現在のページ:トップページ > 区政情報 > 区の施策・計画 > 区長施政方針・区長所信表明 > 令和6年第2回港区議会定例会 区長施政方針 > 第二章 重点的に取り組む5つの施策
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私は、このたびの選挙において、「愛があふれる国際都市 港区」の実現を訴えてまいりました。「愛があふれる国際都市」、それは、「人を大切にする国際都市」です。
多くの人が行き交い、多様な人が暮らす都心だからこそ、相互に理解しあい、新たなつながりを生む、人にやさしいまちを目指します。
私は、区長就任にあたり、「やさしさが響きあい、世界とつながる都市・港区」を理想のまちとして掲げます。この実現に向けて私は、5つの重点施策をお示しし、区民の皆さんと一緒に、やさしさと笑顔があふれる明るい未来を切り拓いてまいります。
私は、母親として、多くの子育てをしている皆さんと一緒に子どもを育てています。
障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもなど、切実な悩みを抱える子育て家庭の皆さんの声を聴き、寄り添ってきました。
今、必要なことは、様々な境遇にある子どもも、親も幸せを実感できる社会を創ることです。
私は、これまでの考え方にとらわれることなく、子どもが大切にされ、子育て家庭が地域に支えられ、誰もが幸せを実感できる「子育て・教育都市」を実現してまいります。
保育園と幼稚園の壁をなくし一体的に整備する、「誰でもこども園」構想に挑戦します。区立幼稚園は年々園児数が減少していますが、その一方で質の高い幼児教育や素晴らしい園庭などの環境があります。この教育資源を生かし、保育サービスを保育園と同等に拡充するなど、誰もが利用できる体制を整えることで、全ての子どもが良質な保育と教育を受けることができる環境づくりを進めてまいります。
一時預かり、病児保育、障害児保育の整備を求める声を多くいただいています。
保護者がサービスを利用したいときにいつでもアクセスできる「お断りゼロ」の保育サービスを目指してまいります。
発達障害の子や学校に通うことが難しい子など、スペシャルニーズのある子どもがいます。フリースクールやインターナショナルスクールをはじめ、多様な教育を支援するなど、子どもたちがありのままで、のびのびと成長していける教育を目指します。
また、障害があるなど特別な支援が必要な子どもたちへのサポートを万全にするとともに、子ども一人ひとりの違いを多様性として尊重し、障害の有る無しに関わらず、一緒に学ぶことができるインクルーシブな教育環境を整備してまいります。
子どもが安全・安心に、質の高い教育を受けられる環境を実現します。
登下校の安全対策の改善を求める声を多くいただきました。
工事現場など、危険が想定される場所への誘導員の配置や、防犯ブザーが鳴った際にすぐに大人が駆けつける体制の構築など、子どもの安全を地域全体で守る取組を推進します。
学校給食においては、成長期にある子どもたちが栄養をバランス良く安全に摂れるように、良質で栄養満点な食事に加え、アレルギー対応の徹底のほか、ハラルなど宗教食への対応にも配慮します。また、子どもたちが食事を通じて楽しみながら食べ物への関心や理解を深められるよう、企業や大使館と連携し、食育を推進してまいります。
学校通学に必要な教材費は家庭にとって経済的な負担です。教材費の無償化など、公教育の負担ゼロを目指します。
教員の事務負担の軽減も不可欠です。人的支援やデジタルの活用など、様々なアプローチから教員が児童・生徒に向き合うことができるよう下支えしてまいります。
海外を志す子どもたちが希望を叶えられる環境を創ります。
私自身、高校生時代に交換留学生としてオーストラリアで学ぶ機会を得ました。異国の地で日本と異なる文化に触れた経験は、私の価値観を大きく変えるものでした。
若者の海外留学を支援し、国際プログラムを導入した公立中高一貫校を検討するなど、夢の実現を後押ししてまいります。
年齢、障害の有る無し、国籍等に関わらず、全ての区民の不安や悩みを解消し、誰もが心身ともに元気で自分らしく暮らせるまちを目指します。
生涯を通じて健康づくりを進めるためには、全世代にとって体を動かす場所が必要です。気軽に運動でき、遊べる場を整備するなど、区民の健康寿命を伸ばす取組を推進します。
人生100年時代が訪れ、退職後の過ごし方は、老後の健康維持や介護予防につながるため、とても大切です。シニア世代の新たなキャリア形成をサポートし、誰もが生涯現役を続けられる社会を目指してまいります。
テクノロジーを医療や健康管理に実装した「ヘルステック」の開発が民間企業を中心に進んでいます。いきいきプラザ等で実施している健康増進の取組にヘルステックを取り入れるとともに、関係機関と連携し、地域におけるリハビリテーションの体制を充実するなど、健康で豊かな暮らしを支えてまいります。
