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更新日:2025年11月1日

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目次

12月4日から12月10日は人権週間です

人権とは、誰もが生まれながらに持っている、人間が人間らしく生きていくための権利であり、人類が歴史の中で築いてきた財産です。

揺さぶられっ子症候群(SBS)と冤罪

冤罪とは、無実の人が犯罪者と疑われて捜査の対象となったり、その後起訴されて有罪判決を受けたりしてしまうことです。日本には死刑がありますから、時には国家が無実の人を殺してしまいうるのです。冤罪は、国が行いうる最大の人権侵害の一つです。

袴田事件、大川原化工機事件等、最近大きく報道された冤罪事件については、ニュース等で見られたことのある人も多いでしょう。しかし、これらの事件の背景には、まだ誰も知らない、冤罪事件があるのです。

私は、2017年以降に「揺さぶられっ子症候群(SBS)」による冤罪事件の問題に取り組んできました。SBSは母子手帳にも記載があるので、ご存じの人もおられるかもしれません。

日本では2010年前後から、「子どもを揺さぶって死亡(傷害)させた」「頭部に重篤な損傷を加えた」とされ、逮捕・起訴され有罪判決を言い渡される事案が急増しました。SBSは、乳幼児の上半身を持って前後に激しく揺さぶることで頭部に力が加わり、脳の中などに損傷が生じて発症するとされるもので、特定の症状によって診断されるとされてきました。このような考え方を根拠とする医師の証言によって、多くの養育者が逮捕・起訴され、有罪判決を言い渡されてきました。

しかし、これらの症状は他の原因によっても生じることが徐々に明らかになってきたのです。例えば、子どもがつかまり立ちから後ろに転んで頭を打ったり、身体の中に疾患があることによるものだったりします。つまり、いままで虐待であると判断されてきた事件の中に、実は多くの冤罪が含まれている可能性があるのです。このようなことから、SBS事件を検証するプロジェクト(SBS検証プロジェクト)を立ち上げました。そして、個別の事件で、このケースは虐待とはいえないと主張してきました。

例えば、2019年に大阪高等裁判所が一審の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した事件があります。孫(女児)を祖母が2時間余り預かっている間に急変し、その後亡くなったという事例です。女児の頭の中に出血があったことから、祖母は、激しく揺さぶって虐待したのだという医師の意見をもとに起訴され、一審で懲役5年6月を言い渡されました。しかし、海外の医師の意見などを聞いた結果、この赤ちゃんには静脈洞血栓症という病気があったことが明らかになったのです。たまたま預かった子どもが急変し、虐待を疑われる――誰の身にも起こりうる、冤罪事件です。

幸いにして、これまでに私たちが関わった事件のうち、13件で無罪判決が言い渡されました。いったん起訴されると99パーセント以上が有罪になる日本の刑事裁判で、数年の間に13件もの無罪判決が、同じ類型の事件で立て続けに言い渡されるのは異例です。しかし、これらの事件の背後には、まだまだ明らかになっていない虐待冤罪事件が眠っているはずです。

私たちの活動を追ったドキュメンタリ映画「揺さぶられる正義」が、2025年9月に公開されました。さらなる冤罪を防止するために私たちに何ができるのか、一緒に考えてみませんか。冤罪は決してひとごとではありません。

寄稿者 笹倉 香奈

東京大学法学部卒業、一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。甲南大学法学部教授、日本刑法学会理事、日本犯罪社会学会常任理事を務める。専門は刑事訴訟法。冤罪救済に取り組むイノセンス・プロジェクト・ジャパン事務局長や、揺さぶられっ子症候群(SBS)による冤罪に取り組むSBS検証プロジェクト共同代表を務める。

人権週間記念講演と映画のつどい

講演(60分)

講師

阿久津 照美氏(公益社団法人被害者支援都民センター相談支援室長)

テーマ

被害者のためにできること~犯罪被害者への二次被害を考える~

映画「ソウォン/願い」(123分)

暴行事件によって心身ともに深い傷を負った少女ソウォンとその家族が、絶望的な状況を乗り越え、再び日常を取り戻そうとする、実在の事件を基に描いた家族の絆と再生の物語。

とき

12月11日(木曜)午後1時30分から午後5時10分(午後1時開場)

ところ

リーブラホール(みなとパーク芝浦1階)

定員

180人(申込順)
※保育あり(4カ月から就学前、5人程度。申込時にお申し出ください)

費用

無料

申し込み

電話で、11月5日(水曜)から12月4日(木曜)に、みなとコール(受付時間:午前9時(初日は午後3時)から午後5時)へ。
電話:03-5472-3710

ファックスの場合は、氏名・電話番号・一時保育、手話通訳の希望有無を総務課人権・男女平等参画係へ。
ファックス:03-3578-2976

申し込みフォーム(外部サイトへリンク)からも申し込めます。

詳しくは、港区ホームページをご覧ください。

問い合わせ

  • 総務課人権・男女平等参画係 
    電話:03-3578-2027

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