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更新日:2023年11月11日

人権週間 寄稿文について

人権とは、誰もが生まれながらに持っている、人間が人間らしく生きていくための権利であり、人類が歴史の中で築いてきた財産です。国連は、「世界人権宣言」が採択された12月10日を「人権デー」と定めました。日本では、この人権デーを最終日とする1週間を「人権週間」として、全国でさまざまな人権啓発活動が行われています。今年度は、世界人権宣言75周年です。

区においても、人権尊重に対する理解を深めていただくため、人権に関して、にしゃんたさんに寄稿文をお寄せいただきました。

※本寄稿文は、広報みなと11月11日号にも掲載されています。

にしゃんたさん プロフィール

羽衣国際大学教授・タレント・ダイバーシティスピーカー(多様性の語り部)。セイロン(現スリランカ)生まれで、7万円と片道切符で高校生時代に来日。苦学生を経て経済学博士号を取得。人権、ダイバーシティ、多文化共生やSDGsなど、社会的な課題について研究し、その発見や経験を分かち合うため、全国で講演活動を行っている。「共笑」の提唱者である。

寄稿文「外国人と人権」

 講師写真
~日本で生きるということ~

日本に来て40年近くになる。20年以上前に母国のパスポートも返納して国籍もいただいた。骨を埋めるまでこの国で生きることになるが、生涯付き合わないといけないことがあると思っている。それは「外国人」として見られ続けるということだ。

 電話口など、声だけならいくらでも日本人になる自信はあるが、私の場合は、見た目の特徴があるから日常生活はそうはいかない。プールで子どもに「ゴリラだ」と指さされ大泣きされたこともあった。もちろん子どもにはなんの罪もないが、大人社会もなかなかだ。入居拒否に、乗車拒否、就職差別から結婚に至っても外国人では困ると反対されるなど、おそらく一通りの経験をしたと思う。ずいぶん前のことだが、今でも思い出すと心が締め付けられるこんな経験もあった。大学生仲間とデパ地下に食材を買いに行った時だ。友達が試食をしていて、僕もと思って爪楊枝を取ろうと手を伸ばした時だった。店員の方にパシッと手を叩かれたのだ。「君は食うな」ということだっただろうが、人間として見てもらえなかったことが今でも心の傷だ。

~人口の1割が外国人の時代へ~

世界人権宣言から今年で75年になる。日本は世界を見渡してもどこの国よりも人権に真面目に取り組んでいることをこの国の一員として誇りに思う。法務省が偏りないように17の人権事項を定めているが、今後は中でも「外国人の人権」がますます注目されるようになることは間違いない。

 

2070年には日本の人口の1割が外国人になるとの発表があったが、それは登録者としての外国人であって、いわゆるダブルや日本国籍取得者などを入れるともしかしたら外国にルーツのある人は、総人口の半分ぐらいになるのではないだろうか。外国人に対するアレルギー反応を払拭して免疫をつける事はもちろん、国や地域社会の活性化や穏やかで、和やかな日常のためにも互いに力を合わせる必要が必ずやある。

~献血での気づき~

話が変わって、実は私は長年献血推進活動に取り組んでいる。日本の若者人口が減り、さらにそこに若者の献血離れが加味されているため、将来の日本の血液確保が深刻になると関係者中心に嘆いているのだ。そんな中、現場である面白いことが起きている。それは献血希望の外国人が増えていることだ。中には日本語がままならない人もいるが、献血したい気持ちが優っていて、献血ルームも国際化の対応に追われている。

 

こんな言い方をしたら怒られるかもしれないが、実は献血は面白い。いくら技術が進んでも血液は人工で作れず、いくら冷蔵技術が発達しても血液は長くは保存できない。やはり人間を助けられるのは人間だけなのだ。もう一つ面白い発見がある。それは、血液の型さえ合えばどんな人間にも提供できるのだ。そこには社会で作られている人間同士の間のあらゆる垣根は全て取り払われ、人間は人間であるという最も大切な気づきを与えてくれる。もちろんそこには日本人と外国人の垣根もない。

~ともに笑える関係へ~

日本で日本人と外国人は、質の良い共生を営んでいるか怪しい。排斥、排除、無視、シカトされたり、同化を求められたり、棲み分けされたりしているように感じている。現状の共生の実態はそんなものだ。人間は人間であるという自覚を持ち、共に生きるだけではなく、共に笑える関係こそ追及してほしい。

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