障害児の保護者が安心して働き続けられる環境を整備します。
放課後等デイサービスでは、保護者が無理なく送迎できる預かり時間帯への見直しや、学校や自宅との移動支援の利便性を高めるなど、子どもの成長と保護者の負担軽減の両立を図ります。
障害者の親なき後を見据え、障害者グループホームの整備を着実に進めるとともに、就労支援の取組を充実し、本人や保護者がいつまでも安心して住み続けられる環境を整えます。
介護など福祉の現場は疲弊し、人材不足は深刻です。働きやすい環境や待遇改善につながるよう事業者等への支援を充実し、介護サービスの質と量の両面から拡充を進めてまいります。
高齢者や障害者、子育て世代など全ての人が安心して暮らせるように、生活者の目線に立ち、誰にとってもやさしいバリアフリーのまちづくりを進めます。
港区には多くの外国人が暮らし、働いています。区の外国人人口は、2万人を上回り、区内で暮らす外国人と家族は今後も増加する見込みです。外国人が言葉の壁や文化の違いにより地域で孤立しないよう、日本語学習や文化交流の機会を充実するなど、外国人と日本人が相互に理解し合える社会を目指してまいります。
ペットは飼い主にとって、かけがえのない家族の一員です。
動物愛護を専任する職員の配置や、災害時のペットの同室避難の実現など、飼い主が安心してペットを飼育することができる環境を整備してまいります。
いつ起きてもおかしくない首都直下地震に、私たちは備えていかなくてはなりません。
能登半島地震の被害状況を目にして、私は、このままでは区民の命を守ることはできないと、思いを強くしました。
道路の電柱や上空の電線などを無くす無電柱化の推進やドローンの活用をはじめ、防災対策を待ったなしで推し進めるとともに、非常時における電源や医療体制の確保など、区民の命を守り抜くまちを創り上げてまいります。
港区は、住まいの約9割が共同住宅です。区が令和2年度に実施した分譲マンション実態調査の結果では、築年数が40年を超えるものが約4割と最も多く、老朽化対策が急務です。
旧耐震基準により建築されたマンションの耐震補強や建替え支援を進めるとともに、新耐震基準により建築されたマンションであっても、老朽化したマンションに対しては新たに対策を講じるなど、区独自の支援制度を構築してまいります。
地域の実情を踏まえた防災力の向上を図ってまいります。
私は、地域の防災協議会で、避難所運営をはじめ様々な防災活動に取り組んできました。
その経験から感じたことは、まちの姿が変わりゆく中で、町会・自治会に頼りきった対策では限界があるということです。
港区の特殊性を踏まえ、建物ごとの防災マニュアルの策定やエレベーター閉じ込め対策など、実効性のある取組を充実させ、全国に先駆けた「都市型防災モデル」を構築します。
災害時要配慮者への支援を加速させます。
避難行動に支援を必要とする方々に対し、個別避難計画の作成を速やかに進め、その実効性を確保するための訓練を実施するなど、誰ひとり取り残さない体制を整備してまいります。
地域の防災訓練には多くの港区職員が従事していますが、実際に港区に住む職員は少ないという現状があります。
港区に住む職員を増やしていき、災害発生時に迅速に対応できる体制を構築するとともに、実際の想定に近い防災訓練を行っていくなど、リアルな防災対策に取り組んでまいります。
港区の地の利や人の力を生かし、地域に彩りを加える多様な文化・芸術、水や緑など豊かな自然環境、そして個性やにぎわいがあふれる地域経済の3つの要素が調和し、未来に向けて共存共栄するまちを目指します。
港区は、多様な文化芸術施設が立地し、多くのアーティストが活動しているほか、六本木アートナイトなどの東京を代表する芸術イベントの開催地でもあり、ポテンシャルにあふれています。
コロナ禍により、長期にわたり制限を受けていたアーティストの文化芸術活動を積極的に応援するとともに、多くの方が身近に気軽に文化・芸術に触れ合い、関心を高めることができる「街中アート」の実施などを通じて、その魅力を世界に発信していきます。
港区は国内外の企業や多くの大使館等が立地する国際色豊かなまちです。
大使館や国際友好都市との連携を推進し、文化交流をはじめ、交換留学先の開拓や中小企業の海外販路拡大など、教育や経済の分野での交流を深めてまいります。また、企業や大使館と連携したキャリア教育の実施やインターナショナルスクールとの交流を通じて、子どもが多様な文化や価値観に触れる機会を創出し、国際社会で活躍するスキルやコミュニケーション能力を養います。
港区を「社会課題解決型スタートアップ」の中心地にします。
区内には新進気鋭のスタートアップに加え、医療や福祉、教育などの専門機関、大学などの研究機関が集積し、産業振興センターという充実した施設もあります。この恵まれた環境をもっともっと生かせるはずです。
