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更新日:2024年3月13日

~希少・難治性疾患への理解を広めるために~RDD浜松町ビルディングを取材しました

取材日

2023年7月26日(水曜)

取材メンバー

廣瀬茉菜 小山田みこ 高綾香 有馬健太(東京工業大学附属科学技術高等学校)

該当するSDGsゴール

SDGs1SDGs3SDGs4SDGs10SDGs17

 

イベントを通じて患者さんと社会をつなぐ

「希少・難治性疾患」とは?

みなさんは「希少・難治性疾患」という言葉を聞いたことがありますか。希少・難治性疾患とは、患者数が少ないことや病気のメカニズムが複雑なことなどから、治療や診断に関する研究開発がほとんど進んでいない疾患を指します。

Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日、以下RDD)は、より良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者さんの生活の質の向上を目指して、 スウェーデンで2008年2月29日に世界で初めて開催されました。うるう年の2月29日は“希少”であるため、この日がRDDとなりました。

日本でもRDDの趣旨に賛同し、2010年から2月最終日にイベントを開催することで、患者さんやご家族、関係者らがつながる機会をつくっています。港区芝浦では、その公認開催地区のひとつとして、浜松町ビルディング全体で「RDD浜松町ビルディング」が開催されています。

ウェビナー
RDD浜松町ビルディング2023でのウェビナーは、会場とリモートでのハイブリッドで開催。幅広い年齢層の800人が参加した(提供:オーファンパシフィック)

 

今回は、RDD Japanの事務局の方々と、「RDD浜松町ビルディング」の活動の中心を担う株式会社オーファンパシフィック(以下、オーファンパシフィック)の方々に取材しました。

世界には約7,000もの希少疾病が存在し、その患者数の合計は3.5億人にものぼると報告されているRDDについて、一緒に考えてみませんか?

説明1
希少・難治性疾患について説明してくださった、株式会社オーファンパシフィックの稲木雅人さん。世界中の「希少・難治性疾患」の患者数は3.5億人と言われる

 

「知ること」とはどういうことか?

社長
株式会社オーファンパシフィック 代表取締役社長 原 愛さん

オーファンパシフィックは、患者さんの数が少ない希少疾病用の医薬品を提供する製薬会社です。代表取締役社長の原愛さんに話を聞きました。

「患者さんの数が少ないと、その病気に関する医薬品を開発している製薬会社がない、ということがあります」

「“Leave no one behind” 誰ひとり取り残さない。この言葉はSDGsの理念に掲げられていて、オーファンパシフィックの企業理念でもあります。私たちはひとりでも患者さんがいれば、その方に薬を届けたいという想いを持っています」

「また、希少疾病の患者さんの多くは自分の病気のことを知ってもらいたいと感じています。私たちの事業は薬を作ることですが、同時に希少疾病に関することを、少しでも多くの方に知ってもらえるような活動を行っています」

「RDD浜松町ビルディング」では、2018年から、RDDについて学んだり、実際に患者さんから話を伺ったりするイベントを開催しています。また、2023年に行ったセミナーには1,000名を超える方が登録をしたそうです。

また、中学生以下の子どもを対象に、「あなたのだいじななにか」を絵に描いてもらうお絵かきを募集し、希少疾病についての理解を広める活動を行っているそうです。

誰かのために、自分のために、誰かとともに

局長
RDD Japanの事務局長の西村由希子さん(左)と事務局のメンバーの江本駿さん(右)

「RDD浜松町ビルディング」以外でも、日本全国で活動が行われています。オンラインで患者さんと話をするイベントや高校生や大学生と共に運営したサミット、企業と連携したPRイベントなど、RDD2023では過去最大となる64箇所で公認開催イベントが実施されました。

RDD Japan 事務局長の西村由希子さんに、イベントへの参加について伺いました。

「このようなイベントに参加すると、『誰かのために』という意識になってしまうこともあるかと思いますが、あまり『誰かのために』と頑張りすぎてしまうと、頑張れなくなった時に苦しくなってしまいます。ですから、『自分が知りたいから』など自分のためでもいいんです。大事なことは、誰かとともに経験することです」

誰かのためでも、自分のためでもいい。誰かとともに経験をすることが大切なのですね。

人と人とのつながり

希少·難治性疾患の患者さんの多くが医療だけではなく、人と人のつながりにも救われていると聞きました。

RDD2023の公認開催地区イベントでは、患者会や患者支援組織、図書館や中学・高校、塾など様々な組織や団体が主催者となり、つながりを育む活動をしているそうです。患者会とは同じ病気や障害、症状など共通する患者体験を持つ人たちが集まる会で、患者さんやその家族により運営されています。また、高校生にとって身近な例として、絵を描いて患者にプレゼントをした塾や、RDD Japanが高校生と患者さんが話す機会をつくり関係が築かれた話を伺いました。

西村さん自身が患者さんと話す際に気を付けていることも伺いました。例えば、「病気を持っている人」ではなく「症状がある人」と表現するそうです。患者さんの話に相槌をうつ時に「分かります」の代わりに「そうなんですね」と伝えるようにしているそうです。患者さんとの関係を大切にし、想いを受け止めようとしているのを感じました。

RDD Japanの活動を通じて、患者さん、高校生、企業の方などの人と人とのつながりが広がっていき、みんながそのつながりを感じられると良いと思いました。

編集後記

集合

廣瀬茉菜(前列・左から2番目)

取材をして、目の前で覚悟を感じました。希少疾患と闘う人たちがとても頼もしいです。この記事でその想いをダイレクトに伝えられたらと思って書きました。記事を書いたことにより「伝える」ことにアプローチするという学びができました。

小山田みこ(前列・右から2番目)

私は取材を通して今まで自分が見えていなかった事に気づくことができ、希少·難治性疾患について新たな視点を持つことができました。また、記事を通してその視点を伝えることは私にとって中々難しいことでしたが、難しいことをやり遂げた経験は私の糧となりました。
取材と記事から得た視点と経験を今後の自分に活かして行こうと思います。

高綾香(前列・右端)

取材前までの私には希少・難病性疾患や難病患者に対して「かわいそう」や「大変そう」というマイナスなイメージがありましたが、RDDさんの話を聞いて、自分で勝手なイメージをつけないほうが良いと思いました。他にもたくさんの学びを得ることができた良い体験になりました。学んだことを今後に活かしていきたいと思います。

有馬健太(前列・左端)

今まで私は、希少疾患について詳しくは知りませんでしたが取材を通して、問題解決をするための団体のあり方や、活動の大変さ・奥深さを知ることができました。色々な方面から希少疾患を持つ人たちの手助けをするRDDさんの話を聞いて、自分がこれから人助けをしていくときに、どのような視点に立って物事を見るべきか学びました。

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