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2021年11月5日(金曜)
安田皓、佐藤凌真、玉置丈暉、番所慧吾(東京工業大学附属科学技術高等学校)
東京の町を歩くと、建ち並ぶビルの迫力に圧倒されることがよくあります。
しかしこのビルが、環境に負荷をかけています。目には見えないCO₂。港区におけるその排出量の7割は、事務所ビルやホテルなどの業務部門から排出されるものです。
野村不動産株式会社(※)が進める「芝浦プロジェクト」では、新しく完成するビルが環境に負荷をかけないよう工夫されています。ビルが建つのは、東京ドーム一個分程にもなる広大な敷地です。エネルギーの一部は、敷地内に設置した太陽光パネルから供給する予定です。
さらに、野村不動産株式会社が保有する倉庫施設の屋上に設置した太陽光パネルで発電し、このビルに送る仕組みも検討しています。
一般的なオフィスビルでエネルギー消費の4割を占める空調設備には、輻射空調整備システムを導入する予定です。
輻射空調では、部屋の天井にパイプを張り巡らせ、設定室温に合わせた温度の水を流します。これにより、風を使わず部屋を暖かくしたり、涼しくしたりできるのです。加えてビルの窓ガラスを二重にし、断熱効果を高める設計もされています。
しかし、ここまで取り組んでも少量のCO₂が発生します。発生したCO₂の一部は「CO₂利用装置」を設置し、中和するという計画も予定しています。
工夫を積み重ねることで徹底的に省エネルギーに近づけ、「太陽光を最大限に活用したクリーンなエネルギー循環の実現」「CO₂排出量実質0」を目指しているのです。
「芝浦プロジェクト」で建設予定のビルの完成予想模型
ある研究では、人は自然に囲まれた空間を心地よく感じ、リラックスできることが報告されています。
建設予定のビルでも自然を積極的に活用する予定です。ビルはオフィス、商業、ホテル、共同住居などで構成されますが、特に力を入れているのがオフィスです。芝浦ならではの自然に囲まれながら働くことで、アイデアが湧きやすく、働きやすい環境を目指して開発されています。
敷地内には、人々が運河や緑を眺めて楽しめる空間を作ります。特に歩行者用の通路沿いにはカフェなどの小規模店舗を点在させ、開放的な広場も設けて水辺のにぎわい創出を目指しています。敷地からほど近い日の出ふ頭には、船着き場や飲食店の入るテラス「Hi-NODE(ハイノード)」が建てられ、“水”を取り入れた魅力的な空間を形成しています。少なくなっていた船の便数も、船着場ができたことによって増えてきているそうです。
「芝浦プロジェクト」では、自然への負荷軽減も行いつつ、自然と人間が共存できる環境をつくり出していく取組が重視されています。都会にこのような施設があることで人々の交流も盛んになり、地域が活気づくことに野村不動産株式会社は大きな価値を見出しています。
海に面した「Hi-NODE」の広場
建物の利便性だけでなく、その地に建てたことによる地域住民のつながりや、地区全体の利益を考えたうえで計画を立てているということを知り、とても驚きました。またそのように、様々な角度から計画を遂行している野村不動産さんの方々に敬意を抱きました。
今回、野村不動産さんにインタビューさせていただいて一番に感じたのは“自分自身の勘違い”でした。不動産会社というものは建物の計画をするだけだと勝手に思っていましたが、ここまで大きく「地域をつくって」いるということに驚き、感動しました。
今回は、野村不動産さんの「芝浦プロジェクト」を取材したことによって個人のみでSDGsの取組を行うだけでなく、街全体を巻き込んだ取組の大変さを知ることができました。この取組をたくさんの方々に知ってもらうことが、17のゴールに近づける一歩になると思います。
今回野村不動産さんの「芝浦プロジェクト」について取材したことで、ちょっとした工夫が大きな変化につながることを改めて理解できました。自分の生活を振り返ると、少しの工夫でSDGsに貢献できることも少なくないと思いました。世間が変わるのを待たず、自分ができることを一つひとつやっていくことの重要性に気づくことができたと思います。
(※)芝浦プロジェクトは、野村不動産株式会社並びに野村不動産ビルディング株式会社と、東日本旅客鉄道株式会社が共同で推進している国家戦略特別区域計画の特定事業。詳細は以下、URLから。
https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2021092801898.pdf
「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」
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