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更新日:2022年12月27日

令和4年11月6日(日曜)、講演会&シンポジウム 鉄道開業150周年記念「高輪築堤跡から考える日本の鉄道」を行いました

11月6日(日曜)、札の辻スクエア11階の港区立産業振興センターホールで、講演会&シンポジウム 鉄道開業150周年記念「高輪築堤跡から考える日本の鉄道」を行いました。当日は、応募抽選による当選者と関係者合計168人の参加がありました。

 

基調講演は立教大学名誉教授・老川慶喜氏が「鉄道の創業と港区ー高輪築堤から品川線の開業までー」を、また港区埋蔵文化財調査指導員・斉藤進氏が「発掘調査にみる旧新橋停車場跡と高輪築堤跡の姿」を行いました。

これに続くシンポジウム「高輪築堤跡から考える日本の鉄道」では、基調講演の両氏と早稲田大学人間科学学術院教授・谷川章雄氏、文化庁文化財第二課長・山下信一郎氏を交えて、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員・後藤宏樹氏の司会進行により、高輪築堤跡の学術的意義と価値を紹介しました。

高輪築堤シンポジウム令和4年11月6日

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登壇者各氏による講演・シンポジウム要旨は、以下のとおりです。

 

「高輪築堤跡から考える日本の鉄道 鉄道の創業と港区 高輪築堤から品川線の開業まで」 老川慶喜(立教大学名誉教授)

2020年、JR東日本の高輪ゲートウェイ駅周辺の工事現場で、1872年10月14日に日本で最初に開業した新橋横浜間鉄道のうち、高輪海岸に沿って海面を埋め立てて敷設した線路が往時の面影を残したまま発掘された。新橋横浜間鉄道のうち、この高輪築堤を含む新橋~品川間の鉄道は現在の港区に属しているので、港区は日本の鉄道発祥の地であるといえる。

その後、1885年3月に品川から渋谷、新宿、板橋を経て赤羽に至る日本鉄道品川線が開業した。品川線は、北関東の蚕糸業地帯や三多摩・両毛の機業地と開港場横浜とを結び、横浜貿易を促進した。また、1889年7月に新橋~神戸間の東海道線が開業すると、品川線は東北線・高崎線と東海道線を結び日本列島縦貫線を形成する。

ここでは、鉄道創業期における港区内の鉄道が、地域社会や日本の鉄道網形成に果たした役割について考えてみたい。

老川慶喜氏老川 慶喜 氏

 

「発掘調査にみる旧新橋停車場跡と高輪築堤跡の姿」 斉藤進(港区埋蔵文化財調査指導員)

「基調講演では、まず旧新橋停車場跡の調査成果のなかの代表的な遺構を取り上げて概略を述べる。次に高輪築堤跡の発掘調査によって明らかになった遺構の概要を説明し、最後に史跡「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」への道のりについてふれ、まとめとする。」

斉藤進氏斉藤 進 氏

 

「東京の近代遺跡の中の高輪築堤跡」 谷川章雄(早稲田大学人間科学学術院教授)

高輪築堤跡は東京の近代遺跡に含まれる。近代・現代を対象とする近現代考古学は、近世考古学の延長線上に位置するものであろう。1969年に発表された中川成夫・加藤晋平の「近世考古学の提唱」の主張は、「近世」に限定されるものではなく、「近現代」にもそのままあてはまると考えられる。

近現代考古学は現状では活発とは言い難いが、これまで調査された東京の近代遺跡の様相は、①殖産興業から産業革命、資本主義の発展へ、②近代的軍隊の創設から「帝国」の時代へ、③文明開化と西洋文化の受容、④前近代の社会・文化の伝統と変容に分類できると思われる。

ここでは高輪築堤跡をめぐる問題として、東京の近代遺跡の中の鉄道遺跡について考えるとともに、近代史の中の鉄道、土木史・技術史からみた高輪築堤跡、東京の地域史の中の高輪築堤跡という論点を提示することにしたい。

谷川章雄氏谷川 章雄 氏

 

「近代遺跡保護の現状と課題」山下信一郎(文化庁文化財部第二課長)

日本の文化財保護の歴史のなかで、近代の文化遺産(遺跡・建造物)の保護が本格化したのは比較的新しく、平成の時代に入ってからであった。そうしたなか、発掘調査で見つかった高輪築堤跡の保存問題は、従来の埋蔵文化財保護の在り方に一石を投じ、その改善に向けた検討を迫るものともなった。本コメントでは、文化財保護法における遺跡・建造物の保護の仕組みや、開発に伴う埋蔵文化財の取扱いをみたうえで、近代遺跡の保存と活用に向けた現状と課題を提示し、今後の高輪築堤跡の保存と活用・整備に向けた手がかりを提供したい。

山下信一郎氏山下 信一郎 氏

 

「明治期の鉄道施設からわかる都市の歴史」後藤宏樹(早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員)

明治5(1872)年の我が国初の「新橋・横浜間鉄道」開業以来、明治時代を通して都心の鉄道網が整備された。「高輪築堤跡」の発見は、開業当時の海を走る築堤の痕跡を知ることだけでなく、明治時代の鉄道発展を示す遺構でもあった。

明治42年に開業した現在の新橋駅から延びる路線には、明治時代に造られた鉄道施設が点在して残り、高輪築堤跡とともに現代に繋がる都心の鉄道史を物語っている。また、鉄道建設は、東京のまちづくりに果たした役割も大きい。再開発事業のなかで発見された高輪築堤跡は、鉄道に関わる土木技術の推移を示すとともに、周囲の文化遺産とともに近代から現代に至るまちづくりの歴史を知ることができる。

コメントでは、近代の文化遺産が現代に繋がる都市の歴史を提示したい。

後藤宏樹氏後藤 宏樹 氏

 

パネル会場展示パネル

展示パネルの内容をご覧になりたい方は、こちら→『概説 高輪築堤』(港区教育委員会)(抜粋)(PDF:2,321KB)

 

 

 


 
 
 
 

 
 

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