○港区障害福祉サービス事業者等指導及び監査実施要綱

平成30年3月2日

29港保障福第4809号

(趣旨)

第1条 この要綱は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)に規定する指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設、指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所支援事業者及び指定障害児相談支援事業者並びに港区基準該当事業所及び基準該当施設の登録等に関する要綱(平成15年2月25日14港保介第845号)により登録された事業者(以下「登録事業者」という。)並びに港区障害者移動支援事業実施要綱(平成18年10月1日18港保障福第374号)により移動支援の提供に関する協定を締結した事業者(以下「協定締結事業者」という。)(以下これらを「障害福祉サービス事業者等」という。)に対して、港区(以下「区」という。)が実施する指導及び監査について、必要な事項を定めるものとする。

(指導及び監査の目的)

第2条 指導及び監査は、障害者総合支援法、児童福祉法、東京都(以下「都」という。)の条例及び規則、区の要綱等で定める最低基準、指定基準等(以下「基準等」という。)に対する適合状況等について、個別に明らかにし、必要に応じて助言及び指導又は是正の措置を講ずることにより、障害福祉サービス事業者等のサービスの質の確保及び自立支援給付に係る費用等の支給の適正化を図り、区における障害者(児)福祉の増進に寄与することを目的とする。

(指導方針)

第3条 指導は、障害福祉サービス事業者等に対し、基準等に定めるサービス内容及び自立支援給付に係る費用等の請求等に関する事項について、周知徹底するとともに、改善の必要があると認められる事項については、適切な助言及び指導を行うことを主眼として実施する。

(指導形態)

第4条 指導の形態は、次のとおりとする。

(1) 集団指導 対象となる障害福祉サービス事業者等に対し、必要な指導の内容に応じ、一定の場所に集めて講習等の方法により行う指導をいう。

(2) 実地指導 次のいずれかの方法により対象となる障害福祉サービス事業者等の事業所又は施設において実地で行う指導をいう。

 一般指導(区が単独で行う指導をいう。)

 合同指導(区が都等と合同で行う指導をいう。)

(指導形態の選定基準)

第5条 区長は、重点的かつ効率的な指導を行う観点から、指導形態に応じて、別表の選定基準に基づいて指導対象の選定を行う。

(指導の実施方針及び実施計画)

第6条 区長は、指導を効率的かつ効果的に実施するために、指導の重点事項等を掲げる指導実施方針及び当該年度の実地指導等の実施時期等を定めた実施計画を毎年度定めるものとする。

(指導の実施方法)

第7条 指導の実施方法は、次のとおりとする。

(1) 集団指導

 指導通知 指導対象となる障害福祉サービス事業者等を決定したときは、あらかじめ集団指導の実施日時、実施場所、出席者、指導内容等を、当該障害福祉サービス事業者等に文書により通知する。

 指導方法 自立支援給付に係る費用等の支給関係事務、請求内容、制度の改正内容及び過去の指導事例等について、講習等の方式で行う。

(2) 実地指導

 指導通知 指導対象となる障害福祉サービス事業者等を決定したときは、あらかじめ実地指導の根拠規定、実施日時、実施場所、指導担当者、出席者、準備すべき書類等を文書により、当該障害福祉サービス事業者等に通知する。ただし、緊急に指導を実施する必要があると判断した場合には、指導の開始時に通知を行うことができるものとする。

 指導方法 区が別に定める指導基準等に基づき、関連書類を閲覧し、関係者との面談方式で行う。

 指導の結果 指導の結果、改善を要すると認められた事項については、後日、文書により指導結果を通知する。

 改善報告書の提出 当該障害福祉サービス事業者等に対して、文書により指摘した場合は、原則として指導結果通知の発送日から30日以内に改善報告書の提出を求めるものとする。

