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更新日:2023年3月1日

広報みなと2023年3月1日号
いまも未来も 輝き続ける唯一無二の港区へ

武井雅昭区長は、2月13日(月曜)に開会された令和5年第1回港区議会定例会で、区政運営について所信を述べました。そのあらましを紹介します。
※口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の差異があることがあります。
※所信の全文は、港区ホームページでご覧いただけます。録画映像は、港区議会ホームページ(外部サイトへリンク)からご覧いただけます。

 

 

発言に先立ちまして、今月6日に発生した、トルコ南東部を震源とする地震により亡くなられた方々に対し、港区民を代表してご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。

一歩ずつ、そして力強く、まちは歩みを進めています。

昨年、4年ぶりにみなと区民まつりを開催することができました。

みなと区民まつりは、「区民が主体的に取り組む手づくりのまつり」です。開催に向けては、万全の新型コロナウイルス感染症対策を行い、安全に安心して楽しんでいただく「まつり」となるよう、区民の皆さんと共に、準備を進めてきました。


港区議会本会議場にて。
武井区長(手前)、ゆうき議長(奥)
※新型コロナウイルス感染症対策として、本会議場の演壇には飛沫飛散防止のためのアクリルパネルが設置されています。

 

 

迎えた当日。マスク越しであっても、多くの区民の皆さんの笑顔を見て、人と人とのつながり、まちの元気が、区政の源だと、私は確信しました。

港区の歴史を紐解くと、その中心はいつも「人」でした。

江戸時代には、多くの武士や町人たちが暮らし、風格漂う大名屋敷や情緒あふれる町屋が立ち並んでいました。区役所の目の前に広がる増上寺は、徳川家康により将軍家の菩提寺とされ、隆盛を極めました。海岸沿いの本芝や金杉には、漁師や魚問屋に魚を求める客が行き交い、赤坂氷川神社の祭礼では、氷川山車を一目見ようと内外からたくさんの見物客でにぎわうなど、港区は江戸でも特徴のある一面を持っていました。

今年、生誕200年を迎える勝海舟も港区にゆかりのある著名人の一人です。区内にあった薩摩藩邸で江戸開城の会談を行った海舟は、何度も港区に住居を構え、亡くなるまで暮らしていました。港区は、政治や経済、文化で功績を挙げた多くの英傑たちが活躍した舞台であり、愛着を抱いた場所でもありました。

昨年、鉄道開業150年を迎えましたが、明治時代には、日本初の鉄道が品川停車場で仮開業した後、新橋を始発駅とし、横浜まで正式に開通しました。当時の新橋停車場は、駅舎に加えて車庫や外国人官舎などが設けられ、交通や物流の一大拠点として文明開化の象徴となり、日本の近代化を支えました。まさに港区は、歴史と共に歩んできたまちであり、その時々の役割を全うしながら、港区ならではの発展を続けてきました。

時代が移り変わった現在でも、大切に培われてきたまちの風土は、港区の宝物として脈々と受け継がれています。芝、麻布、赤坂、高輪、芝浦港南の5地区は、それぞれが個性ある街並みを織り成し、港区は、住み、働き、訪れる人々が多く集まる、他に類を見ない日本有数の都市へと進化を続けています。

今年は、関東大震災から100年になります。当時の芝区では、家屋の倒壊や大規模火災により住民の約半数がり災するなど、区内も甚大な被害を受けました。

現在、コロナとの闘いは、感染症の分類を見直す方針が示されるなど、感染対策を前提に社会経済活動を加速させる段階に入っています。

先人たちがたゆまぬ努力によって未曽有の震災から復興を成し遂げたように、私が先頭に立ち、区民の皆さんと共にコロナ禍を乗り越え、力強く前進していきます。そして、日本、ひいては世界をけん引する、「いまも未来も 輝き続ける唯一無二の港区」を実現し、新たな時代を築いてまいります。

「いまも未来も 輝き続ける唯一無二の港区」を実現する

取組の柱となるのが、デジタルの力です。

デジタル技術の恩恵を区民サービスに還元していくため、区政のあらゆる分野におけるデジタル・トランスフォーメーション「DX」を強力に推進します。

第1の取組「区民の命を、全力で守る」

新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、私は、関東大震災から100年という節目の年に、「区民の命を全力で守る」という揺るぎのない信念を新たにし、将来世代へとつながる取組を進めていく決意です。

