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更新日:2022年3月18日

~”組合せ”で植物の力を引き出す~株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所に取材をしました

取材日

2022年1月12日(水曜)

取材メンバー

秋元博文、森隆司、島村美帆(東京工業大学附属科学技術高等学校)

該当するSDGsゴール

 

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ビルの屋上で世界の自然を発展させる

協生農法を駆使して、目指せ!自然社会!

「協生農法」とは、畑を耕したり肥料をやったりせず、自然が元々持っている自己修復能力や自然遷移などを利用して、最適化した生態系を構築する農法です。ここで言う“最適化”とは、「複数種の植物が、与えられた環境条件のなかで競合共生しながら、それぞれに最大限の成長をすること」です。

農業は、人類の食料を生産し人々に大きな恩恵をもたらす一方で、開墾に伴う森林伐採などで自然環境に大きな負荷をかけています。そこで、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下、ソニーCSL)の研究員である舩橋真俊さんは、多様な生きものの共生と環境負荷の低減を実現するために、協生農法を研究しています。

協生農法は、貧困や砂漠化などが問題となっている、サハラ砂漠以南の地域でも本領を発揮するそうです。砂漠地帯での食料生産が上手くいけば、貧困に対する解決策になるかもしれません。砂漠や都市など、あらゆる環境での協生農法を探求するために、舩橋さんはこれまで、アフリカのブルキナファソやマリ、フランスのパリ、日本では三重県伊勢市、神奈川県大磯町など世界中の様々な場所で研究してきました。

今回は、東京・六本木の実験農園を訪問しました。「六本木ヒルズけやき坂コンプレックス」の屋上庭園では、最適化された生態系を具体的な植物の種類や数値で表し、世界に広めるための実験が行われていました。

 

ソニー再1 ソニー再2 ソニー再3

左から、多様性の1番低い所、多様性の1番高い所、中間

都会のど真ん中で実験するメリット・デメリット

みなさんは、「植物が育つために必要なものは何だと思いますか」という質問にどう答えますか?ほとんどの場合、土、水、栄養などを思い浮かべるかもしれません。

ソニーCSLが屋上庭園で実施している実験では、区画を多様性の低い所、高い所、その中間の3種類に分け、協生農法の考え方に則って植物の多様性の度合いを上げ下げしています。一つひとつの実験で採水器を使い、水の通りやすさや水の状態をこと細かく研究し、一番効率の良い土になる植物の組合せを調べているそうです。3年間で、200種類以上の植物を組み合わせたそうです。その量には正直、驚きました。

「プランターや植物の運送が一番辛かったのではないか」と考えつつ、作る段階で難しかったことを、ソニーCSLの本條陽子さんに伺ってみると「六本木ヒルズけやき坂コンプレックスの屋上を貸し切らせてもらうこと」と笑顔で答えてくれました。難しかったことにも笑顔で答えてくれた本條さんからは、苦労を乗り越えていくことも含めて研究への熱意伝わってきます。

都会で実験を行う一番のメリットは、人の生活から近い場所で協生農法を研究できるという点だそうです。

しかし、決まった種を植えれば決まった結果が導き出されるわけではありません。天候や環境にも大きく左右されてしまうので、注意深く観察しなくてはならないというデメリットもあるそうです。

都会は自然とかけ離れたところにあります。

現在都会で育てられている植物には、ツバキやキンモクセイが目立ちます。その理由は、ほかの多くの植物は、天敵となる虫や備えている耐性などがわからず、育てにくいためと言われます。人の生活との距離が近いほど、研究対象としてのポテンシャルが高くなるそうです。また都会では、単に緑が多いことよりも、防音・防風林や緑のカーテンなど、生態系としての機能が高い方が多くの恩恵を受けることができたという実例もあるそうです。

写真4

六本木ヒルズけやき坂コンプレックス屋上庭園からの写真

今の若者が次の社会の主役だ‼︎

舩橋さんには、現代社会の状況や、今後どう自然と関わっていけば良いのかなど、様々な人生のヒントをお話しいただきました。

そのなかでも、特に大事に感じたことを以下に紹介します。

Q.この六本木ヒルズけやき坂コンプレックスに屋上庭園を作る際に、一番大変だった事はなんですか?

「一緒に作っていく仲間とのコミュニケーションが難しかったです。人間の多様性によってたくさんの角度から物事を見ることができ、その時にコミュニケーションができないと仲間との協力もできずに、共同作業で良い結果が出せません。もしかしたらコミュニケーションをとったからこそ、問題が発生しなかったという結果もあるかもしれません」

言葉で完璧に表せないですが、人の多様性は尊重すべきで、現代では価値があるようには思えない人の多様さも、後から重要性が分かることもあります。舩橋さんの話に、学生のうちに仲の良い友達をつくるのもいいですが、話したことのない人たちとたくさん話していきたいと思いました。

Q.持続可能な社会にするためにはどうしたらいいですか?

「これは大人に聞いちゃダメです。だって実際に失敗しているじゃないですか」と、辛口ですが、納得のコメントをいただきました。

昭和時代に自然のことを考えずにどんどんエネルギーを使っていたため、地球温暖化が進行して悪影響を及ぼしています。これはすべて大人が失敗した結果。だからこそ様々な大人に、過去にやってきたことを聞き、自分が正しいと思ったことは真似し、失敗だと思ったことは反面教師にすべきだと話していました。

ちなみに、学生時代で後悔していることは何ですかとお聞きしたら、ギターとか音楽系の趣味を持っていなかったこと、と笑いながら話してくれつつ、悔しがっていました。

編集後記

写真5

中央が、今回取材に応じてくださった舩橋さん

秋元博文(一番左)

自然の崩壊は社会の発展が原因だと言われるなか、自然と社会を両立させようとしているのを見て、今後は世界の自然のことも考えて世の中を発展させていかなければいけないと思いました。高校生でできることは限られますが、自分ができるボランティアなど、地球に優しくできる行動を少しでもしたいなと思いました。

島村美帆(左から2番目)

今回、この活動を通して初めて協生農法について知ったので、分からないことだらけでしたが、実際に協生農法を行っている場所まで足を運び、説明を受けることによってそのすごさを体感することができました。そしていずれこの協生農法が当たり前に知られているものになることを期待しています!

森隆司(右から2番目)

ソニーといえば技術での有効的な解決策がとても強い概念となっていましたが、農業による革新的な方法を見出し、それにソニーやその他の技術が加わるという新しい方法に感銘を受けました。

 

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