更新日:2025年3月18日
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麻布地区の地域情報紙(最新号)
編集委員が行く!あざぶ食遊記(7)麻布支所の2階で森林浴 HINARI CAFE 麻布 Grand Open
2024(令和6)年9月12日 港区麻布地区総合支所2階に素敵なカフェがオープン
入口でメニューを見ていると、笑顔で「いらっしゃいませ、こんにちは」。キャッシュレス決済可能な券売機での注文をサポートしてくれた。コーヒーの香りに誘われ中に入ると、窓いっぱいの外の植樹を通してたっぷりと陽が差し込み、森の中の秘密の場所を見つけたような、そんな心地良さに包まれた。椅子とテーブルは車椅子やベビーカーでもすんなり入れるよう、ゆったりと配置されている。
ここHINARI CAFE 麻布では障害のある方“スタッフ”とスタッフの業務支援者“ジョブサポーター”が働いていて、彼らの程良い距離感のサービスに心が和む。
お弁当
野菜たっぷり&塩分控えめ、栄養バランスのとれたお弁当は日替わりで丼物2種類、お弁当タイプ2種類の4種類。この日のメニューの一つ“ネギ塩焼肉弁当”を店内の電子レンジで温めていただき食べてみた。さっぱり目の焼肉の香り、塩味の効いた柔らかいお肉、付け合わせの野菜は個々のうまみがしっかりと感じられた。お弁当は午後1時には売り切れることもある。次週のメニューは毎週木曜日には入口に置かれるので要チェック。スタッフの前島壮太さんによると、チキン系とハンバーグが人気とのこと。
コーヒー
エクアドル産とタイ産の豆を50%ブレンドした“ひなりブレンド”をコーヒーブリューワー(複数杯淹(い)れるための機械/ドリップ式)で淹れている。「ジューシーなグレープフルーツのフレーバーとアーモンドのような香ばしさ」とのご紹介。苦味、酸味は喧嘩せずまろやか、適度なコクがあり、おかわりが欲しくなるあと味だ。アイスコーヒーの氷は、溶けても味が薄くならないようコーヒーを凍らせている。こだわりのオーガニックシュガーシロップは、さらっとした柔らかい甘さだ。
また、コーヒーは豆と粉、一杯毎のドリップ用を販売している。
2024年9月には、スタッフの出来さんも参加した本社オフィス内HINARI CAFEチームが「チャレンジコーヒーバリスタ(障害のある方達のバリスタコンペティション)」で、この大会用にブレンドした“奏(かなで)”がブレンド審査1位を獲得。残念ながら麻布ではいただけない。
和紅茶~日本で作っている紅茶
静岡県牧之原市生産の香り立つ紅茶。一瞬で気持ちが落ち着き、飲みやすい。ミルクが入った和紅茶オレもお好みで。
おやつ
就労支援事業所でつくられている、少しつぶが残っている手作りのどら焼き、手焼きの優しい噛みごたえのせんべい、ふんわりチョコマフィン。素材にこだわったパウンドケーキはしっとり食感で季節毎に味が変わる。前島さんによるとコーヒーと一緒にどら焼きがいち推しだそう。
運営するのは「CTCひなり株式会社(略称:ひなり)」
IT企業「伊藤忠テクノソリューションズ株式会社」の特例子会社。障害のある方が安心して働ける場、能力を発揮できる環境を提供し、彼らのできる仕事を増やしている。ほっこりするHINARI CAFE 麻布のロゴもひなりの新たな仕事として、デザイン担当スタッフ(精神障害者)が考案したものだ。HINARI CAFE 麻布でも、ジョブサポーターが注文とお渡しのミスなどが起こらないよう細心の注意を払って仕事の流れを工夫している。
ジョブサポーターの稲山(いなやま)莉奈(りな)さんは、「スタッフの成長が見られると感動します。とてもやりがいのある仕事です」と語った。
今後
ひなりは静岡で契約農家からの農作業請負にも取り組んでいるので、HINARI CAFE 麻布にて新鮮な野菜の販売を検討中とのこと。前島さんは、「元気で笑顔あふれる陽だまりのようなお店にしたいです」と笑顔で話してくれた。
“ひなり”は“日々成長する”という思いが込められているそう。ジョブサポーターとスタッフの、共に成長し合うという信頼関係がこの優しい空間を生んでいると感じた。
(取材/Sumiko、飯泉千種、高柳由紀子 文/Sumiko)
HINARI CAFE 麻布
HINARI CAFE麻布|CTCひなり株式会社(外部サイトへリンク)
〒106-8515 東京都港区六本木5-16-45 港区麻布地区総合支所2F
営業時間:月~金 11時00分~16時00分 定休日:土・日・祝日
電話/03-6441-0304
まちのお役立ち(17)幼児の遊び場
夢(ゆめ)の守(も)りびとたち、全力(ぜんりょく)で奮闘中(ふんとうちゅう)