災害に強いまちづくり

災害時の状況を分かりやすく伝えるため、津波や土砂災害等の全てのハザード情報を立体的な映像として可視化します。

帰宅困難者対策では、仮想現実「VR」の技術を活用した実動訓練等の支援を通じ、事業者による駅周辺の滞留者対策を推進します。

消防団に対し、夜間の訓練に効果的なポータブル蓄電池等の配備を支援するほか、団員の新規加入を促進するため、広報みなとで消防団特集号を発行するとともに、動画配信サイトやサイネージ等でのプロモーションを展開します。

総合防災訓練を、子どもから大人まで誰もが参加しやすく、各地区の地域特性を踏まえた内容に充実させ、区民の防災意識の向上につなげるとともに、ネットワークづくりと地域防災力の底上げを図ります。

区民が在宅での避難に自ら備えるきっかけづくりとして、新たに、全世帯を対象に携帯トイレを配付します。

旧耐震基準の住宅への改修工事助成や、がけ・擁壁の工事費用の助成を拡充します。

災害時に限らず、人命救助を迅速に行うため、自動体外式除細動器「AED」の設置を拡大します。

万全の感染症対策

感染症対策では、「予約なし、誰でも接種」をはじめ、全国をけん引する港区ならではの施策を進めてきました。

昨年10月には、今後の新たな感染症にも対応するため、区内の感染症指定医療機関や、港区医師会等との協働で「みなと地域感染制御協議会」が設立されました。この都内初となる協議会を、区は積極的に支援し、区民がより質の高い医療を迅速に受けられる環境を実現します。

第2の取組「子どもの育ちを支え、学びを伸ばす」

「子育てするなら港区」の更なる発展

子ども政策は大きな転換期を迎えています。

本年4月には、こども基本法が施行されるとともに、国においてこども家庭庁が創設されます。

「子育てするなら港区」をスローガンに掲げ、第2子以降の保育料無料化や出産費用の助成など、他の自治体に先駆けて取り組んできた港区として、更なる施策の充実を図ります。

出産費用が増加傾向にある中、区民が原則自己負担なく出産できるよう、区独自の助成金の上限額を引き上げます。

2人以上の未就学児がいる世帯へタクシー利用券を支給するほか、未就学児のちぃばす、お台場レインボーバス運賃を全て無料とします。

子ども家庭支援センターに社会福祉士などの資格を持つ専門員を新たに配置して支援体制を強化し、ヤングケアラーの早期把握と適切な支援につなげます。

「教育の港区」を一層前へ

区立中学校において、放課後等を利用してオンラインによるグループ英会話レッスンを行うことで、英語力を高め、国際社会で活躍できる人材を育成します。

小学校教科担任制を全区立小学校高学年に拡げるとともに、全区立中学校の全ての部活動に部活動指導員を配置します。

第3の取組「健康と生きがいづくりを後押しし、区民の生涯を支える」

コロナ禍を経験し、人々の健康への意識がかつてない高まりを見せている今こそ、あらゆる世代の健康増進に向けて、大きく踏み出してまいります。

若者世代への支援

現在実施している乳幼児から中学生までの医療費の全額助成の対象を、高校生世代にまで拡大します。

所得制限を設けずに、あまねく子育て世帯の医療費負担を軽減します。

性感染症である梅毒は、妊娠期における母子感染のリスクもあり、区民の健康上の大きな脅威となります。区内医療機関における無料の検査枠を拡充するほか、みなと保健所の検査について、1日で結果判定ができるようにします。

働き盛り世代への支援

区内医療機関で実施している肺がん検診の胸部エックス線検査において、新たにAIを活用した画像の読影システムを導入します。

都立芝公園と品川駅前港南ふれあい広場の屋外喫煙場所を、分煙効果の高い密閉型に転換するとともに、民間事業者を支援し、屋内の密閉型喫煙場所の整備を進めます。

高齢者への支援

健診結果や介護情報の横断的なデータ分析により、低栄養や生活習慣病のリスクが高い高齢者を抽出し、個別の保健指導を行う取組を新たに開始します。

介護予防のオンライン講座の開催やアプリの導入など、サービスの内容と選択肢を一層拡充します。

障害者への支援

区内で初めて、住まいと作業スペースなどの日中活動の場を併設した、新たな類型のグループホームを早期に整備します。

第4の取組「区民に笑顔を、まちににぎわいをもたらす」

コロナ禍や物価高騰などの影響を受けている区民や区内産業を支えるとともに、地域に活気を取り戻すための取組を推し進め、まちににぎわいを創出してまいります。

地域振興施策の推進

今月から、総額10億円のプレミアム付き区内共通商品券の利用が始まりました。あわせて、区内商店街を利用した人に抽選で豪華景品が当たる「みな得レシートキャンペーン」や、キャッシュレス決済で最大20パーセントのポイント還元を受けられる事業を展開しています。