港区が将来にわたり持続可能な発展を遂げるために、スタートアップや専門機関をはじめとする産学の力を結集し、新しい発想や技術をもって、福祉や教育現場などにおける、社会課題の解決を図ります。
コミュニティの中核を担う町会・自治会、商店会は港区の宝です。それぞれの地元に根差す地域団体の活動を、デジタルを活用して積極的に支援します。
港区商店街連合会と力をあわせて、区内共通電子商品券の専用アプリを早期に実現し、利便性・汎用性の高い商品券にアップデートします。
さらには、区の各種ポイント事業や町会・自治会活動へのポイント付与などとも結び付けた港区版地域通貨を実現してまいります。
首都・東京の中心に位置する港区は、最先端のスポット、個性豊かな街並みや商店、歴史的遺産など、多くの魅力を有しています。
この貴重な観光資源を生かし、たくさんの人を惹き付けるシティプロモーションの推進を図るとともに、ふるさと納税の返礼品など、港区の魅力をより高める取組を進めてまいります。
港区の豊かな樹木を守り、そして増やしていくことで、美しい四季を彩り、緑に癒される居心地の良い住環境を整えていきます。
お台場の海や運河、古川は、都心にいながら水辺を感じられる貴重な地域資源です。暮らしや防災、観光といった様々な視点から水辺に着目し、多くの人が親しめる空間を創出するなど、水辺を向いたまちづくりを進めることで、都市としての魅力を高めます。
そして、この豊かな自然を未来に引き継いでいくために、都心の特性を生かした再生可能エネルギーの導入を促進するなど、港区ならではの環境先進都市を実現してまいります。
地域に寄り添うまちづくりを徹底します。
「港区で魚が買えない。」「公園にカフェをつくってほしい。」「駐輪場が足りない。」など、区民の声を一つひとつ丁寧に聞き取りながら、区民生活に必要な施設を誘導するなど、地域の声が反映されるまちづくりを進めます。
歴史的価値を守るための仕組みづくりに取り組みます。
神宮外苑など、まちづくりには、地域の人たちが大切にしてきた歴史や伝統が守られ、新しいアイデアが形になっていくことが必要です。歴史的価値があるものを守るため、事業者に対し、都市計画段階などできるだけ早い段階での住民説明を求めます。さらには、住民以外の幅広い人々への情報提供や意見を聞く機会を設けることを要請するなど、多くの人から理解や共感を得ることができる、対話をもって調和したまちづくりを進めます。
羽田空港新ルートについては、国に対して早期の固定化回避の実現を要請してまいります。
デジタルを活用し、区民本位の、便利で開かれた区役所を目指します。
区民サービスの向上に向け、窓口のDXや組織の効率化を進め、区民が「行かなくてもいい区役所」を実現します。一方で、区役所へ来られた方へは、迅速で丁寧な対応を徹底し、来庁者の満足度を高めてまいります。
情報発信の在り方を見直し、伝わる広報を実現します。
子育てや福祉など支援が必要な区民にとって、情報が何もないという状況は本当に不安です。どんなに良いサービスでも、区民に届かなければ意味はなく、必要な情報を正しく伝えなければなりません。
現在進めている区ホームページのリニューアルを迅速に行うとともに、広報に関する外部人材を一層積極的に取り入れ、区民に伝わる広報へと改革していきます。
私は、東京23区では7人目、港区としては初の女性区長となりました。地方行政において、女性のリーダーは少しずつ増えてきています。
港区役所に目を転じますと、女性管理職の割合は20パーセントを下回っており、依然として低い水準です。
女性が働きやすく、キャリアアップを望める環境を整えるとともに、女性の視点を積極的に区政に反映させるために、女性管理職及び審議会の女性の割合、いずれも50パーセントを目指します。
さらには、若手職員と積極的に意見を交わすとともに、民間企業等との人材交流も推進し、組織を活性化させます。
区民から預かっている大切な公金を適切にマネジメントします。
円安や国際情勢の影響による資源価格の上昇、それらに伴う物価高騰など、国内外の経済状況は目まぐるしく変化しています。
区が保有する約2000億円の基金の在り方を見直し、区の特徴を捉えた政策的投資と資産マネジメント重視を徹底します。
あわせて、区長の任期を3期12年までとする多選自粛条例の制定と退職金カットの検討を進めるとともに、各事業の費用対効果と進捗管理を徹底的に見直して財源を確保し、未来にバトンをつなぎます。
常に厳正に、されど柔軟に、時に大胆に。港区の強い財政基盤を堅持しながら、計画的で機動的な行財政運営を実行してまいります。
お問い合わせ
所属課室:企画経営部企画課企画担当
電話番号:03-3578-2086
ファックス番号:03-3578-2034
外国語対応が必要な人、通訳オペレーター、区の職員の3人で会話ができます。