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更新日:2023年10月11日

ボードレールとパリ大改造―都市計画と芸術の関係について―

5月6日(土曜)3時限:畠山達

本講義では「パリ」という都市の価値がどのように作られ、継承されてきたか注目した。明治以降の日本では、特に雑誌『明星』に関連した作家や詩人たちの影響が大きいことを最初に確認した。次に、大改造以前をバルザックのパリ、大改造以後をゾラのパリ、大改造過渡期をボードレールのパリとしたうえで、実際のパリという町の変化と美学的な変化を交えながら複層的に認識することを目的とした。

まずは、オスマンのパリ改造がどのようなものであったか、過去のパリがどのようなものであったか、地図、写真、諷刺画などを紹介しながらできる限り詳細に説明をした。オスマンの改造を以下の五点(1.大通りの新設、2.公園・広場の造成と整備、3.建造物の修復と建設、4.上下水道の整備・拡張、5.街灯の増設)に分類し、その目的と特徴、さらには現在の様子を交えて立体的に浮き上がらせた。

次に、中世の面影を残していたパリが姿を変えていく様子を、ボードレールはどのように歌ったか、三つの詩篇「後光の紛失」(散文詩)、「通りすがりの女性へ」(韻文詩)、「白鳥」(韻文詩)を通して考察を加えた。「後光の紛失」では諷刺的かつ皮肉を交えて描かれる詩人の姿、「通りすがりの女性へ」では、儚さの中に見出された永遠の美、「白鳥」では、壊されるパリが起動装置となって、記憶や思い出という不可視のものに至ることができることを説明した。

実は『明星』に関連した多くの芸術家たちはこのようなボードレールの影響を強く受けていた。つまりボードレールの目指した現代性の美の理念を近代の日本は強く受けていたのであり、我々もそれを受け継いでいたことを確認した。港区という「都市」も新しい価値を持つためには、こういった理論や方法を参考にすることができるだろう。

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