○港区認知症高齢者等おかえりサポート事業実施要綱

平成30年3月22日

29港保高第4444号

(目的)

第1条 この要綱は、認知症高齢者等が徘徊等により、行方不明時においてその居場所を早期に発見し、保護を図るために実施する港区認知症高齢者等おかえりサポート事業(以下「事業」という。)に関して必要な事項を定め、協力連絡体制を構築することにより、認知症で、今いる場所がわからなくなる等の見当識障害があらわれた場合でも、地域の人及び関係機関との協力により、見守りかつ早期発見できる仕組みを作ること並びに認知症によるはいかいに起因する事故補償制度を設けることにより、認知症高齢者等の家族及び介護人の経済的・精神的負担の軽減を図り、もって認知症高齢者等が住み慣れた地域で、安心して暮らすことができるよう支援することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれの当該各号に定めるところによる。

(1) 認知症高齢者等 認知症高齢者及び若年性認知症の者をいう。

(2) 認知症高齢者 区内に住所を有する65歳以上の認知症である者(認知症であることが疑われる者を含む。)をいう。

(3) 若年性認知症の者 65歳未満の者であって若年性認知症等によりはいかいの恐れがあるもの(認知症であることが疑われる者を含む。)をいう。

(4) 関係機関 各総合支所、警察署、消防署、港区立地域包括支援センター条例(平成17年港区条例第58号)に基づき設置する港区立地域包括支援センター、民生委員・児童委員、区と高齢者の見守りに関する協定を締結した者、認知症サポーター等をいう。

(事業の内容)

第3条 区は、次の各号に掲げる事業を実施する。

(1) 認知症高齢者等の情報の登録並びに当該情報を登録した者(以下「登録者」という。)が徘徊等により行方不明となる場合に備えた緊急連絡先等の情報の登録及び管理

(2) 登録者の発見時における速やかな身元確認に資する登録番号が入ったキーホルダー及びアイロンシールの登録者への配付

(3) 登録者が徘徊し、通報を受けた際の緊急連絡先への連絡

(4) 行方不明になった登録者が発見された後、必要に応じて関係機関による生活支援につなげること。

(5) 認知症高齢者等を被保険者とする認知症高齢者等賠償責任保険(以下「保険」という。)に関すること。

(事業の対象者)

第4条 事業の対象者は、次に掲げる要件を満たす認知症高齢者等とする。

(1) 区内に住所を有し、かつ、在宅していること。

(2) 当該認知症高齢者等を迎えに行くことができる介護人等がいること。

2 区長は、特に必要があると認めるときは、前項に規定する認知症高齢者等以外の者を事業の対象者とすることができる。

(登録手続)

第5条 事業を利用しようとする者は、事業の対象者について、港区認知症高齢者等おかえりサポート事業登録申請書(第1号様式)により区長に申請し、登録を受けなければならない。

2 前項の規定により申請することができる者は、原則として、事業の対象者若しくはその親族又は事業の対象者を現に介護している者とする。ただし、区長が特に認める場合は、この限りでない。

3 区長は、第1項の規定により事業登録の申請を受けたときは、当該申請の内容を審査し、適当と認めるときは、事業登録申請書に記載された情報を港区認知症高齢者等おかえりサポート事業登録者名簿(第2号様式)に登録する。

4 区長は、前項の規定により登録したときは、登録番号を記載したキーホルダー1個及びシール50枚を無償で配布する。

(登録内容の変更の届出)

第6条 登録者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、港区認知症高齢者等おかえりサポート事業登録内容変更届(第4号様式)により、速やかに区長に届け出なければならない。

(1) 氏名又は住所を変更したとき。

(2) 緊急連絡先を変更したとき。

(3) キーホルダーを亡失し、又は毀損したことにより、再交付を受けるとき。

(登録の廃止の届出)

第7条 登録者は、第4条各号に掲げる要件に該当しなくなった場合は、港区認知症高齢者等おかえりサポート事業登録廃止届(第5号様式)により、速やかに区長に届出を行い、配付されたキーホルダーを返還しなければならない。