港区立麻布子ども中高生プラザは、今年度で10年を経過します。利用者も累積(るいせき)100万人に達しました。港区の指定管理者(していかんりしゃ)制度(せいど)によって、現在の事業者(公益財団法人児童育成協会)が運営しています。〈児童館〉・〈こそだてひろば〉・〈学童(がくどう)クラブ〉の3つの機能をあわせもち、赤ちゃんから高校生世代まで利用できます。ここは、そうした子どもたちの夢を育(はぐく)み、幸せを願う大人たちもつながり合える施設です。年齢に応じた5種のプログラム*1があり、そのうちの〈こそだてプログラム〉と〈幼児プログラム〉を半年にわたって取材しました。
みんなで本気のバドミントン
昨年8月に始まった《LET'S羽球(バドミントン)!パパママリフレッシュタイム》は、プラザを利用する幼児を連れたママさんたちの要望で実現したプログラムです。プラザのアリーナ(室内運動場)で90分間のバドミントンの練習とゲーム、幼児は参加者が交替で見守ります。バドミントン経験のあるスタッフも一緒に幼児を見守りながら、コーチもされていました。
「私は〈児童館〉スタッフですが、6歳ごろからずっとバドミントンをやっていたので、こういう企画があると館長から相談を受けた時に、『やりたいです!』と立候補しました。皆さんはゲームを楽しむだけでなく、基本の練習もされています。プログラムの進め方も、やっと落ち着いてきたかなと思います。急に泣き出しちゃう子がいると、ついついスタッフとしてそこへ入っていってしまいます。せっかく仲間がいるので、ママたちと一緒に見守っていけたらいいなと思います」(木下優菜さん)
地域の声を拾って
アリーナは、プラザ主催の事業以外は、利用者がルールを守りながら自由に運動やゲームを楽しめる場所です。《LET'S羽球(バドミントン)!パパママリフレッシュタイム》は、そうした利用者の声から始まりました。
「最初、ここの利用者さんで、バドミントンをお好きなママさんから、なんかこういう場所が利用できないかなあという要望がありました。同じ幼稚園のお仲間で、以前から有栖川宮(ありすがわのみや)記念公園に集まって活動していたそうです。プラザでもコロナ前に利用者のお仲間が運動をして、その間ほかのママさんたちが子どもを見守っていたことがありました。今回も、ママさんたち主体で運営が進めていけるお仲間だと思いました。私のいる〈こそだてひろば〉は、乳幼児親子が自由に遊べる場所です。アリーナを定期的に利用でき、幼児を持つ子育て仲間も増やしていきたいという利用者の要望に、館全体で応援しようという方向に動いたという感じです」(佐藤美葉さん)
プログラムが始まってからは、飛び入り参加のパパやママも加わっています。今はバドミントンだけなので、「バドミントンやりませんか?」と声かけすることになります、と佐藤さん。でも、「これからはたまに内容を変えてもやりたいね」ともおっしゃっていました。
成長して幼児がいなくば親子でプラザを利用す機会も減ります。参加者輪を広げることが、地域の協働による活動をさかんにしたいという想いをつなげることになりそうです。
未就学児のいるプラザ利用者であれば、当日お子様がいなくても参加可能だそうです。ぜひ館内の案内に注目してください。
子どもの夢を応援する
〈児童館〉も〈こそだてひろば〉も、子どもが自分のやりたいことを見つけられるように事業をくふうしています。将来のためだけでなく、今やりたいこと、子どもにしかできないことを大切にして応援しています。そこから夢が生まれれば、それを実現するためのプロセスを応援します。子どもたちだけでなく、親も、地域の方も加わることで選択肢や可能性を広げられます。
〈こそだてプログラム〉の1つである《ASOBOO Time(アソボータイム)》は、不定期ですが月に1回実施されるもので、6か月から2歳11か月の乳幼児親子が対象です。親子のふれあい、親が子どもと向き合う時間を演出しています。ふれあい遊び、素材(そざい)遊び、パネルシアターなど、月ごとにさまざまな遊びを複数の親子で一緒におこないます。昨年春に取材させていただいたのは、新聞紙を使った「素材遊び」でした。
「親が子どもと向き合う時間を大切にしてほしいという目的で、家庭ではできないこと、他の親子との交流をはかりながら、ひとときを楽しんで過ごしてもらっています。イベントでの出会いだけでなく、〈こそだてひろば〉での交流のきっかけにもなっています。お子さんの年齢の幅が広いので、その時の参加状況を観察して、内容を臨機(りんき)に調整しています」(佐藤美葉さん)
素材遊びは、日常身の回りにあるものの感触や大きさを体感したり、家庭での親子遊びのヒントにもなるようにメニューが考えられています。プログラムは行き当たりばったりのように見えて、しっかりと流れを作って運営されていました。ゲームで切り刻(きざ)んだ新聞紙をゴミ袋に片付けることまで、楽しい遊びになっています。
定例の《おはなし会》は〈幼児プログラム〉ですが、小学生も加わった子ども中心のプログラムです。水曜と土曜にほぼ定期で開催されます。プラザの中央、休憩スペースにパネルを立て、マイクをセットし、床に客席となるマットを敷いています。パネルシアター・紙芝居・絵本を読む・いろいろ混じったおはなし玉手箱などを集まった全員で楽しみます。