来月からは、全ての子育て家庭が安心していきいきと子育てができるよう、0歳から18歳までの子どものいる世帯を対象に、子ども1人に対して5万円、総額22億円の区内共通電子商品券の配付を開始します。

新たにホームページの作成に関する講座を開催するとともに、デジタル回覧板アプリの導入を促し、町会・自治会が効果的かつ効率的な情報発信の手段を習得できるように支援を進めます。

産業振興施策の推進

中小企業の経営を下支えするため、広告宣伝に要する経費の補助を拡充するほか、採用活動等に係る経費の助成制度を新設します。

商店街の魅力を発信するPR動画コンテストの開催や、港区内共通商品券の発行支援、イベント経費への補助の拡充に取り組みます。

観光施策の推進

港区にゆかりの深い、徳川家康を主人公とした今年のNHK大河ドラマの放送や、勝海舟の生誕200年を絶好の機会と捉え、港区ならではの観光施策を展開します。

第5の取組「誰もが心地よい、環境に配慮した持続可能なまちづくり」

脱炭素化に向けたまちづくり

私は、これまで、全国の自治体と連携した「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を独自に実施し、区内での木材活用を進め、全国の森林整備につなげてきました。

平成23年に32自治体から始まった連携のネットワークは、今では80自治体まで広がり、区内の様々な建物で国産木材が使われるようになりました。

昨年5月には、「MINATO節電アクション」を定め、私自ら、区内の様々な団体に節電のご協力をお願いしました。皆が一丸となって取り組んだ結果、厳しい電力需給を乗り越えるとともに、省エネ行動の定着につながりました。

これまでの実績と経験を十分に生かし、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロにする目標を達成するため、港区環境基本計画を改定し、取組を加速してまいります。

清潔で綺麗なまちづくり

新橋、六本木、赤坂の繁華街では、昨年から早朝の時間帯における路上のごみの巡回清掃を始めました。

引き続き、誰もが安心して、快適に過ごせる空間づくりに取り組みます。

羽田空港の機能強化への対応

羽田空港新飛行経路の運用に伴い、区民からは落下物や騒音等に対する不安の声が寄せられています。

区は、区民の安全安心と生活環境を守る立場から、引き続き、国に対して、区民の不安や疑問の払しょくに向けたきめ細かな情報提供や丁寧な説明を行うとともに、海上ルートの活用、地方空港への分散化など、新飛行ルートの固定化回避に係る検討を加速するよう、強く要請してまいります。

地域の力と共に未来へ進む

約130か国に及ぶ外国籍の区民が暮らす港区には、国際交流と相互理解を推進し、平和の輪を広げていく使命があります。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、まもなく1年が経過します。区は、避難民の方々が少しでも安心して日本で生活を送れるように、区内全ての避難民の世帯を訪問し、悩みや相談ごとを丁寧に聴き取り、就学や就業、日本語学習などの支援に結び付けています。

港区平和都市宣言を礎に、世界の恒久平和を願うとともに、平和のために行動し、未来へと伝えてまいります。

これまで乗り越えてきた様々な逆境の中には、絶えず、港区が誇る人と人とのつながりが紡ぎだす地域の力がありました。

地域コミュニティを支える町会・自治会、まちににぎわいを取り戻すために奮闘する商店会、区民の命と健康を最前線で守る多くの医療機関、幅広いネットワークと高度な知見を持つ企業、大学、NPOなどの民間団体、国際性豊かな大使館の数々は、港区を形づくるかけがえのない財産です。

地域における多様な力は、それぞれが結び付くことで相乗効果を生み出し、新たな価値の創出へとつながります。

地域の強い連帯感と、これまで築き上げてきた区と地域の信頼関係を基に、参画と協働の力を推進力として、区政の舵を取り、一層邁進していく決意です。

年頭に当たり、私は、本年の抱負を表す漢字として、「跳」という一文字を選びました。

区民の皆さんと港区の進むべき道を共に考え、希望に満ちた明るい未来に向けて跳躍するための、「今年こそ」、の一年としていく。そんな願いを込めました。

私は、いかなる困難であっても、港区の大きな財産である「地域の力」を結集し、乗り越え、「いまも未来も 輝き続ける唯一無二の港区」を実現させてまいります。

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