合算した額とし、上限を5,000万円とする。
4 複数の所有者(複数に分筆された敷地にまたがる一連のがけ等を、それぞれ異なる者が所有している場合をいう。)が、共同して一体の助成対象工事を行う場合の助成金の額は、それぞれの所有者につき負担する費用の3分の2(1万円未満の端数は、切り捨てる。)とし、その上限は前3項に定める額とする。
5 前各項の規定による助成対象工事に要する費用は、消費税相当額を含まないものとする。
(東京都との事前協議)
第5条の2 警戒区域等内で助成対象工事を行う助成対象者が助成金の交付を受けようとするときは、あらかじめ当該区域の解除について、東京都と協議を行わなければならない。
(区との事前協議)
第6条 助成対象者が助成金の交付を受けようとするときは、工事着手前に、がけ・擁壁改修工事費用助成に関する事前協議申請書(第1号様式)に次に掲げる書類を添えて、区長に申請しなければならない。
(1) 助成対象工事に係る土地の登記事項証明書の写し
(2) がけ等を複数の者が共有する場合にあっては、当該共有者全員の同意により管理者として選任された者であることを証する書類及び改修工事の施行に関する同意書の写し
(3) がけ等が建物の区分所有等に関する法律第1条の適用を受ける建築物が存する敷地にある場合にあっては、区分所有者の集会の決議により又は持分の合計が過半となる共有者の承諾により管理者として選任された者であることを証明する書類の写し
(4) がけ等が建物の区分所有等に関する法律第1条の適用を受ける建築物が存する敷地にある場合にあっては、区分所有者の集会の決議により又は持分の合計が過半となる共有者の承諾により改修工事が施工されることを証する書類の写し
(5) 法人にあっては、法人の登記事項証明書の写し及び常時使用する従業員の数を確認できる資料
(6) 建築基準法による工作物の確認済証又は都市計画法による開発許可書の写し
(7) 設計図書(案内図、配置図、立面図、断面図、構造図等)
(8) 工事見積書の写し(内訳書を含む。)
(9) 工程表
(10) 既存のがけ等が分かる写真
(11) 警戒区域等内の場合にあっては、当該区域の区域図等
(12) 警戒区域等内の場合にあっては、当該区域の解除について東京都と協議を行った際の議事録等
(13) その他区長が必要と認める書類
2 区長は、事前協議に当たり必要があると認めるときは、条件を付すことができる。
2 区長は、必要があると認めるときは、工事中における現場検査を行い、事前協議者から工事に関する報告を求めることができる。
(助成対象工事の変更)
第9条 事前協議者は、事前協議内容を変更しようとするときは、速やかにがけ・擁壁改修工事費用助成に関する事前協議変更申請書(第4号様式)に次に掲げる書類を添えて、区長に申請しなければならない。ただし、当該変更の内容が軽微なものについては、この限りでない。
(1) 第6条の規定により提出した書類のうち、当該変更に係るもの
(2) その他区長が必要と認める書類
(工事の取りやめ)
第10条 事前協議者は、工事の完了前に当該工事を取りやめようとするとき又は助成金の交付を辞退しようとするときは、工事取りやめ届(第6号様式)を区長に提出しなければならない。
(1) 当該工事に要した経費を証する書類の写し(施工者からの領収書で内訳書が含まれたもの等)
(2) 工事施工写真
(3) しゅん工図書(案内図、配置図、立面図、断面図、構造図等)
(4) 建築基準法による検査済証の写し又は都市計画法による開発行為に関する工事の検査済証の写し
(5) その他区長が必要と認める書類
(助成金の交付)
第14条 区長は、前条の規定による交付請求があった場合は、その内容を審査し、適正と認めるときは、助成確定者に助成金を交付するものとする。
(権利譲渡の禁止)
第15条 事前協議者又は助成確定者は、その権利を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならない。
(助成金交付決定等の取消し)
第16条 区長は、事前協議者又は助成確定者が次の各号のいずれかに該当するときは、事前協議回答又は交付決定の全部若しくは一部を取り消すことができる。
(1) 偽りその他不正の手段により助成金の交付を受けたとき。
(2) 助成金を他の用途に使用したとき。
(3) 交付の決定の内容又はこれに付した条件と異なるとき。
(4) この要綱又はその他法令に基づく命令に違反したとき。
(5) 工事上の重大な瑕疵が判明したとき。