未来への手紙
〈こそだてプログラム〉の一番人気は《身体計測》です。3歳くらいまでが対象で、募集を開始するとその日のうちに予約が満員になることも。会場となっているのは、休憩スペース正面の明るく広い部屋〈こそだてひろば〉。計測の日は、申し込んだ親子が子どものペースに合わせてやってきます。受付を済ませると、子どもの身長・体重をはかり、手形と足形をとります。毎日子どもに向き合っていても、成長を実感するのはこういうときかもしれません。病院や保健所でもはかれますが、いつも遊びなれている雰囲気(ふんいき)の中なので、ほとんどの乳幼児がおとなしく計測器械にのっていました。時には、初めての経験に大泣きする子もいますが、熟練のスタッフがママと協力して無事に計測完了。そして、拍手。結果を書いたカードに、赤いスタンプで手足の形を押したら終了です。カードはその子の成長の記録、未来への手紙です。計測が終わると、子どもを遊ばせながらのおしゃべりタイム。取材した日は、保健師さんもいて、個別の相談に応じるほか、話の輪に加わっておしゃべりも和やかに進みます。20組もいるとにぎやかですが、時間はとても静かに穏やかに過ぎていきました。
高齢者世代も夢に参加して
麻布地区には、小学校就学前の子どもたちを対象とする保育園26園・幼稚園10園、託児施設2か所、そのほか親子で利用する子育てひろば3か所、さらに公園11、児童遊園15、遊び場が2か所あります*2。子育て世代の親子をサポートする〈こそだてひろば〉は、地域の幼児とその保護者にとって、気軽に利用でき、新しい発見や出会いのある場所になっています。
子育て世代は、若いパパママだけではありません。幼児の孫を預かる高齢者も地域には大勢いることでしょう。孫を連れてプラザへ足を運びませんか。ボランティアとして子どもたちの夢をサポートしてみませんか。今回取材した木下優菜さんは、《おもちゃの病院》というプログラムも担当しています。壊(こわ)れたおもちゃをなおしてもらいたい子どもがやってきます。修理するのはそういう技術と情熱を持ったボランティアです。さらに折り紙教室や絵本の読み聞かせもボランティアが担当しています。
こうした色とりどりの行事やプログラムで、子どものやりたいこと、その夢が実現できる活動を応援しています。さらには、保護者のつながりの輪が広がるきっかけにもなっています。学生ボランティアもいます。幼児の遊び場として、子どもの居場所として、さまざまな年代のふれあいの場として地域に開かれた施設です。
地域とともに
翠尾由美館長は、「地域にいる子どもたちはもちろん、さまざまな方々の居心地の良い場所でありたい」とおっしゃっていました。
ボランティアは新しい風を吹き込んでくれる貴重な存在です。子どもたちに新しいものとの出会いを提供できるのがボランティアの良いところでしょう。地域の方と一緒に活動する機会も年々増えてきたそうです。地域にふたつある町会のお祭り、PTAや青少年対策高陵(こうりょう)地区委員会とも交流しています。
「地域の方もこちらのプログラムに来て盛り上げてくださる。子どもたちが大人と触れ合う場にもなっています。地域の中で、顔の見える関係が増えていくんです。幼児親子だけでなく、いろんな世代や立場の方に来ていただいて、やりたいことを膨(ふく)らませていきたいですね。ここは子どもたちの豊かな育ちを応援しています。体験が豊かであれば、心も豊かになると考えています。ホームページをご覧いただき、安心して足を運んでください。いつでも大歓迎です」
麻布子ども中高生プラザは、乳幼児から高校生世代までの夢を育む場所です。職員も、ボランティアも、利用者も、みんなが子どもたちの夢を育み、やさしく見守る仲間です。地域に開かれた広場、あたたかな居場所として、これからも協働の輪が広がることを期待します。
(取材・イラスト/おおばまりか、樋口政則 文/樋口政則)
*1 プログラムはプラザが行なっている事業のことで、子どもの年齢に合わせて、こそだてプログラム・幼児プログラム・小学生プログラム・ティーンズプログラム・共通プログラムの5つに分かれています。
*2 令和6年12月現在。麻布地区総合支所まちづくり課提供資料によります。
取材/撮影協力
港区立麻布子ども中高生プラザ
住所/港区南麻布4-6-7 港区立ありすいきいきプラザ2階
電話/ 03-5447-0611
ホームページ 麻布子ども中高生プラザ(外部サイトへリンク)
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所属課室:麻布地区総合支所協働推進課地区政策担当
電話番号:03-5114-8812
ファックス番号:03-3583-3782
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