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更新日:2023年5月21日

成年後見制度(法定後見・任意後見)の説明会に関する意見書

内容

社会福祉協議会、高齢者福祉課などで開催される「成年後見制度」の説明会においては、報酬を得る立場である専門職(弁護士、司法書士等)が説明するために、不適切な内容となっている場合があります。本人が年間数十万円の報酬を一生涯負担し、原則死亡するまでやめられない制度である以上、区においても、適切な説明を補足する必要があると考えます。
以下を参考に、適切な説明文を作成し、区内の公的施設で行われる説明会においては、文書を必ず配布することを希望します。「東京家庭裁判所による報酬のめやす」は必ず配布してください。
【成年後見制度とは】
<法定後見>
1、成年後見制度は、一度利用したら原則本人が死亡するまで継続するもので、目的を果たしたら終わりというものではありません。
2、後見人は家庭裁判所が職権で選任するため、申立人(親族等)が望む候補者が選ばれるとは限りません。
3、令和3年現在、8割超が専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が選任されており、専門職が選任された場合には、本人が年間数十万円の報酬を一生涯負担することになります。
<報酬のめやす>
東京家庭裁判所 東京家庭裁判所立川支部「成年後人等の報酬のめやす」平成25年1月1日。
横浜家庭裁判所「成年後見人等の報酬のめやす」平成23年4月1日。
基本報酬のめやす
後見人:基本月額2万円、管理財産額が1,000万円~5,000万円では月額3~4万円、5,000万円超える場合は月額5~6万円。
後見監督人:管理財産額が5,000万円以下の場合には月額1~2万円、5,000万円超えの場合には2万5,000~3万円。
付加報酬のめやす
基本報酬の50%
◆特別の付加報酬のめやす
訴訟勝訴1,000万円財産増額で報酬80~150万円、遺産分割2,000万円財産増額で報酬55~100万円、不動産売却3,000万円財産増額で報酬40~70万円。
4、多くの場合、親族等は、本人の預金通帳が見られなくなるため、専門職の報酬がいくらなのか、残高がどれほどあるのかはわからなくなります。
5、本人の不動産を売却する場合、家裁の許可は必要ですが、親族への説明義務はありません。
<任意後見>
1、任意後見は、認知症発症“前”に公正証書にて本人が選んだ人(任意後見受任者)と契約し、認知症発症“後”には家族等が家裁に申立を行い、家裁から任意後見監督人が選任され任意後見受任者は任意後見人となります(任意後見契約発効)。
2、本人が公証役場で契約をした人が任意後見人となりますが、任意後見監督人は家庭裁判所が選任し、本人や親族が希望する人が選ばれるわけではありません。
3、任意後見監督人の報酬額は家裁が決定し、本人が一生涯負担することになります。報酬額は、後見監督人と同程度であると聞いています(月額1~3万円)。
4、任意後見は、以下の3つの型があります。
(1)即効型:任意後見締結直後に任意後見契約を発効させる。
(2)将来型:将来の判断能力低下の時点で任意後見契約を発効させる。
(3)移行型:当初は通常の任意代理契約や財産管理契約に基づき任意後見受任者が事務にあたり、本人の判断能力が低下した時点で任意後見契約を発効させる。
移行型後見については、悪質な犯罪行為が行われており、東京都福祉保健局において、以下の注意喚起がなされていました。
東京都福祉保健局 福祉保健の基盤づくり 相談・助成制度 成年後見活用あんしん生活創造事業 任意後見制度に関係する悪質な犯罪行為にご注意ください。
任意後見制度を悪用した、財産侵害等の被害が、問題になっています!一人暮らしの高齢者に巧みに近づき、時に法律等の専門家であることを強調し、公的な仕組みを利用することで安心させて、ご本人にとって重大な財産侵害にあたるような契約等を行うものです。…これまでの事件では、任意後見契約を結んで安心させた上で、実際にはご本人の判断能力が低下しても契約をスタートさせずしたがって誰からも監視されることなぐすでに判断能力が不十分となっているご本人を言いくるめて、不適切な契約や財産処分を行って不当な利益を得ていたという点が特徴です。
(2018年4月確認。2023年現在削除されている。)
【障害者権利条約】
わが国の後見制度は、本人の単独での法律行為を制限し、その上で後見人後見人等に対して財産管理に関する広範な代理権や身上監護に関する権限を付与するものです。そのため、障害者権利条約(2014年批准)第12条(法的平等の承認)に抵触するため、2022年9月9日、国連の障害者権利委員会より「廃止勧告」が出されました。そして、2026年に向けて法改正が行われます。
港区におかれましては、成年後見制度が問題のある制度であることを認識し、説明会において安易な勧誘を行う専門職に対して、適切な説明を補足していただくことを希望します。
以上

区の対応・考え方

区では、成年後見制度の利用促進のため、区民への周知啓発として、制度の広報や講演会等のほか、相談会を実施するなど、幅広く事業展開をしております。
実施に当たりましては、区の施設で弁護士や司法書士等の専門職が講師をする場合、港区社会福祉協議会が制度の内容や手続きなどを説明しており、講演会等の場合におきましては、厚生労働省や裁判所等の発行する資料を用意することとしておりましたが、周知が行き届いておりませんでした。
改めまして、関係課や高齢者相談センター等に、厚生労働省や裁判所等の発行する資料や成年後見人等の報酬に関する東京家庭裁判所による「成年後見人等の報酬額のめやす」を配布するなど情報を提供してまいります。
今後も参加される区民にわかりやすく、また、誤解や混乱を招くことが無いよう、制度の周知・啓発に努めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

担当課

保健福祉支援部保健福祉課保健福祉総合調整係

ご意見をいただいた時期

令和5年1月

関連分野

健康・福祉-障害者-障害者

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