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最近の判例や事例から見てみましょう。
消費者被害を救済するために、消費者契約法では大きく分けて2つの制度が使えます。
1つは「契約の取り消し」制度です。もう1つは「不当条項の無効」制度です。その内容は次のようなものです。
事例
訪問販売で「持病の手先のしびれ、リウマチに効く、病院へ行く回数も減りタクシー代が助かる」といわれて、年金暮らしで買えないと何度も断りましたが、錠剤の健康食品を5箱買いました。言われた通りに飲んでも効果がなく、医者には「持病には効かない」といわれました。
ポイント
「持病に効く」とウソを言われたこと。それを勧誘時の話や資料等から証明する必要があります。
事例
5ヶ月前に雑誌広告を見て資料請求したら、テープ起こしの内容と1本5千円の報酬の説明が書かれていました。その後、事業者から電話があり「簡単な研修で月3万円~6万円の収入になる」「研修費として17万円が必要」といわれ契約しました。ところが認定試験は難しく、簡単な研修では合格しないことがわかりました。
ポイント
「簡単な研修」「月3万円~6万円の収入」が断定的判断の提供になること。それを資料や電話のメモなどで証明する必要があります。
事例
「介護やガンの保障が付く」と外交員に勧められ生命保険の転換を夫がしました。転換後の保険は毎年見直しできる保険でしたが、60歳以降は高額な保険料を負担しないと、介護やガンの保障が転換前の保険と同様でないものだと分かりました。転換を勧められたときに、60歳以降の条件などを比較した説明は一切ありませんでした。転換前の保険に戻してもらえますか。
ポイント
60歳以降のデメリットの説明をしないことは、消費者にとって不利益事実を言われなかったこと。勧誘時の外交員の話や資料を確認し、証明する必要があります。
事例
夜7時過ぎに突然学習教材の販売員が自宅に尋ねてきました。何度契約を断っても帰らずに、途中近所の人が来たりしても帰らず勧誘が続けられました。夕食も食べられず、子供たちがお腹をすかしていたので、30万円の教材を契約し、販売員が帰ったのは10時近くでした。教材が届いたのは、10日後でその量の多さにも驚き、解約を連絡したが断られてしまいました。
ポイント
販売員が夜7時過ぎから10時近くまで何度も断っても勧誘を続け、帰らなかったのは不退去になること。隣人の協力も得て長時間居座っていたことを証明する必要があります。
事例
駅前でくじを渡され、賞品をあげると言われて近くの空店舗に案内されました。調味料や靴下などを配った後に、健康的に眠れるふとんを売りつけてきました。「いらない」と帰ろうとすると、戸口に大柄な男性販売員が5人も立っていて「まあまあ」と止められ、恐くなって40万円のクレジット契約をしました。買った商品は、販売員が自宅までタクシーでいっしょに届けてくれました。息子に1か月後に相談したら、解約した方がいいと言います。
ポイント
「いらない」と言った事、会場から帰してもらえない状況だったのは退去妨害になること。ただし、そのときの現場の状況の詳細を申し出る必要があります。
事例
学生が、就職セミナーを運営する塾会社から、「就職活動セミナーをしている」と指定の場所への来訪を要請されました。セミナー終了後「ここで入塾しなければ就職活動もうまくいかない。後悔する」などと繰り返し告げられて勧誘されたため、当該学生は契約しました。
ポイント
就職に関する願望の実現に対する不安に関し、繰り返し必要性を告げるという不安をあおる態様で告知を行っているので、「不安をあおる告知」に該当します。
消費者が契約を取り消すことができる期間は、誤認に気づいた時、あるいは困惑から脱した時から6ヶ月以内です(契約の時から5年を過ぎた時にできなくなります)。ただし、消費者契約法が適用される契約は、平成13年4月1日以降に結ばれた契約です。
事例
マンションの賃貸契約で、「退去時には敷金全額をもって修繕、補修費に充当する」という特約がついていました。たった4ヶ月しか居住していませんが、敷金全額を返してもらえないですか。
ポイント
特約の内容が、一方的に不利益であること。契約時の説明の有無や、修繕の必要性のないことを証明する必要があります。
事例
海外のホテルでチェックインをしている際に、足元に置いたバックを盗まれました。中には衣類などのほかに時計やアクセサリーなどの100万円以上のものが入っていました。ホテル側は「フロントに預けていない物について、当ホテルの故意または過失により損害が生じた時は、15万円を限度に賠償します」というが、ベルボーイがそばにいて防げなかったのに、全部の責任を取らないのは納得できません。
ポイント
チェックイン時のホテルの状況、ベルボーイの故意、過失があったこと。債務不履行と、バックの中味の詳細や金額などを証明する必要があります。
事例
クレジットカードを知らないうちに無断利用され、カード裏面のフルネームのサインと売上票の名前が違っていたのに、販売店が売った商品代金を「カード会員がカードの管理を怠った」としてクレジット会社が請求してきました。
ポイント
カードを紛失したわけでもなく、第三者に無断で利用されたのは、不法行為になること。自分が使用したのではなく、販売店が商品販売時に本人確認義務を果たせば防げたということを証明していく必要があります。
事例
ペットショップで生後60日の血統書付の子犬を購入しました。そのときに、販売覚書と免責同意書にサインさせられました。子犬は3日目にぐったりしたので、獣医に診せたところ「先天的な異常」と言われました。治療をしてもらいましたが、結局2週間後に死亡したので、ショップに連絡しましたが、免責同意書があるので「一切補償しない」と言われました。
ポイント
子犬の先天的な病気は、瑕疵に当たるので、免責同意書は無効になること。子犬の死因を診断書などで証明します。
事例
大阪地裁平成13年(ワ)第9030号損害賠償請求事件:中古自動車販売店が契約の2日後にキャンセルしてきた人に対して、自動車注文書の裏面に、「特約条項として、消費者の都合で契約を撤回した場合には、車両価格の15パーセントの損害賠償金と作業実費を請求されても異議はない」との記載があるとして、違約金18万円を請求したものです。
ポイント
「実際にはまだ損害が発生していないので、18万円が平均的損害には当らない」として無効になりました。
事例
1年くらい前に借りて返すのを忘れたレンタルビデオの延滞料を払って欲しいとショップから手紙が届きました。「会員規約に書いてある一日300円の延滞料で、380日分11万4,000円を払うように」と書いてあります。レンタル会員になったときに延滞料がつくことは知っていましたが、高すぎませんか。
ポイント
延滞料を無限に加算するような条項は暴利行為にあたること。手紙が届くまでに請求があったかどうか、ビデオを返せるか否かなどを検討した上で、延滞料については法定利息3パーセント~14.6パーセントの幅で交渉します。
相談専用電話:03-3456-6827
月曜~土曜 午前9時30分~午後4時(祝日、年末年始を除く)
※ 土曜は電話相談のみ
お問い合わせ
所属課室:産業・地域振興支援部産業振興課消費者センター
電話番号:03-3456-4159
ファックス番号:03-3453-0458
外国語対応が必要な人、通訳オペレーター、区の職員の3人で会話ができます。