(6) 予定の期間内に着手せず、又は完了しないとき。
(7) 港区暴力団排除条例(平成26年港区条例第1号)第12条第2項の規定に基づき、助成金の交付が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資すると認められるとき。
(8) その他区長が必要と認めたとき。
(派遣の利用回数)
第18条 派遣対象者は、同一敷地内の派遣対象物に対して一年度当たり3回を限度とし、がけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣を利用することができる。また、派遣に要する時間は、概ね1回当たり2時間とする。
2 前項の規定にかかわらず、区長が特に必要と認めた者は、3回の限度を超えてがけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣を利用することができる。
(派遣の費用負担)
第19条 がけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣に要する費用は、区が負担する。
(派遣の申請)
第20条 派遣対象者ががけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣を利用しようとするときは、がけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣申請書(第13号様式)に法人の登記事項証明書の写し、常時使用する従業員の数を確認できる資料その他の区長が必要と認める書類を添えて、区長に申請しなければならない。
(利用の取りやめ)
第23条 派遣決定者は、事情によりがけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣の利用を取りやめるときは、速やかにがけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣利用取りやめ届(第17号様式)を区長に届け出なければならない。
(派遣の決定の取消し)
第24条 区長は、派遣決定者が次の各号のいずれかに該当するときは、派遣決定を取り消すことができる。
(1) 偽りその他不正な手段により派遣決定されたとき。
(2) この要綱又はその他法令に基づく命令に違反したとき。
(3) 港区暴力団排除条例第12条第2項の規定に基づき、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資すると認められるとき。
(4) その他区長が必要と認めたとき。
(委託による支援の実施)
第25条 がけ・擁壁改修工事アドバイザー派遣に係る業務は、区が予算の範囲内において、委託により実施する。
(指導及び助言)
第27条 区長は、支援事業を利用した者に対し、この要綱の施行のために必要な限度において、指導及び助言を行うことができる。
(維持管理)
第28条 支援事業を利用した者は、がけ等を良好な状態に保持するため、適切な維持管理に努めなければならない。
(調査)
第29条 区長は、支援事業を利用した者に対し、必要な調査を行い、資料の提出を求めることができる。
(その他)
第30条 この要綱に定めるもののほか、助成金の交付に関しては、港区補助金等交付規則(昭和48年港区規則第4号)の定めるところにより、その他必要な事項は、街づくり支援部長が別に定める。
付則
1 この要綱は、平成27年4月1日から施行する。
2 港区がけ等整備支援事業実施要綱(平成21年4月1日21港環計第113号)は、廃止する。
付則
この要綱は、平成29年4月1日から施行する。
付則
1 この要綱は、令和2年4月1日から施行する。
2 この要綱による改正後の港区がけ・擁壁改修工事等支援事業実施要綱の規定は、この要綱の施行の日以後に行う申請について適用し、同日前に行った申請については、なお従前の例による。
付則
1 この要綱は、令和5年4月1日から施行する。
2 この要綱による改正後の港区がけ・擁壁改修工事等支援事業実施要綱の規定は、この要綱の施行の日以後に行う申請について適用し、同日前に行った申請については、なお従前の例による。
付則
1 この要綱は、令和5年6月1日から施行する。
2 この要綱による改正後の港区がけ・擁壁改修工事支援事業実施要綱の規定は、この要綱の施行の日以後に行う申請について適用し、同日前に行った申請については、なお従前の例による。