 指導体制 実地指導は、2人以上の職員により指導班を編成して実施する。

 必要書類等の提出 実地指導の実施に当たっては、当該障害福祉サービス事業者等に対し、あらかじめ指導に必要となる書類の提出を求めることができる。

 その他 区は必要と認めるときは、障害者総合支援法第11条の2及び児童福祉法第57条の3の4の規定に基づき、指導及びこれに係る事務の一部を指定事務受託法人に委託することができるものとする。

(実地指導後の措置)

第8条 区長は、実地指導の結果、指摘した事項について改善が不十分な障害福祉サービス事業者等に対しては、必要に応じて、再度、実地指導を行う。

2 区長は、実地指導の結果、第10条に定める監査の選定基準に該当すると判断した場合は、速やかに次条から第11条までに定めるところにより監査を行う。

3 区長は、実地指導の結果、障害福祉サービス事業者等のサービスの内容又は自立支援給付に係る費用等の請求に関し、不当な事実を確認したときは、当該障害福祉サービス事業者等に対し、自立支援給付に係る費用等の自主返還等を行うよう指導する。

4 区長は、実地指導の結果のうち、文書指摘事項及び改善状況については、原則として区のホームページに掲載し、区民に周知する。

(監査方針)

第9条 監査は、障害福祉サービス事業者等のサービス内容及び自立支援給付に係る費用等の請求等に関する事項について不正又は著しい不当が疑われる場合等において、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を取ることを主眼とする。

(監査の選定基準)

第10条 監査は、障害福祉サービス事業者等が、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) サービス内容に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。

(2) 自立支援給付に係る費用等の請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。

(3) 基準等に係る重大な違反があると疑うに足りる理由があるとき。

(4) 度重なる実地指導によってもサービス内容又は自立支援給付に係る費用等の請求に改善が見られないとき。

(5) 正当な理由が無く、実地指導への協力を拒んだとき。

(監査の実施方法等)

第11条 監査の実施方法は、次のとおりとする。

(1) 事前調査

区長は、原則として、監査を実施する前に自立支援給付に係る費用等の請求等に係る書面について調査を行うとともに、必要と認められる場合には、障害福祉サービス事業者等のサービスを受けた障害者及び障害児並びにその保護者等に対する聞き取り調査を行う。

(2) 監査の実施等

区長は、監査を実施する必要があると認めるときは、障害福祉サービス事業者等に対し、監査実施通知書を交付した上で、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、出頭を求めて関係者に対して質問し、又は当該障害福祉サービス事業者に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件の検査を行うものとする。この場合において、障害福祉サービス事業者等(障害者総合支援法に基づく指定特定相談支援事業者及び児童福祉法に基づく指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所支援事業者及び指定障害児相談支援事業者(以下「特定相談支援事業者等」という。)、登録事業者並びに協定締結事業者を除く。)について監査を行う場合は、事前に実施する旨の情報提供を都に対して文書で通知する。ただし、都と区が同時に監査を行う場合は、通知を省略することができる。

(3) 監査調書の作成

区長は、監査を実施したときは、当該監査に係る調書を作成するものとする。

(4) 監査体制等

 監査の実施に当たっては、原則として、実地指導を行う職員を中心として2人以上の監査班を編成し実施する。

 にかかわらず、監査は、その必要があると認められるときは、原則として副参事以上の職にある者を長とする職員(検査員)3人以上で監査班を編成して実施する。

(監査後の措置)

第12条 監査後の措置は、次のとおり行う。

(1) 通知

区長は、監査の結果、障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービス事業者若しくは障害者支援施設等の設置者が障害者総合支援法第49条第6項、第50条第2項、同条第3項、第51条の28第6項又は第51条の29第3項のいずれかに該当するときは、その旨を都及び当該監査を行った事業者に対し、通知する。ただし、都と区が同時に監査を行う場合は、通知を省略することができる。

(2) 勧告

区長は、監査の結果、特定相談支援事業者等が次の各号に掲げる場合に該当すると認めるときは、特定相談支援事業者等に対し、期限を定めて、文書により当該各号に定める措置をとるべきことを勧告することができる。