(守秘義務)

第8条 関係機関の職員は、事業の実施に当たっては、事業に関して知り得た個人情報その他の秘密事項を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(事業の委託)

第9条 区長は、事業を24時間対応とするため、事業を適切に実施することができると認められる事業者へ委託して行うことができる。

(協力連絡体制の構築)

第10条 区は、行方不明となった認知症高齢者等を早期発見する協力連絡体制の構築のため、次に掲げる業務を行う。

(1) 認知症により見当識障害が現れたときであっても地域の人や関係機関の協力により早期発見し、対応することができる協力体制の強化

(2) 徘徊が頻回になり、介護人等が迎えに行くことが困難となった場合等に必要に応じて生活支援につなげるための港区高齢者虐待防止対策推進要綱(平成19年3月20日18港保高第10326号)第9条第1項に規定する高齢者虐待対応ケア会議等の活用

(3) 認知症サポーター養成講座(区が実施する認知症高齢者等やその家族を支援するための方法等について学ぶ講座をいう。以下同じ。)におけるこの要綱に基づく事業の説明及び認知症サポーター(認知症サポーター養成講座の受講を修了したものをいう。)の協力体制の強化

(4) その他区長が必要と認める業務

(関係機関の役割)

第11条 関係機関は、前条の規定により区が行う業務に対して、それぞれの専門性を生かして協力するとともに、地域住民等が行う認知症高齢者等を早期に発見するための取組に対しての協力体制の充実に努めるものとする。

(保険契約の締結等)

第12条 区長は、保険に係る契約(以下「保険契約」という。)を損害保険会社(以下「保険会社」という。)と締結するものとする。

2 保険契約の保険料は、区の負担とする。

(保険への加入)

第13条 保険に加入しようとする者は、第5条第1項の申請時において、あらかじめその旨を明記し、同号の規定により申請するものとする。

2 第5条第3項の規定により登録された対象者であって保険に加入していないものは、保険への加入を希望するときは、認知症高齢者等賠償責任保険加入申請書(第3号様式)により、区長に申請し、保険に加入することができる。

3 保険に加入できる者は、40歳以上の登録者とする。

(保険対象事故)

第14条 保険の対象となる事故は、認知症によるはいかいに起因する事故により第三者を死傷させた事故とする。

(補償の範囲)

第15条 前条に規定する事故について、保険会社の補償限度額は、次の各号の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

(1) 国内において、認知症によるはいかいに起因する事故により負った損害賠償責任に係る補償金 1事故につき5億円

(2) 国外において、認知症によるはいかいに起因する事故により負った損害賠償責任に係る補償金 1事故につき1億円

(3) 認知症によるはいかいに起因する事故により第三者を死傷させた事故に係る見舞い費用等 1人につき15万円

(事故発生時の報告)

第16条 保険に加入した登録者、届出者又は緊急連絡先に記載のある親族(以下「被保険者等」という。)は、事故が発生したときは、直ちに区長と保険会社に連絡するとともに、速やかに事故報告書を保険会社に提出するものとする。

(保険金請求等の手続)

第17条 第15条第1号及び第2号に規定する補償金の支給を受けようとする被保険者等は、損害賠償責任に係る法律上の問題が全て解決した後、保険会社の定めるところにより、保険会社に請求するものとする。

2 第15条第3号に規定する見舞い費用等の支給を受けようとする被保険者等は、保険会社の定めるところにより、保険会社に請求するものとする。

(雑則)

第18条 この要綱に定めるもののほか、この要綱に基づき契約する保険契約に適用される約款及び特約条項の規定を適用する。

2 前項のほか必要な事項は、保健福祉支援部長が別に定める。

この要綱は、平成30年4月1日から施行する。

この要綱は、令和2年4月1日から施行する。

港区認知症高齢者等おかえりサポート事業実施要綱

平成30年3月22日 港保高第4444号

(令和2年4月1日施行)