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「動物由来感染症」とは動物から人に感染する病気の総称です。「人と動物との共通感染症」とも言われます。
動物由来感染症には、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの等、病原体によって様々なものがあります。世界保健機構(WHO)で把握されているだけでも200種類以上あります。
動物由来感染症が問題となる背景として、人間社会の変化と人間の行動の多様化があげられています。例えば、交通手段のめざましい発展による膨大な人と物の移動、人口の都市集中化、絶え間ない土地開発と自然環境の変化、先進国では抵抗力の弱い高齢者等の感染をうけやすい人々の増加の影響や野生動物のペット化等があげられています。
人と動物との共通感染症についての知識をより深めて、動物との生活を健康で楽しいものにしていきましょう。
動物は病気を起こさなくても、人に病気を起こす病原体を持っていることもあるため、動物にさわったら必ず手洗いをしましょう。
また、動物が排せつをおこないやすい砂場や公園でも注意が必要です。特に子どもの砂遊び、ガーデニングで草むしりや土いじりをした後は、十分に手を洗いましょう。また、糞をみつけたら速やかに処理しましょう。
細菌やウイルス等が動物の口の中や爪にいる場合があります。口移しでエサを与えたり、スプーンや箸等の食器具の共用はやめましょう。また、動物を布団に入れて寝ることも、濃厚に接触することになるのでやめましょう。
野生動物はどのような病原体を保有しているか分かりません。むやみに接触することは控えましょう。
ブラッシング、爪切り等、こまめに手入れをするとともに寝床も清潔にしましょう。小屋や鳥かご等はよく掃除をして清潔に保ちましょう。また、タオルや敷物は細菌が増殖しやすいので、こまめな洗浄が必要です。
糞が乾燥すると、その中の病原体が空気中を漂い、吸い込みやすくなります。排せつ物に直接ふれたり、病原体を吸い込んだりしないよう気をつけ、早く処理しましょう。
羽毛や乾燥した排せつ物、塵埃等が室内に充満しやすくなります。ケージや室内のこまめな清掃のほか、定期的に換気に努めましょう。
日本で特に注意しなければならない、犬・猫に関わる主な人と動物との共通感染症には、次のような病気があります。
病名 | 関係する動物 | 動物の主な症状 | 主な感染経路 | 人の主な症状 |
---|---|---|---|---|
狂犬病 | 犬、猫 | 興奮性の神経症状又は麻ひ、昏睡して死亡 | 感染した動物に咬まれる | 神経症状、麻ひ、発症した場合はほぼ100%死亡する |
パスツレラ症 | 犬、猫 | 多くは無症状 | 咬み傷、引っかき傷による | 傷口がはれて痛む |
回虫幼虫移行症 | 犬、猫 | 食欲不振、下痢、おう吐 | フン中の寄生虫卵が口の中に入る | 肝臓、脳、目などに障害 |
皮膚糸状菌症 | 犬、猫 | 脱毛、フケ | 感染した動物との過剰なふれあい | 脱毛等の皮膚障害、かゆみを伴う |
かいせん | 犬、猫 | 皮膚の強いかゆみ、脱毛など | ヒゼンダニに感染した動物との接触 | 皮膚の強いかゆみ、脱毛 |
エキノコックス症 | 犬 | 多くは無症状 | フン中の寄生虫卵が口の中に入る | 肝腫大、腹痛、肝機能障害 |
レプトスピラ症 | 犬 | 腎炎 | 感染動物の尿に接触 | 発熱、肝臓や腎臓の障害 |
トキソプラズマ症 | 猫 | 多くは無症状 | フン中の病原体が口の中に入る | 流産、胎児に先天性障害 |
猫ひっかき病 | 猫 | 多くは無症状 | 咬み傷、引っかき傷による | リンパ節がはれる |
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