 障害者総合支援法第51条の28第2項 同項各号に掲げる措置

 児童福祉法第21条の5の23第1項 同項各号に掲げる措置

 児童福祉法第24条の16第1項 同項各号に掲げる措置

 児童福祉法第24条の35第1項 同項各号に掲げる措置

(3) 報告

前号の規定による勧告(以下「勧告」という。)を受けた特定相談支援事業者等は、期限内に文書により報告を行うものとする。

(4) 公表

区長は、勧告をした場合において、その勧告を受けた特定相談支援事業者等が勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(5) 指定の取消し等

区長は、監査の結果、特定相談支援事業者等、登録事業者又は協定締結事業者(以下「事業者等」という。)が次の各号のいずれかに該当する場合において必要と認めるときは、当該各号に定める措置(以下「指定の取消し等」という。)をとるものとする。

 障害者総合支援法第51条の29第2項各号に該当する場合 同項の規定による指定の取消し又は指定の効力の全部又は一部の停止

 児童福祉法第21条の5の24第1項各号に該当する場合同項の規定による指定の取消し又は指定の効力の全部又は一部の停止

 児童福祉法第24条の17各号に該当する場合 同条の規定による指定の取消し又は指定の効力の全部又は一部の停止

 児童福祉法第24条の36各号に該当する場合 同条の規定による指定の取消し又は指定の効力の全部又は一部の停止

 港区基準該当事業所及び基準該当施設の登録等に関する要綱第10条各号(第1号を除く。)に該当する場合 同条の規定による登録の取消し

 港区障害者移動支援実施事業要綱に基づく協定書第16条第1項第1号又は第2号に該当する場合 同条16条の規定による協定の取消し

(6) 聴聞等

区長は、監査の結果、事業者等に対し、勧告又は指定の取消し等の処分を行う場合は、監査後、当該事業者等に対し、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項各号の規定に基づき、聴聞又は弁明の機会の付与を行う。

(7) 経済上の措置

 区長は、監査の結果、サービス内容又は自立支援給付に係る費用等の請求等に関し偽りその他不正の事実が認められ、これに係る返還金が生じた場合は、障害者総合支援法第8条第2項又は児童福祉法第57条の2第2項に基づく不正利得の徴収を行うことができる。

 区長は、により不正利得の徴収を行うときは、その徴収額に加え、障害者総合第8条第2項又は児童福祉法第57条の2第2項又は第57条の2第5項の規定により、返還額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる。

 サービスの内容又は自立支援給付に係る費用等の請求等に関し、不正又は不当の事実が認められた場合における当該事項に係る返還期間は、5年間とする。

(連携)

第13条 指導及び監査に当たっては、都等及び他の関連部署との連携を図り、効果的に実施するよう努める。

(委任)

第14条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、保健福祉支援部長が別に定める。

この要綱は、平成30年4月1日より施行する。

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

別表(第5条関係)

指導の選定基準(指導形態別)

指導の形態

選定基準

集団指導

(1) 概ね事業開始1年以内にサービスを開始した障害福祉サービス事業者等

(2) その他集団指導を行うことが適当と認められる障害福祉サービス事業者等

実地指導

(1) 通報、苦情の申立て、自立支援給付等の請求の状況などにより、その運営の状況を確認する必要があると認められる障害福祉サービス事業者等

(2) 過去の実地検査において、指摘事項の改善が図られていない障害福祉サービス事業者等

(3) 過去の指摘事項の改善状況の確認が必要な障害福祉サービス事業者等

(4) 事業開始後実地指導を実施していない障害福祉サービス事業者等

(5) 前年度及び前々年度において、集団指導を実施した障害福祉サービス事業者等

(6) 業務管理体制の整備に関して必要があると認められる障害福祉サービス事業者等

(7) その他実地指導を行うことが適当と認められる障害福祉サービス事業者等

港区障害福祉サービス事業者等指導及び監査実施要綱

平成30年3月2日 港保障福第4809号

(令和3年4月1日施行)