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区の対応・考え方
国連の障害者権利委員会より廃止勧告が出された「成年後見制度」に関する陳情書
区民の声の要旨
港区長
2024年6月24日
【陳情書の趣旨】
わが国は、2014年、国連の障害者権利条約を批准しています。
そして、2022年9月、権利委員会より「代替的な意思決定体制の廃止を視野に入れ、すべての差別的な法規定と政策を廃止し、すべての障害者が法の下で平等に認められる権利を保障するために、市民法を改正すること。」といった、いわゆる「廃止勧告」が出されました。そして、2026年に向けて民法改正が行われようとしています。
以下がその内容です。
・産経新聞2024年2月11日13版12面。(岐路に立つ「成年後見制度」初の大幅改正 終身から期間限定 身寄りのない高齢者の受け皿必要に 国が進める支援モデル事業)
・読売新聞2024年2月13日夕刊4版3面。(成年後見見直し諮問へ 期間・交代の可否論点 法相表明)
・読売新聞2024年2月14日朝刊13版33面。(成年後見法改正諮問へ 報酬や生前の解任柔軟に)
担当課におかれましては、国連の廃止勧告の主旨を理解し、かつ民法改正を視野に今後の「利用促進」の在り方を検討する必要があると考えます。「成年後見制度」において、後見報酬を得ている弁護士、司法書士、社会福祉士といった専門職の多くは「廃止勧告」を軽視している印象ですが、中立的立場であるべき区役所におかれましては、障害者の人権を重視し、障害者の立場から「成年後見制度」の問題に向き合っていただくことを希望します。
また、2023年に提出しました、以下の意見書につきましても引き続き配慮のほどお願いいたします。
成年後見制度(法定後見・任意後見)の説明会に関する意見書
【意見書の趣旨】
社会福祉協議会、高齢者福祉課などで開催される「成年後見制度」の説明会においては、報酬を得る立場である専門職(弁護士、司法書士等)が説明するために、不適切な内容となっている場合があります。現行制度においては、本人が年間数十万円の報酬を一生涯負担し、原則死亡するまでやめられない制度である以上、区においても、適切な説明を補足する必要があると考えます。以下を参考に、適切な説明文を作成し、区内の公的施設で行われる説明会においては、文書を必ず配布することを希望します。「東京家庭裁判所による報酬のめやす」は必ず配布してください。
【成年後見制度とは】
<法定後見>
1、成年後見制度は、一度利用したら原則本人が死亡するまで継続するもので、目的を果たしたら終わりというものではありません。
2、後見人は家庭裁判所が職権で選任するため、申立人(親族等)が望む候補者が選ばれるとは限りません。
3、令和3年現在、8割超が専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が選任されており、専門職が選任された場合には、本人が年間数十万円の報酬を一生涯負担することになります。
<報酬のめやす>
東京家庭裁判所 東京家庭裁判所立川支部「成年後人等の報酬のめやす」平成25年1月1日。
横浜家庭裁判所「成年後見人等の報酬のめやす」平成23年4月1日。
基本報酬のめやす
後見人:基本月額2万円、管理財産額が1,000万円~5,000万円では月額3~4万円、5,000万円超える場合は月額5~6万円。
後見監督人:管理財産額が5,000万円以下の場合には月額1~2万円、5,000万円超えの場合には2万5,000~3万円。
付加報酬のめやす
基本報酬の50%
▶特別の付加報酬のめやす
訴訟勝訴1,000万円財産増額で報酬80~150万円、遺産分割2,000万円財産増額で報酬55~100万円、不動産売却3,000万円財産増額で報酬40~70万円。
4、多くの場合、親族等は、本人の預金通帳が見られなくなるため、専門職の報酬がいくらなのか、残高がどれほどあるのかはわからなくなります。
5、本人の不動産を売却する場合、家裁の許可は必要ですが、親族への説明義務はありません。
<任意後見>
1、任意後見は、認知症発症“前”に公正証書にて本人が選んだ人(任意後見受任者)と契約し、認知症発症“後”には家族等が家裁に申立を行い、家裁から任意後見監督人が選任され任意後見受任者は任意後見人となります(任意後見契約発効)。
2、本人が公証役場で契約をした人が任意後見人となりますが、任意後見監督人は家庭裁判所が選任し、本人や親族が希望する人が選ばれるわけではありません。
3、任意後見監督人の報酬額は家裁が決定し、本人が一生涯負担することになります。報酬額は、後見監督人と同程度であると聞いています(月額1~3万円)。
4、任意後見は、以下の3つの型があります。
(1)即効型:任意後見締結直後に任意後見契約を発効させる。
(2)将来型:将来の判断能力低下の時点で任意後見契約を発効させる。
(3)移行型:当初は通常の任意代理契約や財産管理契約に基づき任意後見受任者が事務にあたり、本人の判断能力が低下した時点で任意後見契約を発効させる。
移行型後見については、悪質な犯罪行為が行われており、東京都福祉保健局において、以下の注意喚起がなされていました。
東京都福祉保健局 福祉保健の基盤づくり 相談・助成制度 成年後見活用あんしん生活創造事業 任意後見制度に関係する悪質な犯罪行為にご注意ください。
任意後見制度を悪用した、財産侵害等の被害が、問題になっています!一人暮らしの高齢者に巧みに近づき、時に法律等の専門家であることを強調し、公的な仕組みを利用することで安心させて、ご本人にとって重大な財産侵害にあたるような契約等を行うものです。…これまでの事件では、任意後見契約を結んで安心させた上で、実際にはご本人の判断能力が低下しても契約をスタートさせずしたがって誰からも監視されることなく、すでに判断能力が不十分となっているご本人を言いくるめて、不適切な契約や財産処分を行って不当な利益を得ていたという点が特徴です。
(2018年4月確認。2023年現在削除されている。)
区の対応・考え方の要旨
日頃から、港区の福祉行政にご理解を賜り、ありがとうございます。
令和6年6月24日付「国連の障害者権利委員会より廃止勧告が出された「成年後見制度」に関する陳情書」に対して、回答いたします。
区では、民法や成年後見制度利用促進法に基づき、制度の理解促進のための周知・啓発や権利擁護に関わる関係者の連携推進などに取り組んでいます。
国において制度改正に向けた議論が進められていることについては承知しており、区は情報収集に努めております。今後、制度が改正された際には、その趣旨に沿って、区の施策の改善にも適切に取り組んでまいります。
なお、2023年に受理した「成年後見制度(法定後見・任意後見)の説明会に関する意見書」につきましては、区としてもご意見をしっかり受け止め、区の施設で実施している、弁護士や司法書士等の専門職を講師とする説明会や港区社会福祉協議会が制度の内容や手続きなどを説明する講座などにおいて、制度を正しくご理解いただくため、ご説明が不足していた部分について、厚生労働省や裁判所等の発行する資料や成年後見人等の報酬に関する東京家庭裁判所による「成年後見人等の報酬額のめやす」を配布するなど情報を提供しております。
今後も参加される区民にわかりやすく、また、誤解や混乱を招くことが無いよう、制度の周知・啓発に努めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
担当課
保健福祉支援部保健福祉課
ご意見をいただいた時期
2024年6月
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健康・福祉
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