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更新日:2023年3月30日

医療技術を通して見る生老病死と社会ー尊厳死・安楽死の議論をめぐってー

6月8日(水曜)2時限:柘植あづみ

今年は「医療技術を通してみる生老病死と世界」のうち、尊厳死・安楽死の議論を取り上げた。

まず、森鴎外の『高瀬舟』発表の背景には19世紀ヨーロッパでの安楽死をめぐる議論があったこと、日本では20世紀に入ってから家族による嘱託殺人事件が安楽死の議論の契機になったことを説明した。

高齢・多死社会となった現在の日本では尊厳死法制化について議論がなされており、安楽死よりも尊厳死に対して積極的に肯定される傾向がある。しかし、実際には「安楽死」と「尊厳死」の区別はあいまいであること、過去の事件では尊厳死を意図して延命治療を停止した行為が、結果として患者が苦しみ、嘱託殺人の引き金になった例も紹介した。さらに、尊厳死を合法化する議論において、医師のかかわりに重点が置かれていることや、尊厳死の法制化に対する反対意見を紹介した。

オランダでは、世界で初めて安楽死を認めたとされる「要請に基づく生命終結と自死介助(審査手続き)法」が制定された。当初は本人の意思確認など審査が厳格に行われていたが、20年のあいだに自死介助の件数が増大し、厳格な審査が行われなくなっているという批判がある。また、自死介助を希望していた人が認知症になってから安楽死を拒否したときにどうするのかの議論がなされている。スイスの幇助自殺はスイス国内なら外国人に対して実施することも認められ、幇助自殺のためにスイスに向かう外国人もいる。日本からもすでに幇助自殺を遂げた人がいる。このような具体的な事例とその問題を紹介し、今後、日本国内での尊厳死に関する法制化や、安楽死の前に終末期の苦しみの緩和医療の充実や、延命治療の在り方の見直しなどの課題、終末期に対する意思決定とその表明の在り方の検討などの課題を指摘した。

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